フエキ

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夏の終わりのマーガレット

第一章 十二年前 久しぶりに再会した君は、少し大人びていた。 初めて会ったのは私が大学生の時、おしゃれなカフェでアルバイトしたいという夢は 寮から大学までの通学ルートに存在しないという理由で諦められてしまう程の物で、 結局行き帰りが楽なのと、まかないでお寿司が食べられるのではないかという淡い期待で近くの回転寿司屋さんで始めたアルバイト先で、たまたま同じ日からバイトを始めたという物だった。 彼はその時まだ高校に入ったばかりで、三つ下というだけですごく子供に思えた。 子供と言

    • 碧のレンズ

      嫌な事から目を背けたい。人生めんどくさいことばかりだ。 今日も一軒一軒、チャイムを鳴らしては、自社の布団がどれだけ軽くて暖かい優れたものなのかを 何十回と説明する。このネット時代に 「汗を流した方が話を聞いてくれるだろう。俺の時代はそうだった。」という昔ながらの老害の安易な理由で 未だに訪問販売をしている。 歩合率が高い。顔もしゃべりも悪くない俺なら同世代より頭一つ抜けた収入も目指せると高を括っていた結果が 毎日何十件何百件とチャイムを鳴らしては、インターホン越し

      • メトロトロトメ

        「ただいま。」 東京駅から丸の内線に、この道も見慣れてきた。 地下鉄が止まるときのブレーキ音が何故か心地よくて好きだ。 ふるさとにはない地下鉄、 東京に出てきて初めて知った 時には希望に満ちた、時にはメランコリックな「音色」 酸いも甘いも経験して。今では第二のふるさと「東京」 メトロに乗って、今日からまたがんばろう。 「おかえりなさい。」

        • リセット

          スマートフォンを確認すると、同じ番号からの着信履歴が数回… この履歴を見る度に、毎回異なる感情を感じる。 ある時は怒り、ある時は蔑み、異なるとは言ってもそれは全て負の感情としてのカテゴライズで 僕に向けられている。 まあ当たり前である。僕が無断で仕事を飛んで、何も言わずに辞めているからだ。 少しでも嫌な事があると、辞める事でリセットしている。 足がつかない様に何度も引っ越しをしている。 住む場所が変われば気持ちも前向きになるものだ。いつか必ず僕に合う職場や仕事が

        夏の終わりのマーガレット

          よわくなってく僕からつよくなってくあなたへ 壱月九日

          産んでくれてありがとう。 コロナウイルスで立ち会いの日まで、病院には入れずエコー写真をみるだけで 今日まではあなたに比べると、実感もそんなに沸いてなかったかもしれない、でも 想像もできないような痛みを、 永い 永い時間を よわい僕を支えて離さないその大きな愛を、強さを 今度は新しい命に向けて ついに合わせてもらう事が出来ました。 嬉しかった… 人生山あり谷ありというけれど 出来ることなら楽しいことを共有したい ささやかでいいから、たまにはそういうことが

          よわくなってく僕からつよくなってくあなたへ 壱月九日

          よわくなってく僕からつよくなってくあなたへ 1月9日

          産まれてきてくれてありがとう。 コロナウイルスで立ち会いの日まで、病院には入れずエコー写真を見るだけで 正直お母さんよりは、実感が湧いていなかったかもしれない、でも 立ち会いの日、初めて病院に入って あなたに会うことが出来ました。 嬉しかった… 人生山あり谷ありと言うけれど 出来ることなら辛いことは経験してほしくない 普通でいいから、身体だけは元気で 月並みな人生を生きて、 生き抜いてほしい 大切なものが増えると 大切な時間が増えると 自分は弱くなっ

          よわくなってく僕からつよくなってくあなたへ 1月9日