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SUMMER SONIC 2023の日記

幕張で8/18に行われた「SONIC MANIA 2023」(以降ソニマニ)と、8/19,20に行われた「 SUMMER SONIC 2023」(以降サマソニ)に行ってきた。
本当は前年度も行く予定だったけれど、数日前にコロナになってしまい行くことが叶わなかったサマソニ。昨年分のチケットと並んで表示されている電子チケットを見て、今年は無事に行けるのかワクワクしながらも若干緊張していた。そんな心配も杞憂に終わり、結果から言うと前日のJacob Collierの単独公演から4日間、本当にめちゃくちゃ楽しんだ。


今回のサマソニはコロナ禍以前にも毎年一緒にサマソニへ行っていた友人と行くということもあり、色々な場所で個人的な再会や再開があった。そのどれもが本当に楽しくて忘れたくないものになったので、こういう風に形にして残したいと思った。ここからは色んな事をつらつらぐちゃぐちゃと書いていこうと思う。



今年の行動指針

最後にソニマニ及びサマソニに行ったのはコロナ禍以前の2019年で、その時自分はまだ22歳だった。自分は入社2年目に入りかなり辛くなってきていて、一緒に行っていた友人からは来年大学院に進むんだと言っていたような時だった。何が言いたいかと言うと、今振り返るとあの時はまだ体力が満ち溢れていた。
今の自分は体力が無いかと問われれば多分そんなことはなくて、26歳の一般的な体力くらいは持ち合わせているだろう。じゃあ何がそんなに体力の差を感じさせたのかといえば、それはきっと経験値の差だと思う。あの頃は自分の動けるスペースや限界の把握が紙切れていなかったのに対し、今はどこまでいったら自分が疲れるか、どれくらい歩いたら自分は足が痛くなるか、どれくらい起きてたら自分が眠くなるか、そういものがある程度分かるようになってきている。故にそのメーターを振り切らさずに最後まで走り抜けられるように(なんせ今年はラストにKendric Lamarでしたからね)、『落ち着く』という事を第一に動いた。

じゃあ具体的にどんな風に『落ち着く』を実践していたかというと、
① ソニマニ前に仮眠
② 日陰の駐車場を確保
③ 大量に水を用意しておく
④ トイレは会場に入る前に外部施設で
⑤ 沢山のアクトを観ようとしない
⑥ MARIN STAGEでは滅多なことが無い限りアリーナに行かない
⑦ オフィシャルグッズを狙わない
⑧ 会場外での昼飯は常に頭の片隅に置いておく
⑨ 日傘を使う
以上の9つを意識して行動していた。

※補足

今の会社を退職するが故に当日に休みを取りやすかったのが大きいけど、これが結構響いてきたと思う。

ソニマニ及びサマソニ中は友人の車で寝泊まりするというスタイルでやっているのでの行動。そもそもこの行為自体が体力が無いと出来ないということは理解している。本当はホテルとか取ったほうが良いのだろうけど、空いてないし高いので私らのような身分にはちとキツいのよ。そして今年発見したこの駐車場はめちゃくちゃ良すぎるのであまり人に教えたくないけど、来年以降の自分の為にも書いておく。「ワールド・ビジネス・ガーデン 第2駐車場」です。ソニマニ時は余裕。サマソニ時は朝8時くらいには埋まるような温度感でした。


会場で買わないから価格的な部分でも良かったし、車に戻れば絶対に水があるという気持ちの持ち様がかなり効いた。

これもまた、ワールド・ビジネス・ガーデンの中が空いていて激烈に使いやすい。このビルのおかげで幕張メッセ内で並ばずに済んだ。

これに関しては、今年のソニマニ及びサマソニを楽しむ中で最も大事だったと思う。今まではどうしても"元を取る"みたいな感覚で走ってでも次のアーティスト次のアーティストと動いていた傾向があったので、今年はそれを強い気持ちを持って止めた。だから、例年に比べる観たアーティストの数がガクンと減っている。だけどその分あまり疲れを気にせず質の高いライブ体験が出来ていたと思う。

アリーナは暑すぎるのよ。あと、スタンドも400Lvの日陰が出来るような最上段を選ぶことを徹底した。

待機列が長くて待ち時間がエグい上に外だから暑い。

座れる+クーラーはそれだけで1アクト観ない事を選択するのに匹敵する価値がある。

これはもう私が普段からしていることではあるが、日傘をしているのとしていないのとでは雲泥の差。男性だから恥ずかしいだとか、荷物が増えるからだとか、そういう御託は抜きにして皆絶対に使ったほうが良い。普段から使ったほうが良い。絶対に。

書き出してしまえばどれも"そんなこと?"って感じのことだけど、これをちゃんと一緒に行く友人と相談して明確化した事でしっかり行動に移せた。それが自分にとってはとても成長を感じるものだったりするのだ。
実際この指針に沿って行動した結果、毎年サマソニ1日目の中盤で痛み出してきた足は2日目が終わった後も痛まず、会場で行われているトイレや飯戦争に加わらなくて済んだからストレスも少なかった。それになにより、疲れが浅いからこそ全力でどのライブも楽しむことが出来た。来年からもこのスタンスは変えずに楽しんでいきたい。



SONIC MANIA

この光景を見れた時の嬉しさは、後ろにいた20代男性4人の『チャラい空間だ!』に掻き消されました。え?チャラいか?

LEO (琴)

ソニマニの会場に着いてから初めて目と耳にしたアーティスト。正直何の情報も見ずに行ったので左側にいるDJがその人だと思いステージ配置が変だなーとか思っていたけれど、途中から登場して琴を演奏し始めたので凄く驚いた。そして何より、琴という楽器をEDMと合わせた発想にとても驚いた。自分がいまいち琴という楽器を知らないので勝手な想像と偏見で喋るけれど、あまり速弾きに適していなさそうな琴だからこそEDMの単純且つカッコいいメロディーを奏でる事が合致していた気がする。


GRIMES(DJ SET)

今年のソニマニでかなりトップレベルに観たかったアーティスト。Perfumeを観ようとしていた友人に対していかにGRIMESが最高かを会場に向かうまでの車の中で喋ったおかげで、友人と一緒に観ることが出来た。DJセットは低音がゴリゴリに響いて臓物の心地が悪い最高の時間だった。音楽ライブを観ていて全身からアニサキスが吐き出されそうな気分になったのは初めてだし、多分今後もGRIMESでしか起こらない現象だと思う。途中Mariah Careyの『All I Want for Christmas Is Yot』を流し始めて、サビラスト"is you"の所でピッチをゴリゴリに下げたのには爆笑してしまった。サマソニといえばのRadioheadの『Cieep』を本家より心地悪くしていたのも印象的だった。
最初こそPerfumeを観るつもりだった友人も、最終的には3日間の終わりにGRIMESの名前を出すくらい気に入って貰えたので本当に良かった。
それと、どうでもいいけどGRIMESの漢字表記は『愚雷無主』らしい。当て字感が強すぎて笑ってしまう。

