スシローで一番コストパフォーマンスの良い寿司ネタ
■背景
みなさん回転寿司好きですよね。
私も好きですので、よく回転寿司に行きます。そしてそれはいつもスシローです。
この人・・・スシロー行きすぎでは・・・?
そして、これだけ行っているとふと思うのです。スシローのメニューの中で何が一番コスパいいんだろうって。
それがこの記事の始まりでした。
■調査
当然、まずググります。
サイト①
らしい。。。?
サイト②
どういう理屈。。。?
見ての通り、どいつもこいつも根拠が浅い。
なんだ、いかがでしたでしょうかって!ちゃんと調べて書け!!
■調査やり直し
ちょっと、そこへ直れ!!
一流のニートが鍛えなおしてやる!!!
というわけで自分で調べることにします。
流れとしては、メニューと材料の単価をまとめて、原価率を予測する方針で行こうと思います。
では、まず、公式サイトからスシローのメニューを取得します。
データ取りにくそうなサイトだ。。。API無いんですか。
仕方が無いのでソースコードを読みます。
整理されてる!
イケる!イケるぞ!!!
適当にGrepや正規表現などを駆使して抽出していきます。
一覧ができました。ここまで10分。
■魚の単価
では、次に魚の単価を調べます。
先ほどと同じように、まずググります。
サイト①
釣りサイトだから、釣れる魚の情報しかない
サイト②
情報少ない。いつの情報かも分からない。
サイト③
どうぶつの森じゃねぇか!!
とまぁ、まともなサイトが無かったのですが、時間をかけて調査したところ、東京都中央卸売市場の日報・月報・年報データが使えそうだったのでこちらを使ってみます。要は豊洲市場の統計データってことですね。ここまで1時間。
なにこのロゴ
一覧の取得データです。
こいつ。。やりおる。。。
なんと、各月の取引量・金額・kg単価まで掲載されています。
やはり頼れるのは公的機関です。外注だらけのアフィブログなんて頼った私が悪かった。ブロガーは書くならもう少し調べて記事を書いてほしいものです。
単価さえ分かればいいので使いやすいように整理していきます。
メニューと同じように無駄な部分をそぎ落としていって。。。。
はい、できました。500行近い超大作です。
いいデータベースになりそうです。
あとは商品と単価をマッチングさせていくだけです。
私はPairsすらマッチングしないのに。。。(こんなことやってるからだ)
■マッチング作業
いきなり詰みました。
魚の種類に中トロなんてあるわけがありません。
当然、魚の部位ごとの単価を載せているサイトなんてものがあるはずもないのです。
仕方が無いので私の独断と偏見で重みづけしていきます。
まぁ、まぐろ本体より中トロの単価は高いだろう的な感じで。
全部VLOOKUPで処理したかったですが、できないものは仕方ない。
AIだとか、機械学習だとか、データマイニングだとか、データサイエンティストだとかもてはやされていますが、仕事のだいたいはこういうデータ整形作業なのです。
■作業続き
以降は私の苦悩の記録をごらんください。
長いので、まとめだけ知りたい方は読み飛ばしてください。
なお、魚を使わないサイドメニューは調べないこととします。
また、寿司の上に乗っている野菜やチーズ類は計算から省きます。大して高くないでしょうし面倒なので。。。
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まずは王道のまぐろです。実はスシローのまぐろは公式サイトで何のまぐろを使っているか教えてくれています。こちらをご覧ください。
わかりやすいですね。よって、赤身はキハダマグロ(1121円)、中トロはインドマグロ(1953円)、大トロは本マグロ(2970円)で計算します。
※ ()内はkg単価。以降同様
また、赤身・中トロ・大トロの価格差はこちらの画像を参考にしました。
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今は、鰤の稚魚を短期育成した魚をハマチと呼称する様になりました。
つまり、鰤を養殖した「イナダ・ワカシ」クラスの中型のブリが「ハマチ」なのです。
ですので、関東でも「イナダ・ワカシ」の呼称は「天然物」に限って使い、
養殖は「はまち」と呼んでいるのです。(それ以下のサイズは養殖業者が出荷しませんので殆ど天然)
https://temaeitamae.jp/top/t6/k2/6.html
はまちは、サイズ、養殖・天然、地域などによって名称が変わる魚です。
