日銀の金融政策決定会合(MPM)の基礎①

金融政策決定会合について簡単にメモをしておきます。金融政策決定会合とは、金融政策の概要を決めるオフィシャルなミーティングです。金融政策の具体的なオペレーションは金融市場局が実施していますが、それは決定会合のディレクティブに沿って実施されています。

決定会合は、かつて年間14回実施しました。もっとも、2014年に年間8回にすることになりました。これは私の理解では、14回が多すぎたことに加え(多くの経済指標もせいぜい月1回公表ですし)、FRBに合わせることなどが理由です。下記の日経の記事では、「多くの委員は、年8回の会合開催が『近年の主要中銀で主流となってきており、適切である』と指摘した」などとしていますが、詳細は下記などを参照してください。
日銀要旨、会合14回から8回への変更は全員一致 展リポの回数増も - 日本経済新聞 (nikkei.com)

日銀の決定会合は2日制をとっています。1日目は経済状況についての議論をしてます。2日目は実際の政策変更がなされるか、現状維持であるかについての投票がなされます。

日銀の決定会合の参加者は、総裁、副総裁、審議員が毎回参加して彼らが投票権を有しています。


これ以外にも政府関係者として、財務省と内閣府から参加者がいます。原則、大臣が出るとされているのですが、日銀法で代理を認めているため、近年は1日目は役所の幹部、2日目は副大臣が参加する傾向が多いのも特徴です。もっとも、2日目については、大臣が参加されることもあり、例えば、かつては竹中平蔵元大臣や西村康稔大臣などが参加していたケースもあります。

決定会合への参加者は日銀のスタッフも参加しています。詳細は議事要旨にすべて公表されています。下記をみると、理事に加え、金融政策に係る企画局や金融機構局、金融市場局などの局長に加え、企画局関係者などが出ていることが分かります。

決定会合は、下記で記載したとおり、投票が終わった後、速やかにリリースされます(日本の場合、どのタイミングでリリースされるかの時間が決まっていない点が特徴です)。基本的には12時ごろにリリースされることがほとんどです。ただ、12時を超えることもあります。その場合、市場参加者は勝手に議論が盛り上がっているなと妄想をすることになります。
日銀決定会合における退席時間と中断時間に関するメモ|服部孝洋(東京大学) (note.com)

アナウンスに時間がかかったという意味で、私にとって思い出深い会合は2014年10月のQQE2決定時ですね。みんなBloombergの画面で、日銀の会合の結果のヘッドラインを待っていましたが、13時半になってもアナウンスがありません。下記をみると、会合が13時39分に終わっており、公表は13時44分となりました。

「量的・質的金融緩和」の拡大(13時44分公表) (boj.or.jp)

なお、この続きは下記を参照ください。
日銀の金融政策決定会合(MPM)の基礎②:議事録から読むMPMの流れ|服部孝洋(東京大学) (note.com)

また、金融政策全般については下記の「日本国債入門」の9章を参照してください。QQE以降の細かい流れを整理しています。



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