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【スタンダード】エリア予選突破(未遂)―【青黒コントロール】デッキガイド―

割引あり

感謝のスタンダード

標題の通り,今回のチャンピオンズカッププレミアム予選~エリア予選~特別予選行脚では,権利獲得とはならなかった。というか,バブルマッチで3回負けた。今月末のチャンピオンズカップファイナルに向け,ラストチャンス予選も出ることだし,骨の髄までスタンダードを堪能出来て,まったく感謝様様である。

今期のスタンダード環境については様々な意見があるだろうが,基本的には私は上記の市川ユウキ氏の意見に賛同している。よく言えば多様性があるが,各デッキタイプ(アグロ・ミッドレンジ・ランプ・コントロール)で完成されたデッキが存在し,その中で選ぶだけ。悪く言えば,もうみんな見飽きた。そんな環境だ。私は今シーズン,その中でも【青黒コントロール】を選択し,注力して調整していた。

そんな中,この【青黒コントロール】については,現行のメタゲームで一定の地位を獲得しているにも関わらず,デッキガイドなどの知見はあまり広まっていない印象を受けた。

前述の通り,最終的な成果という点では今一歩だが,それなりの期間調整に当てた思考やサイドボーディングなどを残しておこうと思う。本デッキに興味のある方はもちろん,今月末に常滑で行われるチャンピオンズカップファイナルや,ジャパンオープンに参加される方にとって,本記事が有益なものとなれば幸いだ。

本記事では,スタンダードにおける【青黒コントロール】の成り立ちと現環境での優位性から始まり,基本的な構成の解説,主要なアーキタイプに対してのサイドボーディングガイドを記載しております。

サイドボーディングガイドについては有料設定としておりますので,前半部分をお読み頂き,本デッキに興味を持ってくださった方は,ご購入いただけると幸いです。

以下に,過去に執筆したnote記事の一部を紹介しております。どの程度の文章を書いているのか,ご購入に際し参考になれば幸いです(すべての記事はこちらから)

以前スタンダードで行われたエリア予選の調整録。私個人が苦手としているミッドレンジデッキをいかにして思考・調整したかの過程を綴っています。現行スタンダードへの取り組み方にも通ずるところがありますので,こちらも是非。

読み返して,ここでもバブル負けしたんだな,と悲しくなりました。
でも,マジックとはそういうもの。

この【青黒コントロール】の主役でもある《完成化した精神,ジェイス》。これを「モダンの【ケシスコンボ】」に持ち込み,一定の形にまで仕上げた一品となっています。お夜食にどうぞ。

ちなみにこの記事は,上記デッキでModern Challengeに参加したラウンド間で書いていました。そして,バブルマッチで【アミュレットタイタン】にブン回られて負けました。なんなんだ,まったく。

なぜ【青黒コントロール】か

どういうデッキ?

デッキリスト

1 最深の裏切り、アクロゾズ
1 幻影の干渉
3 三歩先
1 切り崩し
3 推理
2 否認
1 眼識の収集
4 喉首狙い
3 長い別れ
1 シェオルドレッドの勅令
4 記憶の氾濫
2 強迫
2 危難の道
4 死人に口無し
2 完成化した精神、ジェイス
3 闇滑りの岸
4 廃墟の地
3 島
1 ミレックス
1 天上都市、大田原
3 不穏な浅瀬
4 難破船の湿地
3 沼
1 見捨てられたぬかるみ、竹沼
2 地底街の下水道
1 地底の大河


2 強迫
2 真髄の針
1 否認
1 眼識の収集
1 真実の抽出
3 ティシャーナの潮縛り
1 危難の道
2 黙示録、シェオルドレッド
1 最深の裏切り、アクロゾズ

MTGarena インポート用

基本的には,大量の除去とカウンターを《記憶の氾濫》を始めとしたドロースペルで使い続けて相手の勝ち筋を捌き,《完成化した精神,ジェイス》《不穏な浅瀬》の切削能力でライブラリアウトさせて勝利するデッキだ。実に【青黒コントロール】らしい。

