見出し画像

一次体験に勝るものなし〜発達珈琲がオンラインから飛び出した話

あれ、顔出し初めてかな?
インスタでは恥ずかしげもなく毎日自分の顔出しまくっているので
別にnoteでも構わないような気がするので続けます。
どうも、発達おじさんです。

今日は、奈良県奈良市にあるOIWAKE PARKというキャンプ場で
朝8時~11時に初めて発達珈琲の露天営業をしてきました。
今までお手伝いで雑貨販売のイベントの手伝いをしたり
焙煎教室をしたことなどはありましたが、
自分で仕入れて自分で焙煎したものを自分で販売するという
一連の流れを一人でやり切ったのは初めてでした。
結論を申し上げます。
これ以上にないくらい楽しく、幸せでした

1.初出店はOIWAKE PARKというのは入院中から決めていた。

noteで既にフォローいただいている方の多くは、
私がこの3月から4月にかけて精神病院に入院していた事は
ご存じだと思います。

入院直前には離婚も確定しており、
しかも退院してもこれまで家族で住んでいた家には帰ることが叶わず、
一旦実家に引っ越しをしなければならないという状況で、
これから一体どうやって人生を過ごしていいか考えた時に、
自分の余暇の原点であるコーヒーとキャンプは
離婚でいろんなものを失ったとしても私の中では失くしたくないもので、
OIWAKE PARKというキャンプ場は、
それまでソロキャンプしかしてこなかったボクに
初めて「キャンプ仲間」が出来た場所。
しかもキャンプ仲間の方々とボクをつないでくれたのがコーヒーでした。

そして、OIWAKE PARKが出来て間もない頃から、
キャンプ場の「『何もしない』をする」というコンセプトが大好きで、
毎月デイキャンプをしに行ったり、毎月開催されている「焚火を見る会」
という、予約も何もしなくて良い、手ぶら参加OK。
ただみんなで焚火を見るイベントに顔を出していました。
管理人の方が非常に気さくな方で、毎月のように顔を合わすようになると
まるで家族のように接して下さったのが本当に嬉しかったです。
ここの管理人さんもコーヒーが大好きで、
今もよくオンラインショップで発達珈琲の商品を購入くださいます。

物凄く暖かい人のつながりがあるOIWAKE PARKだからこそ、
復職前の再スタートの試金石という意味合いでも
初出店をしたかったという想いが強くありました。

先月のイベントで管理人さんにお会いした時に、胸の内を伝えると
「いや、もう高橋さんは初期のころからここを支えて下さっているので、
そういう事であれば是非やってください! むしろ、やりましょう!」と
事も無さげに快く背中を押してくださいました。

2.多分今までなら、胸の内を打ち明けなかった自分がいた

幼少期は悪い意味で(良く悪ふざけしてたので)目立っていたものの、
積極的に人前に出る事は、「失敗したら嫌だな」という想いが先に来て
尻込みをするタイプでした。
大学に入ってから、それなりに前には出れるようになったのですが、
やっぱり頭の中のどこかに「ミスをする」という考えが過ぎり
二の足を踏むことも何度もありました。

社会人になって、やっと「給料をもらっているんだから、
自分が嫌でも前に立つのが仕事ならやらないとな」くらいの
ミジンコに苔が生えた程度の考えは持てるようになったのですが、
仕事で無理をしているからこそ余計に「プライベートでは無難に」が
沁みついてしまったように感じます。
また特に父親が、私が人前に立つことを快く感じない人で
(というのも、余りにも突拍子もない事を突然言い出すから、という理由が父にはあったようです)
前に出る私を抑えるのがたいてい父親でした。
何も考えずに「やったらええやん」という割に応援する訳でもなく。

そんな背景の中で自己形成されていったので、
「プライベートで外で何かをしてくる」という事に対して
『別にそこまで目立たんでもええやん』とすら感じる自分がいました。
過去に写真を撮ることが趣味だった時期があり、
私が撮影した写真を気に入ってくださった方が
「この作品、絶対なんか応募した方が良いですよ!」と言って下さっても
「いや、自分なんかが出しても・・・」と言い出す始末。

はい、もう既に面倒くさい奴確定ですよね。
絶対友達自分から少なくしていくパターンです。
そして、まさにそれが過去の私でした。

時は流れて43歳で初めて障がい雇用枠で今の職場に入り、
それまで1年程度で入退職を繰り返していた私が
ようやっと継続して働けるようになり、
家庭も安定してきたか、という矢先の入院劇。

本当に「家庭を失う」って自分が想像していた以上にショックが大きくて
「家庭を失う=自分を失う」とすら感じていた日々もありました。
だからこその自殺未遂であり、入院だった訳なのですが
死ぬこそすらできず(というか死ぬ勇気すらなく)、
入院中にこれからの自分と向き合わなければならなくなった時に
ようやっと、本当に自分のやりたい事や今の自分にあるものが
見えたように感じました。
例えるならば、大洪水で大地が洗い流されても尚
まだ残っているものを探すような感覚です。

言うは容易く、受け止めるは難く。
大洪水に晒されて残っているものですから
原型を止めていなかったりするものも多いですよね。
1か月焙煎していないと、感覚を忘れるんですよね。
OIWAKE PARKで出店するぞ!と決意したものの、
久しぶりに焙煎したら思い通りにはならず
試行錯誤は繰り返しました。

