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DJI Air Unit , FrSky Scout VS600 Miniを使った業務用VTXの開局申請をやった話

コロナ禍によって何かスキルの引き出しを増やしたいなと、参入障壁がそれなりに高いFPVドローンをやることにしたんですが、ホントにいろいろめんどくさかったです。趣味としてFPVやるなら、4級アマチュア無線技士以上の資格を取るだけでOKなんですが、このまま業務として飛ばすとアウトなんです。資格があくまでも趣味用なので。業務で飛ばすには業務用の資格と機械が必要です。

一般的に売られているDJIなどが出しているドローンは映像伝送にも2.4GHzを使っているので免許はいりません

FrSky Scout VS600 Miniの新版が届きました。技適番号が変更になり、電波の形式並びに希望する周波数の範囲および空中線電力の項目や空中線形式が変更になっています。付属のマニュアルをご覧ください。(2022/07/20)

FrSky Scout VS600 Miniの免許が届きました。しかしこのVTXについてはメーカー公称の仕様が実際とは異なっていて、メーカーが技適の修正を行っています。気になる方は技適の修正が済むのを待たれた方がいいかと思います。(2021/06/22)

近くスクリーンショットを含んだ記入例にアップデートを行います。すでに購入された方はそのままアップデート版をご利用いただけます。(2021/05/31)

5.7GHz業務開局可能なVTX, FrSky Scout VS600 Miniが発売されました。本稿ではこれを入手し、開局申請を行う手順についても合わせてご紹介しています。機器が到着次第申請を行います。(2021/05/27)

本稿は開局申請に関する部分を有料記事としています。有料記事内の情報を拡充しました(2020/10/16)

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1号機。別項のBeta FCへAir Unitを搭載する記事を書くきっかけになったやつです。GoProを載せたいんですけど場所がないのでどうしたもんかと思ってます。

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制作中の2号機。撮影用のGoProも搭載してます。

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3号機AirUnitを簡単にとる外せるようにレイアウトを検証中。3インチ、屋外用。

アマとプロの線引き

アマ電波を使って利益を得るのであればそれは業務利用となり、厳密には違法です。

アマ電波を利用して撮影した動画をYouTubeにアップロードするのは趣味の範疇なので問題ないんですが、収益化しようとするならアウトになります。
よって、1円でも収入を得る可能性があるなら、業務免許で電波を飛ばす必要があるというわけです。

しかしながら著名なパイロットを除いて、どう見てもアマ機材で収益を得てるようなニュアンスの動画がチラホラ見受けられるわけですが、総務省が厳しく追求するなんて話も聞いたことないです。

個人だと適当運用でもなんとかなる事が多いかと思うのですが、法人となるとそうもいきません。電波法違反で検挙されたら、会社まるごと吹っ飛んでもおかしくないです。

無免許や違法な機材はしばしばバレてますから、線引きをきっちりしておくことに越したことはないです。

日本で使える業務用VTX

ドローンに搭載したカメラで撮影した映像を電波に乗せる装置をVTXと呼びます。アマチュア用のVTXはかなりの数あって、免許も比較的容易に受けることができます(技適じゃないけど大丈夫やでって保証してくれる機関がある)。反面、業務用VTXは日本で使えるものは数種しかありません

仕組み的にはアマ用もかわらないんですが、微妙に周波数帯が異なっていて、免許を受けようとするとかなりの苦労が想定されます。

業務利用が可能でかつ免許が容易に受けられるものといえば、技適を取得しているものがこれに当たります。僕の知る限り3機種しかありません。

DJI Air Unit + DJI Digital FPV Goggle

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ドローンの代名詞たるDJIが満を持して国内販売を開始したデジタルFPVユニット。ゴーグルをセットで使う。ホントは専用プロポも使うとなお良い。
デジタルの難点とされる遅延をある程度解消して、高画質な映像伝送が可能。かっこいいけどVTXにRXも搭載していたりするせいで重い。よって、ある程度の大きさ以上のドローンに搭載しなければならない。推奨は3インチプロペラ以上。