各マッチアップ相性差

詳細はサイドボードガイドの欄に記載したが,ざっくりとした相性表は

有利:【版図ランプ】,【ディミーアミッドレンジ】【エスパーミッドレンジ(《婚礼の発表》無しver)】,【ティムールランプ】

やや有利:【エスパーミッドレンジ(《婚礼の発表》ありver)】【青白コントロール】

やや不利:【赤単】

不利:【ゴルガリミッドレンジ】【ボロス召集】

無理:【バント毒性】

後述するが,【版図ランプ】【エスパーミッドレンジ】に対して優位性がある一方,アグロデッキについては,やや苦しい立ち位置となっている。

打倒【エスパーミッドレンジ】

今回の『PTサンダージャンクション』メタゲームブレイクダウンを見ても,一際目立ったシェアを誇るデッキだ。勝率ベースでは決して支配的な強さを誇るわけではないにしても,多くのプレイヤーが選択した。端的に言えば,「圧倒的な押し付けがありつつ,サイドボーディングにより構成にも柔軟性がある。目立った弱点のないデッキ」だ。無敵ではないが,ミッドレンジらしい万能感を備えたデッキであり,人気があるのも納得。今月末の常滑でも一定の使用者がいると考えられるだろう。今後大型大会に出るのであれば,最低でも【エスパーミッドレンジ】には楽な試合運びができるデッキを持ち込みたいところだ。今回紹介する【青黒コントロール】もその一つだ。

無駄牌お断り野郎

【エスパーミッドレンジ】の欠点の一つに,「リソースを安定して供給するカードが少ない」ということが挙げられる。《策謀の予見者,ラフィーン》は極めて優れたルーティング能力があるものの,カードの枚数自体が増えるわけではない。もちろんそのルーティング能力で不要牌をリフレッシュし,その都度状況に合わせたカードを探しに行ける。だが,《ラフィーン》が機能しない状況であれば,それは凡庸なミッドレンジになり下がる。

プラン破壊野郎

では,単体除去やカウンターで《ラフィーン》を対処すれば楽勝,と話はそう簡単ではない。そこに待ったをかけるのが《大洞窟のコウモリ》だ。こちらの手札をピーピングし,急所となるカードを抜いてからの攻めは,受ける側を著しく不利にする。よくあるミッドレンジの「自分の展開」+「少量のカウンターや除去」のような手札の組み合わせでは,ハンデスで穴を作られてしまい,相手だけ優位な噛み合いを発生させることが可能だ。

【エスパーミッドレンジ】ミラー
対【青白コントロール】

さて,ここで一つ考えてみてほしい。そんな《大洞窟のコウモリ》が「弱い瞬間」はいつだろうか?一番わかりやすい状況は,こちらの手札がない時。しかしそれは最序盤で臨める状況ではない。では他にどんな状況が考えられるか?それは,「同じ役割のカードしかハンドにない時」である。

同等のカードばかりであれば,「どれを抜いても同じ状況」を作れるからだ。前述した《ラフィーン》の対処という観点からも,狙うべきは単体除去を多量に取れる構成だ。

まだ使えるんかい

ならば,「徹底的な除去」+「ドローソース」の組み合わせを備えておけば,【エスパーミッドレンジ】に対して有利にゲームを進めることができる。つまるところコントロールを組めば良い。現行のスタンダードで最もリソースを取れるドロースペルは《記憶の氾濫》。そして単体除去は黒に良いものが揃っている。

そういった構築設計で,【青黒コントロール】は主流デッキである【エスパーミッドレンジ】に有利が取れるデッキの1つと言えるだろう。

【青白コントロール】との違い

他方で,現行スタンダードにおけるコントロールデッキの筆頭と言えば,【青白コントロール】だ。【青黒コントロール】を論じる上で,この2者のデッキの比較は,避けては通れない。

