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小室訪問記 6月の食材「鮎・鱧・星鰈」

梅雨明けが待ち遠しい、この季節。ジメジメと蒸し暑くて気分がどんよりすることもありますが、そんな時は、おいしいご飯を食べて気持ちを上げていきましょう!

今回も、今しか食べられない旬食材たちを「懐石 小室」で味わいます。

6月の旬食材「鮎・鱧・星鰈(ほしがれい)」

店内へ一歩足を踏み入れると、シャクシャクっと軽やかな音が聞こえてきました。この日いただく鱧を、小室さんがリズミカルに骨切りしているんです。皮を切らないように細かな切込みを入れ小骨を切断して食べやすくする職人技。この音を聞くだけで、夏の訪れを感じますね。

今回いただく旬食材は、「鮎・鱧・星鰈」です。どれも夏を告げるものばかり。早速、いただきましょう!

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先附「毛蟹と海老塩焼き、ゴールドラッシュピュレのクリアトマト掛け」

先附は、アスパラと毛蟹の色鮮やかな一皿。シャキシャキのアスパラに濃厚な毛蟹、ぷりぷりの海老が隠れています。トマトのジュレでまとめれば夏先取りの一品です。

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器の中にはゴールドラッシュピュレがたっぷり。ねっとり濃厚でコクがあり、まるでさつまいものような甘さがあるんです。これが素材本来の甘さなんて、驚き!

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先附「障泥烏賊(あおりいか)のうに焼 亜麻仁油」

肉厚で弾力のある歯ごたえが特徴の障泥烏賊。甘みがあって噛めば噛むほどに旨みが増します。そこに、雲丹がほどよい塩味と苦味をプラス。

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前菜盛り合わせ

コースの序盤で登場する前菜の盛り合わせは、手間暇かけて作られた料理がなんと10種類以上。毎回どんなラインナップなのか、密かな楽しみのひとつでもあります(笑) そして、今月はこちら!

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特に印象に残ったのは、ムースのようにふわっととろける穴子の鳴門巻。上には花山椒を添えて爽やかな刺激をプラス。新蓮根海老挟み揚げはシャキっとした食感が心地良い~。

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普段、蝦蛄を食べる機会は多くないので嬉しいですね。ほくほくした食感の蝦蛄はほんのり甘みがあり、優しい味わいの黄身酢との相性も抜群です。

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笹の中には、小鮎のお鮨。優しい甘さの中に感じる酸味がちょうどいいバランス。

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椀「新鱧葛叩きの澄し仕立」

「鱧は飲み物なんですよ。」

小室さんがそう言いながら置いてくれたお椀は、「新鱧葛叩きの澄し仕立」。鱧が飲み物ってどうゆうこと!? と思いましたが、食べた瞬間に理解しました…。口に入れたとたんに鱧がとろけて一瞬でなくなってしまうんです。なめらかで歯ざわりもなく、それなのに濃厚な味わいを感じる存在感。ぷにぷにっとした鱧の笛や小メロン、花柚子も風味や彩りにアクセントを添えてくれます。

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造り「星鰈(ほしがれい)薄造り・鱧焼霜・天然鮎背越しと洗い」

お造りでいただくのは、星鰈、鱧、そして鮎。ここで旬食材すべてをお造りで味わえちゃうワクワク感。

まずは、星鰈を薄造りでいただきます。星鰈は白身の王様と呼ばれ、鯛や平目以上の高級魚として扱われているんです。(知らなかった…!)その名前の通り星状の斑点があることが特徴で、まさに「スターフイッシュ」。

透明感のあるキレイな身は、食感が強くて噛めば噛むほどじんわりと味が追いかけてくる。甘みや旨みが豊かでとても上品な美味しさです。

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香ばしくていい香りが漂ってきたな~と思ったら、目の前で小室さんが鱧を炙っていました。

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皮目をさっと炙って、すだちをぎゅっと絞って仕上げ。炭の香ばしさと柑橘の爽やかな香りが食欲をそそります。

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そして完成したのが「鱧霜焼」です。もうこのレアな食感がたまらない…!さっと炙ることでより甘さが引き立って、すだちが味を引き締めています。

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皮目はパリッと香ばしく、身のレア感とのバランスも絶妙。炙ることで脂や旨みを逃がさず閉じ込め、口の中でふわっととろけていきます…。

