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田嶋会長擁護という狂った試みをしてみようではないか


田嶋会長擁護記事という爆弾ですが、ぼくが彼を支持しているといったらしていません。

ハリルホジッチの解任は、どう考えても無理筋を通しています。権力を握った後の挙動も怪しいです。何より、喋っている内容が非論理的で、かつ、概念が整理されていないため、何を言っているかさっぱりわかりません。

自民党の元幹事長の二階氏にとても似ていると思います。身内をとりまとめる力はあるけど、身内以外には何だかさっぱりわからないし、利益誘導ばかりしているように見える。そういうタイプなんじゃないかと思います。

だけど、田嶋会長やめろと言い続けていても建設的ではありません。サッカーに興味を持ってTwitter界隈みてみたら、みんな会長の文句ばかりいっている。おいおい、おまえら野党かよ!ってなっちゃうわけなので。

というわけでぼくは田嶋会長叩きも封印しようと思います。それよりも、サッカー協会の後援会に入り、お金を出して、サッカー協会のメンバーとして発言力を持てるようにしていこうと思います。

今の会長は支持していませんが、日本のサッカーの発展を祈っているから、そういう決断になりました。


さて……。

1勝2敗と早くも崖っぷちに追い詰められた日本代表。まずはここから始めましょう。

世間には森保監督の解任論が吹き荒れていました。一方で後任監督を誰にするのかというと誰も答えられません。バルサの元監督であるバルベルデの名前をあげる人もいたですが、まぁ言うのは自由なのだが実現の可能性はほぼありません。0.000001%くらいはあるかもしれないですが、まずないです。

どうも、サッカーの監督というのはゲームのように、選手を自由自在に操れるというイメージがあるのかもしれません。しかし、監督の仕事は試合前にほとんど終わってしまいます。試合中にやれることは少なく、そこだけ見ていると見誤ると思っています。

だからわれわれは、監督の仕事っぷりはなかなか評価できません。玄人は、監督が練習で何を仕込んできたのかまで類推して考えますが、これはなかなか難しいですね。ぼくのレベルだとなかなかそこまでいきません。

ただ、チームの出来というものはある程度感じられます。これは、戦術がどうこうというよりも、ちゃんとコミュニケーションが取れていて、チームとしてまとまりがあるかどうかです。

どういう練習をするか、練習の前後にどういうコミュニケーションをするのかが大切なのです。

森保監督は、実は選手とじっくり話ながら能力を引き出していくタイプなのですが、日本代表だとゆっくりと時間が取れないのでなかなか難しいところもあるのでしょう。これは誰がやっても難しいことなのだそうです。代表監督は難しい、これに尽きます。

コミュニケーションが大事というのは、戦術ブームの中で軽視されているように思いますが、実はとても大事なことです。ゲームの世界では選手同士のコミュニケーションなど不要です。しかし、これを会社とかクラスとかで考えると、チームメンバーが普段から会話しているかどうかが大事なことはわかると思います。

サッカーは孤独なスポーツで、広いピッチでぽつんと孤立するようなイメージになります。これはプレイヤーとしての感想です。パスコースがなくて囲まれているような印象になっていくこともあります。

そんな中、チームがうまくできていると、周囲の選手のいる位置が感じられて、声もよく聞こえて、まるで糸で繋がっているかのようにうまくプレーすることができます。不思議なんですけど、サッカーってそういうスポーツなんですよ。

長友のことを良く言う人もいますが、悪く言う人もいます。しかし、長友が常にまわりを鼓舞して、どんな時でも一生懸命走ること、その上で仲間ともコミュニケーションをとり続ける選手であることの価値まではなかなか言及されません。

戦術についての頭でっかちが多いせいか、ポジション取りのことばかり気になって、本当に大切なことが見えていないような気がします。

戦術クラスタといわれる人たちは、戦術上の問題点を見つけて指摘することを好みます。だけど、そこだけ拾って、勝ち馬に乗ったかのごとく、監督や選手を叩く人を作ってしまっている側面もあります。

影響力がある人ほど良い点を言うことも意識して欲しいなと思っています。常に監督の駄目だしばかりしている人は、やっぱりサッカーの仕事はしてほしくないですね。

だって嫌じゃないですか?同業者の悪口ばかりいってのしあがっていく人。ぼくはそういう人は嫌いです。素人ならいいですがプロとしてやっていこうってのは嫌です。ぼくなら仕事は頼みません。

さて森保監督です。

森保監督は、固定メンバーでやっていくうちに熟成させていくようなスタイルなので、代表監督には不適切だという意見もあります。確かに、勝負師タイプではないため、ぼくも最適だとは思いません。しかし、逆に誰がいいのかといわれるとなかなか難しいところです。