価格を見てみると、意外と天然物である「いなだ」や「わかし」より養殖が一番高いことに驚きました。
一応「はまち」と呼んでいるので、養殖はまち(1147円)で良いんでしょうか?良いんでしょう。
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私がいつも頼むえんがわです。一番おいしいと思っています。
当たり前ですが、えんがわなんて魚は居ないので調べてみます。
えんがわとは、魚の部位の通称で、刺身や寿司のネタの一つ。
ヒラメ、カレイの鰭を動かすための筋肉のことをいい、コリコリとした舌触りが好まれる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%88%E3%82%93%E3%81%8C%E3%82%8F
よく理解せずに食べていましたが、ヒラメ・カレイの部位だったのですね。
価格表をひらめ・かれいで検索しましたが多すぎました。鮮魚のかれいだけで14品もあるんですが、、、(冷凍を含めるともっとあります)
なんの魚を使っているのかわからないので調べます。
最近多くの回転寿司店では、えんがわにヒラメが使われていないそう。
えんがわは取れる量も少なく、ヒラメ1匹あたり寿司4貫にしかなりません。
そのため安さが売りの回転寿司店では、高価なヒラメの使用が不可能。
新宿歌舞伎町にある人気店「桜すし」の大将・高橋一郎さんは、
えんがわの代わりに“オヒョウ”という魚を使っていると明かしてくれました。
https://sushitimes.co/2018/09/24/20180924_1/
なんだと・・・ヒラメじゃないだと・・・?
どうやら、オヒョウという魚を使っている?
調べました。2016年のスシローのサイトに「カラスカレイ」「アブラカレイ」を使っていると書いていました。冷凍品として「冷からすかれい」(1087円)が品目にあるのでこれを使います。「冷おひょう」(1214円)もありますが単価はあまり変わらないので問題ないでしょう。
ちなみに、カラスカレイとは、北方に生息している1m級の大型のカレイらしいです。どうりで輸入元が北の地なわけだ。豊洲市場ってすごい。
なお、1匹のカレイを全て使えるわけではないので、恐らくえんがわだけの部位だけで計算すると、それなりのお値段になりそうです。5割増しで計算しておきます。
ところで、えんがわの調査だけで、そこそこ時間がかかりました。
まさか、これ、全部やるの。。。?(絶望)
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気を取り直して、みんなに人気のサーモンです。
近年出回っているサーモンのほとんどは、ノルウェーやチリの養殖サーモンであることは有名です。ノルウェーでは「アトランティックサーモン」、チリでは「サーモントラウト」という品種が主に養殖されているようです。
日本とは比べ物にならない巨大な資本力・規模で養殖がおこなわれているそうです。写真はノルウェーの養殖場の写真です。右側の船があのサイズですよ。。。
この分類には悩んだのですが、行政では外国産のサケ(サーモン)を品種ごとに統計を取っていないようです。サケにも色々とあるのですが、「輸入さけ・ます」の取引数量が多いので、これがノルウェー・チリサーモンだと思われます。意外と国産のサケより高いですね。1.5~2倍くらい高いです。生食用だからでしょうか。
また、スシローでは青森県産のサーモンを期間限定で提供していますが、こちらは政府が支援している津軽海峡付近で養殖するサーモンだと思われます。いくつかニュースが見つかりました。こちらは「マス」扱いで記録することとします。
なぜマスなのかと思った方もいるかもしれません。実はサーモントラウトは日本名にするとニジマスになります。2014年ごろにはサーモントラウト(ニジマス)をサーモン(サケ)と表示することを景品表示法違反とするかで話題になったこともありました。現在はサーモンというとサケのイメージを持つ人は減ったように思うので、呼び名もだいぶ浸透してきた気がします。閑話休題。
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お次はイカです。
スシローのイカは何のイカか書いていません。ですが、例によって過去のサイトを見ると「ヤリイカ・真イカ」と書いていますので、ヤリイカで換算します。
イカも様々な種類があるのですが、ヤリイカは平均的な価格帯のようです。単価を見てみると、アオリイカが一番高いようです。高級店で出てくるイカですね。ダントツです。個人的にはコウイカが好きです。
