日銀オペにおいて強い結果(流れる)とはどういうことか

簡単なメモを記載しておきます。日銀が国債を買う場合、オークションを実施しています。私の「日本国債入門」では、入札の評価についても説明があるのですが、「予測価格より高い価格(低い金利)で日銀が買った場合、入札結果は強い結果であり」(p.222)と記載しています。これがタイポでは、との指摘がありましたが、これは結論的に正しいです。

「予測価格より高い価格(低い金利)で日銀が買う」とは、オークションに参加する投資家の売り需要は弱いということを意味するから、「入札結果は弱い結果」と思われるかもしれません。ただ、入札が弱いか強いか(流れるかどうか)は、あくまで入札の結果がマーケットにどのような影響をあたえるかという観点で評価されます。すなわち、価格を上げる(=金利を下げる)かどうかが強いかどうかということが問題にされています。

日銀が予測より高い価格で買うということは、国債の価格へ上方方向(=金利は低下)という結果なので、債券価格が上がる「強い結果」という評価がなされるわけです。逆に入札が流れる(=弱い結果)というのは、予測価格より低い価格(高い金利)で買われて、債券が売られる、すなわち、金利上昇要因になるような状況です。

例えば、下記がオペの評価の事例ですが、応募倍率が低く(=売り需要が弱く)、「強めの結果」という評価がなされています。これもオペがマーケットに対する影響で評価しているから、こういう表現になるわけです。

中長期債対象の日銀オペ結果がいずれも倍率が低く、強めの結果と受け止めれられた。

〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続伸、長期金利0.705% 3週間ぶり低水準 | ロイター (reuters.com)

他にもいい例がないかとおもったのですが、すぐには見つからないので、良い事例があったら、後日追記しておきます。おそらく、オペについては入札に比べ、事前に予測値がはっきりしないので、その評価が記事などになりにくいのだとおもいます。

なお、入札結果がマーケットに与える影響という観点で評価する点は、国債の入札も同じです。入札が流れる結果(=弱い結果)というのは、予測に対して低い価格で決まり、金利上昇要因というわけですね。「オペの入札が流れる=金利の低いところまで落札される」、「発行の入札が流れる=金利の高いところまで落札される」ということです。

今回は簡単なメモですが、もし「日本国債入門」の第二版を出すことがあれば、p.222についてはもう少し丁寧に記載しようとおもいます。なお、日本国債入門では日銀のオペについてはおそらく一番丁寧に説明している書籍なので、ぜひ手に取って御覧いただければ幸いです。


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