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網走市新庁舎建設基本構想策定検討委員会が始動!

6月17日(月)午後4時から、網走市役所3階の会議室で網走市新庁舎建設基本構想策定検討委員会の第1回会合が開かれ、一般公開されるというので会場に行ってみた。
統一地方選挙の間は期日前投票所として使われていた会議室(参議院選挙でまた期日前投票所になる)だが、中を覗いてみるとこの日は大量の机が並べられ、10分前とあり、すでに多くの委員が着席していた。
市の職員の方に傍聴したい旨を伝えると、椅子が12脚用意された傍聴席に誘導された。傍聴者が住所、氏名を記入する紙には誰の名前もなく、私が第1号だった。委員名簿や資料などをいただき、着席。報道用の席には3人ほど記者が座っていた。

25人の委員からなる検討委員会

網走市新庁舎建設基本構想策定検討委員会は25人の委員からなり、このうち20人は市から要請された市内関係団体などの代表者で、農協・漁協の理事長、商工会議所会頭、文化連盟会長、網走信金理事長、網走バス代表取締役、観光協会専務理事など、錚々たる顔ぶれ。ほかに、市民への公募で5人の委員が選ばれた。女性の委員は公募の1人を含めてわずか3人なのはやや残念。
まず、各委員への委嘱状交付が行われた。

その後、水谷洋一市長の挨拶があり、さらに委員および事務局などの紹介があった。それから今日の議事に入った。

委員長には吉田穂積東農大生物産業学部長を互選

まず、水谷市長の進行で委員長互選に入った。選ばれたのは、網走市内にキャンパスがある東京農業大学の生物産業学部長である吉田穂積氏。専門分野は植物保護科学で、オホーツクキャンパスには1991年に大学の付属農場の教員として着任。網走暮らしは28年目になる。
副委員長には、吉田委員長の指名で網走商工会議所会頭の北村譲二氏が就任した。

網走市新庁舎建設基本構想策定の諮問

🏢新庁舎建設に至る経過
2011年3月に東日本大震災が発生し、その教訓を生かして2013年に耐震改修促進法が改正され、大規模施設の耐震診断・結果報告が義務化された。
網走市でも、2015〜16年度に市役所本庁舎、西庁舎、総合体育館、市民会館、消防本部庁舎の耐震診断が実施された。その結果、いずれの施設も耐震基準を満たしていないことが判明。
2017年度に耐震改修等についての概算費用を算出したところ、5施設合計で最少56.9億円〜最大73.9億円となった。
残耐用年数は今年4月1日時点で、本庁舎6年、西庁舎(元はNTTの建物だった)0年、総合体育館18年、市民会館9年、消防本部庁舎13年。各施設の残耐用年数、費用対効果等から、耐震改修は適当ではないと判断した。
昨年度に公共施設耐震化等対策室を設置し、耐震化対策の方向性を検討した。

①各施設の優先度
同時期に全施設に対応することは、財政的に困難。その結果、市庁舎の建て替えを最優先に考える。
②建設候補地
各種視点から複合的に検討し、金市館ビル跡地周辺敷地が好ましい。

🏢建設候補地は5ヵ所
建設候補地について、詳しく見ていこう。
地方自治法では、庁舎の場所について、「住民の利用に最も便利であるように、交通の事情、他の官公署との関係について適当な考慮を払わなければならない」と規定されている。
建設候補地として、次の5つが挙がった。カッコ内は敷地面積。

1.現本庁舎敷地 (約5,570㎡)
2.金市館ビル跡地周辺敷地 (約3,950㎡)
3.除雪センター敷地 (約16,400㎡)
4.市営住宅潮見団地整備余剰地 (約51,000㎡)
5.市営桂町球技場敷地 (約9,910㎡)

なお、3・3・3本通沿道周辺には適当な市有地がなく、土地取得に多額の費用を要すること、新庁舎建設に適した一団の更地がないことから、建設候補地から除外することとした。

