うんこまみれになること(2)

 今日もうんこまみれになった。それが僕の仕事なのだ。


 朝、先輩から缶コーヒーを奢ってもらった。温かいスチール缶を開けるとコーヒーの滴が飛び出し、自分の服に茶色いシミを作った。

 それが、”シグナル”だとも知らずに。

 うんこまみれになることが僕の仕事だ。凍えるような寒さの中、牛のそばに行くと牛が近寄ってくる。今日の牛は積極的だ。僕は真面目に仕事をしていた。なのに油断した瞬間、弾丸のような飛沫が真っ白い紙に突き刺さり、茶色いシミを作っていた。ティッシュで拭おうと思ったが、生憎ティッシュが見当たらず仕方なく軍手で拭いた。

 無機質な寒さを必死で耐えているのに、うんこは冷静な温かさを持ち寒さを嘲笑っている。これが生命なのだ。うんこ即ち生きることである。

 余談ではあるが、ここ数日、僕は水様性の下痢に悩まされている。「茶色」はシックな色であると思っていたが、これは明らかに”シック”なのだ。

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