①除去のテンポと役割
【青白コントロール】と,【青黒コントロール】の最大の違いだ。
まず,現行の青白コントロールの除去の構成を見てみよう。

枚数は適当です

青白コントロールに採用されている単体除去は,基本的には《冥途明かりの行進》と《失せろ》の2種類。リストにもよるが,合計5~7枚程度取られている。これに加えて,《喝破》4枚を除去枠と数えれば,一見して序盤を十二分に支えられていると言えそうである。

だが,まず《喝破》は後手の場合,相手の2マナ域をカウンターできない。再三触れている《大洞窟のコウモリ》が最たる例だ。《冥途明かりの行進》は,トークンやミシュランガイドに打つでもない限り,1テンポずれるか,余分なカードを要求する。《失せろ》はその万能性こそ認めるが,ミシュラランドが標準搭載されている現行のミッドレンジ相手に対し,《地図・トークン》を渡すデメリットは,もっと重く考えるべきであろう。最近の【青白】のリストは《失せろ》は減る傾向にあることからも,明らかだ。

先の項で例示した盤面のように,「各マナ域」に強力なカードが配置されている都合,《コウモリ》によって展開に穴を作られやすいという弱点がある。

全体的に軽い

対して青黒は重いスペルは《死人に口なし》4枚のみ。【青白コントロール】の除去構成と比べて,全体的に1回り軽く,そして同じマナ域の除去で構成されていることが分かるだろう。序盤を捌くことにかけては,【青白】よりも【青黒】に分があると言えるだろう。

②【版図ランプ】への優位性
『PTサンダージャンクション』の井川良彦氏の優勝以降,再び数を増やしている【版図ランプ】。直近の大会のメタゲーム集計でも数を増やしており,主勢力の【エスパーミッドレンジ】にもある程度の優位性が確認されている。

青黒コントロール】の強さの1つは,全体除去枠に採用されている《死人に口なし》だ。このカードの存在により,【青黒コントロール】は【版図ランプに対して,圧倒的に有利である。

数少ない相手の勝ち手段を《口無し》で抜き去ってしまえば,相手の勝ち手段は枯渇。多少時間はかかっても,相手は勝つ手段が断たれているのだから,【青黒コントロール】ではライブラリアウトでの勝利もたやすい。

もちろん【青白コントロール】でも,それなりの優位性はある。だがそれは《完成化した精神,ジェイス》を採用している場合に限られる。【青白コントロール】の《ジェイス》自体は,こうした【版図ランプ】への勝率を担保するために採用されるケースが多い。だが《放浪皇》を始め,重いマナ域にカードが集中するリスクを踏まえると,不採用か取れて1枚といったリストが主流だ。

【青黒コントロール】の場合,デッキ全体が軽いこともあって,《ジェイス》を取ることもそれほどリスクにならない。ミシュラランドである《不穏な浅瀬》によって,《ジェイス》抜きでもライブラリアウトを達成することが可能です。

主流である【エスパーミッドレンジ】【版図ランプ】,この2つに有利。この点が,【青黒コントロール】の強さだ。だがもちろん【青白コントロール】の良さもある。

①パーマネント全般への対応力

【青黒】は通ったら,メインは概ね負け

これはそのまま【青黒コントロール】の弱点と言い換えてもよいが,【青白】は置物への対処が容易だ。具体的には,《ウラブラスクの溶鉱炉》,《身代わり合成機》,《スクレルヴの巣》だ。いずれも放置すると確実に負け目となるが,【青黒コントロール】では一度着地すると対処が難しい。特に《溶鉱炉》は赤いデッキの多くに採用され,時にはメインボードでの採用も見られる。通るとほぼ敗北する。その他,《未認可霊柩車》も厄介だ。

②劣勢時からの捲り目がある

ヘリオッド様,さすがです

重いカードが多いことから,全体除去やPWといった個々のカードパワーは【青黒】の比ではない。【青黒】のコンセプトは,「徹底的な1対1交換から,ドローソースで差をつける」なので,一度窮地に立たされると巻き返しが困難。トップデッキでの捲り目を持ちやすいのも【青白】の利点だ。