勝負師として格上相手に勝てる監督というのは世界を見回してもあまりいません。そういうタイプの頂点が、ハリルホジッチ監督であったように思うのですが、ハリルホジッチ監督は「縦に速くしかいわない」「デュエル(1対1)だけじゃ駄目」と言われ続けました。

ちなみに今日の試合は強靱なデュエルで優勢になり、縦に速い攻撃で勝った。デュエルで勝つ、球際を強くするのは球技の基本である。そして、速攻で決めるのも基本である。ハリルホジッチは基本を重視しようといっていただけなのだ。逆にいうと日本は基本ができていないということでもあったのだが。

その上で、格上相手でも戦術的に凌駕して封殺する勝負師としての資質もありました。これは実績ありの折り紙付きです。もっとも、揉めやすいというのも折り紙つきだったので、解任はある程度仕方がない

あの時、安易なハリルホジッチ批判をしていたメディア人は猛省して欲しいです。監督の発言のすべてを聞かず、その本質を考えようともせず、言葉尻だけを捉えて批判することで数字を稼ごうとした人たちです。

まぁもうあんまり残っていませんけどね……。どこへいったんでしょうか。

というぼくも同業者批判をしていますね。批判はとても簡単だし、自分が偉くなったように思えるので、甘い甘い誘惑です。しかし、人を批判していても自分が成長することはありません。大事なのは自分がどうするかです。

ただ、森保監督批判を延々とし続けている人の中には「自分は森保監督よりも上」という気持ちが見えることがあります。もしそうなのであれば、やはり代表監督になれるように人生を組み立てるべきでしょう。

それが出来ないのであればやはり在野の批評家ということになってしまいます。批評家は何を言ってもいいと思われがちですが、ぼくは、ジャンルそのものの価値が下がるような批評はするべきではないと思っています。サッカー協会の会長と代表監督を延々と批判し続けることで何が得られるのかをよく考えて欲しいところです。

「自分が代表監督をやったらもっとうまくやる」と言い続ける人よりも「自分には実務経験がないから代表監督の仕事はわからないけど、試合の楽しみ方を見つけて紹介する」と言う人のほうが価値があるように思います。

そもそも「批判」という行為は、高い知性に基づいて、物事の良い点、悪い点を点検するという意味です。自分の優位性を示したいがために、他者のあら探しをする行為は「批判」ですらありません。単なる「難癖」です。

文章でも動画でもそうなのですが、大勢の前で主張することができる力は、暴力にもなります。その強い力に酔っていると、思わぬしっぺ返しを喰らうこともあります。ぼくも、それなりに喰らってきたからわかることですが。

現場には現場にしかわからないことがあります。大切なのは現場を尊重することです。これはサッカーでも、仕事でもみんな一緒です。ぼくは、現場主義の人間なので、なおさら外から批判するのが好きではないのかもしれません。

さて、森保監督の評価です。森保監督にはハリルホジッチ監督とか、アギーレ監督のような勝負師としてのセンスはありません。ないものはないのでしょうがないです。

だからじっくりとチーム作りをするしかないのですが、日本代表は、遠いヨーロッパから選手が移動してくるため、コミュニケーションする時間もないのでしょう。

ちなみに、コミュニケーションという意味では、母国語を話す監督のほうがいいと言われています。だから、ワールドカップの上位になる国は、母国語を使える監督が多いという傾向があります。

ちょっと見てみましょうか。


2018年 ロシアワールドカップ
優勝 フランス デシャン(フランス人)

準優勝 クロアチア ダリッチ(クロアチア人)

3位 ベルギー ロベルトマルティネス(スペイン人)

4位イングランド サウスゲート(イングランド人)

ベスト8
ロシア チョルチェソフ(ロシア人)

スウェーデン アンデション(スウェーデン人)

ブラジル チッチ(ブラジル人)

ウルグアイ タバレス(ウルグアイ人)

2014年ブラジルワールドカップ

優勝 ドイツ レーブ(ドイツ人)

準優勝 アルゼンチン サベーラ(アルゼンチン人)

3位  オランダ ファン・ハール(オランダ人)

4位 ブラジル スコラーリ(ブラジル人)

ベスト8

コロンビア ペケルマン(アルゼンチン人 ※言語はスペイン語で同一)

フランス デシャン(フランス人)

コスタリカ ルイス・ピント (コロンビア人 ※言語はスペイン語で同一)

ベルギー ウィルモッツ(ベルギー人)

こんなものでいいでしょうか。ベスト8以上に残ったのべ16チームのうち、自国人以外はベルギーのロベルトマルティネス、コロンビアのペケルマン、コスタリカのルイス・ピントの3人だけです。

そのうち、コロンビアとコスタリカはスペイン語でのやりとりなので、ベルギーのロベルト・マルティネスだけですかね。ベルギーという国は色々複雑で、公用語はフランス語とドイツ語とオランダ語です。

というわけで、ワールドカップで勝ち上がる国は自国の監督を使う傾向があるということが言えます。これはサッカーをみてきた人の中で常識のようになっています。

優勝国だけでも、もうちょいいきますか?

