コロナ対策ランニング術
<このNoteの要約>
※※※ 2020年末の追記 ※※※
この冬はもっとも危険。寒くて換気が悪く、乾燥でウイルスが飛ぶ。感染力の強い変異種の市中感染も報告されている。1年後にはワクチン投入されるだろうから、(効くと仮定した上で)、この冬が勝負。
11月NHKスペシャルに出演しての高山義浩医師のFb投稿は、「●●●すれば大丈夫」でも「●●●しないとダメ」でもなくて、「場面ごとに有効性を考えろ!」ということだ ↓
「●●●」とは、「マスク」とか「4人以内の会食」とか、具体的に色々言われてる対応だ。わかりやすくいわれると安心しがちだけど、真実がそんな単純なわけがない。理由からの理解が必要。
危険度が高い冬の密状況では、相応に対応度を上げるべきだ。
なお、ヒモをきつくして密着度を上げると、耳の裏が痛くなる。このセットと併用すれば解決します ↓ ↓ (写真の右側の、上が耳裏カバー、下のはヒモをひっぱって耳に触らせない)屋内のジムなどマスク着用ルールがある場合にも、呼吸を楽にする。フィット感などはまったく問題ない。
よくみる木綿マスクは、コロナ閑散期の夏場はともかく今は出番ではない。
まして「通気性のいいスポーツ用マウスカバー」… orz
こうして防御壁を高めた上で、距離や滞在時間にも注意する。それが
という大原則だ。
このような、「程度」を見極めるための確度の高い情報を、主にランニング時のマスク要否に絞って、当noteで整理している。まずは下記の要点だけお読みいただければ:
※※※ 要点まとめ ※※※
4/10頃から世界のランニング界が、
という論文でザワついた。海外では収まったのだが、情報の遅い島国では、著名アスリートや指導者、さらに大手メディアなどの報道が続いて、過剰な対策が残ってしまった。
7月追記1:日本臨床スポーツ医学会と日本臨床運動療法学会は7/6、屋外運動時のマスク着用「推奨しません」と共同声明を発表 。
など。当noteが言ってきたことを明確化してくれた形だ ↓
7月追記2:「人々を惑わせた新型コロナ禍でのジョギング なぜ、誤解が広がったのか」 〜〜 石井好二郎 同志社大学スポーツ健康科学部教授・同志社大学スポーツ医科学研究センター長
まさに広がった誤解。しかし、一度ひろがった誤解は、なかなか訂正されることがない。アクセルはあってもブレーキは効かないのがマスメディア社会だ。
医学的には、実際のウイルス感染には量が必要。そのための国の基準は「1m以内×15分以上」。しかし一部の研究は「飛沫と瞬間的な接触可能性があるか」だけしか見ておらず、後に否定された。が、残念な状況が長きにわたり続いている。このNoteで徹底解説しておこう。
ウイルス感染予防について考えるための大枠とは、以下3要素の総合:
防御壁=マスク性能であり、距離と時間がほどよくあれば、マスクは保険というか御守であり、また周囲への配慮、マナーとしての意味が大きい。
むしろ、感染防止力の低いマスク(虫除け等の名目で販売されている)であれば、着用している安心感から近い距離で会話し続けたりする等により、リスクを高める状況も想定できる。
そもそも医学的に、感染のためにはウイルス粒子数で100万個ほどが1つの目安。ツバの半滴でも十分で、咳や大声の会話一発KOがありうるが、外気中を浮遊して薄まり、しかも短時間の通過では、トータル量が少な過ぎる。逆にランニング程度で感染るなら、満員電車だけで東京人は何十万人と感染し、その2%=数千数万人の死者を出しているはずだ。
「接触感染」は、距離×時間×壁が全てゼロな状態。一発KOパターンではあるが、手洗い(+顔触らない)で防ぐことができる。スポーツでのクラスタ感染事例が幾つかあるのは、接触機会が多い上に、「大きな声」という要素が入るからだ。
ではランニングではどうか?と考えた時、
それぞれの視点がある。
