見出し画像

ハトヨガ的読むヨガ 連載24  トニカクのトニー

イギリスの人気オーディション番組「ブリティッシュ・ゴット・タレント」で大ウケしている日本人コメディアン、トニカク・トニーこと「とにかく明るい安村」さんをご存じでしょうか。

パンツ一丁で決めポーズを取るオチがウケて、一躍時の人になっています。

「トニカクのトニー」という名前を聞いた瞬間、ヨガ哲学の解説テキストの挿絵が頭に浮かび、パフォーマンスを見て大爆笑してしまいました。

トニカクは漢字で書くと、「兎に角」。ウサギです、しかも、ツノが生えたウサギ。ありえねー!毛の生えたカメも載っていた。

向井田みお先生著のわかりやすい解説書「やさしく学ぶYOGA哲学 ヨーガスートラ」より

「兎角亀毛」トカクキモウ:実在するはずがない物事のたとえ。
れっきとした四文字熟語にもなっているんですね。

ここで、ヨーガスートラを紐解いてみます。1章9節で、「(しつこいですが、ブリッティ)の動きの1パターンとして、兎角亀毛な現象、つまり「想像」や「迷い」を挙げています。

शब्दज्ञानानुपाति वस्तुशून्यो विकल्प: ॥9॥
シャブダギャーナーヌパーティ ワストゥシューンヨー ヴィカルパハ
言葉の知識だけに頼って、実は実体がない物事が ヴィカルパです。(それにより疑問、迷い、葛藤が生じてしまいます)

ヨーガスートラ1章9節

ツノが生えたウサギや毛の生えた亀、はては天才バカボンのキャラクター、ウナギ犬のように、実在するはずもない物事を思ってしまうことをヨガ哲学では「ヴィカルパ」(想像、迷い)といいます。
想像や妄想からはじまり、疑問、迷い、葛藤を生むことがあると指摘しています。

無知とヴィカルパ(想像)による間違によっておきる迷いや誤解が、心を苦しめてしまうことが多々あります。
経典は、心は時に、おっちょこちょいに動き続け、迷走、暴走することもあるけれど、変わらない本質があることを忘れないでねと教えてくれます。

人間の脳は、ありえないことを誤って認識しやすく、おっちょこちょい気味に捉える傾向があります。「空耳アワー」もそれに近いのではないでしょうか?特に、私は生まれつきの超おっちょこ系で、過剰傾向にあると、日頃から大いに自省しております。

ところで、最近、お友達の職場付近の側溝から、子猫の鳴き声がするということで、消防に救助要請した事件がありました。発見したうちの一人が一晩保護することに。

保護された子達

その正体は、タヌキの子供!野生動物は保護できないとのことで、翌日、発見場所に戻されましたが、兎角亀毛ならぬ、狸猫ヴィカルパ騒ぎだったわけです。


お母さんタヌキ、早く戻るといいのですが。。。

さて、大うけしているパン一姿のトニカクさんのポージングは、乗馬やジェームス・ボンド、スパイスガールズまで、イギリス人が喜ぶネタが満載で、観客は、みんな想像、妄想(ヴィカルパ)を大いに楽しんでいます。
トニカクトニーさんは、決勝に進んだ暁には、ロイヤルファミリーにもネタを披露したいと抱負を語っているそう。相当際どいジョークや皮肉が大好きなお国柄なので、ある程度の悪ノリも受け入れてくれそうです。トニカクさんの健闘を日本から応援したいです。

ヨガを練習されているみなさんは、想像、妄想の呪縛に惑うときこそ、大きく呼吸!常に真実は自分の中にあることに立ち返りましょうね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?