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えびは「バナメイエビ」というクルマエビの一種で、ベトナムやタイから仕入れているようです。えび養殖業界では業界一位の有名なエビらしいです。私は知りませんでした。ちなみに中国が生産量世界1位ですが日本での輸入はそれほどありません。自国での消費割合が多いようです。
冷凍のエビは国ごとに分けられているので、タイを選んでおきます。ほぼ国ごとの単価は変わらないですね。
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エゾイシカゲガイ(蝦夷石蔭貝) とは、マルスダレガイ目ザルガイ科イシカゲガイ属の二枚貝です。
市場ではシロトリガイ(白とり貝)や、イシガキガイ(石垣貝)の名前で流通しています。
https://www.kagiken.co.jp/new/kojimachi/shell-ezoishikakegai_large.html
白とり貝は、高級貝のとり貝(3177円)の一種ではなく、本来はエゾイシカゲ貝という名前らしく、それを「石垣貝」として売り、さらに名前を変えて「白とり貝」と名付けて売っているようです。高級品に見せかけているのがちょっと悪質ですね。この調査勉強になります。
市場では石垣貝(1996円)として売られており、単純計算でとり貝の6割価格になります。盛りすぎだ。
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古くはツナシと言い、大伴家持の古歌に「都奈之」として登場する。
成長段階に応じて呼び名が変わる、いわゆる出世魚の一つである。
関東地方では4cm-5cmまでの幼魚をシンコ、7cm-10cmぐらいはコハダ、
13cm程度はナカズミ、15cm以上はコノシロとなる。その他の地域での若魚の名前として、
ツナシ(関西地方)、ハビロ(佐賀県)、ドロクイ、ジャコ(高知県)などがある。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%8E%E3%82%B7%E3%83%AD
こはだは、ブリと同様に成長段階で名前が変わる魚で、昔は大量に捕れたため、飯の代わりにする魚という意味で「飯代魚(このしろ)」と呼ばれたと伝えられています。穀物より安かったというわけですね。現在では希少性が上がってそこそこ高いお値段となっております。
豊洲市場では「このしろ」(1100円)で統計がとられているので、こちらで記録します。
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私、いくら好きなんですよね。なので、いくらはよく食べます。なんならスーパーですじこを買ってきて自作したりします。
これは悪魔の味です。うますぎです。
ですが、なんとスシローのいくらは「ますこ」(マスのたまご)を使用しています。ますこはいくらに比べて安いそうですが、まぁそれでも結構高いです。通販サイトなどを調べた限り大きな価格差は無かったため、8割価格で計算します。
回転寿司にありがちな半分がキュウリで埋められているので、重みづけは0.5*0.8=0.4倍くらいでしょうか。キュウリ戦略せこい。
■ 原価率表
もっと苦悩を書きたいのですが、長くなってきましたのでこのあたりでまとめたいと思います。
寿司ネタを1貫あたり10g使うものとして原価率を算出してみました。
当然、寿司ネタだけの原価率ですので、シャリや人件費や調理コスト、設備投資費などはなんら考慮されておりません。計算が難しいためです。予めご留意ください。
また、私の所感で部位やサイズごとに重みづけを行っていますが、実勢価格との乖離はあると思われますので、その点ご了承いただければと思います。あくまで傾向が分かる程度とお考え下さい。
計算式:原価率=kg単価/100*貫数*重みづけ/価格
※ 黄色セルは悩んだ部分
では、表がこちらとなります。
全体を眺めてみると、にぎりと軍艦の違いや、価格差による傾向は無さそうです。
寿司ネタとしては、えび、貝、サーモンなどが比較的高めで、いわゆる光モノのサバ、イワシ、カツオなどが安い傾向にあることが分かります。
■コスパランキング
表を見て頂くだけでも良いのですが、せっかくなので、10位までランキングを解説していきます。
1位 黒みる貝 (原価率42.78%)
栄えある1位には「黒みる貝」がランクイン!
