クリスマスキャロル

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3年ぶりに引き出したジャケットのボロが白いシャツを汚して取れやしない。
情けない姿でたどり着いた展望台はカメムシパラダイスで、早々に退散。
極めつけは想い出の品をもって手を合わせてみたら人違いで、風にまで笑われる始末。


思い描いていたようなスマートな再会には程遠く、色々と伝えようと思っていたことも忘れてしまったが、そこに居ると知れたことで宙ぶらりんだった想いがつながった気がした。

この時期にしてはやけに良い天気で海風はあたたかく、潮の香りが心地よかった。
良いところに眠っていると思いもしたが、本意かどうかは知る由もない。

この3日間で6人の若者と向き合う機会を頂いた。
まっすぐな想いをぶつけてきたり、過去を清算しようと数年ぶりに訪ねて来たり、全力で表現をしきって清々しい姿を見せたり、在りし日の記憶を呼び起こさせたり、緊張しながらも真剣に話しを聴こうとしてくれたり、たどたどしくも己の夢を語ったり。

矛盾する感情に揺さぶられて混沌のなかで漂流していた数か月だった。
そんな心を見透かされたかのようなタイミングで、次々と若者が現れて、迷いを焼き尽くされた感覚にある。

いっとき華やかな香りに夢を見たが、どうやら使命に生きるのが定めらしい。

とはいえその道は、寒風吹きすさぶものではなく、今日のようなあたたかで心地よい道のりなのだと思いたい。

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