比較検討項目は次の4項目。

A 関連計画と周辺環境
 関連計画の整合性や周辺環境への影響とまちづくりへの貢献について評価
B 利便性と交通体系
 他の公共施設等都市機能の集積や交通体系など市民の利便性について評価
C 防災拠点としての安全性と機能性
 災害発生時における関係機関との連携、浸水想定区域など安全性と機能性について評価
D 経済性と実現性
 
建設等に係る経費や事業の実現性・早期性などを評価

これをまとめると、次の表のようになった。

Aの「関連計画と周辺環境」では、市の中心部にあり商店街に人の流れを作れる意味でも金市館ビル跡地周辺敷地が◎の最高評価になった。次に中心部に近い現本庁舎敷地が◯、その他は△以下と評価された。
Bの「利便性と交通体系」は、警察署や税務署などに近い現本庁舎敷地と、バスターミナルや駅に近い金市館ビル跡地周辺敷地が◯評価に。
Cの「防災拠点としての安全性と機能性」は、高台にあり、かつ敷地面積がずば抜けて広い市営住宅潮見団地整備余剰地が◎評価。次に広く、やはり高台にある除雪センター敷地が◯。その他は浸水想定区域にあるなどで△という評価に。
Dの「経済性と実現性」では、◯以上は無し。現本庁舎敷地と金市館ビル跡地周辺敷地が△で、あとの3候補地は×とされた。

1.現本庁舎敷地

南6条東6丁目にある。取り壊してから建て直すとなると、その間の仮庁舎がなければならないが、仮庁舎のあてがない。少しずつ壊しながらとなれば、大型の重機の騒音で仕事に支障が出るし、駐車場が、使えなくなる。かといって夜間や休日に集中してやれば、騒音で周辺住民に迷惑がかかるし、壊すだけで1年半以上もかかる。したがって、現本庁舎敷地に建て直すのは難しいという結論になった。
なお、取り壊した跡地は公用車の駐車場にする案があるようだ。

2.金市館ビル跡地周辺敷地

南4条東1丁目。Aで◎評価になったように、100m以内に美術館、中央病院、農協、網走信金、北洋銀行があり、150m圏内に市民会館や北海道銀行がある。バスターミナルも近く、目の前にはapt4(南4条通り商店街)や福祉型住宅があるなど、都市基盤が集積した場所にある。市の総合計画や都市計画などとも整合性がとれている点も高評価につながった。
Cで△になったが、十分な浸水対策を行うことで災害対策機能を維持しつつ、津波が発生した時の住民や旅行者の避難機能を加える。敷地が狭いことでDも△になったが、ある程度高層化することで、避難機能としての価値も高まる。
また、すでに更地なのも、現在使用中で代替地を探さなければならない3〜5より優位だ。

なお、隣接した5条通りにある駐車場は商店街に貸しているもので、市の所有地であり、新庁舎建設後はここを訪問者用の駐車場にしたいようだ。

3.除雪センター敷地

潮見176-1にある。

4.市営住宅潮見団地整備余剰地

潮見6〜7丁目の辺り。写真は余剰地内にある潮見第1公園と潮見第3公園。第3公園が草ボーボーなのが気になる。ちなみに、第1公園にはポケモンのジムがあるが、第3公園はポケストップのみ。
3.と4.は高台地区にあるぶん、浸水や津波の被害に遭う可能性は低いが、市街地から離れているのが大きなマイナスで、3.はほかに除雪した雪をためることが可能な広い土地を新たに探さなければならないし、4.は余剰地とはいうものの、団地や一戸建てが建っていて住んでいる人がいるだけに現実性がない。

5.市営桂町球技場敷地

桂町4丁目40にある。かつては網走学園高校がグラウンドとして使用していたが、廃校後は市営の球技場になっている。病院が近くにある程度でバス路線も近くになく評価は総合的に低い。

