利上げのタイミングと積み期の問題に関するメモ

現在、3月あるいは4月に利上げが織り込まれています。

今回のメモは、利上げを意思決定したとして、実際に利上げをするタイミングです。利上げをする場合、発表と共に即日利上げをする方法と、積み期を考慮して、積み期最終日を過ぎてから利上げをするという2つの方法があります。海外では前者が取られることもありますが、日本では後者が予測されています(前者が取られるのでは、という憶測もあるようです。これに伴い18日に打たれる共通担保オペも注目されているようです(即日であった場合、最後に0%でファンディングできるオペです))。

この点については報道でも日銀の関係者から積み期まで待ってから利上げしたほうが無難との意見が出ています(下記を参照)。

マイナス金利政策の実務に詳しい日銀関係者は「制度の複雑さを考えれば、解除も即日実施にこだわらず、導入時と同様に次の積み期間(原則毎月16日開始)まで待った方が無難」と見る。

マイナス金利解除、24年1月決定・2月実施が最短か - 日本経済新聞 (nikkei.com)

同記事では2016年1月末のマイナス金利導入も、積み期を考慮した経緯があると紹介してあります(積み期の開始日である16日から適用)。詳細は同記事を参照してください。

なお、準備預金の積み期と利上げについてはかつての日銀のレポートで下記のような解釈もなされています。

即ち、準備預金の積み期中に利上げが実施されるとすると、利上げ後の積 み期における準備預金積立ての機会費用(市場で運用したならば得られる利 益)は、引上げ後の無担O/Nコールレート誘導目標とほぼ等しくなる。これ に対して利上げ前においては、準備預金積立ての機会費用はそれよりも小さ い。この場合、準備預金制度適用先は、当該積み期の利上げ前の期間におい て、1日あたりの所要準備額よりも多くの準備預金を積立てる、すなわち積 立てを前倒しにすることが合理的となる。これにより、利上げ実施前に市場 での資金運用の希望が減り(調達の希望は増え)、無担O/Nコールレート等 の翌日物金利に上昇圧力が加わることになる。

ron0705a.pdf (boj.or.jp)

必要に応じて加筆・修正します。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?