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小室訪問記 5月の食材「鯉・鮎・山菜」

気がつけばもう、夏目前。カラっと晴れた日もあればジメジメと湿気のある日が続いたり、暑い夏が待ち遠しいですね。

そんな初夏を感じる今しか食べられない旬食材を、今回も「懐石 小室」で味わっていきましょう。

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5月の旬食材「鯉・鮎・山菜」

今回味わう旬食材は、「鯉・鮎・山菜」。鮎や山菜と言えば、この時期に楽しみになる食材ですよね。一方で観賞用のイメージが強かった鮎、初体験させていただきました! 鯉の旬は一般的には冬と言われているのですが、この時期でもさっぱりと美味しく味わえるんだそうです。5月はこいのぼりの季節でもありますしね。早速、味わっていきましょう。

先附「鮑酒蒸しと加茂茄子焼き浸し」

先附は、かつお節がたっぷりかかった一皿。まず、このかつお節だけでも味が濃くて歯ごたえがあって、お酒のアテにぴったり! いつものかつお節って、気を付けていないとひらひら~って舞ってしまうのに、このかつお節はどっしりと鎮座している感じで存在感抜群。

かつお節の下には、生うにと鮑、加茂茄子。茄子は口に入れた瞬間に土佐醤油の香ばしさが広がり、ねっとり濃厚な雲丹と一緒に味わうと不思議なマリアージュ。

細かく切れ目を入れた鮑は切れ目から味がしっかり染み込んで、しっとり柔らかいんです。おいしい鮑って、火入れしても小さく縮まらないんですって!

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前菜盛り合わせ

今の季節にぴったりの「兜」のお皿に盛られた前菜盛り合わせは、なんと10種類以上のラインナップ。毎月この前菜が私の楽しみのひとつ。

姫バチ子は、天ぷらにすることでホクホクの食感に。焼いても美味しいですが、天ぷらも絶品。

天然の琵琶湖の鮎や平貝このわた焼、障泥烏賊ごま塩焼き、鯛卯の花和えに子持ちしゃこ黄身酢などの魚介類に、シャキっとジューシーなヤングコーン付け焼き、小茄子田楽、こごみ海老香揚げなど盛りだくさん! これだけで満腹になってしまいそうですが、まだまだお料理は序盤です。

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笹の葉の中には鮭温燻製粽寿し。笹の葉の香りと燻製の香りが広がる、ねっとり深みのある味わいです。

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三重能登産 鳥貝 しお酢立

まな板の上で小室さんが“ペチン”と叩くと、むくっと起き上がる鳥貝。まるで眠りから目覚めたかのよう。お皿には、養殖と天然の2つの鳥貝が並びますが、どちらかわかりますか? 左側の小さいほうが天然の鳥貝。小さいけれど旨みが強く、歯ごたえも感じました。(もちろん、どちらも美味しいのですが!)

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椀「鯉骨切り 揚げ煮 澄し仕立」

鯉料理の1品目は、揚げ煮です。真っ白な鯉の身はふわふわで臭みもまったく無いことに驚き。蕗や花柚子が彩りと香りをプラスし、さらにまぼろしの珍味と言われる“松露”は歯切れ良い食感と独特の味わい。

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造り「穴子あぶり・鯉洗い」

シャリシャリっと穴子の骨切の音が聞こえてきたと思ったら、それを炭でさっと炙る。塩とすだちで仕上げる「穴子あぶり」です。

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ぷりっと弾力があって、噛めば噛むほどに旨みが押し寄せてくる…! シンプルだからこその素材のおいしさ。それを調理する小室さんの技もさすがの一言。

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鯉料理の定番「鯉洗い」。プリッと引き締まった身、コリコリとした食感がたまりません。添えてある薬味と一緒に酢味噌でいただくと、薬味にも酢味噌にも負けない鯉の強い旨みに感動…!

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焼「鯉山椒焼の捏芋(つくねいも)掛け」

続く鯉料理は「山椒焼き」。山芋の一種で、中でも最も粘りが強いと言われている「捏芋(つくねいも)」。鯉の上にねっとりふわふわの捏芋がたっぷり! 鯉の身もほろっと柔らかいので、口の中でふわ~っととろけてしまう、優しい味わい。

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小室さんが切っている大きな塊、まるでお肉のようですがこれが「ミンク鯨」です。この日はそのままお刺身で味わうという贅沢体験に、心躍る…!

