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運に頼らないファーニマル(基本構造編)


はじめに

 はじめまして。よく遊戯王OCGやMDでファーニマルというデッキを使用しているhatll(はとえる)と申します。

 ファーニマルデッキを使っていて、他デッキとは異なり決まった動きが存在せず、強い動き・弱い動きの明確な基準もあいまいにされることが多い使用難易度が高いデッキだと感じています。また、他の方の記事やレシピを見ても私と同じような考えをしている人がいなかったため、記事を執筆したいと思いました。

 この記事では、運に頼らない再現性の高いファーニマルデッキの構造についてまとめます。ファーニマルデッキを使って勝ちたいと考えている方に届けば幸いです。


デッキレシピについて

 私が今現在(2023/08)MDで使用しているレシピです。この記事ではこのレシピをもとに解説を行います。テーマ内カードの採用理由などは後述します。(テーマ外のカードについては解説しません。ご了承ください。)

《無限泡影》の部分は《エフェクト・ヴェーラー》が理想です。


各カテゴリの役割とデッキの目標

 ここからは、ファーニマルデッキ全体としての見通しを解説します。ファーニマルデッキとは、ファーニマルエッジインプデストーイという三種類のカテゴリを内包しているデッキです。

 ファーニマルモンスターとエッジインプモンスターで融合を行うことで、デストーイ融合モンスターを融合召喚します。メインデッキにはファーニマルカードによるギミックと、エッジインプカードによるギミックが採用され、それらが交わることは基本的にはありません。

 そのため、「ファーマルギミック」「エッジインプギミック」の両方が正常に動いた場合のみ、デストーイモンスターを融合召喚できます。


 より具体的にそれぞれのカテゴリの役割を考えてみます。私が考えるファーニマルデッキにおける目標は《ホエール》の融合召喚です。攻撃力が実質3900あり、融合召喚成功時にお互いのフィールドのカードを1枚ずつ対象をとらずに破壊します。

 他にも様々なデストーイ融合モンスターは存在するのですが、《ホエール》のみで勝利する試合が多いことと、説明の簡略化のためこういった目標を設定しました。

《デストーイ・クルーエル・ホエール》

 では、《ホエール》を融合召喚し、破壊効果を発動するために必要なカードを列挙してみます。
 ① ファーニマルモンスター
 ② エッジインプモンスター
 ③ 《融合》
 ④ 自分フィールドで破壊するカード

 これらの4枚がそろっている場合のみ、《ホエール》を融合召喚できます。これらをそろえるため、「ファーニマルギミック」「エッジインプギミック」を動かす必要があるのです。

「ファーニマルギミック」では、①,④を確保します。
 ① ファーニマルモンスター
 ④ 自分フィールドで破壊するカード

「エッジインプギミック」では、②,③を確保します。
 ② エッジインプモンスター 
 ③ 《融合》

 どちらのギミックも、これらのカードの確保をカード1枚から行えるので、複数のギミックが正常に動かなければいけないという大変さがあっても融合召喚を行うことができるのです。


 また、それぞれのギミックの役割を明確にすることで、テーマ内のカードの採用・不採用の基準も明確にすることができます。

 例えば、ファーニマルモンスターの中でも 《融合》を確保できるモンスターは存在しますが、ファーニマルモンスターには《融合》を確保する役割は求めていません。そのため不採用としています。

 しかし上記の役割を満たさなくても、他の役割があるため例外的に採用しているカードもあります。


先攻を選択

 少し話は変わりますが、ファーニマルデッキでは先攻を取るべきだと考えています。デッキの構造と直接関係のないことですが、大切なことなのでここで解説したいと思います。

 先攻を取る理由は大きく2つあり、遊戯王全体として先攻有利なことと、ファーニマルデッキが後攻で強い理由がないことです。

 前者の理由の説明はより詳しい人にお任せして、後者の理由について説明します。後攻を選択するデッキにおいて後攻を選択するモチベーションは、先行で構えられる妨害がないことや、豊富な後攻札や手札誘発を採用できることだと思います。しかし、ファーニマルデッキではこれらの理由が当てはまらないと考えています。

 ファーニマルデッキでは、後述する《サイズ》により妨害を用意することができます。また、デッキ内に複数のギミックを搭載していることで、それ以外のカードを入れる枚数が少なくなります。後手デッキに求められる程の後攻札や手札誘発を入れられません。そのため後攻を選択するモチベーションは湧かないと思っています。


