春の髄に君がいた
第5話 2人の想い
夕方に差し掛かると、風が今までよりも冷たく感じた。
エリナが「ただいま」と帰って来ると、マナが「お帰り。エリナ」と返事を返した。
エリナが「はぁー、お腹がすいたよ」とがっかりした様子で椅子に座った。
マナが「今待っていて。ご飯作るから」と嬉しそうに笑顔で答えた。
アヤネが「ね?エリナってさ、ノブユキ君の事をどう想う?」とエリナに聞いた。
エリナは「え?どう想うって?まさか、好きとかそういう気持ちは無いよ」とあからさまに聞かれて驚いていた。
アヤネが「そうだよね?まぁ、私はノブユキ君の事を少し好きだなって思って居るけど、中々素直に、ノブユキ君に気持ちを打ち明けられないで居るからさ」とエリナに今の気持ちを伝えた。
エリナが「またね。ばいばい」と別れを告げた時、ズキズキと心が痛んだ。
エリナは「何で、あの時に素直にノブユキ君の事を好きだって言えなかったのだろう」とアヤネに対して素直に思って居た。
アヤネは「はー、明日が楽しみだな」とお風呂に浸かりながらも、明日の事を凄くワクワクした気持ちでのんびりしていた。
マナが「アヤネ?アヤネ起きなさい。何時だと思って居るの?」とアヤネを揺り起こした。
アヤネは「ん?もう朝何だ」と辺りを見回してボケッとしていた。
マナが「早くしないとエリナちゃんが外で待って居るわよ」と大きな声で報告をした。
アヤネが「うわ、やばい。もうこんな時間だ」と目覚まし時計を見ると9時を回っていた。
マナが「全くどうしようもない子ね?こんな時間までのんびりして寝て居ると、学校に遅れてしまうし、エリナちゃんにも迷惑をかけるってわからないのかしら」と嫌気がさしていた。
アヤネが「エリナ、ごめんね。迷惑を掛けちゃって・・・」とエリナに声を掛けると、エリナが「大丈夫。さぁ、行こう」と笑顔でアヤネに答えた。
ノブユキが「おはよう。アヤネ、エリナ」と挨拶をすると、アヤネが「先にエリナ、教室に行っていて」と声を掛けた。
エリナが「うん、分かった。先に行っているね」と手を振って、教室まで歩いて行った。
アヤネが「今日、時間あるかな?ノブユキ君に話があるの」とノブユキに話し掛けた。
ノブユキは「あぁ、うん。大丈夫だけど」と突然声を掛けられて動揺していた。
放課後、屋上でアヤネが「エリナのこと、どう想って居るの?」と声を掛けられて、ノブユキが「どうって言われても、皆友達だろう?」と驚いていた。
アヤネが「そうなのか。ノブユキ君は、私の事好き?私は、ノブユキ君の事を好きなんだけど、中々この気持ちを言いたくても言う機会が無かった」とノブユキに素直に今の気持ちを伝えた。
ノブユキは「あぁ、別に。僕は、アヤネちゃんもエリナちゃんもそんなに好きって程では無いけど、友達として大切な仲間として想って居るよ」と答えた。
アヤネは「そう。私はノブユキ君の事を好きなのに、それ程好きではないってことは、誰の事もそんなに想って居ないのね?悲しい」と涙を流して屋上を後にした。
それを聞いていたエリナは「じゃ、誰の事も好きじゃないのか?」とノブユキの事を見つめていた。
エリナは何故かホッとしている気持ちもある反面、好きという気持ちに焦りを感じていた。
ノブユキが「エリナ、そこに居るだろう?出て来いよ」とエリナに声を掛けた。
エリナは「何で、私が此処に居るのが分かったの?」とノブユキに聞いた。
ノブユキは「それは何となく僕は、エリナの事を好きだなって思って居たから」とエリナに今の気持ちを伝えた。
エリナが「だって、さっきそんなに好きって程でもないって言っていたじゃない?あれは?」と訊ねられて、ノブユキが「あぁ、あれは、アヤネを振るためのただの口実だよ。気にしないでくれ」とエリナに返事をした。
エリナは「ありがとう。これからは、エリナって呼んでね」とノブユキに返事を返した。
ノブユキが「分かったよ。エリナ」とエリナの名前を呼んで顔を真っ赤にしていた。
そして2人は、幸せに暮らした。
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