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珍味「ミンク鯨刺し」

「ミンク鯨」は海のジビエとも言われ、鯨肉の中でも非常に人気があるんです。それもそのはず、この美しい赤身、そして素晴らしいサシを見てください…。

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きめ細やかな繊維でなめらかな舌触り。クセがなくさっぱりとした味で、脂まで上品な味わいに人気も納得です。

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鯉の鱗煎餅

鯉の鱗をカリっと揚げた、鱗煎餅。ポリポリっと塩味の効いたおつまみ感覚で楽しめます。

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酢の物「新水雲」

鮮やかなオレンジ色が映える青柳の旨みと、爽やかなお酢の酸味のバランスがちょうど良く、口の中をさっぱりとリセット。

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揚「楤芽(たらのめ)天」

さて、もう一つの主役「山菜」の登場です。北海道産たらの芽を定番の天ぷらで味わっちゃいましょう。サクサクの歯ごたえの追いかけてくる、ほのかな苦み、肉厚でもっちりとした食感がもう最高。この苦みを美味しいと思えるようになると、「あぁ、私も大人になったなぁ」と感じるんです(笑)

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煮「花山椒鍋」

お料理も終盤へ突入し、「花山椒鍋」の準備がはじまりました。まず、大きな土鍋の中にはたっぷりのぜんまい。ここでも主役の山菜を味わいますよ。

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お鍋がぐつぐつしてきたら、1枚ずつ牛肉を入れてしゃぶしゃぶ火を通していきます。

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ぜんまいと牛肉の上にたっぷりの花山椒を盛りつけて完成。花山椒の爽やかな香りに食欲を掻き立てられます…!

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牛肉は脂まで上品な甘みを感じ、食べた瞬間にとろけるくちどけ。花山椒のピリッと痺れる後味が全体の味を引き締めて、さっぱりとまとめてくれているんです。たっぷり入ったぜんまいは独特の食感でお肉や花山椒にも負けない存在感がありますね。

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飯「海老豌豆(えんどうまめ)御飯」

〆はもちろん土鍋御飯。今回は、早獲れのえんどう豆と海老が入った炊き込みご飯です。えんどう豆の鮮やかなグリーンと海老ほんのりピンクが見た目にも美しい。

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このえんどう豆、ただのお豆と思うなかれ。一粒一粒が大きくて食べるとほっくほく! まるでサツマイモのような甘さがあるんです。プリっとした海老とホクホクのえんどう豆、美味しくないはずがないですね…。

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ご飯と一緒にいただくのは「鯉こく」です。鯉こくとは、輪切りにした鯉を味噌汁で煮た味噌煮込み料理のこと。鯉の脂と味噌のコクが混ざり合って、より奥深い味わいになるんです。

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もちろん、ご飯はおこげまでしっかり堪能!

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水菓子「枇杷と種 桜桃 ライチジュレ」

最後は、夏を先取りしたようなカラフルな水菓子をいただきます。

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菓子「紅心」

最後はお茶と紅心をいただきながら、料理の余韻に浸ります…。ボリューム満点のコースですが、なぜか毎回ペロリと食べられちゃう不思議。

「美味しいものって、お腹一杯でもつい食べられちゃいますよね。」

そんなことを言いながら過ごす時間がホッと落ち着くんです。

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さて今回は、鮎に山菜、鯉を定番の洗いに鯉こくに加え、焼きや揚げまで堪能しました。鯉は臭みがなく、刺身だと弾力があり、火を通すと身はふわっふわ。調理方法によって色々な顔を見せてくれる食材でした。新しい出会いに感謝。

外食しづらい時期ではありますが、しっかり対策をしつつ、大切な人と大切な時間を過ごしたいですね。

このマガジンでは毎月「懐石 小室」で味わえる四季折々の素材や料理をご紹介していきます。次回は6月です。初夏の季節に楽しむ旬食材をお楽しみに!

懐石 小室

〒162-0827 新宿区若宮町35-4
Tel (03)3235-3332
[営業時間] 12:00~13:00 18:00~20:00
[定 休 日]日曜日・祝日
https://kaiseki-komuro.jp/

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