《ヴェールのリリアナ》によって手札を絞られがちな【ゴルガリミッドレンジ】などには,【青白】の方が与しやすい。最近流行りつつある【4Cレジェンズ】に対して,クリティカルな《告別》を取れるのも高評価だ。

各カード解説

メインボード

《喉首狙い》4,《永い別れ》3,《シェオルドレッドの勅令》1,

2マナ域の除去達。最初に触れたように,序盤は軽い単体除去で相手のカードと確実に交換し,《記憶の氾濫》につなげることが,本デッキのコンセプト。

強いけど,ね

裏を返せば,付随する効果が魅力的であっても,テンポよく相手の生物と交換できない軽量除去は,いずれも不採用。似て非なる役割と考えてもらいたい。

《シェオルドレッドの勅令》はブレ幅のあるカードですが,《放浪皇》や,サイド後の《向上した精霊信者,ニッサ》といったPWへの回答を用意するためにも,少量は取っておきたい。

《切り崩し》1枚

そんなに強くはない

かつては《策謀の予見者,ラフィーン》を効率よく除去できるカードでしたが,現行でその役割は《長い別れ》に交代。現在は【ボロス召集】【赤単】などのアグロデッキや,【4Cレジェンド】の《インティ》《ローナ》に対して少量欲しいぐらいでしょう。タップインランドが複数ある都合,序盤の盤面処理を行う安全弁としてある分には悪くない,といった程度のものです。

《分派の説教者》《グリッサ・サンスレイヤー》など,コントロール目線で確実に排除が必要なカード達に当たりにくいこともあり、枚数は抑えめ。他のデッキであれば,《切り崩し》+自身の展開と2アクションを取ることで手番を返すことができるカードですが,この【青黒コントロール】というデッキは自分の展開というものが序盤に存在しないので、取りすぎも不要です。

あまりないですが《完成化した精神,ジェイス》の+1能力でパワーを下げることによって,破壊対象を広げることが可能です。

《死人に口なし》4枚

【青黒】を使う理由

このデッキの全体除去枠であり,【青黒コントロール】の真髄。ライブラリからの摘出能力は,本デッキの勝ち筋であるライブラリアウトとも非常に良くかみ合ます。
全体除去と摘出能力は独立しており,スペルも抜くことができます。《世界魂の火》《群れの渡り》《偉大なる統率者,アトラクサ》《大スライム,スローグルク》等,各デッキの核となるカードを根こそぎ抜くことが可能です。

また,無視できない利点として「相手の手札・山札を確認できる」が挙げられます。特にインスタントタイミング系のカードは,頓死を防ぐためにもよく確認しておきましょう。ゲームプランの立て方も容易となり,駆け引きを詰将棋に変えてしまうイメージです。

デッキの全容を見れるのは大変魅力的ですが,それにかまけていると時間切れのリスクも伴います。①主要なデッキリストと採用枚数,②こちらの脅威となる可能性の高いカード,は必ず事前チェックしておきましょう。メインボードで採用枚数にブレ幅が見られやすいのは,《ティシャーナの潮縛り》《放浪皇》《フェアリーの黒幕》《婚礼の発表》あたり。時間は有限です。

《危難の道》2枚

一時期,MOで5800円でした。なんで?

ほぼ【ボロス召集】【バント毒性】用カード。《婚礼》型の対【エスパー】にはそこそこ。特に【ボロス召集】相手には,単体除去がうまく機能しないため,腐りやすくても複数枚取ることをお勧めします。やや限定的ですが,これは「ないと勝てない」相手が存在するカード。必要経費です

《推理》3枚,《眼識の収集》1枚,《記憶の氾濫》4枚

手札を回せ

ドロースペル枠。基本的には,《推理》はもちろん強力なドロースペルですが,【青白】とは異なり,序盤から除去やカウンターを積極的に使っていくので,涼しい顔で2ターン目に打てないことも多いです。《眼識の収集》は本来サイド後の方が威力を発揮するカードですが,枠がないためメインに押し上げています。その余波で《推理》を3枚に。

