マガジンのカバー画像

【小説】42歳、主婦。ホームレス。

18
15年の専業主婦生活を経て仕事に復帰した。そこに至るまでの人間関係の葛藤、大人の恋愛の話。
まだまだ日本という国は女性が生きづらい。たくさんの登場人物の中に、あなたがいるかも。男性は女性の生…
¥990
運営しているクリエイター

#主婦

16、離婚は不幸なのか?

三者面談はあっけなく終わった。 私も先生も、心配な部分は見当たらなくて先生との雑談で終わった。 玄関を出ると、お決まりのようにいつものママ友達が集まっておしゃべりをしていた。 和也と同じクラスの女の子のパパとママが離婚したらしい。 その理由がどうやらご主人のDVらしい、という話だった。 へぇ、そんな風に見えなかったけど。夫婦ってわからないものだな… 「そんな風には見えなかったけど、確かにあのご主人は表裏がありそう。」 「子供も少し気になるところがあったよね…」 「娘が言

¥150

15、女が働くという事。

2日後の朝、もうこれ以上社長を待たせられないと思い夫に先日の話をした。 彼は寝ぼけたまま朝のテレビを眺めていた。 彼の頭が朝は働かないことはよく知っている。15年一緒にいるのだから。あとで「聞いていないよ。」と言われる可能性もあると思っていた。 でも彼は、とても喜んでくれた。 「そっか、良かったじゃん。頑張って!」 思いの外あっさりと承諾してくれた上に、心から喜んでくれているようで安心した。まずは家族は大丈夫だ。社長に報告できる! 数日間の胸のつかえが取れてその日の午前

¥150

14、Facebookと誕生日。

その日、私はご機嫌だった。家族の事を考えるまでは。 相変わらず夫は夜遅く、おまけに酔って帰って来るだろう。彼に報告したかったが諦めた。 でも朝が弱いから、朝からこんな込み入った話はしない方が良い。そうなると夜いる日…金曜日までない。 家族に報告してから、一度社長に連絡することになっていた。 なるべく早く良い報告をしたい。

¥150

3、他人の不倫。

2011年5月10日12時00分 GWが終わってひと段落ついたその日、私たちは二子玉川の髙島屋で待ち合わせた。 大学時代の友人、梨花は唯一同じ時期にママになったママ友で子供同士も同じ年頃のため、小学校に入るまえはお互いの家も行き来していた。 別々の小学校のため、今は家族ぐるみというよりこうして子供がいない時間にランチで会うことが多くなった。 昨年から梨花に会うと聞かされるのは、彼氏との話だ。 そう、梨花はもっか不倫中だ。 私たちの子連れデビューは玉川髙島屋だった。駅で

¥150

2、専業主婦という生き物

2010年5月23日11時30分 青山の結婚式場に私たち家族は揃っていた。弟の結婚式だ。 公立高校を卒業して、早稲田に入った弟は合コンで出会った瞳さんと長いお付き合い期間を経て、今日結婚式を挙げる。 ふたりが選んだこの式場はどの結婚雑誌でもランキング上位に入る、人気の式場だ。早稲田から、営業職とはいえ一流企業に勤める弟と、慶応を出て誰もが知っているIT企業に勤める彼女。その企業の中でも新規事業の銀行部門の企画・営業なので花形部署だ。 弟の見た目も悪い方ではないが、大げさに言

¥150

1、終わりの始まり

この記事はマガジンを購入した人だけが読めます