ちょっと意外な結果です。全般的に貝類は単価が高い傾向にあるのですが、その中でも「みる貝」は特に単価が高くなっています。輸入品に頼っている黒みる貝ですがスシローの高い仕入れ能力が発揮されているのかもしれません。
2位 小川商店の生うに (原価率41.45%)
2位には「生うに」がランクイン!「うに」はkg単価が15543円となっており、他の追随を許さないダントツの超高級品のため原価率が非常に高くなりました。お値段300円の皿のため原価率を下げやすいはずですが、元の原価を覆すほどにはなりませんでした。店で注文してみると、仕入れコストを下げるためか形の崩れたうにを使用していることを確認できますが、それでも高い。こちらは期間限定品となっており、在庫は運次第ですが、在庫があればぜひ食べておきたい一品です。
3位 白とり貝 (原価率39.92%)
3位は「白とり貝」がランクイン。
別名、石垣貝と呼ばれており、とり貝の偽物扱いされている白とり貝ですが、偽物であっても価格はそれなりにします。貝類2つ目です。強い、強いぞ貝類。
4位 本鮪赤身 (原価率39.60%)
4位は寿司屋の定番、「本鮪赤身」が入ってきました。
通常の「まぐろ」(100円皿)はキハダ・メバチを使用しているため、原価率は22.42%とそれほど高くありませんが、こちらは本まぐろブランドにより原価率が非常に高くなっています。150円皿で提供しているのは寿司屋としてのプライドを感じる価格設定です。通常の「まぐろ」ではなく「本鮪」(ほんまぐろ)の赤身ですのでご注意を。
5位 甘えび (原価率38.44%)
5位は「甘えび」です。
分類として「あかえび」扱いしたこともあり、若干この位置に居るのは怪しいですが、全体的にえび類は原価率が高く、さらに甘えびは生モノですので、高原価率であることは間違いが無いでしょう。子供に人気が高く100円皿から上げられないことも高原価率を維持する理由になっていると考えられます。
6位 大切りサーモン (原価率37.10%)
6位に人気のサーモンが入りました。
こちらは「大切りサーモン」という期間限定品で、サーモンが大きめに切られています。通常のサーモン自体、原価率30%程度でそれなりに高いネタですが、これがさらに大切りになり、お値段そのままの100円で提供していることで原価率が上昇。サーモンを食べるならおススメです。勝負の逸品です。
7位 えんがわ (原価率36.96%)
7位には「えんがわ」がランクイン。
ヒラメの代わりに大型のカラスガレイ・アブラガレイを使用していますが、それでも部位として大量に取れないことから原価率は高いようです。脂がたっぷりのったネタで、コリコリした食感が大変美味しいネタです。私は4皿くらい頼みます。
8位 いくら (原価率36.18%)
8位は「いくら」です。
やはり高級品は原価が厳しい。「きゅうり」や「ますこ」を使ってコストカットしていますが、元が高いものは高いということでしょうか。
9位 つぶ貝 (原価率36.14%)
9位は「つぶ貝」です。
またしても貝類です。なんとTOP10のうち3品目です。貝ってそんなに高かったんだ・・・
10位 ほたて貝柱 (原価率35.25%)
10位は「ほたて貝柱」となりました。
そして貝類4つ目です。ほたて自体が高いのではなく、貝柱が特に人気のため高いのです。ほたては養殖に成功しているため価格が下がっていますが、さすがは王者ほたて様といった貫禄です。
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ところで、ウナギもハマチもタイも上位に入っていないんですが?
適当なことを書いているブロガーは処刑です処刑。処すぞ。
■おまけ:高級寿司ネタ 価格ランキング
今回は、スシローのメニューをターゲットにして価格ランキングを作成しましたが、「高い寿司ネタは何か」というのも私が気になったためまとめました。一部取引量の少ない商品は省きます。価格はkg単価です。
1位 うに
2位 あわび
3位 しゃこ(高級えび類)
4位 うなぎ
5位 かに
順当な結果ですね。回ってない寿司店でみかけるネタばかりとなりました。そしてウニがダントツで高いです。他の2-3倍のお値段です。安いコース代でウニを提供する店は最高かもしれません。ちなみに6位以降は貝類などが並びます。
■まとめ
いかがでしたでしょうか。書くのに12時間ぐらいかかりました。
暇なの?って思いましたか?実は暇じゃないですよねこれが。現実逃避です。
ニートだから許されることってありますよね。
社会人が平日昼間にやってたらクビですよクビ。
みなさんは平日昼間に寿司の原価率を大真面目に調べたりしないようにしてください。言わなくても誰もしないと思いますが。
■結論
それでも、私は「えんがわ」と「サーモン」が好きです。
好きな寿司ネタを食べましょう。
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