お知らせ

数週間前 オフィスの中に置いていた アンセリウムが
なんとなく 元気がなさそうで 外に置くことにした。
オフィス内では リネンやタオルを使用することが多いので 観葉植物たちは 埃だらけになる。
そんなこともあり 外の 自然な風や 太陽光に当たるのがいいだろうと 外に出したのだった。
このアンセリウムは 2020年に 今の場所に オフィスを移動した時 長年のクライアントの一人が プレゼントしてくれたものだった。
何度も花を咲かせ 彼女が来るたび 「まだ生きてたの?」と いつも驚かれていた。
それが ここのところ どうも 疲労している。
そうこうしているうちに それを贈ってくれた 彼女から 金曜日の早朝 メッセージが来た。
「朝早く ごめんなさい。突然ですが 今日 空きありますか?先ほど 退院して 自宅に戻ってきました。マッサージが必要です。」
が、私の予約表は 一日中 埋まっており できるとしたら 夕方しかなかった。
それを言うと 多分 今日は 運転できないから また今度にしますと 返信が来た。
私は それでよかった。決して 近い距離ではないので 運転中 何かあっても困る。
それより きっと 今日 彼女は 入院していたことを どうにか 知らせたかったのだと思う。
何があったの? という問いには 返信がなかった。
それもそれで良かった。今度会った時 聞かずとも 向こうから 話してくるだろう。
彼女は 大手のファーマシーで 働いている。が 店員というよりは 外回りだ。クレームの来た商品の回収や
新規の 取り付けや 本社での会議で 旅行することも多い。給料はすこぶる いいらしい。
新しい薬を 州で販売する許可を取る仕組みについて 話してくれてことがあるが もろ、金とパワーの渦巻く
世界だった。それでも 自分の職業を否定されたくないのか あくまで あちらの肩を持つ。
体調が元通りになったら 連絡してとだけ言ったけど
彼女の アンセリウムは 相変わらず 元気がない。
まるで 彼女の状態を 知らせているかのように。
私たちの日常には このようなお知らせが 至るところにある。
が 感覚が そちらに向いていないと お知らせを
見逃すことも多い。
打たなかった私は なぜ 打たなかったのか みんなとシェアしたくて あの頃のことを 思い出してみた。
一番の大きな理由は お知らせが 来なかったから。
雨が降る前に 僅かばかりの風が 雨の匂いを 運んでくる。そのお知らせがあるから 私は急いで 庭に干した洗濯物を 濡れる前に 取り込むことができる。
仕事に出かける前に どうにもこうにも アーニカの
塗り薬が目に止まる。なんだか わからないけど それを オフィスに持っていくと 転んで 大きな青あざを作った人が やってくる。アーニカは 青あざや 打ち身から来る トラウマに効くと言われている ホメオパシー薬。
アーニカに目が止まったのは ある意味 お知らせだ。
報道が どこもかしこも コロナ一色で 緊急事態という割には 実際のお知らせが どこからも来なかった。
だから 私には マスクも接種も 必要のないことだと
いうのは 明らかだった。
お知らせというのは 嘘のない世界を走る飛脚のようで
そこから伝えられるのは 真実だけだ。飛脚は真実を
伝えるためだけに 遠くまで走る。
あるいは お知らせの伝言板に 嘘は書き込めないことになっている。書こうとしても 文字にならない。
私たちの周囲にある 全てのエレメント(風や光や水など)が お知らせを届ける 役割を果たす。
あなたが 聞く耳さえ 持っているならば。

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