《強迫》2枚

私は7版を使用しています

【青黒コントロール】の良さは,テンポよく相手の脅威を捌くことであると再三述べていますが,それは手札も同様です。現行のスタンダードで《強迫》が腐りやすいのは【4Cレジェンズ】【エスパーレジェンズ】と少数であり,メインボードに搭載するリスクもそこまでありません。むしろメインに入れられる分,【青白コントロール】に対して仕掛け札が増える等,優位に試合を運べるでしょう。

サイドボーディングガイドでも多数触れていますが,《死人に口なし》を通せるとそれだけで急激に楽になるマッチは多いです。《口無し》を通すためにも,メインの時点で複数枚を推奨です。

《三歩先》3枚,《幻影の干渉》1枚,《否認》2枚,

なんとなく,ポージングが似てるよね?

カウンター枠。序盤の生物への対処は,大量の除去である程度捌けるので,単体除去が当たらないカードを標的としたいところ。目下標的は《婚礼の発表》。《強迫》の項でも触れた通り,現行スタンダードでは《否認》はメインボードから2枚取っても,きちんと打てる先はあります。

《三歩先》は非常に強力なカードではありますが,カウンターとして運用する際に,3マナなのが唯一の欠点。序盤はしょせん《取り消し 》ですものね。これが,「後手3ターン目に打てない」「細かいアクションを重ねて序盤を捌けない」「《記憶の氾濫》のリソースを,テンポよくアクションに繋げられない」といったデメリットに直結します。真には【青黒コントロール】に適さないカードです。

言葉を選ばずに言うならば,理由なく【青黒コントロール】に《三歩先》を4枚入れている構築は,【青黒コントロール】の根本を理解していない,と私は考えています。強力なカードであることは認めますが,リスクもあるカードだという認識です。そのため,1枚は《幻影の干渉》と割っています。

対して,重くて影響力のあるスペルを中心とし,複数回のアクションを重視しない【青白コントロール】においては,見た目通りのパワーカードとして機能します。こちらでは4枚採用すべきでしょう。構築設計の違いです。

《完成化した精神,ジェイス》2枚

ケシスコンボでお世話になっております

本デッキの勝ち手段。《デニック》《苔森の戦慄騎士》といった,単体除去があまり意味をさなない相手や,《グリッサ・サンスレイヤー》のように伝説ルールによって横並び出来ないカードへの時間稼ぎとしては有効です。こういった用途がメインでもあるため,とどめの一撃以外は「完成化」で唱えることが多いです。恒久的に生物を一体無力化できる置物として運用しましょう。

ライブラリアウト狙いの際は忠誠度を貯めて使うことはあまりなく,「4マナ15枚切削」として使いましょう。中途半端な忠誠度で残っても,余った除去を差し向けられるだけ。墓地に落ちたら《竹沼》で拾えますが,《力戦の束縛》で取られたら悲惨です。極力使い切りましょう。

《最深の裏切り,アクロゾズ》1枚

かっこいい

メインボードは《ジェイス》のライブラリアウトでの勝利を狙うことで,相手の除去をあらかた不要牌とできます。なので生物は本来不要ですが,《ジェイス》でのライブラリアウト勝ちが間に合わないマッチアップでの勝ち手段としての採用。【ボロス召集】【赤単】に対してほしい一枚です。

もちろん,本来はサイドボード後に使用する軸ずらしの類のカード。ですが,上記のマッチでは,無いとメインほぼ必敗のため,妥協のメイン格上げです。各種ミッドレンジが運用する場合と比べて,《死者の神殿》の変身条件を自身で満たしづらく,対ミッドレンジでの採用は否定的です。

《シェオルドレッド》はただ余った除去を差し向けられるだけ。メインボードのカードではありません。申し訳程度でも,除去体制のある《アクロゾズ》一択です。

マナ基盤

コントロールなので,もちろん土地が詰まらない構成にはしたいですが,デッキ自体はある程度軽く構成されています。【青白コントロール】よりは数枚土地を切りつめてOKということで,26枚。