A)自分の感染防止のためには、むしろ手を洗うことが大事で、マスクはほぼ非力だ。B)他人への感染リスクについては、普通に走っているだけならはほぼゼロに近いと考えられる(後述)。こうした医学的要因よりも、C)「周りからどう見られるか?」というマナー的要素が重要であるのが、非常事態宣言下の状況だといえる。
※4/29追記:ランニング学会は「外出自粛要請時のランニング愛好者の皆様へのお願い」で、ランニング時のマスクは「エチケット」の目的である、との声明を発表した。つまり「10m説」の否定。(5月以降のメディア報道は、この声明くらいは踏まえておくべきだ)
※5/15追記:気温が上昇する今、無理なランニングマスクは、逆に健康リスクも高まっている。中国では学校体育での少年の死亡例、20代男性ランナーの危険な気胸(肺の収縮=5/14武漢のニュース参照↓)など発生:
武漢の気胸症例は、運動習慣がなく走り始めたこともあり、気づくことのなかった症状が悪化した可能性もあるようだ。熱中症例も、在宅期間の極度の運動不足、急な気温上昇、など含めた複合要因と思われ、わからないことは多い。ただ過剰な安全策が新たなリスクを発生させ、デメリットが大きく上回ることがある。武漢中央病院は「運動中にマスクをしないように」との警告を発表した。シンガポールでは屋外マスク着用義務があるが、ランニングなど運動中には外していいとの例外規定を設けている。
※5/23追記:スポーツ庁も5/22(ようやく)、『安全に屋内・屋外で運動・スポーツをするポイントは?』で、
・運動中のマスクには危険あり
・ランニング中は、距離の確保が重要
・距離が近くなる状況では、エチケット目的で口を隠そう
と見解を修正。(図は上記スポーツ庁より)
結局このnoteで以前から言ってる内容に追いついてきた。結局、すいてる時間や場所を選んで走ればいい。
以上の通り、毎週のように世界の情報はアップデートされてゆく。しかし、5月後半でも、「10m距離での"感染リスク"を理由としての着用」を、日経(5/15)、NHK(5/10)など大手メディア報道や、著名人の発言は続く。世界の情報への感度が不足している。しかもこれら報道では、歩行者(同研究では5mあけるべき)、自転車(同20m)は無視して、ランナーだけが取り上げられており、基本的な論理思考力にも疑問をもたざるをえない。
さらに「運動しないリスク」は身体的にも精神的に大きい。総理会見でも厚生労働省も外で走る&歩くことを推奨しているのは、確かな理由があるのだ。
そもそも、絶対に正しく安心できるルールなど、この状況には存在しない。今できるのは、まず仕組みを理解すること。その上で、状況ごとに感染リスクを十分に減らす行動をすることだ。その自信がないのなら、最大限に警戒すればいい。ただし、その基準を他人に押し付けないことだ。
そんな自己判断の参考に、ランナーほかスポーツのために現実に必要な情報を、このnoteに整理してみた。(長いので、要点だけ先に紹介しておきました)
※ JTU(日本トライアスロン連合)メディカル委員会委員長、奈良教育大学教授の笠次良爾医師が ❝ リーズナブルで共感できます ❞ と紹介いただいています(4/14) ↓
※ 5月のスポーツ庁発表、7月の2学会の声明をもって、屋外のランニングについては最終回答としていいでしょう。
結論として、屋外ランニング時のマスクなら不要、それが科学的結論。
「はじめに」部分だけで長くなった😁以下は参考資料集的に使ってください。(全文1万字)
リスクの検討1. 「牛乳」と「72時間で消えるペンキ」
西浦おじさんクラスター班が、2月北海道の第一次流行期に見出し、3月東京で「夜の街クラスター」へと解像度を上げた大発見を、壇蜜さまが:
「こんな時ですから壇蜜の細やかなパロディで和んでくだされば」と所属事務所フィットも認めるこの一見は百聞に如く。
