財務省「ファイナンス」:預金保険法102条第三号措置(一時国有化)について―足利銀行の事例―

本日、「預金保険法102条第三号措置(一時国有化)について―足利銀行の事例―」というタイトルで論文をリリースしました。りそな銀行に公的資金を注入した事例は既に紹介しましたが、今回は足利銀行を国有化した事例になります。https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202308/202308f.pdf

りそなHDのケースとは異なり、足利銀行は債務超過に陥っていました。そのため、株価をゼロにして預金保険機構が買い取り、特別危機管理銀行として一時国有化する一方、リストラや資産売却等により債務を圧縮します。預金保険機構は一般勘定で資金援助した後、 その株式を民間金融機関に売却することで一時国有化 を終了しました。このスキームではりそなHDと異な り、株価がゼロになるという形で株主の責任が取られるとともに、公的資金が注入されていない点が大きな特徴といえましょう。

足利銀行の処理について、上記のように整理しましたが、りそは銀行の事例とは異なり、民間による出資もあり、足利銀行の事例は面白いとおもいます。今、野村ではこの案件をどう整理されているのかわかりませんが、リーマンブラザーズの経験もあり、野村は投資が下手な会社だという印象をもっています。

公的資金を注入した事例としては未だ返済が終わっていない新生銀行の事例があります。これについては最近、SBIにより非上場化されたという報道が出ています。これについても公的資金の返済が終わったら、どこかで整理しようとおもいます。りそな銀行と足利銀行の事例のように、今後、金融機関に破綻処理が必要ということになればかつての経験が重要になるはずです。

これでずっと説明してきた破綻処理の話は終わりで、来月からしばらく国債の話が続きます。

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