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みちプロファンはかく語りき

10月15日、私は最高の試合を見た。いや、最高という言葉で表すことすら生ぬるい。そこには、プロレスラーの生き様そのものがあった。

メインは「みちのくファンのすゝめ(10月編)」でも書いた通り、みちのくプロレスのハヤト選手と新日本プロレスの高橋ヒロム選手のスペシャルシングルマッチ。


この日の矢巾は新日本プロレスの選手が出るということで、みちのくプロレスを初めて観るというお客さんもかなり多かったようで、いつもの矢巾とは違う雰囲気がありました。しかも1250人超満員札止めですよ。

マジでたくさん語りたいことがあるんだけど、全試合の語りたいことを全部書いていくと私の脳みそがパンクしてしまうので、ちょっとだけ書いていきます。(カード名は敬称略)第一試合からセミまではかなり短めに書いてます。
ただ、これはあくまでみちのくプロレスファンが書いた感想であり、妄想であり、寓話です。こうなんじゃないか、っていうことと、実際に起きたこと。それらを並べながら私の考えを書いてるだけです。そこをご了承いただければ幸いです。

メインの感想知りてえよ!なひとは目次から飛んでいただけると助かります。ちなみにこのnote5000字くらい書いてるんですけど、メインの感想が3000字くらいあります。ウケる。ではどうぞ!



第一試合 Ken45°vs山谷林檎🍎


どの団体でも第一試合が裏メインというか、「うちではこういうプロレスをやりますよ」という名刺みたいなものだと思ってます。林檎🍎選手の基本的なレスリングやドロップキック、Ken45°選手のジャベで、きっちりとみちのくプロレスの技術の高さを見せつけてくれました。第一試合が良ければ、観客も期待値がどんどん上がっていくよね。私の期待値もガンガン上がったぜ。

第二試合 ヤッペーマンズ&ラッセvsバラモン兄弟&OSO11


これぞまさしくみちのくプロレスの混沌の部分だぜ!初見のひとにはヤッペーマンのコスチュームとか何事?ってなるよなあって改めて思いました。だがそこがいい。試合の途中で肩車したり、場外で木の杭出したり、初見のお客さんが多くても平常運転で最高でしたね。そしてみちのくでは久しぶりに「千賀○ね!」も聞けてよかった。

第三試合 卍丸vs大瀬良泰貴

実はこの試合が一つ目の盛り上がりのピークだったかも。大瀬良選手もかなりギリギリまで卍丸選手を追い込んだようにも感じたけど、やっぱり卍丸選手は強い。そしていつもより誇張された『卍丸』じゃなかったです?!怖さと強さとあと帰るときの速さがいつもの比じゃなかったよ。卍丸選手がSTFのときに大瀬良選手の髪の毛を掴んでリングに何度も叩きつけたとき「生中継だぞ?!?!!」って叫びそうでした。人でなしSTF。

第四試合 新崎人生&ザ・グレート・サスケ&ディック東郷vsMUSASHI&日向寺塁&郡司歩

入場のときにサスケ選手で困惑して、東郷選手でおおー!って歓声が聞こえたから、やっぱり新日本ファンのお客さんが多いかったのかなあと思いました。空気感が違った。MUSASHI選手の動き一つ一つにお客さんが湧いてたのも嬉しかったなあ。まあ、このあとあんな事になるなんて思ってもなかったんですが…。
みちのくプロレスのおいしいところを詰め合わせにしたみたいで大満足でした。あとマスターの気での攻撃に対して人生選手と東郷選手が「効いてるよ!」って言ってたの好きすぎる。

休憩明け


休憩時間が明けて、スペシャルゲストの登場です!というアナウンスと共に入場曲が流れ、まさかの新日本プロレスのYOH選手がやって来ました。初めましてだったので、入場してからもしばらく「誰だぁ……このおしゃれで男前な兄ちゃんは……」と思ってました。なんて肌がきれいな男前なんだ。そしてYOH選手からの勧誘により、MUSASHI選手が新日本プロレスのジュニアタッグリーグへの出場が決まりました。ま、マジで?MUSASHI選手、チャンスをものにし過ぎじゃない?過去にメヒコで蜜月を過ごしたDOUKI選手との再会が楽しみです……と思っていたら下記のようにDOUKI選手が触れてくれていました。みちのくで組んでいたことも忘れてないの嬉しいな。


セミファイナル 東北ジュニアタッグ選手権試合 (チャンピオン)義経&景虎vs(挑戦者)GAINA&のはしたろう 

無事にタイトルマッチになったことでまずは一安心。友達タッグが入場のときにお客さんとやるグータッチも復活してたのでめちゃくちゃ嬉しかった!景虎選手が義経選手をめちゃくちゃ応援していて父性を感じました。友達タッグもかなり惜しかったけど、チャンピオンタッグが防衛。そして次回は人生選手&サスケ選手を指名して12月の山形でタイトルマッチです。人生選手もサスケ選手も言うまでもなく実力者なので、どんなタイトルマッチになるのか今から楽しみです。