三密とはあくまでも単純化した標語。夜のお店や大学生の卒業コンパ的な状況には、空気を介した感染、直接の接触感染、全ての条件があり、感染確率が極めて高い。
後知恵だが、3密仮説が見いだされた直後なら、ここを徹底的に対策するだけでも結果は大きく変わっていたことだろう。香港台湾シンガポールあたりならそうしてた気もしなくもない。参考までに4/27の永江一石さんブログでは「風営法改正してのキャバクラ強制ロックダウン」を提唱される。
ともかく日本には日本の現実があり、効果の低い対策でも総ざらいに全面投入せざるをえなくなってしまった。
今や、日常的な会話1つ、ワンタッチの接触にも身構えたほうがいい。その感染のしかたは、ある医師が4/7に投稿されてた「コロナ感染から身を守る方法」が超わかりやすい。
咳など空気を介した感染では、水と油の混ざった「牛乳」だと思え。それが物に付着して乾いたら「72時間で消えてなくなるペンキ」だと思え。
牛乳は咳と一緒に粒で飛ぶことも、狭い範囲ではミスト(エアロゾル)になることもある。ペンキは接触感染を起こし、同じエレベーターのボタンを押しただけでペンキが手に付くこともあるが、手洗いを正しくできれば原理的に100%防御可能、その条件は、手洗い前に顔を触らないことだ。
リスクの検討2. 空気中の挙動
咳など空気を介して感染するケースについて、
<4.22追記>
京大のウイルス学者、宮沢孝幸先生が4/22に連続ツイート:
重要なアップデートがされており、まとめると:
※従来の説明では、「1滴(か半滴)のツバ=1万個のウイルス=100万の粒子、感染にはこれくらいの量が必要」との説明
新たに追加されたのは、肺の奥への、マスクでは防げないウイルスの侵入、という状況。初期から上がっていた仮説ではある(成毛眞さんだったかも書いてた記憶ある)が、情報が増えた今書かれてるから大事。
ランニングでは呼吸が激しくなるから、深く吸い込みやすく、タンデム=前後密着で走っていれば、リスクはある、という考えになる ↓
変わらないのは、0〜100まで幅があるとして、どこから先が危ないか?という程度の問題であって、「あるか/ないか」の二択ではない、ということ。絶対の安全策はなく、「距離×時間×壁の厚さ」の総合力だ。
では次に、どのような状況において、空気中を漂うウイルスが、肺の奥にまで移動するのか?という状況について考えてみる。
風邪のような「空気感染」はしないが、「エアロゾル」=超微細な霧状の粒子は、換気のない密閉状況では空気中に浮遊する。中国・武漢の実際の病院で行われた実験結果(4/12)によれば、「咳・くしゃみの飛沫」は数秒以内に地面に落下。「エアロゾル」は、主に患者の近くにとどまり、風下側は最大4メートルまでに集中、風上側では最大約2.4メートルの位置まで確認された(風の強さ不明)。ただし検出されたウイルスは少量で、実際には、どれだけの時間その場にいて、その間のウイルス累積量がどれだけか?による。
たとえば1−2時間その場にいて食べ続けるレストランは、残念ながら高リスクで、エアコンの気流による風上テーブルへの感染例も報告されている(吸気が運ぶから)
対面の食事でも、黙って15分-30分程度ならそれほど心配する必要はないのではないか?との宮沢先生の見解。よほど唾を飛ばす人でない限り(=酔っぱらい飛ばしがち)
厚生労働省が所管する国立感染症研究所は、濃厚接触者の定義を、従来の「2メートル以内を目安に会話などをしていた人」から「1メートル以内を目安に15分以上接触した人」に変更した。
ということはランニングなら、「10m以内ゾーンに15分以上いた場合」がイコールということになる。リスク距離が2mから1mへと半減しているわけだから「5m以内」でもいいかもしれない。
1m距離では水平に声が届きそうだけど、ランニングの場合、途中で落ちる効果もあるので、口にかかる分はかなり少ないのでは?
