当事他者探Qその6

 「当事者」が「問事者」であることから、「当事他者」も「問事他者」であり、やはり「問う」という能動的側面と、「問われる」という受動的側面があります。

 「当事者」が出来事との間で「問う/問われる」関係を持っていました。一方「当事他者」は、「事に当たる」という、出来事を「問う」能動的側面を間接的には持ちますが、「問われる」という受動的側面は、出来事とは別に「当事者」から受けることになるでしょう。

 また当事他者は、当事者に「問われる」だけでなく、当事者に「問う」こともあるでしょう。したがって当事者は、出来事との間だけでなく、当事他者との間でも「問う/問われる」関係にあります。

 当事者と当事他者との間での「問う/問われる」といったやりとりは、「体験」を「経験」にする、未体験の他者に伝わる言語化の過程です。当事者が当事他者と協同して、成功も失敗もしながら、体験を言語化することは、ハイデガーが言うところの「分かちあう伝達(ミットタイルング)」であり、そこにはすでに述べた、呼びかけと応答の呼応関係があります。

 他方で、当事者と出来事との間での「問う/問われる」といったやりとりは、当事他者とのやりとりのような言語化が全くないわけではないにせよ、出来事それ自体を受け止める体験化の過程と言っていいかもしれません。

#問事他者

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