非当事者研究その1

 「#非当事者研究」は、その名の通り「当事者研究」に便乗していますが、私自身が「非当事者」という「当事者」としてあーだこーだ考えているので、「当事者研究」と言えるかもしれません。

 今年の7月に岩波書店からその名もズバリ『当事者研究』が刊行されました。著者の熊谷さんは、東京大学先端科学技術研究センターで「当事者研究分野」の代表をされており、『当事者研究』の刊行は一つの到達点と言えるかもしれません。

 「当事者研究」は、2001年に精神障害者の地域活動拠点である「浦河べてるの家」で誕生し、2015年には東京大学先端科学技術研究センターで講座が立ち上がり、2019年に『現代思想』(青土社)の5月臨時増刊号で現代思想のキーワードの一つとして挙げられており、注目されています。

 「当事者研究」とともに「当事者」を冠した言葉として挙げられるのは「当事者主権」だろうと思います。これも岩波書店から2003年にやはりその名も『当事者主権』として刊行されました。著者の一人である上野さんはその後、副題に「当事者主権」が入った、『ニーズ中心の福祉社会へー当事者主権の次世代戦略』(医学書院、2008)や『ケアの社会学ー当事者主権の福祉社会』(太田出版、2011)を出されており、「当事者主権」に軸を置いた活動をされています。

 岩波書店からいずれも「当事者」を冠した書籍が刊行されたことは、「当事者」の連続と更新と言ってもいいのかもしれません。しかしそもそも「当事者」とは何でしょうか。

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