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未明の気象庁の会見より

12月12日午前1時9分ごろ、北海道宗谷地方を中心に最大震度5弱の地震が発生した。
主な各地の震度は、豊富町が震度5弱、幌延町が震度4、羽幌町が震度3で、このほか北海道の各地で震度2や1の揺れを観測した。
この地震について、午前3時から気象庁の地震津波監視課長である中村雅基氏が記者会見を開き、注意を呼びかけた。
以下に要点をまとめた。

同程度の地震が起きる確率は1〜2割ある

・速報値はマグニチュード4.4と出したが、4.2に変更した。

・深さは速報では「ごく浅い」としていたが7kmと推定。

・揺れの強かった地域では落石や崖崩れなどが起こりやすくなっている可能性がある。今後1週間程度は最大震度5弱程度の地震に注意してほしい。

・過去の大きな地震の事例では同程度の地震が起こる確率が1〜2割ある。特に2、3日程度は強い揺れをもたらす地震が発生することが多くあるので注意が必要。

・2時45分に震度1の余震があった。

・緊急地震速報は基準を満たさず出さなかった。

・1932年まで遡ると近くを震源とするマグニチュード5.6の地震があった。

・近くにあるサロベツ断層帯はマグニチュード7.6を発生させる可能性があるとされている。

・サロベツ断層帯との関連はまだ情報がなくわからない。

・メカニズムは地震の規模が小さくわからない。

豊富町だけポツンと強い揺れに見舞われたような印象だが、地表に近いところが震源で、豊富町では直下型地震に近いものとなったうえ、南隣の幌延町の中心部とは約16kmほども離れているように地震計の設置間隔が大きいことがその理由と思われる。

サロベツ断層帯とは

会見で出てきたサロベツ断層帯とは、地震調査研究本部によると、北海道北部の宗谷丘陵西縁に分布する活断層帯で、天塩郡豊富町から同郡幌延町を経て、同郡天塩町に至る。断層帯全体の長さは約44kmで、概ね北北西−南南東方向に延びている。東側が西側に対して相対的に隆起する逆断層と推定されている。

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サロベツ断層帯では、最新活動時期を十分特定できていないが、少なくとも約5,100年前以後に最新活動があった可能性があるとみられる。
通常の活断層評価の手法により最新活動後の経過率及び将来このような地震が発生する確率を求めると、地震発生の確率には幅があるものの、その最大値をとると、サロベツ断層帯は、今後30年の間に地震が発生する可能性が4%以下。ただ、小さな数値に見えるが、我が国の主な活断層の中では高いグループに属することになるという。
活断層で起きる地震は、発生間隔が数千年程度と長いため、30年程度の間の地震発生確率値は大きな値とはならないからである。例えば、兵庫県南部地震の発生直前の確率値を求めてみると0.02〜8%だった。地震発生確率値が小さいように見えても、決して地震が発生しないことを意味してはいないことに留意すべきだ。
ちなみに、かつては今回の震源の東に位置する辺りに幌延断層帯が存在するとされていた。1950年代に稚内市街地東方に位置する稚内丘陵の地質調査が行われるなかで、丘陵を形成する活断層として丘陵の西側に推定距離22kmの逆断層として断層帯が存在するものと考えられるようになった。
しかし、2005年までに地震調査研究推進本部地震調査委員会で行われた活断層の全国調査や、2007年の北海道立地質研究所(現:北海道立総合研究機構地質研究所)、2009年の北海道立地質研究所・産業技術総合研究所が実施した調査結果によって、断層帯の活動については否定的な見解が出されている。

被害はほとんど無し

宗谷総合振興局によると、震度5弱の揺れを観測した豊富町内の住宅で敷地内の水道管が破裂したという情報が1件寄せられているということ以外は被害の報告はないようで、停電や断水も起こっていないようだ。
しかしながら、気象庁の会見で述べられたように特に今後2、3日は注意が必要で、また1週間程度は最大震度5弱程度の地震に注意すべきと中村氏も話しており、近隣住民の方々はしばらくの間は十分警戒していただきたい。

地元網走に帰ってきて5年半経ちました。元競馬専門紙編集部員。サッカーや野球、冬はカーリングなどスポーツ観戦が好き。もちろん、競馬も話題にしています。時事ネタや網走周辺の話題なども取り上げます。よろしければ、サポートもお願いいたします。