後からSNSを見て知ったけれど、GRIMESのパフォーマンス中に客席へケツを向けてGRIMESを撮っていたあのクソ邪魔な人はイーロンマスクだったらしい。本当にただ邪魔すぎるだけだったし、ステージの雑音でしかなかったし、そういう傲慢な事が当たり前のように出来るイーロン・マスクという存在が今にも増して嫌いになった。そしてそれと同時に、X(旧:Twitter←こうやって書かなきゃいけないことにもイラッとくる)の事が更に嫌いになった。正直イーロンのせいでGRIMESのライブへの評価が少し下がったまである。本当に許せない。


ずっと真夜中でいいのに。

去年のFUJI ROCKの配信を観てからずっと観たかったアーティスト。激強曲が詰まりまくった新しいアルバム「沈香学」からの曲を想像よりもやらなくて正直驚いた。だけど、そんな中でも若干毛色の違う「上辺の私自身なんだよ」を観れたのはとても良かった。ただ、声は本調子ではなさそうな感じがした。裏でやっていたThundercatと共振するように(いや全然違うのは分かっていますよ)ゴリゴリベースで戦う姿も熱かった。そして、相変わらず前列3人が最後まで何をしているのかよく分からなくて最高だった。あの人達は普段何の楽器を演奏している人達なのだろうか。


SHYGIRL

ずっと真夜中でいいのにを観終えてからの途中参加。DJと2人のミニマムな編成だったステージで、音源を聴いて期待していたので正直驚きこそ少なかったけれど、淡々とずっと良かったのは確か。ラストで紙吹雪が舞っていて、サマソニって紙吹雪有りなんだったっけとなった。


CAMILO

最高過ぎた。SONIC MANIAの中では確実にベストアクトだし、この3日間の中でもトップレベル記憶と印象に残っている。正直彼の曲は1曲も知らない状態でライブを観たのだけれど、それでも最後には自然と跳び跳ねちゃうくらいパフォーマンスに引き込まれて巻き込まれた。音楽はラテンだけどラテン要素よりもポップな感じが強かったからこそ、初見でも1発で受け入れることが出来たのかもしれない。
それと、自分の隣に老婦人がいて最高なダンスしてるなーと思っていたら、途中でCAMILOのパパとママという事が判明してめちゃくちゃ驚いた。この老婦人がCAMILOのパパとママだと分かる前も後も向かい合って一緒に踊ったりしてたので、CAMILOのパフォーマンスが終わった後、向こうから求められてハグをした。ライブで誰かとハグをするみたいな事は今までも無いわけではなかったけれど、それは所謂男臭さみたいなものがある空間においてのものだったりするので、自分以外周りは女性みたいなゲハゲハしたノリじゃない空間でのハグはやっぱりどうしても心に残り続ける良さがあった。それにこの老夫婦がCAMILOのパパとママという事以前に、言葉も通じない最高のダンスをする老夫婦とハグをするまでの空間を作った事に何物にも変えられない喜びを感じた。

ライブ後の挨拶時にサポート含めて皆で踊っちゃうのとかも本当に最高だった。因みに、CAMILOのパパ及びママとハグをしたのはこの写真を撮る30秒前くらい。



JAMES BLAKE

今回のソニマニのチケットを買うことに決めたのは、彼の出演があったから。正直チケットを買って今日まで"絶対に寝ちゃう"とか思っていたけれど、演奏が始まってみればJAMES BLAKEのライブで初めてバッキバキに目が冴えてしまうような素晴らしいライブだった。
まずは何より歌上手すぎる。音を外すとか外さないとか、ピッチがずれるとかズレないとかの次元にはいない歌の上手さ。それでいながら、更に声が太くなっている気がして屋久杉くらいの揺るがなさを感じた。パフォーマンスは事前のインタビューで本人が語っていた通りダンス感が強くなっていて、そこにノイジーさが乗っていて今までに観てきたJAMES BLAKEのスタイルとは何もかもが全く違った。そしてノイズを使いこなすことで、音を消さずとも静寂を表現して乗りこなしていたのが印象的だった。このモードのJAMES BLAKEなら、正直何回でも観れる。最高。



autechre

真っ暗なステージと真っ暗にするために規制をかけて暗幕で囲われた客席。全く新し過ぎるライブ体験だった。シュレディンガーの猫同様、autechreはいたのかもしれないしいなかったのかもしれない。だけど、それを誰にも観測されていないので真実は誰にも分からない。

暗すぎたので記念に写真を撮った。何を撮っているのか全く分からない。



SUMMER SONIC 1日目

サ!マ!ソ!ニー!という気分で撮った写真。
因みにこの写真を撮る寸前、画面が暗すぎて見えなかった為壊れたのかと思った。一瞬ヒヤッとした。
そういえば、今年はここに至るまでの道でやっていたストリートアートが無かった。個人的にはあれ結構好きで観ていたのにな。メッセの方には毎年水野さんがいたりして、それも凄い楽しみだったのにな。


NewJeans

出演発表がされた時からかなり話題になっていて、今年チケットが1番動いたという話の彼女達。その話は嘘ではなく、昼のMARIN STAGE(以降マリン)で入場規制がかかるかかからないか瀬戸際というエグさ。控え目に言ったとしても、何組かのヘッドライナーより集客していた。ただ、それは同時に真夏の真昼の炎天下の中ギュウギュウのアリーナで何時間も人が留まるということで、スタンド席の1番上から観ていた自分はパフォーマンス前,パフォーマンス中,パフォーマンス後の1時間ちょっとの間に何人もの人が救護エリアに運ばれたり、通路で動けなくなってしまっていたのを目撃した。後からニュースで熱中症が100人以上出たと言っていたけれど、個人的な所感としてはあの環境においてよく100人で済んだなと言う感じだ。正直、救護エリアにギリギリ行くほどじゃない人はあのアリーナにいた人の半分を優に超えると思う。サマソニが商業イベントであるが故に集客の狙えるアーティストを招致するのは当たり前だけど、そのアーティストを呼ぶのであればそれに伴う責任というのは背負って然るべきだと思う。正直タイムテーブルが発表された時から感じていた不安が目の前に広がってしまい辛かった。今年はメッセ内ですら暑いと感じることが度々あったので、そろそろ本格的に対策をしないと言い過ぎではなく死人が出てしまうので来年からはどうにかして欲しい。取り敢えず、プラチナ専用ではなくアリーナに共通のオフィシャルバーは設けるべき。たとえエリアが狭くなったり導線が多少狭くなったとしても絶対にやるべき。
パフォーマンスは曲が良いのでそりゃぶち上がった。ただ、ライブ慣れしていなさそうな感じとアイドル感の強いスタイルが故に温度は上がりきらなかった。あと、練習してきた日本語があるから仕方ない気もするが、『暑さが吹き飛びます!』と言いながらめちゃくちゃ暑そうにしているのがちょっと辛かった。そういう事にならないためにも、韓国のアーティストの方々には韓国語(又は習得していれば英語)でMCをして欲しい。そうでなくても日本人は拙い日本語で喋る人を無意識にナメる傾向があるので、全力の母国語で喋って欲しい。だから、今回のサマソニではCAMILOやCIMAFUNKが良かったというのに繋がるのかもしれない。これに関しては、去年のサマソニを経てヒラギノさんが書いた記事を読んで欲しいと思う。

