Beethoven String Quartet No. 10 Movt.3

ベートーベンの10番の弦楽四重奏曲の第3楽章は、お得意の1小節一拍で振らないと振りきれないスケルツォである(速度表示はPrestoになっている。)

最初から飛ばしていく、急速な音楽であるが、途中でpiu presto quasi prestissimoになる。

そこまでも相当過激な音楽なのだが、この部分で、ベートーベンは完全に突き抜けてしまい、別世界に突入する。譜例に示したように、ところどころ申し訳程度にr (retard=掛留音)があったりするが、まず掟破りの音楽である。

チェロの4分音符の流れの上にビオラがテーマらしきものをのせていくが、ほぼ音楽的とは言い難い旋律である。譜例の20小節目では第二バイオリンのCは掛留だが、二オクターブ上で第一バイオリンが構うことなくCーBとまたがって降りてきてしまうわ、29-30小節ではバイオリン二本で平行8度になってるわ、もうえらいことになっている。

しかし、この部分こそが、音楽を向こう側へ超越してしまうベートーベンの真骨頂であるのですね。

(21'40”くらいから当該部分)

https://www.youtube.com/watch?v=YJrA1c2cNvU



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