🏢検討結果は
検討に大きく関わってくるのが国の財政支援だ。現在の網走市の財政状況をみると、市の借金となる起債残高は2002年の534億円をピークに減少し、今年度末には325億円になる見通し。さらに5年後には250億円まで減る見込みだが、公共施設の老朽化などの課題がある。
そこで、庁舎建設への国の財政的支援「市町村役場機能緊急保全事業」を活かしたい。これを活用すると、国から2割を支援してもらえる。ただ、この対象は「2020年までに実施設計に着手した事業」なのだ。つまり、時間的な制約がある。
新庁舎建設の事業費用を試算してみると、例えば現本庁舎と西庁舎の床面積は7,000㎡で、現時点での建築単価を70万円/㎡とすると、建築費用約50億円のうち、地方交付税措置額(市町村役場機能緊急保全事業)が約10億円となり、市の負担額は40億円に抑えられる。この差は大きい。経済性という点で、すでに更地で代替地の選定や交渉で時間がかかるようなことがない金市館ビル跡地周辺敷地が大きくリードした。

候補地は、比較検討項目の4つの視点、建設候補地別による評価、財源確保のための時間的制約を踏まえて検討した結果、中心市街地区である「金市館ビル跡地周辺敷地」を適地と判断し、諮問することとなった。

新庁舎建設までのスケジュール

新庁舎建設に係る検討にあたっては、市民の意見を十分に反映する必要があることから、適切な市民参加手法により、進めることとする。
この新庁舎建設基本構想策定検討委員会のほかにも、まちづくり住民懇話会や区長会議、宅配トークなどで進捗状況等について説明をするほか、規模や機能についての市民アンケート、基本構想へのパブリックコメント、学生によるワークショップを実施することにしている。
委員会は来年6月までの間に6回開催され、その間に基本構想の内容をさまざまな観点から検討する。場合によっては、開催回数が増える可能性もある。アンケートやワークショップは今年11月から来年1月の間を予定している。
6回の会議を経て来年7月上旬に答申し、8月中に基本構想を決定。9月の定例市議会で市役所の位置を定める条例の制定や基本設計・実施設計の補正予算を審議する運びだ。
その後の1年半の業務委託期間を経て、新庁舎建設は2022年度から始まる。完成は、翌2023年度を予定している。

第1回の会合はスムーズに進み、1時間程度で終了した。途中、お年寄りが2人傍聴に加わった程度で、傍聴席は最初のうちは私1人だった。せっかく市民に公開されているのだし、どういうことが話し合われているのか聴いてみてはいかがだろう。

委員の中には金市館ビル跡地周辺敷地の区画に商店街のビルなどが4棟残っているため、敷地として十分なのか疑問を示す人もいたので、もしかしたらスンナリとはいかない可能性もある。
第1回の間に意見を述べたのはその1人だけだったので他の委員の意見はわからず、もしかしたら他の候補地に拘る人もいるかもしれない。
ただ、隣の網走信用金庫本部くらいの高さのものを建てれば1階分の面積は少なくても問題なさそうに思える。市議会の定員はこの委員会よりも少ない16人だから、だだっ広い議場は必要ないし、なんとかなるのではとは思うが。
とにかく、市内のさまざまな団体や企業のトップが勢ぞろいしているのを間近に見られる滅多にない機会でもあり、お時間があれば足を運んでみていただきたい。完成すればまた何十年と使う建物であり、市民にはもっと関心を持っていただきたいと思う。第2回は、7月下旬の予定。開催日が決定すれば、市内無料配布の経済の伝書鳩などに記載されると思われるのでぜひチェックを。

地元網走に帰ってきて5年半経ちました。元競馬専門紙編集部員。サッカーや野球、冬はカーリングなどスポーツ観戦が好き。もちろん、競馬も話題にしています。時事ネタや網走周辺の話題なども取り上げます。よろしければ、サポートもお願いいたします。