まとめると、
と考えればいいのではないかな? ウイルスは距離を移動して散らされると非力、ただし薄くても積み上がると感染力を持つ、ということだ。
リスクの検討3. 大きな声×近距離
一般に、ソーシャルディスタンス=2m、と言われてきた(4/22追記:1mに短縮)。世界最高の対策を見せている台湾では「公共の場では人と人との距離を室内で1メートル、屋外で1.5メートル以上空ける」ことが呼びかけられている。
僕思うに、「大きな声×それが届くだけの近距離」という基準がより正確。
たとえば、バスケB1のエベッサ大阪では選手登録15名で11名(+関係者1名)ものクラスター発生。外部食事会→練習、の流れらしい。バスケは接触があるし、顔どうしも1mくらいまで近づくだろう。愛知県警でも剣道エリート中心に22名。剣道は対面で大声を出し合うし、竹刀をぶつけた状態なら数十cmにも近づくだろう。大人の趣味でも、社交ダンスや合唱など、超接近や大声の状況下でクラスター感染している。
一方でランニングでは、参加人数が圧倒的に多いのにもかかわらず、感染事例は今のところみない。普通に考えて、これら全てのリスク状況が発生するシチュエーションが少ない。特に外を走る場合には「換気」が最高レベルにできているわけだから。
とはいえ、抜く/抜かれるタイミングでは、1m以内に近づくこともある。だから他人が咳などして、たまたま顔付近に飛沫がくる、ということもありえる。状況をみて総合判断してゆくしかない。
最初の情報に戻ると、飛沫の物理的特性として頭に入れておいて損はない。ということは、ウェアに飛沫が残ることもありうるし、これによる接触感染リスクもゼロではない。やっぱり手洗い大事。
<冒頭の研究の画像>
絵的なインパクト強烈。しかし中身は、「飛沫と物理的に接触する可能性」についての「流体力学シミュレーション」にすぎない。医学的な目線からは、「それ自体は正しいが、問題自体の重要度はほぼゼロに近い」ものだ。
だがこうした「一見、科学的な極論」は、一部だけ切り取って拡散されやすい。大手マスコミもここぞとばかりにストーリーを用意して、専門家のコメントを取って都合いいとこだけ抜き出してハメながら。不安+不透明感+疑念をアオって注目させるFUD (Fear, Uncertainty,Doubt) マーケティングの素材に好都合だ。
<汗は安全>
なお汗については、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)によると、ウイルスの伝染は汗では起こらない、と考えられている。病原菌に対する標準予防策でも汗は除外されている。ただ、汗が触れるような状況とは、それ以外の経路での感染リスクがあるわけで、まとめて避けるのが無難ではある。
対策1. 基本の考え方
そこで、
で防御するのが望ましい。これは同時に、相手に飛ばさない配慮ともなる。特に都会でのランニングでは、信号や密集など、距離が近いタイミングがあるから。
「少量のウイルスなら(ほぼ)安全」という基準を信じるならば、マスクは近々配布されるらしい布製アベノマスクでも、Buffとかのバンダナでも、構わないだろう。
佐谷秀行先生も言う通り、
も併せて行うといいだろう。これはスポーツ時に限らない。平常時での健康にも良い習慣となる。
ただ、負荷が上がっていくと、マスクも鼻呼吸も、キツくなっていくもの。人口密度の低いところなら、マスクなしでも安全。
以上、ランニングに限らず、多くのスポーツで共通すること。剣道だって、防具の中でサングラス+マスクでかなり防げたのではないかな?(そこまで状況がわからないけど)
この点、水泳は安全なんだけどな。ロッカーはトイレなど共用部の接触感染はありうるから、まあ今の状況では仕方ないんだけど。
対策2. スポーツ用マスク
僕は万能バンダナのBuff、大気汚染ブロックのResproマスク、と持っている。
この写真は数℃の風の強い冬。風よけにBuffを頭に被せている。さっと首に下ろすこともできる。口にかければ即席マスク的になる。メリノウールで肌触りがとても良くて、直接に締めつけてもストレスがない。透過性は強いので、リスク高い病院とかでは期待できないけど、スポーツ時の距離を取った上での予防的防御には十分だろう。