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最後のお造りは、今年初の天然鮎。背越しと洗い、2種類の食べ方で堪能しましょう。

香り高い鮎。食べると鼻から抜ける香りがたまりません。程よく脂が乗っていて、淡泊ながらもしっかり旨みを感じます。

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「背ごし」は、骨ごと輪切りにしたなんとも豪快なお刺身。コリコリした骨の食感と周りの身のプリプリ感が楽しい~。おつまみ感覚でポリポリ食べられます。

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焼「天然四万十川 若鮎塩焼」

鮎と言えば欠かせないのが塩焼。ぷっくり膨れた身がたまらなくおいしそう…! もう豪快に頭からかぶりついちゃいましょう。

カリっと焼かれた頭は少ない苦みで食べやすいです。ふっくらとした身と内臓の苦みを味わうのが鮎の塩焼きの醍醐味。この苦みが美味しいと思うようになったら、大人になった証拠ですね(笑) そのままでも、お好みで蓼酢を付けて食べても美味しくいただけます。

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揚げ物「胡麻河豚白子天」

この胡麻河豚白子、箸で持ち上げられるほどにしっかり弾力があるんです。口の中でぷちっとはじけて、白子ならではのクリーミーな舌触り。まったり濃厚な旨味がたまりません。

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煮「新玉葱の摺り流し鍋 鱧しゃぶ」

新玉葱の摺り流しの中には、揚げ加茂茄子と揚げ万願寺。そこへ鱧をさっとくぐらせてしゃぶしゃぶに仕立てます。

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とにかく新玉葱の甘さが強い! 摺り流しにすることで鱧にしっかりと絡んで美味しい…。鱧しゃぶに玉葱を入れるとよく聞きますが、摺り流しで合わせたのは初体験でした。玉葱の甘さに、卸し生姜や万願寺が心地よい辛さや苦みをプラスしてとても上品な味わい。

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鱧の骨煎餅

小室さんのモットー、

「いい素材は全部使う、全部味わう。」

残った鱧の骨はパリパリに揚げて、骨煎餅で楽しみます。これがまた濃厚な味と絶妙な塩味で、お酒が飲みたくなります…。

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飯「栄螺(さざえ)と新蓮根の炊き込み」

〆のご飯は、「栄螺と新蓮根の炊き込みご飯」。薄切り蓮根のシャキシャキ感とコリコリっと弾力ある栄螺の歯ごたえが、食べるたびに楽しい~。

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ご飯に栄螺の旨みがぎゅっと染み込んで、余すことなく栄螺を味わえるご飯です。もちろん、おこげまでしっかり堪能しましたよ!

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水菓子「宮崎マンゴー 枇杷 西瓜 メロン 桜桃のサイダージュレ」

色鮮やかで見ているだけでワクワクする、夏のフルーツたち。西瓜やメロンを食べると、もう気分は夏!ですね。

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フルーツにかかっているのはサイダーのジュレ。食べてみると口の中でしゅわっと弾けて、本当にサイダーのよう。見た目も爽やかで、一足先に夏を感じるデザートでした。

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菓子「菖蒲」

優しいあんこと薄茶で、ほっこり会話を楽しみながら、料理の余韻に浸る時間もまた良き。

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今回は、鱧や鮎、そして星鰈という夏の訪れを感じる魚を堪能しました。お造りでは味も食感も異なるおいしさをダイレクトに感じ、加えてそれぞれの魚の特徴を活かした調理方法で余すことなく堪能できる贅沢なコースでした。今回もまた、新たな出会いに感謝!

なかなか外食しづらい時期ではありますが、気の置けない仲間と大切な時間を過ごせば、「食べることは、生きること。食べることは、人生。」という小室さんの言葉が改めて胸に刺さります。しっかりと対策をしながら、大切なひとときを過ごしたいですね。

このマガジンでは毎月「懐石 小室」で味わえる四季折々の素材や料理をご紹介していきます。次回は7月です。梅雨も明けて夏の暑い日に楽しむ旬食材をお楽しみに!

懐石 小室

〒162-0827 新宿区若宮町35-4
Tel (03)3235-3332
[営業時間] 12:00~13:00 18:00~20:00
[定 休 日]日曜日・祝日
https://kaiseki-komuro.jp/

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