本日(7/28)の日銀決定会合:1%の指値オペ実施と共通担保オペ

先ほど、日銀の決定会合の内容が発表されました。今回発表された部分について、下記の通り記載されており、

<今回の内容(2023/7/28)>

k230728a.pdf (boj.or.jp)

前回の書きぶりが下記の通りであるところ、10年金利1%で指値オペが打たれる、ということが明記されたことに加え、共通担保オペの実施が機動的になされるという記載が付された点が特徴です。これをみると、「長期金利の変動幅は『±0.5%程度』」は維持しているということなので(今回の発表では「±0.5%程度」はあくまで「目途」と追記されています)、長期金利に関する上限の明確な上昇と、現状維持の折衷策というイメージでしょうか。

<前回の内容(2023/6/16)>

k230616a.pdf (boj.or.jp)


このイメージは下記の通り記載されており、0.5%から1%の間はグラディエーションになっており、機動的なオペ(おそらく指値オペ+共通担保オペ)で対応するとしています。

イールドカーブ・コントロール(YCC)の運用の柔軟化 (boj.or.jp)

後場、指値オペが1%の水準でうたれたということですが、プレスリリースに記載された「10年物国債金利について1.0%の利回りで指値オペ」を実施という点と整合的です。

オファー (7月28日<金>) (boj.or.jp)


なお、共通担保オペについても明示された点も重要な特徴ですが、このオペがどのように金利上昇についての歯止めになるかは、以前の投稿でかなり丁寧に記載していたため、下記などを参照してください。昨年の12月末から1月の決定会合に向けていわゆるシグナルオペが議論され、制度変更もなされましたが、その詳細は下記より確認できます。

共通担保オペの拡充|服部孝洋(東京大学) (note.com)
2年物の共通担保オペについてのメモ|服部孝洋(Takahiro Hattori)|note
2013年の金利上昇時に実施された1年物の共通担保オペについて|服部孝洋(Takahiro Hattori)|note

現先オペとの違いについても下記の通り整理しています。
現先オペに関するメモ|服部孝洋(東京大学) (note.com)

共通担保オペは通常2週間のターム物で実施されており、ファンディングという観点については下記で説明しています。
レポの基礎⑧:円債における社債におけるレポ市場と共通担保オペ|服部孝洋(東京大学) (note.com)

あと、将来の自分への備忘録として記載しておきますが、今回の会合は、前日の深夜に日経からリーク記事が出て、朝からその議論が市場で盛り上がり、事実上、それが追認されるような結果になった、ということも大きな特徴です(数年後になったら忘れている人も多いので、この点も追記しておきます)。
日銀、YCC修正案を議論 長期金利上限0.5%超え容認案 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

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