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小室訪問記 8月の食材「鯒(マゴチ)・鱸(スズキ)・鱧・鮑」

本格的な夏到来!毎日猛暑が続きますが、そんな季節に食べたい夏の代表的な魚が「鯒(マゴチ)と鱸(スズキ)」です。栄養たっぷりで夏バテ防止にもぴったりの旬食材を、今回も神楽坂「懐石 小室」で味わっていきましょう。

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8月の旬食材「鯒(マゴチ)・鱸(スズキ)・鱧・鮑」

今月いただく食材は、夏の代表格である鯒、鱸に加えて、今が旬の鮑、そして鱧という豪華ラインナップ。食欲の落ちるこの季節、シャキッと身が締まった鱸や鯒で美味しく夏バテ解消していきましょう!

先附「小蛤とうにの茶碗蒸し」

先附で登場したのは、お花のような形をした器。中には氷が敷き詰められていて、中の茶碗蒸しがキンキンに冷やされていましたよ。見た目も涼し気で美しい逸品です。

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透明な器の底にはムラサキウニの茶碗蒸し、その上には小蛤にふくら鮑、そしてバフンウニ、冬瓜の摺り流しが層になっています。小蛤は肉厚でぷりっとした食感があり、旨みの中にほんのり苦み。バフンウニの濃厚な味わいに茗荷のさっぱり感が絶妙なバランスで美味しい…!雲丹と茗荷という組み合わせ、新発見の旨さです。

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前菜盛り合わせ

夏らしく、うちわのような器に美しく盛りつけられた前菜たち。ムースのようにとろける柔らかさの「蛸柔煮と枝豆」は夏の定番、パリっと軽やかな皮の中に身がぎゅっと詰まった「毛蟹と海老の春巻」、白和えにレモンを加えることで爽やかに仕上げた「大徳寺麩と赤こんにゃくと蓮芋の白和え掛け」、コリコリ食感と旨みたっぷりの「栄螺(サザエ)と椎茸と三葉の和えもの」など10品ほどが並びます。ひとつひとつが丁寧に作られ、これぞまさに職人技。

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鬼灯(ほおずき)花を器に見立てる遊び心で、目でも舌でも楽しめちゃう。

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椀「鱧と加茂茄子の澄し」

お椀を開けた瞬間に目に飛び込んできたのが、蓋に描かれた花火の絵柄。思わず「たまや~!」と掛け声をあげたくなっちゃいます。

お椀の中にはお花のように開いた鱧美しい鱧、そして加茂茄子。

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鱧は噛む必要がない程に柔らかくふわっふわ。口の中でなめらかに、ゆっくりとほどけていくんです。加茂茄子はねっとり、旨みたっぷり。透き通るお出汁にも旨みが凝縮され、じゅわ~っとからだに染み込みます…。

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造り「鯒湯引き・鱸洗い・鱧焼霜」

そして、今回の主役である「鯒(コチ)」と「鱸(スズキ)」の登場です!まずはお造りで味わいましょう。写真の左側が鯒、右側が鱸です。

湯引きで身を引き締めた鯒は、ぷりっと弾力のある食感が特徴的。上品な旨みの中にもほんのり甘みがあり、爽やかな後味は夏にぴったり。鱸は鯒に比べるとしっとりした食感で、さっぱりとした味の中にもコクがあり独特の風味を感じます。皮にも旨みがあり、抜群のおいしさ。

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鱧は七輪で皮目をさっと炙り、「鱧霜焼」に。絶妙な火入れの後、仕上げにすだちをぎゅっと絞って完成です。

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皮目をさっと炙ることで旨みと脂を閉じ込める、これが職人技。ねっとり鱧のレア食感とパリッと香ばしい皮のコントラストがたまりません…!食べた瞬間に鼻から抜けるすだちの酸味が、さっぱり爽やか~。

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焼肴「鯒障子焼・鱸障子焼」

続いて、鯒と鱸を障子焼で味わいます。薄い身を障子紙に見立て、骨と身が障子のようにみえることから「障子焼」と言うのだそう。風流な名前ですよね。この日の魚は障子紙の薄さとはかけ離れた厚みがありますが、障子焼ということでいただきましょう(笑)

