通貨暴落(危機)の定義に関するメモ

最近、為替が大きく変動していて、通貨の暴落という表現が使われることが少なくありません。有名な書籍として、ロゴフとラインハートの「国家は破綻する」では、「数値で定義できる危機」の中に、インフレ危機、通貨暴落、通貨の品位低下などを挙げています。


ロゴフとラインハートの書籍では、下記のように、ドルなどの基軸通貨に対して、通貨が年15%を超えて下落した場合を通貨暴落として定義しています(p.35)。

この書籍では、通貨危機について、Frankel and Rose(1996)による著名な研究の定義も紹介しています。Frankel and Rose(1996)の定義では、一定の条件を付けて年25%以上の下落を暴落として定義しています。原論文では下記のように記載しています。
Currency crashes in emerging markets: An empirical treatment - ScienceDirect

この研究についてはロゴフとラインハートは、「25%という数字は第二次世界大戦後については妥当だとしても(少なくとも深刻な通貨危機を定義するには適切だとしても)、それ以前の時代に適用するには高すぎる」(p.36)と指摘しています。下記がドル円の推移になりますが、どのような期間を見るかにもよりますが、ロゴフとラインハートの定義だと通貨危機のレベルだといえるということかもしれません。そうであれば、政府が為替介入を実施するというのは、(短期的以上に効果があるかどうかは別にして)ある意味で自然な対応という印象も持ちます。

これは自分自身へのメモであり、別の定義が見つかれば(思い出したら)随時アップデイトしていきます。もしほかに考慮すべき文献などがあればご指摘いただければ幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?