Tchaikovsky Symphony No.6 "Pathetique" Movt. 1

チャイコフスキーの最高傑作、交響曲第6番の第一楽章の出だしの部分をみてみたいと思います。Eのドローンの上に主調のロ短調に対しIV度調のホ短調でファゴットが憂鬱な、しかし上行指向の旋律を切れ切れにだします。最後は主調のドミナントであるF#の和音、但し、3度音を下にした、第一転回形で半終止します。aで示したのは、倚音ですが、ここでは和音の2度音や4度音でなく、6度音を倚音として扱っています。

そして主部に入るわけですが、序奏で示された「ラシドシ」という音形に基づく、分割されたヴィオラとチェロのみで始まる主題の、和声付けの巧みさに驚かされます。16分音符一つ一つが偶成和音で丁寧に和声付けされ、かつメロディー以外の声部も無理な動きをせずに、流麗でありながらなおかつ緊迫感を湛えています。チャイコフスキー、すごい。


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