前アクトのSUMMIT終わりでこの入り。正直恐ろしかった。



Pale Waves

出演時間はさほど変わらないまでもマウンテンの早い時間→ソニックの中盤→マリンと出演する度に少しずつそして着実にファンを増やしていっている事に、そしてそれを観て勝手に想い入れを作ってしまっているからこそ、どうしたって最高のライブだった。演奏が始まっているのにまだNewJeans客の退場が終わらずアリーナに入れないもどかしい状況が1曲分続いた後入れるようになった時、待機列にいた人達が一斉に走り出さんばかりにアリーナへ入っていったのが印象的だった。待機列では本当に『今行くからなー!』と声に出している人もいたし、皆本当にその想いで待っていたのだと思う。ライブというのはアーティストとオーディエンスで作るものなのだと改めて感じることが出来た。
また今回のライブでPale Wavesが本当に最高だったのは、明確な形で自分達はクィアコミュニティのバンドだと表明し、レインボーフラッグを掲げ背負ってくれた事だ。昨年のサマソニにおいてRina Sawayamaが日本の大型フェスで初めてと言っても過言ではないくらい明確に言ってくれた事を機に少しずつ変わり始めようとしているけど、正直まだ"変わった"とは言えない現状だと思う。そんな現在において、こうして実際にそう表明して戦っていく事を選んだ人達の姿を見ると本当にエンパワーメントされるし、それに付随する喜びの大きさがあまりにも絶大なもので泣かずにはいられなかった。ライブは映像も無い演奏と歌を聞かせるカッコいいステージで、その単調さの中だからこそレインボーフラッグが何倍にも映えていてそれも最高だった。


PassCode

サマソニで彼女達を観るのは、自分の中でもはや義務みたいなところがある。アイドルネッサンス、Maison book girl、sora tobu sakana、ヤなことそっとミュート。時間を経て私の好きなアイドルは皆解散してしまった。解散こそしていないが、lyrical schoolもほとんどのメンバーが入れ替わった。日本における女性アイドルという存在がそういうサイクルの早い環境の中で生きていて、数年で当たり前のようにシーンの全容が塗り替えられる。彼女達はTIFにこそ出て回数は少ないけれど所謂アイドル文脈から出てきた存在ではあって、そんな彼女達がまだ活動し活躍し続けている事の奇跡さが、このステージには溢れていた。何なら、PassCodeはメンバーチェンジすらしていないし、そういうところも本当に最高だ。音楽性は全くと言っていいほど違うけれど、NegiccoとPassCodeだけはどうしたって信頼を寄せてしまうし、その信頼を寄せようとする責務を果たしたくなるのだ。
正直PassCodeの曲はそんなに好きなのかと問われればそうではないし、PassCodeの曲を耳にしたからといってサークルを作ったりモッシュをしたりする元気や気力は今の私にはもう無い。だけど、サマソニで彼女達のライブを観ることだけは諦めたくないのだ。


Holly Hamberstone

最高にチルかった。音源で聴いていた時はBillie Eilish的なダークな方向や他のアーティストのようなポップな方向にも降り切れるような可能性を感じたけれど、ライブはそのどちらにも行かず淡々としていたのが印象的だった。ただ、疲れにチルさが合わさって若干睡魔に襲われたのでちゃんと観れたかった気がする。


Cornelius

最高だった。配信以外でCorneliusのライブを初めて観たのだけれど、こんなにも緊張感があってヒリヒリしたライブなのかと微動だにしないステージからの熱気をビシビシ感じた。4人の演奏スキルは本当に高いので、誰か1人が1音でもミスってしまえば途端に崩れてしまいそうな絶妙なバランスでライブが成り立っている事を忘れてしまいそうになる。
セットリストはもうずっと最高だったのだけど、ラスト3曲で「CUE」→「環境と心理」→「あなたがいるなら」と続けた部分には、自身のルーツであり共に音楽を奏でた存在としての高橋幸宏と坂本龍一への想いが乗っていたように思わずにはいられなかった。初めてCorneliusの音楽に触れた友人も、ライブ後に『ヤバい…!』というだけのマシーンになっていて嬉しかった。

開演前から投影されていたこの光の円。私には「メッセージ」の言語にしか思えませんでした。ただ、私はまだこの言語を習得していないので、なんと言っているかは分からなかった。


WET LEG

Corneliusで本気を出してしまっていたので、流れでまさかの最前に来てしまった。WET LEGは好きだけど歌えるほどのレベルではないので、正直最前に来てしまったことを若干後悔した。とは言うものの曲は繰り返し聴いていたので、(曲名は分からなかったけれど)全曲当たり前のように分かった。最前として最低限の盛り上がりは出来たと思う。こんな事を言ってしまっている辺り、最前という場所における自意識との戦いに集中して全然ライブを楽しめていないことが分かる。カメラに抜かれる可能性があることを考えると、やっぱり最前は狙わない方が良さそうだな。あと、最前は柵にどうやって手を置いて体重をかけておけばいいか分からな過ぎる。もはや最前に行ったことを後悔しているまであるかもしれない。雑念が過ぎた。
演奏はアンニュイだけどアグレッシブで、そのユルい熱さがとても良かった。ただ、Corneliusを観た後だから隙がありすぎるのが気になったりはしてしまった。あと、サポートのベースの方が誕生日だったようで皆でグチャグチャのバースデーソングを歌っていたのが最高だった。


春ねむり

WET LEG終わりから行ったので、MCと最後の2曲しか観ることが出来なかった。ただ、それだけだったとしても観て本当に良かったと思えるくらい素晴らしい時間だった。
MCでは『ステージに立つ時、自分が持つ特権について考えざるを得ない。フェスにはお金や時間、障害のために来られない人が居て、それはこの社会に差別や搾取があるせいです。社会からそれがなくなって初めて音楽は平等だと言える。だから自分が持つ特権をこの話をするために使いたい』と語っていて、自分が春ねむりというアーティストの音楽と存在を好きで肯定していることの意味がこの短い言葉に詰まっていた。正直なことを言ってしまえば、彼女のステージを観た人は多くない。だけど、彼女のステージを観た人には確実に届いたのではないだろうか。このフェスに何の心配も無く来ることが出来て大多数が普段の社会においてもマジョリティであろう人達に、それは『特権』であるのだとちゃんと言葉にして言う事がどれだ毛大切で切実な事か。来年はソニックステージでパフォーマンスする彼女の姿が観たいので、運営にはそこのところを強く望みたい。