Resproマスクは10年前に自転車用に、記憶では3,000円台くらいで買ったのだけど、今みたら軒並み2万円前後になっていた。マスク高騰すごい。
スポーツ用途なら、Buff=バフでまあ十分だろうし、コスパも高い。首にまいておいて、人が多ければ上げて口にかける、という使い分けもできる。
Buffは山中伸弥教授も動画で推奨しています。ただいま売切続出のようで、安い化学繊維のなら割とあります(たぶん肌触りはメリノウールのBuffに劣るけど、短時間ならいいでしょう) ↓
対策3. 人が少ないところを走る
説明不要。(今までの長文解説はいったい・・・
政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」10のポイント(4/22)より
これもまた1つの見方に過ぎないのだけど、1人でなくても少人数でいい、すいていればいい、というのは、とても参考になるし、一部の過剰な反応への対応にもなる。
この見解が出た時点で、このNoteの役割も終わったかな。やれやれ。(と、4/22頃には思っていたのだが…)
対策4. よのなかの空気を読む…
冒頭の論文登場から2週間後の4/23、GLAYのTERUさんが、絶え間なく続く不安の名を永遠と呼ぶことができないように、40万フォロワーに向け:
伝言ゲームが起きている。情報がいろんな人を介する中で変異する過程はウイルスの変異的な。返信をみると、世間の少なくとも一部では、ランナーがそう見られてんだろうとわかる。サーファーとかもそうだろう。
僕の考え方では、過剰に怖がられている。でも現実そう感じている人が存在しているというのも事実。
ランニング学会は4/25、「外出自粛要請時のランニング愛好者の皆様へのお願い」7項目の中でマスクを推奨している。総合的対策の一環として、と読める。
マスクの存在はわかりやすいので
とシンプルになりやすい。一般人にひろがる中で、「マスクすれば走っていい」「マスクなしで走るな」という二択にならないことを祈りたいけど、たぶん難しい…。マスクとは「どんな場面で、どの程度、効果があるか?」といった、ここで書いてきたような話はややこしいし。
視点を拡げて、日本のシン・コロナ対策についていえば、合理性より感情重視で進んでいる面はあるかとは思う。1つには、国の法的権力が弱くて、「非常事態宣言」といってもその中身は「自粛」=つまり空気に頼るしかない。だからみんなでがんばって空気を作っていかないと、実効的な対策をしずらい。ランニングくらいはいいほうで、飲食店などはビジネスが死ぬ。
対策の成果が目立つ香港など、飲食店は一定の規制の上で営業を続けているようだ。このテーマはこれ以上触れないが、科学的な明確な線引きよりも、シンプルに空気感を作ることの方が重視され気味かな。
医療崩壊を法的強制力なく防ぐために、こうせざるをえないのが現実だと理解しておこう。
こんな他者配慮が必要ない疎な環境であれば、この問題はない(はず)だが。(4/26追記)
参考1. 「本当の専門家」の見解は?
単なるコンピューターのシミュレーションではなく、医学を理解する人はどう捉えているのか?
4/19NHKニュースで「都内の公園 緊急事態宣言後 人出増加の所も ビッグデータ分析」とのニュースがある。ここでコメントされる日本医師ジョガーズ連盟理事、東京理科大学(薬学)鈴木立紀准教授とは、「6日間マラソン」を複数走っているウルトラランナーだ。
記事後半、鈴木医師コメントまとめ:
なお「2人程度で走る」とは、現実のシチュエーションを想像してみると、横並びなどが多いと思われるし、この記事の通りに会話や接触に気をつける限り、感染リスクは極めて低いと考えられる。
その鈴木医師と一緒に6日間マラソンに出てもいる東大工学部卒のウルトラランナー&コーチ、小谷修平さんは元の論文について検証しながら、海外大手メディア『RUNNER’S WORLD』も紹介しているので、ご参考に。
参考2. 「健康維持のために必要な運動」とは?
