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小室訪問記 11月後半~12月「松葉蟹・生子蟹・天然真鴨」

「旬の食材」とよく言いますが、ここ神楽坂「懐石 小室」でいただく毎月の料理は、これまで体験したことのないような、食材の持つ味わいを最大限に引き出した、本物の味。旬食材の底力を感じさせてくれる、そんな料理店です。

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11月後半~12月の旬食材「松葉蟹・生子蟹・真鴨」

11月後半から12月にかけてにいただく食材は、「松葉蟹」「生子蟹」「天然真鴨」という豪華ラインナップ。蟹と鴨を一度に味わえるなんて、この上なき贅沢…!

ちなみに、「生子蟹」は獲れる場所によって名前が違うって、知っていましたか? 今回頂いたのは兵庫県の香住港で獲れた「生子蟹」、金沢近辺では同じ蟹のことを「香箱蟹」と呼ぶそうです。

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おまかせコースのスタート

おまかせコースの1品目は、「蓮蒸し」です。すりおろした蓮根の中に、鰆の漬け焼きやキクラゲに銀杏、海老などたっぷりの具材を詰め込んでお団子のように固め、上から餡をかけた一品。ねっとりもっちりの蓮根の中から、色々な具が宝探しのように出てきて、ワクワクしますね。

添えてある山葵を絡めて、味の変化も楽しんで。

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「生子蟹」

11月前半にも味わった旬食材、「生子蟹」。この日頂いたのは、約7年ものの生子蟹です。

ぎっしりと詰まった身は、ふっくらとしていて、味が本当に濃い。是非、何もつけずに蟹そのものの味を楽しんでいただきたい。もちろん、内子に外子、蟹味噌も輝いています…!

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20年近くの付き合いがあるという蟹屋さんが目利きをし、直送されてくる新鮮な蟹。これを食べられるところは、東京ではなかなかないのではないでしょうか? 

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秋の終わりを目でも感じさせるような、落ち葉の器。色とりどりの料理が美しく盛り付けられています。そう、器の美しさを楽しむことも、ここ小室の楽しみ方のひとつなんです。

牡蠣のオイル漬けに天然のしめじ、子持ち鮎の煮びたし、むかご、唐墨を散らした甘鯛の松笠揚げ、紫蘇の葉の天ぷらなど、ひとつひとつが細部まで手間暇かけて丁寧に作られています。

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美しいお椀が目の前に現れると、その存在感に驚きます。

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そんなお椀の中には、銀杏のすり流しと松葉蟹の真丈。銀杏のでんぷんだけでつけたとろみが、体の芯から温めてくれます。真丈には蟹の身がたっぷり入っていて、まるで蟹そのものを食べているかのよう…!

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手のひらサイズの小さな器で提供された熱々の逸品。見た目はグラタンのようですが、中身は「鮑と白子のこのわた焼き」です。

コリコリっとした鮑にこのわたの絶妙な塩味が組み合わさって、最高の酒の肴に仕上がっています…!日本酒が苦手な人でもお酒が飲みたくなってしまうほど。

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プチッとはじけてクリーミーな白子も隠れていました。

「おいしいものとおいしいものを組み合わせたら、さらにおいしいに決まってるでしょう。」と小室さん。仰る通り、至高のおいしさでした…!

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美しく薄造りにされたヒラメのお刺身。ぷりっと弾力があり、淡泊ながらも繊細な旨味。ちり酢やかげん醤油を合わせて味わいます。

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「焼き蟹」

小室さんの合図と共に七輪と炭が準備され、冬の味覚の王者「松葉蟹」に火が入れられていきます。出来上がりをカウンターから眺めながら待つ時間さえ、尊い…。

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まるで紅葉のように真っ赤になった松葉蟹の足。足の部分は、焼くことで甘さが増して、より美味しくなるのだとか。

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火を入れ過ぎず、生過ぎもしない絶妙な半生状態が、まさにプロの技。身の繊維のシャキシャキ感とジューシーなみずみずしさ、プリッとした弾力がもう最高です。

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蟹の爪の部分は獲物を捕るために使われるので、足の部分よりも筋肉質でより弾力のある歯ごたえを感じます。噛めば噛むほどに蟹の旨味がじんわり広るんです。

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「蟹味噌」

蟹の身を味わった後は、もちろん「蟹味噌」も忘れずに。丁寧に火を通して水分を飛ばし、とろとろの状態に仕上げます。蟹の全旨味が凝縮されています…。

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「甲羅酒」

さらに、蟹味噌にお酒を加えて「甲羅酒」の完成。松葉蟹を隅々まで余すことなく堪能します。これまでの蟹の全旨味がぎゅっと凝縮されて、体の中からポカポカに。この味わいは、飲んだ人しかわからない…。

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蟹を思いっきり堪能したことろで、もう1つの旬食材「真鴨」の登場です。蟹には日本酒を合わせましたが、やはり鴨には赤ワインでしょうか。

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「鴨焼き(塩・タレ)」

鴨は、冬の寒さ備えて脂を蓄えるこの季節が一番美味しいのだとか。蟹同様に、炭火で1枚ずつ丁寧に焼き上げていきます。すると、想像以上に店内はもくもくに…!

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完成した鴨焼き、部位は「だき身」で胸の部分。

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まずは塩でいただきます。さっぱりと、お肉そのものの旨味をガツンと感じます。ぷっくりジューシーに炭火で焼かれた香ばしさが心地いい。添えてあるワサビもお好みで。

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続いて、タレ。醤油、みりん、お酒というシンプルな調味料で作られています。肉質が柔らかく、脂はしっかり存在感がありながらも重くない。噛めば噛むほどに旨味がじゅわ~っと広がります。

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「鴨鍋」

鴨と言えば、鴨鍋も欠かせません。

お椀の中には、そばがきと鴨の肉団子、そしてネギを添えて。そばがきは、目の前でそば粉をぐるぐると高速で混ぜて仕上げる様子も迫力満点。

鴨の肉団子はお肉のつぶつぶ食感が程よく残り、優しい塩味の仕上がり。からだの芯から温まる、寒い日にほっとする味わいです。

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季節のフルーツは、ブランデーを着せた柿、ラフランス、そしてキンカン。天然のはちみつを合わせて、アールグレイの紅茶のゼリーと一緒に味わいます。

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お菓子は、「冬ごもり」。常磐大黒のお豆と栗でつくった蜜煮のペーストをもちもちの皮で包み込んでいます。

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コースの最初から最後まで止まらない会話、笑い声。本当に美味しい料理って、「これ、美味しい!」って自然と言葉が溢れてきちゃうんですよね。もう少しで2020年も終わり。大切な人と美味しい時間を過ごしながら、振り返ってみませんか?

今回も、食の発見や人との出会いの一期一会を叶えてくれた「小室」に感謝。是非、みなさんもぜひ味わってみてください。

このマガジンでは毎月「懐石 小室」で味わえる四季折々の素材や料理をご紹介していきます。来年1月もお楽しみに!

懐石 小室

〒162-0827 新宿区若宮町35-4
Tel (03)3235-3332
[営業時間] 12:00~13:00 18:00~20:00
[定 休 日]日曜日・祝日
https://kaiseki-komuro.jp/


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