ファーニマルギミックについて

 ここからは「ファーニマルギミック」について解説します。上にも書きましたが、「ファーニマルギミック」の役割は ①ファーニマルモンスターと ④自分フィールドで破壊するカードの確保です。


ファーニマルの無限役割遂行

 「ファーニマルギミック」では半永久的に必要な2枚のカードを確保し続けることができます。そのために登場するカードは《ドッグ》《ベア》《トイポット》3種のみです。

 《ドッグ》は手札からの召喚・特殊召喚時にファーニマルモンスターをサーチします。

《ファーニマル・ドッグ》

 《ベア》は手札から墓地へ送るとデッキからトイポットをセットします。

《ファーニマル・ベア》

 《トイポット》は墓地に送られた場合にファーニマルモンスターをサーチします。また、フィールドで手札を1枚捨てることができる効果も発動できます。(基本ディスアドバンテージなので、喜んでこの効果を発動することはないです。)

《トイポット》

 これらの3種のカードが、《ドッグ》《ベア》《トイポット》→《ドッグ》という流れでサーチをループさせることができるので、《ドッグ》1枚から半永久的に必要なカードを確保し続けることができます。

 実際に半永久的に戦うことは少ないですが、先攻1ターン目で相手ターンに行う融合の準備と次ターンのリソースの確保を同時に行える強みがあります。

 《ベア》《トイポット》を最初に引いている場合にも、《トイポット》を墓地に送る手段さえあれば1枚から動くことができます。そのためこれら3種のカードと《トイポット》を墓地に送ることができる《おろかな副葬》は最大枚数採用しています。

 また、これらの「初手に1枚引くとファーニマルギミックの役割を果たせるカード」「役割ファーニマル」と呼ぶことにします。

 

羽が生えたようにドローする

 この項では《ウィング》について解説します。《ウィング》の効果を本当に簡単に要約すれば、墓地効果でフィールドの《トイポット》を墓地へ送って2枚ドローします。

 《ホエール》を融合召喚するためのカードにはなり得ない例外的なカードですが、《トイポット》を確保できないカードの中で最も簡単に最大のアドを得ることができるカードです。また、後述する《ドルフィン》との兼ね合いもあり採用しています。

《ファーニマル・ウイング》

 「役割ファーニマル」は1枚で完全に機能するため、初手に2枚引いてしまった場合には1枚分カードが余って損してしまいます。その際に活用するのが《ウィング》です。

 「役割ファーニマル」は全てウィングをサーチすることができるため、余ったカードを《ウィング》に変換することができます。そうして《ウィング》を融合素材など無駄なく墓地へ送れれば2枚ドローの2アドです。《トイポット》でただ捨てただけでも1アドです。

 こうして余ったカードを《ウィング》に変換してドローも行っていくことは、ファーニマルギミックの重要な強みです。先行を取った際に1ターン目と3ターン目で2回発動したいため、2枚の採用です。


最強のドルフィン

 ファーニマルの最強モンスター、《ドルフィン》について解説します。起動効果で墓地の《トイポット》をセットし、さらにデッキからファーニマルモンスターを墓地へ送れます。

《ファーニマル・ドルフィン》

 先に採用枚数についてですが、墓地に《トイポット》が必要なため初手には引きたくないので1枚の採用です。

 《ドルフィン》の強みの説明ですが、上で説明した《ドッグ》《ベア》《トイポット》《ドッグ》というループをしている際、《ドッグ》を召喚するところを《ドルフィン》に変えると、ループを止めずに追加で《ウィング》を墓地へ送れます。

 つまり、初手の「役割ファーニマル」1枚から必要なカードを確保するだけでなく、2枚ドローも確定で行えるようになるのです。


今までの話を踏まえて「ファーニマルギミック」をまとめると、

「役割ファーニマル」が初手に1枚のみの場合
 ホエールの融合召喚に必要なカードを確保しながら2枚ドローします。

「役割ファーニマル」が初手に2枚以上ある場合
 「役割ファーニマル」1枚を《ウィング》に変換することで追加で2枚ドローします。計4枚ドローできるということですね。

 《ウィング》の効果は名称ターン1なので、1ターンに複数回のドローを行うことはできませんが、少ない枚数から最大限のアドバンテージを得る方法を考えた結果これが最善の動きだと考えました。


