見出し画像

コロナ禍に怯える東京を駆け回った新人タクシードライバーの4ヶ月分の収入を公開します!


コロナ禍を抜けたと思ったらまた戻ってきたー!!


そんなことを実感しながら生きていますが、4月のような壮絶自粛モードに戻ることはもうないでしょう。というのも、コロナ渦というのは「未知の存在」に対する恐怖であったからです。

新型コロナウィルスというものがどんなものだかわからない以上、過剰なまでの防備策を施す必要があります。しかしながら、日本では医療機関関係者の懸命な努力や一人一人の国民および在留者の自粛によって、一度は収束させることが出来ました。

これが実は非常に大きくて、その間に我々は「新型コロナウィルス以外のウィルスに対する汎用的な知識と対策」を得ることが出来ました。少し前までは、電車のつり革が「不潔」という認識はほとんどなかったと思いますし、それを言い出す人は「潔癖症」というレッテルを貼られたことでしょう。

しかし今では、不特定多数の人が触れるつり革のような存在は、「中世ヨーロッパのネズミ」のように死の病を運ぶ存在だと認識されつつあります。

多分これって過剰反応ではなくて、これまでのインフルエンザの流感から、子供が夏場にかかる手足口病のようなウィルス性疾患の主要な感染ルートであったのだろうと思います。思えば、スーパーの子供用カートから手足口病をもらったと訴える友達もいたのを思い出します。

そもそも人間というの存在は病原菌の塊です。

というよりも生物の中には、細菌もウィルスもたくさん入っています。微生物屋さんとかウィルス屋さんにいわせれば、生物なんてものは微生物やウィルスの家であり、食事であるわけです。お菓子の家に住んでいるようなイメージでしょうか。

だから他人に接すること自体がリスクと言えるわけですが、一切の他人との接触を禁じてしまうと、「試験管ベビー」でも作らない限りは次の世代が生まれないわけで、文字通り非生産的です(子供を作ることを、生物学では再生産(=reproduction)といいます)。

だからここで禁じられるのは不特定多数と接するのはいけないということです。同じようなリテラシーを持った人同士で付き合っていれば、感染を防げる可能性は低いです。またより濃厚な身体接触を伴うパートナーについても、不特定多数の相手がいるのはリスク要因となり、同じ人と接触するほうが安全ということになります。

社会倫理的にギリギリな発言になりますが、「麻薬の回し打ち」は危険という話に近いかなと思っています。

さておき、そうやって防疫リテラシーが高い層と、防疫をあまりしないリテラシーを低い層に分かれたとします。わかりやすくいうと、手を洗う人達と、手を洗わない人達です。

今はリテラシーが高い層が、低い層を下に見ている感はあると思います。たとえていうならば、ホストクラブなどの夜の街で遊ぶ人は、病気に感染するリスクが高いと馬鹿にしているし、迷惑だと思っていると思います。

しかし、この状態が長く続いた場合、不幸になるのはリテラシーが高い層かもしれません。

というのも、夜の住人達は、一回は新型コロナに感染してしまうかもしれませんが、その後は獲得免疫が出来るために、ウィルスに感染するリスクを減らせるからです。

つまり、手を洗わない人達のリスクはいつの間にかなくなります。一方で、手を洗う人達のリスクはいつまでも残ったままになります。

可能性としては、ウィルスが変異し第二波が訪れた時に既に抗体を持っている人はあまりダメージを受けず、抗体を獲得できていない手を払う派の人達が大きなダメージを受けることもありえます。

というわけで、何がどうなるかはわかりません。が、今はもう「誰が何と言おうと」の時代になってきています。

飲み歩くのが好きな人はリスクがあっても飲み歩きます。

海外旅行にはリスクがあります。

海で泳いだり、山を登ったりするなんてことも、とんでもないリスクです。

自宅でお酒を飲むのもリスクがあります。

結婚するのも子供を産むのもリスクです。出産という行為そのものも女性にとっては大きなリスク要因であることは言うまでもありませんし、キャッシュフローにおいても、一人の命を育てる責任を負うという意味でも大きなリスクです。

つまり、概ねの行動には何らかのリスクがあるわけです。

今回のウィルスに関しては「どの程度リスクがあるか判定不能」であることと「ノウハウも知見もない時にこれ以上患者が増えると医療崩壊する」という2つの事情があるため、念には念を入れた自粛が行われました。

