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歳を取るほど強くさせる「スポーツの知力勝負化」について

今、スポーツ界のトップレベルでは、扱う情報量が増えて、知的能力の比率が上昇していると思う。この変化もベテランを活躍させている。1つ前に書いた "『アスリートは歳を取るほど強くなる』 - 37歳から強くなった僕の経験的書評" ではこの点を見落としてた。

2020年最初のnoteは、こんな視点から、アスリートの知性について書く。

スポーツの情報化

「フィールドで一番速いのは身体ではない」とは、『アスリートは歳を取るほど強くなる: パフォーマンスのピークに関する最新科学』8章の(意味不明な)キャッチコピー。試合を決めるのは身体のスピードよりも判断の速さですよと言いたいのだけど意味不明でキャッチになってない、、けど良いことがいっぱい書いてある章だ。ベテランならではの目標設定(p244)など、僕らアマチュアアスリートにこそ活用できる。

その1つが、情報量の増大。

「かつてはパンフレット程度だったプレイブックは、物理学の教科書ほどのサイズにふくれあがった」 p280

とはアメフトの例(英語の大学の教科書は日本語のがマクドのコーラMサイズならスーパーサイズくらい)。バレーボールとかでも試合中にタブレットのデータをもとに、わずかなタイムアウトの時間中にいろいろ言っていて、あれを理解し即実践するのは高難度そうだ。(ついでに書いておくと、ゲーム中のコミュニケーションとは量的にも希少な武器であって、どれだけ有効に機能しているのかは、真剣に考えたほうがいいと思う)

つまり練習から、こうした情報処理的な要素もトレーニングしているはず。断片的で不完全な情報を与えられて、的確に対応する、知的要素の重要度が上がっているわけだ。

この状況は全体にベテラン有利。新しい情報を大量に与えられた時に、若者は体力と集中力で一気に覚える能力が高いだろう。でも平均的にベテランほど、経験の中から、「ああ、これはあの時のあんな感じの、アレンジね」と一般化・概念化することで、より少ない負荷で習得しやすいだろう。

レース形式の個人競技の場合

この本では、主にゲーム=対戦形式の競技について説明されているけど、ランニングなどレース形式の個人競技でも、脳レベルで決するものは多い。

レース系競技とは、自分自身の身体をレーシングマシンとして最高に高めること。その一番の妨げになるのが故障。その予防は、まず脳で行うものだから。

故障が起きる直接の瞬間では

・7/100秒=無理な荷重から、捻挫や筋損傷が起きるまで

・8/100秒=人の反射時間(フライング検知マシンの根拠)

という時間差がある(同じく8章)。これだけでいえば、外傷を防ぐことは無理。でも、その状況を避けるような判断ができれば別だ。全体に、

1.休養・栄養・ケア:心身が過労状態に陥ることを防ぐ

2.感覚:トレーニング中のギリギリなゾーンでの身体センサーの感度

3.状況判断:リスクの高い具体的場面を回避する

といった総合力により、故障を防ぐことができる。

1つめはは、知識がなくとも、資金力あるチームならチーム側が用意してくれるだろう(箱根駅伝の有力校など)。でも自学して実行すれば対等だ。

2つめの限界域への感覚は、若くても才能あるアスリートなら自然と身に着けているものだけど、年を取ってから学習することもできる。

3つめは、僕が自転車&トライアスロン開始時に集中的にやったことの1つは、ブログ検索で失敗事例を多数読むこと。今ならTwitter検索も多用する。僕は失敗事例、事故事例などをSNSでシェアすることが多いほうだと思うけど、その動機はこれだ。

以上、使える武器が増えるほど、競技の複雑性は大きくなり、その処理判断をする知的要素が大きくなってゆく。それがベテラン優位化の1つの背景。

まとめると

・スポーツ分野の情報量が増大し

・その活用度で、身体パフォーマンスにも差がつく時代に

・単純な身体能力差(=若さを含む)の比重が低下して

・「頭脳勝負できるベテラン」の活躍余地が高まっている

のだと思う。

若者のチャンス

こうしたメンタルや情報処理能力は、これからキャリアを拓こうとする若者にとってこそ重要。ベテランは経験の中から自ずと知力を高めてゆけるけれど、経験が浅いほど学習態度で大きく差がつくから。

だったら若者は、こうした要素をはじめから活用していけばいい。今や「勉強かスポーツか」という時代ではない。両方必須。ここでいう「勉強」とは学力テストの成績とは一切関係なく、競技についての幅広い勉強を指す。その能力を高めるための基礎的なトレーニングとして、学生さんなら学校の勉強をすればいい。「頭のクロス・トレーニング」だ。

昨夏に書いた "(仮説) YoutubeとTVゲームで育つ時代の「アスリートの知性」" では、似たテーマを、Eスポーツ寄りの視点で捉えたもの。視点は違うけど、大きな共通の変化が起きていると思う。変化は若いほどチャンスになる。

僕の変化:タブレットは2つめの画面が手軽にできて良き



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