星野源

本当は星野源ではなく"Gen Hoshino"と書いたほうが良いのかもしれないけれど、そこは何となく自意識が邪魔してきた。観る前はアコースティック編成かなと予想していたけれど、ガッツリのバンドセットで衝撃だった。
春ねむりを観てから向かったし入場規制がかかっていたしで絶対ほぼ観れないだろうと思っていたけれど、ライブの後半をかなりしっかり観れて予想外に嬉しかった。因みに友人はWET LEGを観ずに向かったが、入場規制で入れなかったのでBlurを観に行ったらしい。私の運の良さよ。
ビーチに向かっていると歩道橋の所で『POP VIRUS』が聴こえてきて、思わず小さな声でMC.wakaのパートをラップしてしまった。今の星野源と若林といえば来週からNetflixで配信される「Light House」だけど、楽しみにしつつも、まだこの2人にだけ語らせるの?と思ってしまっている自分もいる。どうなるのやら。
ライブは「Weekend」や「生命体」ではない新曲を2曲披露するぶち上がり場面に立ち会えた。しかもその新曲の内の1曲は、この日このステージに出演したUMI、CAMILO、Jacob Collierを集めての大団円的な装いで、その時Blurを観ていた友人に思わず連絡してしまった。後で合流した友人は、苦悶の表情を浮かべながら『Blurも最高だったけどね!!』と言っていた。


Jacob Collier

木曜の単独に行っていたのでパフォーマンスがどうなるかは分かっていたけれど、どうしたって最高だった。涼しい夜の海風が肌に降れながらビーチで聴くJacob Collierの音楽の最高さといったらもうという感じ。単独とは違って初見の人が多かったからなのか、客席の合唱パートが上手くいかなかったのはちょっと悲しかった。

左上のやつはドローンで制御したやつらしいのだけど、私にはどうしても遊戯王の『ジャイアントウイルス』にしか見えなかった。



SUMMER SONIC 2日目

Kendric Lamar終わりの写真。前方ブロックにいたので、退場にはかなり時間がかかりそれだけで結構疲れた。だけど、この写真を撮った時右手の関係者席にWILLOWとJaden Smithがいて手を振ってくれたので許す。


METALVERSE

BABYMETALの映像が流れるんでしょ?とか思っていたら、全然知らない人が5人出てきて全然知らない曲が披露されて驚いた。多分これは派生ユニットというものになるのだろうけれど、思ったよりもメタル感が薄くて好きだなと思った。ここから書くことは本当にどうでも良いことなので全ての人の時間を無駄にするのだけど、メタバースと聞くと私はどうしてもニチアサのCMで流れるフルメタバースが頭に浮かんでしまう。フルタ製菓公認のヒーローであるフルタマンが3Dモデルとなり歌って踊るこのCM。ニチアサでしか観ないけれど妙な中毒性があって、歌も1発で覚えてしまう魅力がある。このCMがなんの商品の宣伝になっているのかは分かるけど分かりすぎない辺りも最高。無意識に広告を見る環境に置かれ常に何かしらの商品を押し付けられる現代において、こういう隙間みたいな時間は本当に心地よかったりする。これのどこがサマソニの記録なのだろう。まあ日曜だから、という言い訳でもしておこう。


Nova Twins

朝からゴリゴリ低音が響いて最高だった。パンクともメタルとも受け取れるような音質でありながら、ダンサブルな感覚が常にあってめちゃくちゃにカッコいい。同じマウンテンでトリを務めるBABYMETALのファン達の心を一気に掴んだライブだったと思う。Bring Me The Horizon同様、もっと高いところまでグイグイ上がっていきそうな予感がする。またサマソニに呼んで欲しい。
ライブは本当に最高だったのだけれど、彼女達が客席側に降りてきた時にどうしたってDJ SODAさんに対する性加害の件を思い出してしまいとても肝が冷えた。DJ SODAさんへの性加害件は明確な性加害であるのに、セカンドレイプやレイシスト達のヘイト発言が散見される最悪の状態となっている。そしてセカンドレイプをしている人の多くが男性であることも、本当に最悪な事だ。そんな姿を見ていると、この国は本当にレイプ大国だなと品性の低さと性教育の足りなさを感じずにはいられない。今回のNova Twinsのライブではそのような事が起こることはなかったけれど、これから先アーティストがフロアに降りていく度永遠に思い起こされるかと思うと、本当に加害者とセカンドレイプをする人達が許せない。

Nova Twinsを観る前、Twitterで何度かやり取りしていたAiさんに会った。普段のツイートやinstagramの投稿でお顔は拝見していたのだけど、実際会ったらそれらよりもカッコ良かったし、GorillazのTシャツと紫の半パンが似合い過ぎていた。特に紫の半パンが似合っていたのが羨ましい。この日は自分も半パンを履いていたけれど、近所のスーパーに行くみたいなランニング用のヌルい半パンで過ごしていたので、ちょっとだけ"間違えたなー"という気持ちになった。Aiさんは友人の方といて、その友人の方にビールをご馳走になってしまった。自分が一緒に行っている友人はお酒を飲めないので、その友人と行く限りはサマソニでお酒を飲むことは無いだろうなと思っていたので嬉しい誤算だった。ヌルい会場の中で誰かと飲む冷えたビールは凄く美味しくて、1人で家で飲むお酒とは大違いだなと思った。乾杯した後は今日どう回るかの話や、昨日のアクトやFUJI ROCKの話をして楽しく過ごした。自分以外の2人が凄い知識量で、正直ちょっと圧倒された。小ネタがあんなに出てくるの凄い。あと、この温度感での会話をできる人は普段周りにいないので、本当に楽しかった。Aiさんが上司とかだったら会社も楽しかったのかなー、と少しだけ思ったりした。

※因みに、この時自分が一緒に来ている友人は我慢出来ずにオフィシャルグッズを買いに行っていました。1時間くらいギラギラの日差しの中を並んでいたらしく、Nova Twinsは観れないしで戻ってきた時にはグッタリしていた。友人曰く、自分の貸した日傘が無ければ終わっていたらしい。こうしてまた、日傘最高民を1人増やしたのであった。そろそろこれが私の社会活動だと言って良くなってきたかもしれない。


ももいろクローバーZ

前半だけ観た。高専の同級生にモモノフがいて、そいつとカラオケに行く度にももクロを刷り込まれていたので1度も原曲を聴いたことが無いのに懐かしさを感じた。途中まではその懐かしさのテンションで観れたけれど、feat布袋寅泰の新曲が肌に合わなかったので出てしまった。あと、Kendric Lamarと同じ出演日に「The Diamond Four」をやらないのは意味分からないだろとか思ってしまった。2サビ前が完全に『DNA』オマージュなのにさ…

あと、事前MCでこがけんが『高城れにの年齢で大阪はザワついた』と笑い話で話していたけれど、エイジズムがキツ過ぎて正直全く笑えなかった。この前の「あちこちオードリー」でも少し感じたけれど、ももクロレベルになってもまだそんな事が当たり前のように起きているのかと溜息が出てしまう。こういうちょっとしたところでも、この国の嫌なところをひしひしと感じてしまう。


THE SNUTS

カッコ良かった。けれど、それ以上でもそれ以下でも無かった。OasisのTシャツを着た人が沢山観に来ていたので、運営の意図は伝わっていそうだった。これは偏見だけど、UKのロックバンドはサングラスをかけがちだと思う。もう皆様式美みたいにかけている気がする。気のせいか?