メイン スペシャルシングルマッチ 
フジタ"Jr"ハヤトvs高橋ヒロム(新日本プロレス)

待ちに待ったメインイベントがスタート。『みちのくプロレス』の幕から新日本プロレスの高橋ヒロム選手が登場したときに、「とうとうこの日が来てしまった…」と強く思いました。だって、始まるってことは終わるってことだからね?!時間無制限だとしても、どちらかが勝つか、負けるか。何はともあれ絶対に試合が終わってしまう。そんな寂しさもありました。

プロレスの試合としてはめちゃくちゃシンプルな作りだと思います。きっとやってる側でしか分からない攻防もあるんだろうけど、私は極々シンプルな、無駄のないプロレスの試合だったと感じました。チョップ、キック、エルボー。華やかであったり、派手な攻防があったとは言い難いです。ただ、ハヤト選手の胸板がどす黒く変色していることから、打ち込まれた打撃の回数と威力が分かるんじゃないでしょうか。

エルボーもチョップもキックも回数を重ねて、時間が経過しても疲れが見えるどころか、威力がさらに増していったように思いました。それに伴って、試合の時間が経つ事に、ハヤト選手の身体にダメージが蓄積され、腰を抑える場面が増えていきました。そして、セコンドについていた林檎🍎選手が、リング内にタオルを投げ込もうとする場面があったんです。

リング内にタオルを投げることは、試合を止めることとイコールです。ここで私はかなりゾワッとしました。すぐすぐの感想はいくつかポストしてるんですけど。

こっちは勝手に、ハヤト選手とヒロム選手のシングルマッチが、とても尊いもので、当たり前にどっちかが勝って、手と手を取り合って良い試合だったねって称えあって終わるって心のどこかで思ってたんですよね。自分の中でプロレスラーと試合をエンタメ的に消費してたんですよ。ドラマでも映画でもないのに、この試合に至るまでにオープニングがあって、試合があって、きれいなエンディングがあって、って思ってた。そんなわけない。だって、プロレスって人間同士が殴り合って、ぶつかり合って、投げ合って、闘うことなんだもん。必ず綺麗事だけで終わるわけではないのに、勝手にそうなるもんだって決めつけてたことに、ここで気が付きました。消化不良で終わることだって当たり前にあることなのに。
林檎🍎選手はタオルを投げませんでしたが、それを見て一気に生々しさを感じたんですよね。だって、セコンドで観てる選手が、止めるべきかを考えるレベルで、ハヤト選手は追い込まれていて、ギリギリで、明らかに疲労してる。ファンにとっては夢のような時間でも、リングの中で闘っている選手には痛みも、辛さも、疲れも、存在している。ああ、これってエンタメで消費するだけじゃいけない。リングに立ってる選手は、人間なんだ。ただエモな気持ちで楽しんでる場合じゃないんだって強く感じました。この男たちのリアルな生き様を脳に、目に、肌に、耳に、焼き付けなければいけない。みちのくプロレスのファンとして、この闘いを見届ける義務がある、と。

そして、ヒロム選手は、何度も何度もラリアットを打ち込んだあと、ハヤト選手に「立て!」と言ってたけど、途中から「立つな!」って言い始めたんですよ。もう、ヒロム選手の声が必死なのよ。どうぞもう立ち上がってくれるな、って感じで。どんな思いで「立つな」って言ったんだろうって考えると、涙がこみ上げました。きっとリングの上でしか分からないことがたくさんあると思うんですけど、試合中に相手に「立つな」って言うのって、心の底からの叫びだったんじゃないのかな。
ハヤト選手って、ギリギリの試合のとき、表現が難しいんですけど、ゾンビみたいになるんですよ。多分記憶も飛んでんじゃないかなってレベルで目の焦点が合ってないのに、立ち上がるし、フォールされたら反射的に肩を上げる。そうするものだって思ってるから、身体が勝手に動いてる。怖いじゃないですか。もう普通の並大抵のレスラーだったらダウンしてますよ。それなのに、ハヤト選手は立ち上がる。
「立つな」って言うのは、もちろんハヤト選手がこれ以上試合を続けたら身体がどうなるか分からないから、終わらせたかったというのもあったのかなと思いますが、ある種の恐怖もあったんじゃないかな、と個人的には思いました。