2010年 南アフリカワールドカップ
優勝 スペイン デスボスケ(スペイン人)

2006年 ドイツワールドカップ
優勝 イタリア リッピ(イタリア人)

2002年 日韓ワールドカップ
優勝 ブラジル スコラーリ(ブラジル人)

1998年 フランスワールドカップ
優勝 フランス ジャケ(フランス人)

1994年 アメリカワールドカップ
優勝 ブラジル カルロス・アルベルト・パレイラ(ブラジル人)

1990年 イタリアワールドカップ
優勝 西ドイツ ベッケンバウアー(西ドイツ人)
(調べててはじめて知ったけど、ベッケンバウアーで優勝してたのか!!当時8歳)

1986年 メキシコワールドカップ
優勝 アルゼンチン カルロス・ビラルド(アルゼンチン人)

1982年 スペインワールドカップ
優勝 イタリア エンツォ・ベアルツォット(イタリア人)

1978年 アルゼンチンワールドカップ
優勝 アルゼンチン メノッティ(アルゼンチン人)

1974年 西ドイツワールドカップ
優勝西ドイツ ヘルムート・シェーン(ドイツ人)

このへんでいいでしょうか。1974年まで遡ってみても、優勝国はすべて自国出身の監督を起用しています。

年配のサッカーファンと話すと、ワールドカップの歴史の話しになることがあります。Jリーグブーム以降のサッカーファンにとっては、最初のワールドカップが1994年のアメリカか1998年のフランスです。

しかし、Jリーグ以前からのサッカーファンは、メキシコワールドカップやスペインワールドカップの話をすることがあります。ちなみに伝説のサッカー漫画『キャプテン翼』の作者、高橋陽一氏は、1978年のアルゼンチンワールドカップをテレビで見て、漫画を描き始めたそうです。連載開始は1981年で、手前味噌ですがぼくも1981年生まれです。なので実感が湧きますが40年前です。

1978年の段階ではまだマラドーナもフル代表ではなくU-20であったようです。エースはケンペスという選手だそうですが、60代くらいのサッカーファンに聞いたらきっと知っていると思います。もしも、1978年のワールドカップでマラドーナが活躍していたら、大空翼は左利きになっていたかもしれませんね。

話が逸れましたが、ワールドカップで勝ち上がるには自国出身の監督を選ぶほうが効果的という1つの仮説があります。これは強豪国は、良い選手だけではなく良い監督も輩出していると言い換えることもできます。

一方で日本はというと、明瞭にサッカー後進国でした。韓国や北朝鮮にまったく勝てないのはもちろんのこと、ワールドカップには出場すらできませんでした(レギュレーションも当時と今では違いますが)。

そんな中、日本は世界のサッカーに追いつくために、海外から優秀な指導者を招聘します。セルジオ越後さんもそうですし、クラマー、オフト、ジーコ、トルシエ、オシムなどなど。Jリーグにはアーセナルの監督を長く務めた名将ヴェンゲルもいましたね。

基本的には海外から監督を呼んで先進的なサッカーを学ぶという流れが続いていました。例外となるとのは、加茂周監督と更迭された後の岡田武史監督で挑んだフランスワールドカップと、オシム監督が脳梗塞で倒れた後を引き続いた岡田武史監督による南アフリカワールドカップです。

日本サッカー界には2つの流れがあると言っていいでしょう。

・海外から優れた監督を呼んで、先端的なサッカーを学ぶべきだ。まだ日本人監督は早い。
→ザッケローニ、アギーレ、ハリルホジッチを招聘した原博実さんなど

・海外からは既に十分学んだ。これからは日本人監督を育てるべきだ。
→田嶋幸三会長など

いずれにせよ、いつかは日本人監督に切り替えていくことが理想だと考えられます。問題はそれがいつなのか、です。

日本人派からすると、代表監督という責任ある立場を任せないと監督の育成が進まないということになります。これには頷ける点もあって、海外から呼んだ監督は仕事が終わると帰ってしまいます。