WILLOW

R&B的な歌い方もパンクロック的な歌い方もオールラウンダーに出来る実力の高さを見せつけるようなステージだった。WILLOWはウィル・スミスの娘ではあるけれど、そんな雑念を微塵も感じさせないのが本当に最高。バック映像で日本語MCをする演出も、演者観客共に凄くWin-Winでこれからビジョンを特に使用しない全来日公演でやれば良いのにとか思ってしまった。途中Jaden Smithが出てきて兄妹共演となった際は、マウンテンにいた人の多くが思わず前方に走り出してしまうくらい魅せられてた。ほんと、激強兄妹やなー。



FLO

歌が上手すぎる。もう1曲目から笑っちゃったくらい歌が上手かった。ソロで歌の上手い人なら沢山いるけれど、ソロでの歌い方とグループでの歌い方やハモりを瞬時に切り替えて歌えているのが凄い。また、3人が同じ音で歌う時のピッチの合い方が完璧で、それがパフォーマンス中永遠に続くのが鳥肌立った。元々の才能もあるだろうけれど、どれだけの鍛錬を積んだらここまで来れるのだろうと口を開けながら見入ってしまった。


CIMA FUNK

カッコ良すぎるし楽しすぎた。まだ太陽がガンガンに猛威を振るっている時間に外でのライブを観ることに若干の迷いはあったけれど、その迷いが簡単に吹き飛ぶくらいには最高だった。
パフォーマンスが常にアグレッシブ且つ流動的だったので、良い意味でファンクに感じる緊張感みたいなものが薄かった。それでありながら、ファンクを歌う為に生まれてきたみたいな声の強さがどちゃくそにカッコ良かった。終盤になると上半身裸になってパフォーマンスをしていたけれど、人間の1番いい引き締まり方みたいなバランスの身体をしていて惚れ惚れしてしまった。そして何より、ビーチステージで聴くファンクな音楽の最高さったらもう。

快晴が過ぎる


LIAM GALLAGHER

自分はOasis世代ではないから正直『Oasisってなんぞ?』くらいのスタンスだし、ギャラガー兄弟なら圧倒的にノエルが好きだ。そんな感じなのでリアムに期待していたかと問われれば、それは明確にNOだ。実際一緒にサマソニに行ったOasis大好きな友人とは半分期待半分本気でずっとリアムの悪口を言っていたし(友人の方が細かい情報で悪口を言うので、絶対友人の方が悪い奴だと思う。ダカラワタシハナニモワルクナイ)、自分の中では正直もう終わったアーティスト的な認知すらしていた。
前アクトが終わりスタジアムに入った時にはそうでもなかった客入りは開始時間が近づいていくに連れてどんどん増えてきて、最終的には前日のNewJeansと競ってるくらいの人がパンパンに入っていた。そして、その観客達がリアムが出てくるのを今か今かと歓声を上げながら待っていた。そして大歓声の中登場したリアムは、友人の言う通り出オチと言ってもいいくらいカッコいい登場で、そんな姿に会場の熱気は400Lvのスタンド席から見ていても分かるくらい上がっていた。そんな風に登場して何を披露するのかと思いきや、1曲目からOasisの「Morning Glory」を披露し始めて正直爆笑してしまった。隣りにいた友人は同じように爆笑しながらも、この日1番の声の大きさで『マジか!』と言っていた。結局リアムはセットリストの半分以上の曲をOasis曲で構成したOasis祭りをして帰っていった。今のモードなんてものが全く無かったライブに若干の寂しさはありつつも、Oasisの曲はこの場所でこんなにも湧くのかと興奮の方が大きかった。Oasisの曲のイントロが演奏される度にスタジアムに大歓声が起こるし、サビになると(サビじゃなくてもだったけど)自分達が座っているようなスタンド席の後方まで歌えない人はいないと言わんばかりの大合唱が起こるし、Oasisというバンドがこの国のリスナーに与えた影響の大きさをまざまざト見せつけられた。そして同時に、その曲を歌うリアム・ギャラガーというアーティストのどうしょうもないカッコ良さも見せつけられた。1時間前まで小馬鹿にしていた後ろ腕組みの歌い方も、今となってはカッコいいものとして認識してしまっている自分がいる。ラストの「Champagne Supernova」に関しては、カッコ良すぎてもはや泣きそうになってしまったまである。この時、心底Oasis直撃世代じゃなくて良かったと思った。こんなもんを直撃していたら、後々まで大きすぎる呪いを抱えなきゃいけなかった。助かった。
それにしてもリアムがこんなにもOasis祭りを披露したり、サポートギターの人がうっすらノエルに似ていたりのを観ていたら、うっすらとリアムはOasisを再結成したいのかなと感じずにはいられなかった。だとしたら、大人同士の喧嘩はさっさと終わらせて、さっさと再結成して、荒稼ぎしに来て欲しい。その時は今日一緒に観た友人と共にまた行ってやるからさ。あと、次来る時までには色んな曲歌えるようにしとくよ。だから再結成、クソ頼むぞ。

