輝く尾 ③

そこは、人間の手によって開発が進んでいる地だった。丸太が横たわり、大地の表面が露わになっている茶色い土地だった。以前はここに巨きな鳥たちがたくさんいたはず。ぼくはそう思った。しかし、今は重機の音がするばかりで、鳥の啼く声は聞こえない。ぼくたち鳥にとっては不毛の土地だ。巨きな鳥たちは逃げてしまったのだろうか。

ここまで人間の手が及んでいるのか。それを知れただけでも、斥候としての役目は十分果たせたであろう。以前聞いていたように金鉱を掘り進めていることがわかった。だから、これ以上先に進むのは危険だ、進むべきではないと本能が訴えていた。早く引き返して、ボスに森もそのうち人間によって開発されてしまうと伝えたかった。しかし、そいつは然として、いや、まだ先に行くぞと強い意志を示した。

話が纏まらず、どうしようかと右往左往していると、遠くからおーいと小さな声がした。声のする方へ向かってみると、地面に開いた穴から顔を出している巨きな鳥の姿があるじゃありませんか。巨きな鳥は自分達の住処を奪われ、行き場を失くした結果、地面に穴を拓き、新しい住処を作っていたのだった。人間にバレないように、穴の入り口を葉っぱでカモフラージュし、暮らせるように穴の中は空洞が広がっていた。

巨きな鳥は明らかにぼくたちを呼んでいたが、ぼくたちにとって巨きな鳥は怖く寄りつくことができない存在。喚呼に対して即座に呼応することはできなかった。ただ、その喚呼はどこか空しく弱々しく感じられた。巨きな鳥の威厳はどこに行ってしまったのだろうか。そう思うと自然と穴に向かって飛んでいく自分がそこにはあった。

巨きな鳥はぼくたちが来るのを見ると、巨きな羽で手招きをして、迎え入れてくれた。
穴の中は、光が入らないため所々細い孔が設けられ少しでも光が差すような工夫がされ、地中ということでほんのり暖かかった。
やあ、よく来たと巨きな鳥は言った。他の鳥たちもそれぞれこのように穴を開け暮らしている。以前のように宏い天を飛ぶことはできないが、食べ物も見つけやすいし、なんとかやっていっている。
その言葉には哀愁が篭っていた。
僕たちは、今まで僕たちが住んでいた土地の一方的な人間の開発に困っている。それぞれが歩み寄れれば、もっといい未来が見えるんじゃないか。巨きな鳥は人間の開発に困りつつも、全てを否定してるわけではなかった。鳥と人間の共生を目指したい、立派な夢を持っていた。
それだ。ぼくとそいつは納得した。人間と鳥の架け橋になりたい。そのために人里まで行って交渉をしないといけない。ゴールが明確になった瞬間だった。

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