一方で、自粛が始まった1週間もした頃から、政権叩きの声が雨後の竹の子のように湧いてきました。根本的に、誰かに言われて行動を制限させられるのは不愉快なことです。なので、いつまでも出来ることではありません。

これからは、それぞれの人が、やりたいこととリスクを天秤にかけて自分で判断していくことになると思います。

だから、夜の街もそれなりに繁盛します。ただ、付き合いで来ていたような人は消えるでしょう。だから、新橋とか銀座とか赤坂とかは寂れていくと思います。一方で、新宿ゴールデン街とか、新宿二丁目、四谷の荒木町、赤羽など酒好きが集まるような街は、以前ほどではないにせよ、それなりの活性は生まれると思います。

ウィルスによる恐怖、自粛という名の他者からかけられる圧力、個人の欲望や趣味嗜好。社会生活からの逃避エネルギー。そんなものが東京の街にうごめいています。ウィルスのリスクを身に受けながら、そのうねりを感じ取りながら、東京の街を毎日300km近く駆け回る。

それが今のタクシードライバーです。

この仕事を始めて4ヶ月。研修をいれると6ヶ月。

やめようと思ったことは一度もありません。

タクシードライバーが稼げなくなったと言われていますが、実際の所どんなものでしょうか。新人のところからぼくの営業成績を公開するので、是非ご覧ください。

スクリーンショット 2020-07-12 9.48.10


というわけで表計算シートにまとめました。

1ヶ月は前月11日から当月10日までです。
4月 = 3月11日〜4月10日

乗務始めの3月11日〜28日くらいまでは、そこそこの売上が立てられました。1日5万円という日も!逆に言うと、ド新人でも1日で5万円くらいの売上が上げられる仕事ではあったわけです。

が、緊急事態宣言以降は手も足もでなくなりました。結局、平均すると4月の売上は約24000円(税込み)です。これがどのくらいの数値なのかというと、ざっくりと日当に直したものが6300円です。

二種免許という資格を持っていて、交通事故などのリスクもあり、生身の接客業をしているのにこの日当ではやっていられないレベルです。もっとも、給与保証が一応あったので、4〜6月にもらった給料はこの額面とは違います。

出番も通常12なのが台数制限していたので少なめです。その間にOWL magazineの立て直しが出来たので、収入にはなっていないけどとりあえずOKです!

細かい話ですが7月については概ね15万円くらいで、3日分の休業補償がおそらく社会保険などと相殺されるので、手取りも15万円くらいになると思います。

たりない


さておき、リスクやハードさなどは無視しておくと、一般的なワープアレベルくらいは稼げるようになりました。コロナ禍の影響はまだ強くあるので、そういう意味ではよくやっているといえるかもしれません。

経験がない状態で、コロナ禍の荒れた東京に放り出されて、やめようと思わないだけでも偉いと自分で自分を褒めてあげよう。

あと迎車(無線でよばれるやつ)もまだ入っていないので、そういう意味でももう少し伸ばせそうです。

平均5.5万円くらい営業できるようになれば、11乗務であったとしても(最大で13できるが多分死ぬ)、30万円はいくわけでこのくらいはいきたいところ。そうすると年収360万だから人並みにはなるのかしら(そんなに稼いだことはこれまでの人生で一度もないから、ぼくとしては大喜びなのですが)。

仮に月収が50万まで行けば年収600万円の水準だし、コロナ渦で出来るかはともかく、いわゆる稼げるタクシードライバーはそのくらいいっていたはず。

もっと稼げる恐怖のドライバーは、年収800〜1000万というレベルらしいですが、それは過ぎさりし時代の遺物になるかもしれません。

ともあれ、今のぼくは一回の乗務で20時間勤務し、給料として2万円を稼いでくるドライバーです。それを、3万円くらいにあげるのがとりあえずの目標です。

そのために何をするのか


もう3500字書いたので、ここからは簡潔にする。

・コンディショニング
筋トレというよりも、食事のバランスを取ることと、とにもかくにもストレッチ。全体的に血行をよくするために、入浴とウォーキングも必須。コンディションが良ければ稼ぎも増える。タクシードライバーはアスリートなのである。

食事について言うと、20時間の乗務中はほぼ絶食するのが良いことがわかったので、乗務前と乗務後の食事メニューを工夫する必要がある。食事の周期が乱れるのは生物としては当たり前の現象なので、恐らく身体は対応できるはずだ。