NewJeansおじさんとは、リアム・ギャラガーの事でした
↑違う


Kendric Lamar

彼がFUJI ROCKでヘッドライナーをした時、自分は最前のほぼど真ん中で観ていて知り合い曰く何度もカメラに抜かれるくらい(そして自分はそれに全く気がついていないくらい)全力で盛り上がっていた(正直これに関しては記憶がアイマイマインなので"らしい"としか言いようが無い)。あの時は初めてのFUJI ROCKということもあったし、えげつない雨に晒されているという状況もあったし、アドレナリンが出過ぎた一種の興奮状態にあったのだと思う。
あれからもう5年が経った。再びKendric Lamarが日本の地でライブをすることが発表された時、自分は仕事が多すぎて(月残業が100時間超えてた)フラフラになって日々も荒んでいたけれど、その発表にだけはガッツポーズをしてしまうくらいしっかり喜んだ。あの発表から半年くらい経ち、ようやくその時が近づいてくると、やっぱりどうしても緊張して仕方無かった。リアム終わりで観客がどんどん出ていく光景を観て、その不安からいてもたってもいられなくなりスタンドに友人を残してアリーナへ走り出した。海外のヒップホップアクトは日本じゃなかなかウケない。これはもう嫌というくらい感じてきた圧倒的な事実だ。だから、もし全然人が入らなかったらどうしよう、もし全然誰も盛り上がらなかったらどうしよう、今日を境にKendricがもう日本に来ない未来を選んでしまったらどうしよう。そんな不安ばかりを抱えながらアリーナに入った。アリーナに入ると、リアム終わりで退場した観客はかなりいたようで、前方ブロックの割と前の方まで来ることが出来てしまった。その様に行動できてしまったことが何よりも不安で、始まるまでの間上から見ている友人からアリーナの状況報告を貰った。開演する少し前にそれを聞くと、友人からは『リアムと同じくらいには戻ってきた』という言葉と写真が送られてきた。安心した。どの立場で物事を言っているのか完全に見失っていると思うが、とにかく安心した。取り敢えず集客の面ではKendricに嫌な想いをさせずに済んだ、と。友人のおかげでようやくKendricを純粋に楽しむという気持ちが作れたと思ったら、途端にアリーナの暑さが襲って来た。夜になって日差しは無くなっていたけれど風の通らなく人が密集したアリーナはとても暑くて、急に汗が止まらなくなった。幸いまだほとんど手を付けていないペットボトルの水は持っていたけれど、正直500mlじゃ全く足りないなと瞬時に分かってしまった。そこからは自分がNewJeansで大量発生したような熱中症患者の一員になってしまうのではないかという、別の不安に強く襲われた。そんな不安を抱えながらも待っていると、遂に照明が消えてKendricがステージ上に現れた。Kendricが現れた瞬間当たり前だけど前方ブロックは前に寄り、より暑さが増した。流石にヤバさを感じ始めたものの、Kendricを目の前にして出るという選択肢は無いので思いっきり楽しむことにした。ステージはKendricとダンサーの一見簡素にも見えてしまうパフォーマンスだった。だけどKendricはそこにバッチバチの批評性を落とし込んでいて、Kendricの子供時代?を模したダンサー達が後ろでスケボーや職業(荷物運びや美容室?→肉体労働とケア労働)の動きをしていたのは、そんな場所からのしあがってきたKendric自身の事であるように感じた。するとバンドがステージのサイドに隠れているのは、バンドはKendricの姿ではないからという理由のように感じられて納得がいく。正直ステージの批評みたいなものは自分よりも遥かに解像度の高い記事を見つけたので、そちらに譲りたい。何はともあれ、とても批評性及びパフォーマンスの高いKendricではないと観ることのできないステージがそこには広がっていた。
そして不安だった盛り上がり。これに関しては1曲目が始まった時点で杞憂に終わった。止まない歓声。大合唱されるラップ。飛び跳ねるフロア。自分の周りくらいしか自分が冷静に認識できる場所は無かったけれど、最前列でもない前方ブロックの中間あたりでその光景が作られていたのはとても感動的だった。後からSNSを見たら2階のスタンド席も同じような感じだったらしく、余計に嬉しかった。アリーナへ降りていく時に抱いていた『自分が盛り上がる姿を皆に見せるんだ』みたいな気持ちが馬鹿みたいだし、良い意味で恥ずかしくなった。本当に良いライブを体感できた。
パフォーマンスが終わると、大きな花火が次々と打ち上げられた。Kendricが退場してもその花火は止まず、フロアにいた人は皆一様に空を見上げていた。ステージMCの話によると、Kendricもステージ裏で見ていたらしい。ここ数年は全く花火を見に行かない人生を送っていたけれど、こうして知らなくても誰かと同じ空を見上げて同じ美しいものを観ることがこんなにも心躍ることなのかと泣きそうになった。ああ、だから花火は日本各地で繰り返し繰り返し行われるのか。齢26歳にして、ようやく花火の良さと意味みたいなものが理解できた。ライブも花火も本当に良かったからこそ、アリーナを出るのが本当に名残惜しかった。が、正直もうジャンプ等の行為をするのは限界なくらいヘバッていたので、身体に従ってその場に留まらずにアリーナを後にした。
5年振りのKendric Lamarは本当に最高のライブするアーティストだった。5年前も今年も、本当に最高のものを見せてくれて本当にありがとう。また来てね。また行くから。

リアムの退場が始まってからスタンド→アリーナへの移動を開始したけれど、ここまで来れてしまったので客入りがちょっと心配だった。待っている間暇だし友人に客入り状況と写真を求めたら、リアムと同じくらいには入っていて少し安心した。


Night Tempo

今年のサマソニのラストアクト。Kendric Lamar終わりで退場するのにかなり手間取ってしまったので、楽しみにしていたFANCYLABOの出番は終わってしまっていた。というのも自分はMaison book girlがとても好きで、そのメンバーであった矢川葵さんが今どんな風に活動を続けているのか気になって仕方無かったのだ。あとは、中学の頃仲の良かった女子から激推しされていた市川美織さんの今も気になっていた。だから観れなかったのは正直かなりショックだったし、もっとやれよ!とNight Tempoに対して少し不満を覚えた。それでもNight TempoのDJはどうしたって最高なので、悔しいけれどめちゃくちゃ楽しめてしまった。

夜のビーチが全然似合わない辺り、健全そうなイメージが付きまくってるなと思う。


今年は会場内と会場外をハイブリットに使い分けて飯を食べた。それにより気が付いたことは、会場外で食べる飯は安いし多いし涼しい(最後だけ飯関係無い)ということ。チェーン店の企業努力は凄い!