3.試行錯誤の中、なぜ胸の内を打ち明けられたのか

きっと、今までなら試行錯誤を繰り返している時点で
「いや、今の自分には早いという事だろう」と
諦めていたと思います。
入院していた事はお客様にもお伝えしていたので、
しばらく注文もありませんでした。
本当に4月から5月は面白いぐらいピタッと注文が止まりました。

注文も入らない、焙煎は安定しない。
そんな状況でも何故管理人の方に胸を打ち明けられたか。
きっと「コーヒーでOIWAKE PARKに恩返しをしたい」と
入院中に決意したこの一心だったのだと思います。

実際OIWAKE PARKのイベントではコーヒー無料サービスを
やった事はあるのですが、
イベント内の顔を知っている方への振る舞いではなく、
キャンプを利用されている方にモーニング珈琲を販売する。
それを月に1度程度私がすることで、
「OIWAKE PARKで何かおもろいことやってる」と付加価値を付ける事こそ
一番意味があるという信念だけはちゃんとありました。
そしてこれこそが真の「OIWAKE PARKへの恩返し」になるだろうと
心の底から思ったからこそ、
「今は試行錯誤しているけれど、とにかくやってみよう。
 やってみない事には何も分からない」
と思えたのだと思います。

4.やってみてどうだったか

改善点や実際にやってみて難しく感じたことは山のようにあります。
アイテムの絞り込みミス(暑くなることを予測できたのにアイスコーヒーに
向くコーヒーを1種類しか用意していなかった)や、
事前の告知の方法などなど、挙げだせばキリがない。

でも、そんな事を遥かに上回る「やって良かった」がありました。
やっぱり私はコーヒーが大好きでした。コーヒーオタクでした。
そしてどんなコーヒーを提供することで目の前におられる方が
笑顔になるかを考えることが大好きだと分かりました。
そして、目の前の方に言葉だけではなく
実際に豆の香りの違いを感じていただいたりと、五感に訴えて
「お客様に選んでいただく」というプロセスに自分が立ち会う事が
本当に大好きなんだなと感じました。
そして相手の方の表情が柔らかく崩れた瞬間に一緒に喜べる
あの瞬間のために自分はあるのだな、と痛感しました。

自分に出来る事があり、
相手の方がよりコーヒーを楽しみ、
自分もそれを見て楽しめる。
まさに「発達珈琲の由来」そのものが
初出店にあったのです。

これは頭の中でシミュレーションをしてみたり、
他の人の話から想像を働かせるよりも、
その現場に自分がいて、尚且つその現場を自分で作り出したからこそ
味わえたものだと思いました。

失敗も喜びも悲しみも幸せも、
二次体験(他人の話から想像する)よりも
一次体験(自分で体験してみる)方が学びの質も量も
桁外れだと感じましたし、何より本当に楽しかったです。

マンデリンは好きだけれども、苦すぎるのがちょっと、と仰っていた
お客様に発達珈琲でのマンデリンの香りを嗅いで頂き、
比較の為に、同じ苦みの強いケニアの深煎りの香りを嗅いで頂き、
最終的にマンデリンを選ばれて飲まれた直後に
「あ、思ってたよりも苦くなくて、むしろ凄くコクがあって美味しい!」
って物凄く嬉しそうな顔をされて飲まれている
お客様の笑顔と自然に感謝してくださる言葉と、
私の心の中の安堵感とガッツポーズ。

これは、分かる方には文字だけでも伝わるかもしれませんが、
申し訳ございません。
今日のこのやり取りだけは、私の財産でございます(笑)。

正直、売り上げも自分が想定していた売り上げの倍ありました。
金額の大きい小さいでは無く、その金額そのものすら意味もなく、
お客様に期待していただいて、その期待に応える事が出来た。
その賜物こそが今日の売上だったんだな、と感じました。

最後に、今日一番嬉しかった出来事。
精神病院に入院中に一番親しくなって、いつも病棟内の散歩に
ご一緒していただいたりしていたりしていた方が、
私のインスタをチェックしてくださって、来てくださいました。
あの瞬間は本当にいろんな感情が一気に溢れ出て、
一見他の方への接客と同じようにしていたのですが、
溢れ出ていた感情を顔に出さないようにするのに必死でした。
本当に一番しんどい時期をお互いに知っていて、
早く退院したいのに少し先延ばしになりそう、とか
お互いヤキモキしていた事があったので、
そんな二人が出店を通じて再会出来たのが本当に嬉しかったです。
出店していなければ、恐らく再会する事は無かったと思います。
正直泣くのを我慢するのに必死でした。
お互い退院後に私は出店を叶え、相手の方は外出出来るようになり。
しかも差し入れまで持ってきてくださって。
今日一番「出店して良かった~!」と感じた瞬間でした。
きっと他にも出店をされる方も居ると思いますが
こんな背景でお客様と再会される方は、、、まぁ人それぞれか。

今日は管理人の方にもお会いできて、私の出店に刺激を受けたようで
「よし、うちでも出店する!」と張り切ってらっしゃいました。
私が持っている奈良市内のイベント情報を提供したら
物凄く乗り気でしたので、きっと出店される暁には
私が売り子をしていると思います(笑)。
それはそれでまた、一つOIWAKE PARKへの恩返しですから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?