デジタル式なのでゴーグルもセットで買うので初期費用は9万弱。

FrSky Scout VS600Mini

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2021年5月に発売された出力300mWで帯域10MHz、8波使用可能というもう最高に強まったアナログVTX。弊社ではVTXの技適取得をやってたけど、この製品がでてプロジェクトを解散しました。それぐらいすごいです。

ボーダックHN10T

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遅延がほとんどないアナログVTXかつ重さが数gというマイクロドローンに搭載可能で技適取得済みの唯一の業務用VTX。出力が10mWしかないので、屋内のごく限られた空間で使うことを想定しているぽい。専用受信機を用意しなくても特定周波数ではアマチュア用FPVゴーグルで受信可能。

ネックは高すぎる(10万円)こと。壊したら泣いちゃう。

何個もポンポン買えないので1個買ってそれを数機種で使い回せるようにコネクタを工夫して運用するらしい。

ボーダックHN1000T

上記の1Wバージョン。超ロングレンジのFPV動画を撮影する用途でDJIゴーグルが国内で利用できなかった時の唯一の選択肢だった。

ネックは高すぎる(30万円)こと。

これ以外のVTXでも資料とかなんやかんやを取りそろえて個別に免許を受けるってことはできんことないと思いますし、実際に取得された例もあります。

今回は技適とコストの兼ね合いもあり、DJI Airunitとゴーグルを選択しました。

開局までのフロー

第三種陸上特殊無線技士の資格を取る

JUTMへ加盟する(賛助会員:会費3万円/年)

機材を購入。技適番号と製造番号をメモ。(開局までは通電しない方がいいので免許くるまでは眺めるだけにしよう)

開局申請を行い、必要に応じて補正する

申請料の支払い

免許状の受け取り。開局!

Air Unitを搭載した機体をセットアップする

気が遠くなるよね。

免許について

第三種陸上特殊無線技士の資格は割と簡単に取れます。国家試験は年2回だったかな?くらいしかやってないので、大人なら養成講座を受けましょう。eラーニングなのでパソコンやスマホで学習でき、1週間もあれば学習は完了、修了試験を受けて1ヶ月ほどで免許証が届きます。

JUTMについて

業務用VTXの利用にはJUTMへの加入が必須です。業務用VTXに解放された周波数帯のうち、利用できるのが4波ほど(狭い帯域なら波数は増えます)しかないんです。そのため、混信などを防ぐために事前に「どこそこでどの周波数でどの時間帯に電波を発射してます」と利用調整をする必要があるんです。
賛助会員でOKで会費は年3万円法人か個人事業主である必要があります。「ああ、天下り的なアレですよね」ということをおっしゃる方を度々見かけるんですが、タダでさえ狭い周波数帯でしか使えないような状態のところ、常時電波を発する運用もあるわけで運用調整は必須といえます。

個人さんが趣味として業務用VTXの免許を得るというのは、ポリシーとしてはアウトかと思います。アマチュア波で業務がアウトなのに、その逆はOKなんて事はありませんし、JUTMも個人の加入はできません。SNS上では個人でも免許を受けている方をチラホラ見かけますが、おそらく個人事業主として開業して、その屋号をもってJUTMへ加入しているのだと考えられます。

趣味で業務用電波を使うために開業するというのは僕はオススメしません。

審査が通ると証明書が送られてきます。年会費の請求書は忘れた頃に来ます。これ書いてる頃に届きました。

機材の準備

ドローンショップなどでDJI Airunitとゴーグルを買います。念のため技適番号がついているかどうか、確認しましょう。箱に技適マークがついてたら大丈夫ですし、お店によっては開局申請を代行してくれるところもあります(別途費用がかかるはずです)。個人輸入したやつとかは技適マークがない場合があります。
技適番号とシリアル番号をメモしておきます。

では開局申請書を作っていきます。

 開局申請

僕は電子申請を利用しました。マイナンバーカードがあれば可能です。記入で困りそうなポイントを解説していきます。

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