「金久右衛門」のどぐろ&シジミの黄金中華そば、ハラミステーキ丼
サマソニに来たらまずは絶対にこれ、という自分と友人の中で圧倒的な定番且つ1位に君臨している「しじみラーメン」
最後に食べたのは2019年なので去年の仕様を知らないけれど、2019年からは穂先メンマが無くなってすだちと玉ねぎが追加されていた。具は毎回少しずつ変わったりしているので過去と同じものが食べられない寂しさはありつつも、スープの味は全然変わらずにずっと美味しいままで安心する。そして今回は始めてハラミ丼も付けたけど、こちらも凄く美味しかった。お腹は最高に満たされた。
この「しじみラーメン」には少しだけ思い出がある。それは2017年のサマソニでこのラーメンを食べていた時に、偶然前の席に座った英語話者である外国の方と話したという思い出だ。当時は自分も友人も英語がおぼつかなかった(自分に関しては今もだけど)し向こうも日本語は難しそうだったけど、お互いなんとかコミュニケーションを取ろうとして1つずつ1つずつゆっくりではあるけど言葉を重ねていった。その人はマイケルという名で、出演しているアーティストのスタッフとしてサマソニに来ているようで、BABYMETALのライブを観てみたかったのだと語った。どのアーティストのスタッフだかは聞かなかったので分からなかったけれど、皆「しじみラーメン」を食べながらではあるけれど、時間にして10分くらいは話し込んでいたと思う。正直本当に楽しかったのでもっと話していたい気もしたけれど、自分達は観たいライブが、マイケルは仕事があるからと握手をして別れた。そんなマイケルとの出会いが本当に良かったので、その後普通にサマソニを楽しみながら友人と一緒に全然知らない人を指して『あれマイケルじゃね?』『流石にマイケルじゃなさ過ぎる』という遊びをずっと(多分10回以上はしてる)していた。そんな遊びを続けながらBABYMETALを観るためマリンステージのアリーナで待機をしていると、遠くにアリーナへ入場してくるマイケルの姿を見つけた。自分が『あれマイケルじゃね!?』と言うと、友人はそちらを向いて『流石にマイケルじゃな…マイケルだ!!』となった。流石に2人ともめちゃくちゃ興奮した。そこからはBABYMETALを観ることよりもマイケルと再び出会う事に気持ちがシフトしたと思う。その時自分達は前方ブロックにいたので正直出るわけにもいかず、マイケルが前方ブロックまで来てくれるのを待つしか無かった。取り敢えず前方ブロック入口の方まで少し移動して、マイケルが来ないかとずっと入口を見ていた。少し時間が経ったところで前方ブロックに来ようとする列の中にマイケルの姿が見え、2人で嬉しくなって『マイケル!マイケル!』と全力で手を振った。まだまだ遠くはあったけれど、マイケルはこちらに気づくと手を振ってくれて、そのまま隣まで来てくれた。その後はまた握手をして、一緒にライブを観て、また握手をして別れた。
マイケルとは連絡先も交換して無ければ、一緒に写真も撮っていない。だけど今でもあの日マイケルはグレーのシャツにスラッとしたジーパンを履いていた事や、身長が目測で185〜190cmくらいあったことや、あの優しげな表情は鮮明に思い出せる。だから毎年サマソニ来るとちょっとだけマイケルを探している自分がいるし、『あれマイケルじゃね?』という遊びは今も友人とやっている。自分と友人にとって、サマソニで「しじみラーメン」を食べることはその記憶に直結することであり、凄く大事な再会でもあったりするのだ。
「Steppin」チーズバーガーBOX
NewJeansを観ながら食べたハンバーガー。何故だが分からないけれど、NewJeansを観ながら食べるファストフードがめちゃくちゃ合っていて美味しかった。
「Egg Rainbow」ジャンボハンバーグごはん
「熟成牛 夢は正夢」夢正牛の熟成ハラミステーキ丼
「なるとキッチン」ザンギバスケット(ファミリーパック)
自分が選んだハンバーグご飯は微妙(ハンバーグの粗さは無くソースは単調だった)で、友人が選んだハラミステーキ丼は爆裂に美味しかった。痛恨の選択ミス。そういえばこの日までハラミがどの部分なのか知らずに生きてきたのですが、友人に教えてもらい無事横隔膜ら辺の部位ということを知れました。横隔膜ウマー。
そして何より、今年のベスト飯と言っても過言ではないのが「なるとキッチン」のザンギバスケット(ファミリーパック)。写真で見ても分かって貰えるだろうけど、スタンドの椅子1席をしっかり埋めてしまうくらいの箱にガッツリポテトと唐揚げが入っていた。唐揚げは2口じゃ食べ切れないくらいのドデカサイズでいながらフェスで食べる唐揚げとは思えないクウォリティで、1口食べた後に友人と顔を見合わせてその美味しさの興奮を分かち合ったほど。「なるとキッチン」自体は五反田のお店に数回行ったことがあって半身唐揚げの美味しさに舌鼓を打っていたけれど、まさか初のフェス飯参加でこのクウォリティのものを持ってくるとは思いもしてなかった。正直これだけ美味しいとお店と比べても遜色ないし、値段もお店での提供価格を考えると凄く良心的なフェス値上げ度合いだった。来年以降また出店してくれるかは分からないけれど、出店してくれるならもう絶対に行こうと思う。というか、行かない選択肢が無い。正直「なるとキッチン」は今年のサマソニでちゃんと話題になって良かった。それくらい最高。皆さん是非お店の方にも行ってみて下さい。美味しい唐揚げと、分解という楽しいアトラクションが楽しめます。
「讃岐製麺 麦まる」
正直何の変哲もないうどんとどんどんのセット。だけど、フェス価格の飯を食べてきた中でのこのセットは激烈に安いのにクウォリティが高い恐ろしい1品に成り上がった。うどんやチェーン店って凄いんだなとクーラーガンガンの最高環境で思った。調子に乗って食べすぎたので、食べ終わった後はしばらく動けなかった。
「田所商店タンタンメン部」辛ネギ汁無し坦々麺
うどんと同じく、こちらもサマソニの会場外で食べた。正直値段はフェス飯とそんなに変わらなかったけれど、クーラー環境と座席の仕様が最高過ぎて気持ち的には全然安いくらいだった。あと、フェス飯ではなかなか食べられないようなガツンとした辛さのあるメニューをフェス期間中に食べられた事も嬉しかった。友人が食べていた冷やしタンタンメンもめちゃくちゃ旨そうだった。小さく刻まれた冷やしトマトが入っていたのがポイント高い。
「イスタンブール GINZA」ケバブ
今年のサマソニでとにかくガッカリした飯。私はケバブが好きで結構色んなお店に行くのだけれど、正直どのお店のケバブよりも高くてどのお店のケバブよりも酷い有様だった。具材の入って無さ、肉とソースの味の単調さ、キャベツの雑さ、パンのただ乾いている感じ。全ての要素で酷かった。このケバブ屋の看板はサマソニ以外のフェスでも見かけるので、正直注意喚起みたいな意味も込めてここに書いておく。これでケバブにガッカリする人がいるなら、どうか街の色んなケバブを食べて欲しい。もっと破格に美味しいから。特に、神田にある「アドケバブハウス」は別格に美味しいです。世の中にあれ以上美味しいケバブは無いと本気で思える。


その他所感

トイレ

これはもうどこの音楽フェスに行ってもそうだとは思うのだけど、女性用トイレが常に行列になってしまう事をもう少しどうにか出来ないのだろうか。男子トイレの1つや2つや3つ潰しても全然問題ないので、数を合わせて公平だと言うのではなく構造を揃えて公平だと言って欲しい。また、男性用トイレの個室にもサニタリーボックスを用意して欲しい。本当にトイレ周りの細かいことだけど、こういう細かな部分で『このイベントは男性ばかりが中心になって運営されているんだな』と感じざるを得ないのが悲しくなる。これからもRina SawayamaやPale Wavesを呼ぶようなフェスティバルの姿勢を保つのであれば、そういう部分は意識しなければならないし妥協してはいけないと思う。

暑さ

今年は特に暑さがキツくて、それこそNewJeansのライブの時には100人以上の熱中症患者を出した。正直時期の変更が難しいことやスタジアムやビーチの使用をしないという選択が無理な事は承知しているが、もう少し運営側で対策できるものはあったのではないかと思う。タイムテーブル、スタジアムの退場口、スタジアムアリーナのドリンク。スタジアム関係だけでもこの辺りは今年と同じことにならないように、来年の改善を大いに期待したい。また、オフィシャルグッズ売り場も待ち時間がやたら長い割に日陰が無いので、日傘貸出等の事は行った方が良いと感じた。あとは、日向で誘導等をしているスタッフの方にも日傘くらいは渡した方が良いと思う。正直見ていてあれが1番キツそうだった。私達は好きなものの為に日向にいるからまだしも、スタッフの皆さんは仕事で日向にいますからね。