《不穏な浅瀬》3枚

部族「サメ」

本デッキの影の勝ち筋。《廃墟の地》が入らない【版図ランプ】【エスパーミッドレンジ】相手では,除去を連打してからの《不穏な浅瀬》の攻撃でも容易に勝利できます。

ライブラリアウトを勝ち筋としながらも,切削能力を自分/相手どちらに向けるかはケースバイケース。【版図ランプ】はライフを削ることが困難な都合,ライブラリアウト狙いでOKなことが多いですが,【エスパーミッドレンジ】相手のように,ミシュラランドが破壊されない(=ライフを削る展開)前提のマッチだと,リソース欲しさで《記憶の氾濫》《眼識の収集》が落ちるのを狙って切削を自分に向けることも多いです。

《地下道の下水道》2枚

投入の理由は,①《死人に口なし》の証拠収集の補助,②2ランドキープを肯定するため,の2点です。①はそのまま。②については,コントロールデッキにおけるマリガンのディスアドバンテージを重く見ています。

闇滑りの岸》3枚

コントロールデッキに《闇滑りの岸》が3枚投入されているのに違和感を覚えるかもしれませんが,何度も述べている「序盤を躓かずに捌く」という観点において,最上の土地であることは言うまでもありません。

《危難の道》の切除コスト用に,《廃墟の地》からのサーチ用で《平地》を一枚挿す構築も散見されます。

メリットは,対【ゴルガリミッドレンジ】のように相手からも《廃墟の地》を受ける+トップデッキの全体除去が強いマッチアップや,【エスパーミッドレンジ】がサイドから投入する《軽蔑的な一撃》を潜り抜けて全体除去を撃てることが挙げられます。

デメリットは,サイド後に相手がインするであろう《ティシャーナの潮縛り》の存在から,気軽に《廃墟の地》を起動しにくくなる点が大きい所でしょうか。私は《眼識の収集》を最序盤で打てないリスクを嫌って不採用としていますが,採用するリターン/リスクはどちらもそれなりにあります。ここは好みでよいでしょう。

《地底の大河》1枚

どっちがどっちでしょう?(白目)

デッキ解説とは全く関係ないですが,最新イラストは《難破船の湿地》と酷似しているので,絶対に旧イラストにしましょう。トラブルを避けるのももちろん,余計な注意力を要するなど,コントロールでもってのほかです。

サイドボード

《シェオルドレッド》2枚,《アクロゾズ》1枚

【ディミーアミッドレンジ】です

《ジェイス》でのライブラリアウトやミシュラランドで殴りきるような悠長な展開を望めないマッチアップにおいて,【青黒ミッドレンジ】としてスイッチする要員。対【青白コントロール】にも入れられる点では《分派の説教者》も選択肢ですが,対アグロ系では運用が難しく,相性差を改善したい意味も込めてこの2種類としています。

《強迫》2枚
主に【ボロス召集】【赤単アグロ】に。いずれも軽量のスペルがそれなりに採用された構成のため,一種の除去のように最序盤の妨害として運用できます。相手の単体除去を引き抜き,《シェオル》《アクロゾズ》を定着させるためにも有用です。何より,着地すると致命傷な《ウラブラスクの溶鉱炉》への回答にもなるのが嬉しいです。もちろん,対【青白コントロール】には言わずもがな。

《否認》1
《婚礼の発表》を対処できるかどうかが非常に重要であり,《軽蔑的な一撃》と散らすことは勧めません。《軽蔑》が最も有用なマッチは主に【版図ランプ】ですが,サイド後も見据えるなら《安らかなる眠り》も見れる《否認》に軍配が上がります。アグロ~ミッドレンジと異なり,《アトラクサ》《怒りの大天使》が通っても大した影響がないのが,この【青黒コントロール】の強みです。

