財務省・日銀・金融庁の3者会合の役割とは:2024年3月の口先介入のメモ

本日(2024/3/27)、財務省・日銀・金融庁の3者会合が実施されました。本日の午前中には3者会合が神田財務官が3者会合を実施しないとした報道があったところ、18時頃には3者会合の報道がなされて、急遽実施することになったと想像されます。特に、今までの3者会合は、そうはいっても、だいたい1-3時間前くらいに報道がでていました。今日については、報道がでてすぐに会合が開かれたことからも、特に急遽だったと推測されます。

その一つの要因として、本日、急速に円安が進み、1990年以来の円安水準を付けたということもその背景にあるとおもいます。
円相場、一時151円97銭に下落 1990年以来の円安水準 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

報道によれば、下記の通りです。

円安の加速を受け、財務省と金融庁、日銀は27日夕、国際金融資本市場に関する緊急の情報交換会合(3者会合)を財務省内で開いた。同省の神田真人財務官は会合後、最近の円安について「(経済の)ファンダメンタルズ(基礎的条件)に沿ったものとは到底言えず、投機的な動きがあることは明らかだ」と記者団に表明。行き過ぎた変動には「あらゆる手段を排除せずに適切な対応を取っていく」と、為替介入を辞さない構えで投機的な円安を強くけん制した。

円安に「あらゆる手段」 介入辞さず―政府・日銀が緊急会合:時事ドットコム (jiji.com)

また、下記の記事では特に急遽であったことが記載されています。

政府、日銀が27日に実施した国際金融資本市場に関する情報交換会合(3者会合)は、当初想定の日程を前倒しした。事情に詳しい関係者が明らかにした。開催については「非常にいいタイミングだった」との指摘が市場で出ている。財務省は適切な時期を見極めるため、土壇場まで沈黙を保ち、急きょ開催を決断した。

27日の政府・日銀3者会合、前倒しで開催 急きょ決断=関係筋 | ロイター (reuters.com)

3者会合を行ったこと、また、そのメッセージの内容は、口先介入の水準としては最も強く、その次は準備段階であるレートチェックということになります。


そもそも3者会合とは
そもそも3者会合とは、ということですが、これについては意外に書籍で記載がない印象です。その点、元財務官であった浅川さんの書籍にはかなり細かく書いてあります。元財務官の記載という意味では、ある意味これが一番正確な記載だともいえます。

正式名称は、『国際金融資本市場にかかわる情報交換会合』といいます。定期的な情報交換に加え、マーケットが混乱したとき、市場に対してしっかりとしたメッセージを発するべきだという考えが背後にありました。したがって、会合を開き、必要があればその後にプレスの前で積極的に当局としてのメッセージを発信することとしました。従来、為替に対するメッセージは、財務大臣や財務官が個別に発出してきたのですが、それを3者に広げたということです。
(省略)
常日頃から、財務省が主として為替相場を見て、日銀が金利を見て、金融庁が株式市場を見るという役割分担がありますが、3つの市場は密接に関連しています。そこで市場変動の背景となる事象についてお互いに議論して認識を共有するというのは重要なのです。それに加えて相場が乱高下していれば、市場にメッセージを出していくことに積極的な意味があるということです(p.40)。

通貨・租税外交: 協調と攻防の真実 | 浅川 雅嗣, 清水 功哉 |本 | 通販 | Amazon

これ以外にも、3者会合の時間は40-60分くらいであること、財務省・日銀・金融庁から情報提供があり、その後、フリーディスカッション、必要に応じて市場にメッセージを出す、内容はノーコメント、など記載があります。浅川さん自体が3者会合を行った経験も記載があるので、下記の書籍のp39からp43あたりを参照してみてください。
通貨・租税外交: 協調と攻防の真実 | 浅川 雅嗣, 清水 功哉 |本 | 通販 | Amazon

なお、下記に記載したとおり、3者会合を実施したとしても、必ずしも為替介入が実施されるとは限らない点に注意が必要です。
為替介入の基礎②:口先介入(レートチェック、3者会合等)|服部孝洋(東京大学) (note.com)

本日は以上ですが、必要に応じてアップデイトします。口先介入が続いており、自分の備忘録として、口先タイミングのタイミングがわかるようにツイートしておくようにしています。ちなみに、口先介入の度合いについては、下記のようにBloombergでも整理されているため、こちらも参照してください。

22年の介入水準に迫る円安、高まる要人発言の注目度-為替介入ガイド - Bloomberg

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