モラル

NewJeansファンを名乗りナンパをする男性を見かけた。フェスではよくある光景なのかもしれないが、ナンパという行為がそもそもゴリゴリの加害行為に準ずるものだし、相手が嫌な顔をしているのにナンパをし続けるその男性は本当に最悪だった。DJ SODAさんに対する性加害の件もあるし、フェスティバルにおいての性加害ガイドラインみたいなものを発行した方が良いのではないかと思った。これはフェスティバル自体を守るものになると思うし、フェスティバルに行く人を安心させるものにもなると思う。
また、前日から並ぶ人達に対して何かしらの対応をしたほうが良いと思う。そりゃチケットが取りづらいジャニーズ等のアクトを自らの努力で何とかできるようになるとなれば頑張って並ぶ人も出てくるのかもしれないけれど、それはこの暑さの中でさせることでは無さ過ぎる。NewJeansと異なり朝一でのアクトというタイムテーブルの組み方は正しいように感じるので(NewJeansのところでも書いたけど、日向での待機時間は地獄ですからね)、フェスティバルの集客の為にブッキングしているのであればそこに対する取り組みももう一歩頑張って欲しい。FUJI ROCKと違って年によって来る人がガラッと変わるサマソニだからこそ必要になる対応だと思っている。



帰り道

Night Tempoまで観終え全てのアクトが終わり、名残惜しさを残しつつ友人と駐車場まで戻る。すれ違う人、などいなくて皆一様に駅に向かう道を歩いている。歩いていると後ろを歩いていた人が『クサイ〜』と言ったので、自分から発された臭いかどうかをバレないようにちょっとだけ確かめた。正直自分の臭いがどうかは分からなかったけれど、横を歩いている感じ友人の臭いでは無さそうな気がした。
車に着いたらビーチステージでたっぷり靴の中に入った砂を落とし、汗を拭いて服を着替えてクールダウン。すぐに駐車場を出ても良かったけれど、何だか会場を出てしまうのが勿体無く感じて多くもない荷物の整理を念入りにする。車の中にぶちまけていた荷物は全てリュックの中に詰め込まれ、車に乗り込んだ時と同じ状態に戻った。それはこの車で過ごした生活が生活で無くなるようで、とても寂しい気持ちになった。すぐに車を出すのも惜しかったので、車の中で今年のサマソニで良かったアクトを話したりした。ただ時間も時間なのでそんなに停まっているわけにもいかず、車を出した。
帰り道はOasisのアルバムを聴きながら帰った。リアムのライブを観てしまった後だからどうしたってカッコ良くて、2人で『最高だな〜』と言い合っていた。そうやってアルバムを聴きながらも友人からしょうもないOasis話を聞き出し、結局2人でリアムの悪口を言っていた。正直帰っている道中の半分以上の時間はリアムの話をしていたと思う。どんだけ好きなんだよ。

帰り道について友人とは打ち合わせは何もしていなかったけれど、私の家の最寄りのコンビニまで送ってくれた。自分の家の位置は友人の家からは結構遠いから中間地点くらいで別れる事になると思っていたので、とにかく恐縮したけど1秒でも多く2人で喋っていようとしてくれているその感じがとにかく嬉しかった。
サマソニは海浜幕張で行われるという近場感が最高だけど、それは同時に家にすぐ着いてしまうということで、1時間ちょっとで最寄りのコンビニに着いてしまった。普段だったら嬉しい知っている道に出るという瞬間が、この時ばかりは明確な終わりまでの時間を感じさせてとても寂しかった。

お互いこの時間が終わってしまうのが惜しくて、特に用事や話すことも無いけれどダラダラと居残って喋り続けてしまっているけれどそれをお互いが分かっている状態、という何物にも変えられない時間の喜びを噛み締めていた。これって本当に相手の事を好きだから出てくる行動だし、本当に過ごした時間が最高だったから生まれる時間だと思うから、本当に嬉しくて嬉しくて嬉しいという言葉が何個続いても構わないくらい嬉しかった。久し振りのフェス、久し振りのライブ、久し振りに会う友人。そういうものに浮かれていたという事は勿論あるし、久し振りの刺激だったという事も大いに関係しているだろう。だけど数年前に行っていた頃からは年齢も重ねて趣味嗜好も少しずつ変容していて、でも変わらない部分もあって、そんな変わった部分と変わらない部分が混ざり会うようにフェスを楽しんだ今だからこその瞬間に、『宝物』以外のなんと名前を付けたらいいのだろう。大人になった自分にも、生きていたらこんなにキラキラした瞬間が訪れるし、『青春』と言って差し支えのない瞬間がまたやってきたりするのだ。時間にしたら10分くらいかもしれない。だけど、その10分はこの3日間の中で最も輝いた10分間だった。
本当に最高の時間で、この時間が永遠に続いてくれたら良いのにと思っていてけれどそんなわけにはいかず、日付が変わる時間が近づいてきていてこのままだと友人が家に帰れる時間がどんどん遅くなっていってしまうので、意を決して『じゃあ、そろそろ…』と言った。その言葉を口にした事の後悔はありつつ、この言葉を口にした責任を友人に背負わせなくて良かったと思った。『家に帰るまでがサマソニだよ!』とKendricのステージが終わった後MCの人は言っていたけれど、少なくとも私にとってはそうではなかった。私にとっては、一緒に来ていた人と別れた瞬間こそがサマソニが終わってしまった瞬間だった。何度か振り返って手を振ったりしていたけれど、自分が曲がり角を曲がり友人の姿が見えなくなった時、本当に寂しかった。そこから家に帰るまでは、通りを通る車に友人の車がないかずっと見ながら家に帰った。正直自分の目が悪いし、暗いし、車のスピードは速いしで全然見えなかった。通ったか通ってなかったかだけでも判別したかった。
家についた後、普段誰かと遊んだ時はありがとうLINEなんてしないけれど(こんなん絶対した方がいいのにね)、今回ばかりはこの感情を少しでもまだ伝えたかったのでお礼LINEを送った。友人から返事が帰ってきたのは次の日の昼(家に着いたらスイッチが切れたように眠ってしまったらしい)だったけど、自分と同じくらい熱いものが帰ってきた。昨夜の嬉しさの余韻が文字に残っていて、嬉しさでちょっとだけ泣いてしまった。
最高のサマソニだった。

家に帰ってから、このリストバンドをなかなか切ることが出来なかった。サマソニの次の日を休みにしていたけれど、切れたのはその休みの日の23時を過ぎた頃だった。それだけこの素晴らしい思い出の余韻に浸っていたかったし、本当に終わりにしたくなかったのだと思う。
正直これを書いている今も、今年のサマソニを終わりにしたくなくてダラダラと書き続けている節がある。そんなんだからこの日記は2万字を軽く超えてしまっていて、それを馬鹿だなと思う自分もいる。だけど、やっぱり書くことでしか吐き出せないような思い出がこの3日間に沢山沢山あって、それをこうやって2万字を超えながら向き合っていけたのは本当に良い時間になった。日記は誰のためでもない自分のために書く、という事の意味の大きさと強さを改めて実感して噛み締めるような時間でした。楽しかった。


〜END〜


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