《眼識の収集》1

対コントロールの他,カウンターなどの干渉札が増えてくる【エスパーミッドレンジ】のサイド後にもインします。

似た役割として,《極悪非道の盗人》も候補に挙がりますが,基本的には《眼識の収集》を勧めます。《盗人》はできるだけXの値を大きく打ちたいですが,すなわちそれはある程度マナが伸びている状況。そこで土地を盗っても有効利用しづらいです。単純計算で相手のデッキから有効牌が奪える割合は,Xの2/3もあれば御の字でしょう。対コントロールなどでも《喝破》の存在から,むやみにXの値を大きくすることは難しく,運用しにくいです。

ただ,《盗人》の利点として,対【ゴルガリミッドレンジ】では《眼識》以上に有効という点が挙げられます。カウンターされずに大きくリソースを取れ,相手のバリューランドも盗る価値があるためです。不利を強いられる対面ではあるため,相性を改善したいという考えでこちらに差し替えるのも,一定の理があると言えるでしょう。

《ティシャーナの潮縛り》3枚

クロックになることもありますが,基本的には上質な《もみ消し》として運用する気持ちで。《魂の洞窟》からの《怒りの大天使》《アトラクサ》への対処の他,PWへの対処もありますが,最大の役割は《ウラブラスクの溶鉱炉》への後引きの回答となる点です。

《三歩先》でコピーできると気持ちよくなれそうですが,《ティシャーナ》をサイドインするマッチでそうした展開になることはまれ。除去を差し向けられると悲惨なので,狙わないのが無難です。

《真髄の針》2

このデッキが苦手とする《ヴェールのリリアナ》《眠らずの小屋》《放浪皇》への回答として。サイドインする際は,明確に標的を定めてインするので,《魔術遠眼鏡》よりもこちらを推します。

《真実の抽出》1枚

《婚礼の発表》の後出しに対して有効な数少ないカード。《放浪皇》《安らかなる眠り》にも対応可能と,それなりに器用なカードです。とはいえ1枚が限度。

《切り崩し》1
《危難の道》1


アグロデッキへの追加の除去。特段加筆することもないでしょう。対【ボロス召集】を重く見るなら,全て《危難の道》に変えてもよいぐらいです。時折,全体除去枠を《悪意ある覆い隠し》にしているリストを見ますが,《内なる空の管理人》を撃ち漏らす可能性は許容できません。

不採用カード

《セレスタス》

不要牌を変換してくれる他,構える展開を容易に作れることから,デッキに噛み合った一枚であり,多くのデッキで1枚採用されています。ですが《セレスタス》を置く余裕があるマッチアップなら,それは元から有利な対面です。

ただし,ミラーマッチでは置いた方が勝つと言っても過言ではないです。その点で,1枚刺しておくのは悪くないでしょう。

《保安官を撃て》

現行で破壊できない相手は,《遠眼鏡のセイレーン》《フェアリーの黒幕》《逃走する暗号破り》《すりのチビボネ》《正直者のラトスタイン》あたり。

主にこのあたり

基本的に,大型の生物を処理できず困るケースはないと言ってよいですが,《セイレーン》《黒幕》《チビボネ》あたりは,多くのデッキで後続に《ギックス》《ラフィーン》と繋がる可能性があります。

特に後手番の除去は《ラフィーン》に触りにくいことも相まって,2マナ生物を確実に処理しておきたいところ。そもそも,現行の環境では《喉首狙い》《長い別れ》より優先する事情が見当たりません。些細な差ではあるものの,”打倒【エスパーミッドレンジ】”をテーマにしているため,今回は不採用としました。

各種マッチアップ所感&サイドボードガイド

【エスパーミッドレンジ】

目の敵としているマッチアップ。多量の除去を抱えた状態で《コウモリ》をお出迎えしましょう。後で《死人に口なし》で巻き込んで返してもらえればOKです。《ラフィーン》だけ確実に捌き,除去とドロースペルの連打を繰り返せば,勝手に勝利が転がり込みます。

対エスパーの要点を,以下にいくつか挙げておきます。

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