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2020年10月の記事一覧

足立区滅亡少女小説

足立区滅亡少女小説

 …の電車は……両…——まもなく——番線に——…直通…上野東京ラ……品…——
 感情のない女性の声を遠くに聞きながら、少女は枕木を踏み越えた。
 行きが…ります……黄色い…ブロック……がりください…こ…電…は
 制御を失った機械は繰り返す。だが、その声が告げる列車はやってこない。少女は顔を上げ、線路の伸びる先を見渡す。平行線は川の手前でぶつり、と切れていた。千住新橋が落ちたのだ。荒川の向こうには街

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