鈴木医師の結論も、「人それぞれのペースで体を動かせるジョギングは、運動不足に適しているので、注意点を意識しながらジョギングをしてもらえれば」で、これは総理会見も厚労省も同じだ。
では、「健康維持のために必要なレベルでのスポーツ」とはどんな程度なのか? なんとなく、緩いほうがいいみたいな空気があるようだ。
まず確認しておくと、「散歩やジョギング」と偉い人から言われた時に、「ジョグ=ゆっくり走ること」と解釈する人がいるけど、そーとーなランニングマニアに限った話。世間では「ジョギング=走ること」という意味。
次に、体の免疫系の基本は、「運動量が多すぎても少なすぎても良くない」(Jカーブ効果)。これは人それぞれの普段の運動レベル次第だ。フルマラソンを走った後の1−2週間とかね。僕自身の実体験としても、高負荷トレーニングを2−3週間連続するような状況では、微熱などの微妙な不調が急にきやすい感覚があり、手洗いなどに注意する必要がある。
では、どの程度か?というと、人それぞれとしかいいようがない。たとえばコロ籠もり中の運動に関するガイドライン記事(Gigazine 4/11)
・強度は軽度から中程度(20分~45分程度)に限り、回数は週に3回まで。
・隔離期間中は筋力と体力の増強ではなく「維持」に努める
・よく食べて寝て、免疫力を高める。
・「過ぎたるは及ばざるがごとし」と楽観的な気分を維持する。
など推奨される。
あと、「最大心拍数70〜85%のランニング、HIITのような高強度インターバルは特に不安や鬱に効果的」という話もある。高強度メリットはこの状況でも有効なのだ ↓
参考3. 「自粛」と「萎縮」
世の中的には、走る、という行為への批判的な目も目立つ。メンタル的な防御法も備えておいたほうがいい。
海外では外出は買い物だけ、時間制限など、法的規制も多い(本来のハードなロックダウン)。日本は外出禁止ではないけど、自粛、というみんなの空気圧で抑制している(日本的エア・ロックダウン)。
「自粛」とは自発的な、自己責任での行動をいう。まあ今の状況では、周囲の反応も考慮し、自発的な「自己検閲」を行うのも1つの判断だ。でも「萎縮」までする必要はない(On駒田社長ツイート参照)。自分は何を意図してそうしているのか、誰を意識しているのか、明確にした方がいい。
自分が我慢している時に、他人が楽しそうにしているのを見ると、「自分が正しい、楽しそうな他人は悪」、と思考をショートカットしがちなものだ。
・・・
屋外運動には自他ともにリスクがあるけど、リスク評価としては「発生確率小×ダメージ大」なもの。長期間の不活動によるリスクとは「発生確率=ほぼ確実」だ。
そして今、大切なのは「医療崩壊を防ぐ」「長期戦を乗り越える」「大切な人の命を守る」こと。この三者トータルで最小限にする。なかでも大事なのは、医療体制をシン・コロナ対応させること。その後も長い取り組みとなるだろう。
この正解のない状況で、「見通し」とは予言ではない。当たるかどうかではなく、「その時点での仮の判断」であり、この先の行動のための基準だ。見通しながら進もう。
(↑これは安い!まあ100均とかワークマンとかにもありそうだ)
・・・
Note「スポーツ記事まとめ」掲載4/19(6つめ)、「先週最も多く読まれた記事の1つ」認定4/27、Google「コロナ ランニング」検索3,000万超での4位(4/27時点)、「先月もっとも多く読まれた記事の1つ」(5/2)とまあまあ読んでいただいており、国民的な流れの中では無力でありつつ、"比較的正しめな情報"の伝達に微力ながら寄与できているかな?とは思う「自粛の10日間」初日です。(更新重ねてたら8,000字を超えてしまった…)
産経新聞4/25記事でも、"「(呼吸などで)飛沫(ひまつ)が約2メートル移動する可能性がある」として、前後に並んで走ることの危険性を指摘する研究結果もある" との記述は、本来は10mと書かれるべきところを、あえて修正してくれていると思う。
たぶんGW明け頃からは、政府も、再開のガイドラインを明確化してゆくことになるだろう。この文章の役割は果たしたかな。(5/2追記、たぶん最後の追記)
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