プロレスの試合を「命を削るような闘い」と表現することって多いですよね。私もよく使うし、メディアでもよく目にします。選手も「命を懸けてる」って表したりする。
数多くいるプロレスラーの中でも、ハヤト選手は本当に「命が懸かってる」試合をしてるんですよね。インタビューなんかでも何度もお話されてると思いますけど、試合が終わったらすぐ病院行って検査して、悪かったら入院して、退院したらまた試合して、の繰り返しですよ。検査結果によっては、「今日の試合が引退試合でした」ってことがあってもおかしくないんじゃないの?って思ってます。
他の誰かと比べることはあまり好きじゃないんですけど、ハヤト選手は持っている覚悟が、並大抵のものとは格が違うんですよ。その覚悟を持った試合をしてくれてるから、ハヤト選手の生き様が、リングの上から観客に伝わってくるんだと思いました。もちろん、その覚悟を持っている選手を相手に試合をしなきゃいけないヒロム選手も、相当なプレッシャーがあったのではないかと思います。ヒロム選手も生半可な気持ちで向き合うことはできない。

試合後のマイクでもハヤト選手は「この日が引退試合になってもいいと思って挑んでいる」といった話をしていました。先の予定が入っているから、その日まではプロレスできるように調整しよう、ってわけじゃない。
その覚悟を持って試合をしてるハヤト選手を相手にするってことは、自分との試合を引退試合にさせてしまうかもしれない。っていうプレッシャーも少なからずあったんじゃないかな。どうかな。これは考えすぎかも。

結果としては、ヒロム選手がTIME BOMBⅡでハヤト選手から勝利を収めました。29分4秒という長い長い時間を、ハヤト選手とヒロム選手は戦い抜きました。
10月15日の運命の一戦が終わってからすでに二日経ってますが、試合のことを思い出すと、多幸感と、悔しさと、疲れと、安堵感とで、胸がいっぱいになります。
ハヤト選手じゃなきゃこの試合をできなかったし、相手がヒロム選手じゃなかったらこの試合にできなかった。この二人が出会ってくれて、矢巾に来てくれて、試合をしてくれて、本当に嬉しいです。ただ、やっぱりハヤト選手に勝ってほしかったというファンとしての悔しさも素直に持っているので、またどこかで再戦してほしいなあとも思います。
みちのくプロレスをそこそこ観ているファンとして、ハヤト選手がみちのくプロレスを選んだこと、高橋ヒロム選手がみちのくプロレスにやって来て試合をしてくれたこと、その舞台を整えてくれたひとたちのことを考えると、どうしようもなく嬉しくて、泣きたくなります。ありがとう、としか言えない。

ハヤト選手とヒロム選手のシングルマッチは、生々しくて、荒々しくて、繊細で、美しくて、怖くて、楽しくて、熱くて、まさに「生き様」そのものでした。
そしてそんな二人の生き様を描いた試合の写真が週刊プロレスの表紙になりました!みんなたくさん買おうぜ!

読まなくてもいい後書き

またしても長くなりました。プロレスの感想noteとしてこの長さってアリなんですかね。なんかもうよく分かんなくなってきた。
できる限り当日のテンションを再現しながら勢いで書いたので、文章が変だったりなんか話のつじつまが合わないとかあっても見逃してください。

ところでリンアナをしてるパンチ田原さんと、みちのくプロレスの公式が以下のようなことをポストしてました。

ビックマッチと言えばスモーク焚いて、ビジョンがあって、前振りの映像が流れて、スポットライトで照らして、生演奏で、ドームだ!ホールだ!特別ゲストだ!って感じですよ。でも、みちのくプロレスは違うんですよ。どっちがいいとか悪いとかじゃなくて、どっちが正しいとか間違ってるとかじゃなくて、どっちが上でどっちが下とかじゃなくて。
みちのくプロレスは、いつだって大事な試合は(概ね)東北でやるし、国内外のトップクラスの選手を呼ぶのだって聖地の矢巾町民総合体育館なんですよ。そこはただの地方の体育館ってわけじゃない。みちのくプロレスにとっては聖地であり、ビックマッチの会場。そういうところが私は大好きです。

いかがでしたか?(クソブログ構文)
やっぱりみちのくプロレスって最高だったね。メインももちろん最高だったけど、第一試合からセミまでのカードがそれぞれに違った良さがあって、本当にみちのくプロレスの良さを存分に発揮した興行だったと思います。
次回は11月にまたしても矢巾町民総合体育館で興行があります。ハヤト選手はYAMATO選手と東北ジュニアのタイトルマッチがあるし、MUSASHI選手は葛西純選手とデスマッチが決定してます。今からワクワクが止まんないです。みんな、また矢巾で会おうぜ!!!読んでくれてありがとな!!!!週プロ買おうね!!!!!!!


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