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昇級を争う戦いの行方は?

第77期順位戦C級1組11回戦は、今日午前10時より一斉対局がスタートしている。今期の昇級(枠は2人)の可能性があるのは、現在1敗の近藤誠也五段(今期順位6位)、杉本昌隆八段(7位)、船江恒平六段(14位)、藤井聡太七段(31位)、それに2敗の高崎一生六段(4位)の5人に絞られた。自力で突破ができるのは近藤五段と杉本八段。船江六段は勝って近藤or杉本が負けた場合、藤井は勝って上位3人のうち2人が敗れた場合にチャンスが回ってくる。高崎は自分が勝ったうえで1敗が3人以上負けると2敗で最上位となるため大逆転で昇級だ。

☗先手 近藤誠也五段 vs 後手 増田康宏六段

近藤誠也五段(22歳)は現在8勝1敗で(今日が11回戦だが、C級1組は1期で10局指す。参加人数が39人のため必ず1局手空きができる)、今期順位は6位と1敗の4人の中で一番高いため、自力での突破が可能。敗れても、ほかの対局の結果次第で昇級の場合がある。増田康宏六段(21歳)との対戦はこれまで3局あり、増田2勝、近藤1勝。順位戦では第75期順位戦C級2組で対戦して、千日手指し直しとなり、最後は近藤が勝利。結果、近藤は昇級、増田はその対局に勝っていれば昇級という重要な一戦を落としてしまった。増田は再び見送り人となるのか、それともストップをかけるのか。今期33位で5勝4敗で勝ち越している増田は、自身の順位を上げるためにも大切な一局だ。

☗先手 杉本昌隆八段 vs 後手 千葉幸生七段

杉本昌隆八段(50歳)は、現在8勝1敗で今期順位は7位。10回戦の前まで8連勝していたため、10回戦で船江恒平六段に勝てば昇級だったが、船江に敗れたため昇級は11回戦に持ち越しとなった。勝てば自力でB級2組へ昇級となる。敗れても、ほかの対局の結果次第では昇級の場合がある。千葉幸生七段(40歳)とは初対戦となる。弟子の藤井聡太七段との師弟揃っての同時昇級がなるかも注目が集まる。師弟同時昇級となれば1986年度の第45期B級2組で、故大内延介(のぶゆき)九段と弟子の塚田泰明九段(当時六段)が達成して以来32年ぶり2組目だ。また、平成以降C級に陥落してからB級に復帰した前例はなく、昇級を決めれば快挙だ。千葉七段は今期9位で5勝4敗。来期を優位に戦うにはもう少し順位を上げたいところで、当然負けられない戦いだ。

☗先手 金井恒太六段 vs 後手 船江恒平六段

船江恒平六段(31歳)は現在8勝1敗で今期順位は14位。昇級争いでは3番手で、自力での突破はない。自分が勝てば、近藤か杉本が負けた場合、昇級となる。金井恒太六段(32歳)との対戦は過去に3局あり、金井1勝、船江2勝(千日手が1回ある)。そのうち、順位戦での対戦は2局で、73期では船江が勝ち、76期では金井が勝っている。金井は今期13位で現在5勝4敗。船江は年齢が近く、順位もほぼ同じというライバル関係の相手で、来期の順位を良くするためにも、ここは負けたくないところだろう。

☗先手 都成竜馬五段 vs 後手 藤井聡太七段

藤井聡太七段(16歳)は、現在8勝1敗で今期順位は31位。10回戦の前まで8連勝しており、10回戦で近藤五段に勝てば昇級となるところだったが、1敗の近藤にストップをかけられ4番手に後退となった。自力での突破はなくなり、自身が勝ったうえで上位3人の1敗のうち2人負けないと昇級はない。師匠との同時昇級は、杉本と藤井が勝ち、近藤と船江が負けた場合のみだ。都成竜馬五段(29歳)との対戦成績は藤井の4勝0敗。順位戦では初顔合わせとなる。都成は5勝4敗で今期順位は32位。来期の順位を上げるためにも、そして苦手意識が生まれないようにするためにも、そろそろ藤井に1つ勝っておきたい。

☗先手 髙﨑一生六段 vs 後手 小林裕士七段

髙﨑一生(たかざき・いっせい)六段(32歳)は、現在7勝2敗だが今期順位が4位のため昇級の可能性を残している。自分が勝ち、なおかつ1敗が3人以上敗れると、2番手以内に浮上して逆転昇級となる。小林裕士七段(42歳)とは過去に71期と74期の順位戦で対戦し、2度とも小林が勝利を収めている。小林は今期の順位は10位だが、ここまで3勝6敗。負けると降級点がつく7人に入ってしまう恐れもあり、この対局は勝たなければならない。棋譜中継がないのが残念だが、熱い戦いとなるのは間違いなさそうだ。

東西で熱戦が夜まで続く

東京の将棋会館では近藤・増田戦、杉本・千葉戦が、関西将棋会館では金井・船江戦、都成・藤井戦、髙﨑・小林戦が行われている。持ち時間は各6時間(チェスクロック使用)。先後はあらかじめ決められている。
昇級争いばかりでなく、残留争いも熾烈で、降級点がつくのは7人。降級点2つでC級2組に降級となる。7人のうち4人は9連敗の日浦市郎八段(24位)、1勝8敗の堀口一史座七段(27位)、2勝7敗の富岡英作八段(35位)、福崎文吾九段(37位)で決まっている。富岡八段と福崎九段は降級点が2つめで降級が決定している。危ないのは2勝7敗の泉正樹八段(26位)、3勝6敗の6人。こちらの戦いも目が離せない。

地元網走に帰ってきて5年半経ちました。元競馬専門紙編集部員。サッカーや野球、冬はカーリングなどスポーツ観戦が好き。もちろん、競馬も話題にしています。時事ネタや網走周辺の話題なども取り上げます。よろしければ、サポートもお願いいたします。