だから、その経験を日本で伝えていくことには不向きです。たとえばイビチャオシムはボスニアに帰り、ワールドカップのときは通訳を務めていた千田善さんが電話でコメントを取っていましたが、なかなか苦労していたようです。

もしも日本人監督ならば、昨日の試合でDAZNのゲスト解説に呼ばれていた岡田武史氏のように気軽に呼ぶこともできます。また若手指導者との座談会などを開催するときも、海外在住の大御所よりも、参加してくれるハードルははるかに低いです。テレビのコメンテーターにも呼べます。後々の波及効果を考えると日本人監督の投資効果はかなり高いのも間違いないでしょう。

田嶋幸三会長とは何なのか。

批判している人の言説を見ると、彼は独断専行でハリルホジッチ監督を解任し、その後を西野監督、そして森保監督に委任したようにみえます。責任者なのは間違いないので、それは完全に間違っているわけではありません。

ただ、彼を単独の独裁者だと思うと本質を見失います。田嶋幸三とは、自国人の指導者を育てないといけないと思っている人たちに支持されているサッカー協会会長なのです。

実際に、投票で原博実氏に勝利して、サッカー協会会長になっています。

そりゃね……。どんな事情があろうともあのタイミングでハリルホジッチ監督を解任するのは駄目だし、その後の説明も意味がわからないし、今までの流れを無視してぶったぎっちゃったのでみんな大混乱だし、一部の選手や関係者だけを優遇しているようにも見えるし、ぼくは支持しませんよ。

報復人事のようなやり方で対立派を追い出したのも嫌だし、なんというかぼくがサッカーに求めている先進的で知的なイメージとは逆なんですよ。戦後から巣くっている自民党の利権政治であり、正しさよりも繋がりを重視する組織にみえます。

そもそもサッカーという競技に人気が出たのは、野球などの古くからあるスポーツとまったく違う、新鮮なイメージがあったからだと思っています。そういう意味では、サッカー界も年を取ってきたというべきなんでしょうか。

ただ、田嶋幸三会長をぼくが支持しないと言ったところで、ぼくに投票権はありません。投票権があるのはサッカー協会の中の人だけです。支持はしないけど、彼は一人の意志では動いているわけではありません。紛れもなく日本のサッカー関係者の過半数以上の支持を得て動いているわけです。そこを踏まえた上で考える必要があります。

ぼくにできるのは、日本代表やJFL、地域リーグ、天皇杯というサッカー協会主催のコンテンツを消費するかどうかの判断だけです。

そういう意味では、やはりサッカー協会に傾いてもらっては困ります。日本代表の勝敗は大事ですが、実は僕が1番好きなのは日本の各地域がしのぎを削るサッカー協会管轄のリーグです。

西葛西出版から刊行する『〝サッカー旅〟を食べ尽くせ! すたすたぐるぐる 埼玉編』でも、関東リーグ2部のアヴェントゥーラ川口や、川越市2部リーグのCOEDO KAWAGOEとさつまいーも川越がでてきます。

もはやぼくは、代表だけでは駄目で、Jリーグも必要だけど、それだけじゃなくて地域リーグもないと物足りないという状態になっています。

ぼくはこれからスポーツの本も出版していく出版社の社長として活動していくことになります。そういう中で、しっかりとサッカー協会にかかわりながら、活動報告などを読み、理解を示すところは理解を示し、人間関係を作りながら、言うべきことは言えるようにしていくべきなんだろうと思います。

もちろん、それは全然うまくいかないかもしれませんが、そこまでやらないと変わらないというのもあるのかなと。


ワールドカップという夢を追う日本代表。

小学生の時に突然登場した謎の存在。

世界相手に大活躍する日本人。

馬鹿な話だけど、そういうものを観るのがぼくは好きなんですよ。

自分にできることは何だろうか、よく考えてみよう。

ぼくは、日本代表というコンテンツの楽しみ方を示していく。そんな仕事をしていくべきなんだろうなと思います。そのくらいしかできることはないですからね。

今のサッカー協会が好きなわけではないですが、もう40歳なので簡単にどうこうできるものではないのもわかります。

この記事でも書きましたが、ぼくはやはり選手や監督は好きです。

だから応援しようではないか!!

どんな環境だろうが最後まで走るしかない!!

勝ち上がれ、森保ジャパン!!

そして、カタールへとわれわれを連れていってくれ!!


というわけで……。Jリーグだけじゃなくて地域リーグをふくめたサッカー旅を描いた本はこちら!予約受付中です!


昔書いた森保監督の記事。


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