・乗務で得られる+α
単純に20時間拘束されるだけなら非常につらいのだが、タクシードライバーの脳は自由で、ラジオなども聴けるためインプットに使うことも出来る。この間は、オーディブルというラジオ(ということにして下さい)で、『サピエンス全史』を聞いていた。ただ、ちょっと重いのでそんなに向いてはいない。

中国の内政や外交あるいは経済についてはかなり詳しくなった。普通の中国人より詳しい自信がある。なので、こういった観点から次の知識を付けたい。やはり金融か歴史かなとは思っているのだが、何が良いだろうか。

英語、簿記、税金関係、医療系なんかもいいかなと思っている。特に病気系は詳しくなっておくといいかも。あと車についても詳しくなりたい。歴史、車種、物理機構など。ドライビングテクニックについても理論が知りたい。

国内BライセンスとAライセンスなら恐らく十分に取れるので、勉強がてらやってみるのもいいかもしれない。道路交通法についても詳しくなりたいな。というか知ってないと点数がなくなる。

美術史も面白いし、建築も知りたい。サッカーも文化的な側面から学べるコンテンツがあるといいんだけど、そういうのは少ないんだよね。東京という街の成り立ちを学ぶのもよい。

色々学びたいことがあるが、これまでアウトプット過多でインプットする時間が取れなかったので、タクシー運転手は実に「美味しい仕事」なのだ。


・知り合いを乗せることで脳のリソースの節約
友達と遊びたい、話したい。でも時間がない。そんなぼくは友達を乗せることにした。そうすれば仕事中にたっぷり話せるので超お得。友達のほうも、どうせタクシーに乗るなら仲良しの人と楽しく過ごしたいという需要はあるだろうから、WIN-WIN。

・道を極める
最優先はこれか。この間Drive-byさんのコミュニティで、下北沢から抜けていく道を教わったんだけど、いや、まったくわからない。道って本当にキリがないんだけど、一つ一つ覚えていくしかないわけです。

そういった一般的な意味での道をしることに加えて、高速の出入り口とか、ロングが出やすいポイントなんかをしっかり把握しておく必要がある。

道とは人生をかけて極めていくもので、柔道、剣道などの武道に好んで使われる。道という言葉には深い含蓄があり猪木(略)

・飲み屋街の徹底開発
タクシードライバーとして、酒飲みとして、二方面から飲み屋街に詳しくなっていこう。そして、これは極めればどこかで書き物にすることが出来るはず。最強の東京ナイトガイドが書けるのはタクシードライバーなんじゃないかと思う。


・苦手のビジネスタイムの攻略
細かい話だけど、バッカスの世界(22時から朝5時くらい)はめっぽう強いんだけど、アポロンの世界(明るい時間)はとっても弱い。ビジネス街が苦手過ぎて、ライターで取材に行くときにいつも迷子になって泣いてたのを思い出す……。メインの収入にはならなくても着実に稼げるように、昼も攻略しないとなのよね。


・データの分析
自分の乗務データが溜まってきたので、しっかりと分析を入れて行きたい。多分ここからが「東大卒」の本領発揮。というか東大がどうこうってのはわかりやすいから言っているだけで、大学院での研究において、データの解釈や統計処理だけはとっても得意だったのだ。もう少しデータが溜まったら、武器に出来ると思う。

もちろん、データだけでは役に立たたず、現場感を共に持っている必要はある。データは驚くほど色んな事を語ってくれるものなのだ。

人のを見せてもらうのもとても勉強になると思うから、乗務日報みせてくれる人居たら超嬉しいんだけど、流石に分析まではしている時間がなさそう。


・時間の使い方
乗務を主軸に組み立てて、隙間に出来る時間にいかにやりたいことをやるかが勝負。

現状だと月初に重めのサッカー記事を書くことと、家族と過ごす時間を確保することが必須。後はどれだけやりたいことをぶち込んでいけるか。本当はもう少し稼ぎが良くて、家事代行頼んだり、食洗機などの時短アイテムを買ったりできたはずだったのだが……。

まさか収入が半分以下とはねー。でもまぁ水は合っているので、これから稼げるようにやっていこー!!

タクシーに出会えたおかげで人生はとっても充実している。



俺は、タクシードライバーだ!!

文章や音声コンテンツが面白いと思った方は、是非サポートをお願いします!コンテンツづくりのための経費や投資に使わせて頂きます。用途については不定期でnoteに公開します。