エッジインプギミックについて

 ここからは「エッジインプギミック」について解説します。上にも書きましたが、エッジインプギミックの役割は  ②エッジインプモンスターと ③《融合》の確保です。

みんなエッジインプ+融合

 エッジインプギミックで初手にほしいカードは《パッチワーク》《チェーン》《サイズ》の3種です。これらはどれもエッジインプモンスターと《融合》を確保することができます。

 《パッチワーク》は通常魔法でデッキからエッジインプモンスターと《融合》をサーチします。

《魔玩具補綴》

 《チェーン》は手札・フィールドから墓地へ送られた場合にデストーイカードをサーチします。

《エッジインプ・チェーン》

 《サイズ》は相手メインフェイズに手札のこのカードを見せることで、このカードを含めてデストーイ融合モンスターを融合召喚します。

《エッジインプ・サイズ》

 《チェーン》のみ一度墓地に送った後に《パッチワーク》等をサーチする必要はありますが、どれも1枚でエッジインプモンスターと《融合》を確保、もしくは融合する効果を持っていることがわかります。

 このデッキは1枚《ホエール》を融合召喚するだけで8000削る方法があるため、これらを1枚引くことができれば、最低限勝ちに行けます。

 どれも初手に必要、かつ複数枚引いても悪いことはないため、最大枚数の採用です。


サイズで1妨害

 《サイズ》の効果で相手ターンに《ホエール》を融合召喚することで、妨害を行うことができます。これが先行で構えられる妨害です。上の3種のどれを引いても《サイズ》をサーチできるため、ほとんど確実に1妨害を用意できます。

 《サイズ》による妨害の強みとしては、先行で特殊召喚しないためG受けが良い点や、手札のカードのみで妨害を行えるため相手の除去や後攻札にまくられることなく確実に妨害ができる点があります。この確実な1妨害のおかげで自分が生き残るための妨害をすることができ、返しのターンでたまったリソースを使用して勝ちに行くことができます。

 これは余談ですが、筆者としては先行1ターン目から融合召喚を行い、リンクやエクシーズなどの妨害を構えるのは強いと思っていません。リソース確保の難しさ、デッキの不純物の増大、増G受けの悪さなど様々な要因から先行では《サイズ》の1妨害が良いと考えています。(別ギミックの妨害(烙印・罪宝など)は悪くないと思います。)


魔玩具融合でもう一回

 エッジインプギミックにおけるもう一枚の重要カードである《デストーイ・フュージョン》にも触れておきます。通常魔法でデストーイ融合モンスターを墓地融合することができるカードです。

《魔玩具融合》

 ファーニマルデッキにおいて数少ない1枚から融合モンスターを出せるカードであり、相手のライフを削りきる際や展開の起点として重要な役割を担います。

 このカードの強さは多岐に及びますが、その中でも《パッチワーク》《融合》《チェーン》《デストーイ・フュージョン》とサーチすることで、2回分の融合召喚を行う動きは強力でしょう。

 必要となったタイミングでサーチして使うため、1枚の採用です。


まとめ

 ファーニマルデッキではこれらの2つのギミックが同時に動くことで、デストーイモンスターを出していきます。このような少ない枚数からの運に頼らない展開を把握しているか否かで、このデッキの勝率は大きく変わると思っています。

 また、今回紹介したレシピはファーニマル・エッジインプカードの種類が一般的なファーニマルデッキよりも少なく、取れる選択肢が少ないため、初心者にも使いやすくなっていると思います。ファーニマルデッキを使ったことがない方も、使ってみてもらえれば幸いです。


あとがき

 ここまでこの記事を読んでくださり、本当にありがとうございます!こうした記事を書くことは初めてだったので拙い部分もあったと思います。

 私自身ファーニマルデッキについての考え方は日々更新されていっているため、この記事の内容が100%正解とは思っていません。しかし、この記事のような見通しを持って戦うファーニマルデッキには、トイポットで運に頼って戦うよりも面白さが詰まっていると感じています。読者の方も同じように感じていただけるかは分かりませんが、このようなファーニマルデッキの在り方も知ってほしいのです。

 次回何かを書くかはわかりませんが、ファーニマルについて書きたいことはたくさんあるので、ぜひ見かけたら読んでみてほしいです。ご意見・ご質問などあればぜひTwitter(X) : @hatll_kahentyo までお送りください。それではまた。


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