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小室訪問記 11月前半「松葉蟹・生子蟹」

蟹シーズン到来!新幹線で北陸へ行かなくとも、極上の蟹が東京神楽坂で味わえると聞いてやってきたのが、神楽坂「懐石 小室」。

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11月前半の旬食材「松葉蟹・生子蟹」

11月前半にいただく食材は、「松葉蟹・生子蟹」。小室さんが長年付き合いのある蟹屋さんから直送される、解禁されたばかりの蟹。

「生子蟹」は獲れる場所によって名前が違うって、知っていましたか? 今回頂いたのは兵庫県の香住港で獲れた「生子蟹」金沢近辺では同じ蟹のことを「香箱蟹」と呼ぶそうです。

今しか味わえない、極上の蟹、早速いただきましょう。もちろん、蟹以外の旬食材も満載ですよ。

おまかせコースのスタート

おまかせコースの1品目は、もっちりとした胡麻豆腐と甘鯛の松笠揚げを合わせた一品。胡麻豆腐には紅葉おろしの餡をかけて秋らしい彩りです。

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「生子蟹」

見てください、このぎっしり身が詰まった「生子蟹」。もちろん、内子に外子、蟹味噌も輝いています…!

小室さんとはもう18年の付き合いにもなる蟹屋さんが目利きをし、直送してもらっているからこそのクオリティ。

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身はぷっくりしていて、味が本当に濃いんです。そのままでも十分に蟹を感じます。さらに蟹味噌を絡めれば、もう日本酒なしではいられません…!卵のぷちぷちっと弾ける食感、蟹味噌のねっとりした舌触り、ぷりぷりの身、もう口の中が嬉しい忙しさ。

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昔の里山の様子を再現しました。

という説明と共に登場したのは、昔ながらの茅葺屋根の周りで稲や渋柿を干していた李、イチョウが散っていたりという、まさに昔の里山をイメージした盛り付け。

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茅葺屋根の蓋を開けてみると、銀杏や海老、鮒ずしなどがまるで宝石箱のように詰まっています。どれから食べようか迷ってしまいますね。天然のしめじや銀杏など、季節を感じられる食材もまた、美味しい。

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美しいお椀の中には、明石の鯛と銀杏のすり流し。口に入れた瞬間はふわっと感じるのに、噛んでみると鯛のしっかりとした弾力、後から旨味がじわ~っと広がります。銀杏のでんぷんだけでつけたとろみが、体の芯から温めてくれます。ほっこり。

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タラの白子をマツカワガレイで巻いてしまう、という贅沢極まりない一品。キュッと引き締まったカレイのコリコリ感と上品な脂を感じた後から追いかけてくる濃厚クリーミーな白子。ぷちっと弾けて溶けてなくなってしまう瞬間が儚い…。

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「顎を両方おさえて食べてくださいね!」と言って目の前に置かれたのは、見た目はグラタン?のような一皿。

器の中にはもち米が入っていて、ヤリイカとこのわたを合わせて焼き上げた「和風ドリア」です。

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一口食べた瞬間に、その場にいた全員が「おいしい~!」と思わず声をあげてしまうほど。塩辛のような塩味と旨味でお米一粒一粒がコーティングされているんです。ちびちびと食べ進めながら、日本酒が進む進む。

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「焼き蟹」

さて、この日のメイン「焼き蟹」をいただく時間がやってまいりました。冬の味覚の王者と言っても過言ではない「松葉蟹」が満を持して登場です。この日は8年ものの蟹を用意していただきました。その大きさにもびっくり!

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小さいサイズの足から大きな足、そして最後に爪という順番に焼いていくのだそう。炭の上に乗せると徐々に色づき鮮やかに、まるで紅葉のよう。

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「解禁したばかりの松葉蟹は、シンプルだけどこの食べ方が一番美味しい。」と小室さん。焼くことで甘さが増し、みずみずしい蟹汁がジューシーに広がります。

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素材本来の味もさることながら、この火入れ具合も、美味しく仕上げるには重要なポイント。

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火を入れ過ぎず、生過ぎもしない“絶妙な半生状態”が、まさにプロの技。身の繊維のシャキシャキ感とプリッとした弾力が最高です。

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最後にいただくのは、蟹の爪の部分。爪は獲物を捕るために使われるので、足よりも筋肉質で歯ごたえも違うのだとか。

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爪の先までぎっしりと身が詰まっています!確かに、足の方はホロっとほぐれて見離れが良かったのですが、爪はちょっと力を入れないと殻から離れないくらいにしっかりと弾力があります。噛めば噛むほどに蟹の旨味がじんわり広るんです。

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焼き蟹で終わりかと思ったら、大間違い。まだまだ続く、小室さんの蟹パフォーマンス。蟹を余すことなく味わい尽くします!

続いて、目の前の炭で甲羅のまま蟹味噌に火を通していきます。

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水分が飛んで程よいとろみがついた、この極上の蟹味噌を肴に日本酒をいただくという贅沢。ほんのり苦くて、コクがあって濃厚。

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「甲羅酒」

残った甲羅にお酒を入れて温めると完成したのは「甲羅酒」。今まで何度も蟹を食べてきましたが、この味わい方は生まれて初めて…!

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甲羅酒を先ほどの蟹味噌に合わせて。この味、想像できますか? これまでの蟹の全旨味がぎゅっと凝縮されて、体の中からポカポカに。この味わいは、飲んだ人しかわからない…。

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焼き蟹から蟹味噌、甲羅酒まで松葉蟹を走り切った後は、クセがなく優しい味わいのボラの白子の天ぷらで、ホッと一息。添えてある海老芋のねっとりとした食感とのギャップもまた楽しいですね。

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「生子蟹ごはん」

日本人だったらやっぱり期待してしまう、〆の土鍋ご飯。蟹尽くしのコースの〆を飾るのは、生子蟹を贅沢に使った土鍋の炊き込みご飯です。

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炊き立てのご飯に生子蟹の身も卵もぜ~んぶ混ぜて味わう、幸せが詰め込まれた炊き込み御飯。蟹の旨味を吸ったご飯に、卵のプチプチ食感が合わさって、まさに至福。美味しすぎて、お腹いっぱいのはずなのにおかわりしてしまうんですよね。

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甘味は、アールグレイのゼリーに柿や洋ナシ、金柑など旬のフルーツをたっぷり乗せた一皿。アールグレイのゼリーは甘さ控えめで、口の中をさっぱり爽やかにしてくれます。

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丹波栗を栗のペーストで包み込んだ、和スイーツ。

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赤い炎で赤い蟹を焼く瞬間は、“そろそろ今年も終わりだなぁ。”としみじみ感じる瞬間でもありますね。

“今年1年、どんな年だったかなぁ。”とゆっくり振り返りながら、大切な人と味わっていただきたい蟹尽くしのコースです。

今回も、食の発見や人との出会いの一期一会を叶えてくれた「小室」に感謝。是非、みなさんもぜひ味わってみてください。

このマガジンでは毎月「懐石 小室」で味わえる四季折々の素材や料理をご紹介していきます。11月後半もお楽しみに!

懐石 小室

〒162-0827 新宿区若宮町35-4
Tel (03)3235-3332
[営業時間] 12:00~13:00 18:00~20:00
[定 休 日]日曜日・祝日
https://kaiseki-komuro.jp/

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