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「細かすぎる指示」が若者の自信を奪う ~ 指示の具体性が心理状況に及ぼす効果を測るRCT

青山学院大学 経営学部 服部ゼミ: 池田 百霞・塚本 結愛・松井 杏佳・松原 響佑

概要

近年「ブラック校則」と呼ばれる厳しすぎる校則が話題になっています。校則には、重要な規則だけでなく、特にルールづけする必要もない自明で細かすぎる指示(「本学生徒としての自覚を持ち..」など)も散見されます。このような「細かすぎる規則」が若者の内面に及ぼす影響を検証するために、本研究は、大学生の実験参加者 185名を、内容は同じであるが「指示(instruction)の細かさ」のみが異なる2種類のアンケートサイトにランダム割付けし、そこで「学力に対する自信」「将来に対する見込み」「友人関係」「反抗心」「自己開示の程度」「利他性」などを測る質問し比較することで、「細かすぎる指示」が心理状態に及ぼす短期的な影響を明らかにしました。

アンケートにおける「細かな指示」とは、「回答に際しての注意点の細かさ」を表しており、たとえば介入群(細かすぎる指示あり)では「他人と相談せずに、以下の質問に誠実に回答してください。」などの注意書きを何度も示すという処置を行いました。

分析結果として、細かすぎる指示によって ① 男性は将来の自らの収入予測を低く見積もる、つまり自信をなくす傾向があり、② 自身が兄弟構成において末っ子である人は、(友人関係との関係がよくないという意味での)居心地の悪さを感じるが、一人っ子は居心地の良さを感じる、③ 情緒不安定な人は、研究協力への意義に疑問を持つという効果が媒介することにより、反発心が増す傾向がある、ことが明らかになりました。

これらの結果は、細かすぎる校則が中高生の若者の心理にどのような影響を及ぼし得るのかを考える上で、重要な知見であると考えます。

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