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まずは、鯒の障子焼。シンプルに塩で焼いた鯒は、身がふっくらと柔らかく、ほろっとほどけます。あっさりとした鯒本来の美味しさが、シンプルな塩でより引き立ちますね。

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鱸は醤油で香ばしく焼き上げます。手づかみで豪快にかぶりつくと、鱸の持っている脂がじゅわ~っと口に広がって、美味しい…!柔らかく脂の乗った身に、皮の旨み、醤油の香ばしさとすだちの酸味が絶妙なバランス。

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揚物「鮑花林糖揚げ」

これは人生で初体験だったのですが、鮑をかりんとうのように甘く揚げた一品。一体どんな味?!と食べてみると、これが新食感でめちゃくちゃ美味しかった…。鮑のぷりっと食感は残したまま、まるで大学芋のようなコクと甘さを感じます。おやつのような、おつまみのような…、不思議な感覚。でもめちゃくちゃ美味しかった。(2回言う(笑))

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ねっとりした舌ざわりで、ほろ苦さとまろやかな風味がたまらない、鮑の生肝醤油漬け。ちびちびとつまんでいると、日本酒が恋しくなりますね…(涙)

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冷や物「水貝 胡瓜水玉」

「水貝(みずがい)」は、貝の名前ではなく、鮑の料理法のひとつ。鮑の身を大き目の角切りにして冷水に浮かべ、氷や胡瓜で彩ります。見た目も涼し気で夏を感じられる逸品。磯の香りと、鮑のコリコリした歯ざわりで、鮑そのものをダイレクトに感じられますよ。鮑好きにはたまりません!

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煮物「鯒かぶと煮」

頭の部分にも美味しい身が詰まっている鯒は、優しい味付けで「かぶと煮」に。ほろほろとほぐれる身はしっとり美味しく、シンプルな味付けで鯒そのものの味が活きますね。ねっとり食感でお出汁の味が染みた石川芋はどこか懐かしい味わい…。

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飯「鱸ごはん」

〆は、付け焼きにした鱸と笹挽き牛蒡をたっぷりと混ぜ込んだ「鱸ごはん」。鱸の旨みを余すことなく堪能できる土鍋ご飯です。

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たっぷり入った鱸の身と鱸の出汁が染みたごはん、そしてシャキっと香ばしい牛蒡が一体となって旨みたっぷり!実山椒がピリリと爽やかな刺激をプラスし、後味をさっぱりとまとめてくれます。

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もちろん、この日もおこげまでしっかり堪能。これほど美しいおこげ、見たことありますか…?

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水菓子「桃(山形あかつき)」

とても濃い色で見た目にも美しく、きゅっと締まったきめ細やかな実が特徴の「山形あかつき」。程よく熟成されていて、とろけるような柔らかさとじゅわ~っと広がる果汁がたまりません。

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菓子「葛切り 黒蜜」

最後はさっぱりと。ちゅるんと透明な葛切りに、上品な甘さのある黒蜜を絡めて、美味しい夏を〆ましょう。

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今回は、夏の代表格「鯒と鱸」に加え、旬の鮑や鱧などの食材を夏にぴったりの調理方法で爽やかに味わいました。旬の時期に食べる食材は、おいしいさはもちろん、栄養もたっぷりなので夏バテ防止や疲労回復、美容効果も!今しか食べられない美味しさを、ぜひ体感していただきたい。

なかなか外食しづらい時期ではありますが、しっかり対策をしつつ、大切な人と大切な時間を過ごしたいですね。

このマガジンでは毎月「懐石 小室」で味わえる四季折々の素材や料理をご紹介していきます。次回は9月です。食欲の秋が近づく季節の旬食材をお楽しみに!

懐石 小室

〒162-0827 新宿区若宮町35-4
Tel (03)3235-3332
[営業時間] 12:00~13:00 18:00~20:00
[定 休 日]日曜日・祝日
https://kaiseki-komuro.jp/

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