はたらくFUND 2019 Impact Report (2)

3. 本ファンドの紹介

(1)設⽴経緯
2017 年 1 ⽉、新⽣銀⾏グループ単独での邦銀系初のインパクト投資ファンドとなる「⽇本インパクト投資 1 号投資事業有限責任組合」を設⽴した。2019 年 6 ⽉、株式会社新⽣銀⾏の 100%⼦会社の新⽣企業投資の連結⼦会社である新⽣インパクト投資及び SIIF を共同運営者とし、みずほ銀⾏を運営者のアドバイザーに迎え、更に外部 LP 投資家を招聘する形で、「⽇本インパクト投資 2 号投資事業有限責任組合(本ファンド)」の運営を開始した。

(2)⽬的
・社会課題解決:本ファンドは、少⼦⾼齢化、労働⼈⼝不⾜といった喫緊の社会課題に着⽬し、「働く⼈」を中⼼に据え、⼦育てや介護等の様々なライフイベントを経ながらも「働き続けられる」環境作りと⼈材創出につき、投資の⾯からサポートしていく。
・⽇本におけるインパクト投資のエコシステム構築への貢献: 同時に本ファンドは、⽇本ではまだ事例の少ない多様な外部投資家が参加する本格的なインパクト投資ファンドとして、社会的インパクト・マネジメントのモデル構築、評価の実施及びレポーティングを含むインパクト投資の実践を通じ、インパクト投資の先⾏事例となることを⽬指す。

(3)ファンドのプリンシプル
<LP 投資家の選定基準>
本ファンドの LP 投資家は、以下基準に合致する投資家を招聘する。
ポジティブ要件の確認:
- 本ファンドが⽬指すインパクトの創出及びインパクト投資エコシステム構築への貢献に賛同すること
- ⽇本におけるインパクト投資の将来の牽引者となり得ること
- 投資先事業の成⻑⽀援に資すること
ネガティブチェック:
- 重⼤な ESG リスクが顕在化していないこと
- 反社会的勢⼒でないこと

<投資先の選定基準>
本ファンドの投資先は、以下基準に合致する先を検討する。
- 投資先事業の⽅向性が、本ファンドが設定するセオリーオブチェンジ(ToC:ファンドが創出する変⾰の仮説)へ合致すること
- 投資先事業の経済性と社会性がトレードオフでなく、正の相関関係が⾒込めること
- 投資による経済的なリスク・リターンのバランスがとれること(個別投資先の⽬標ターゲットを IRR15〜25%とする)
- 経営陣の社会課題解決へのコミットメント(INTENTION)が確認できること
- 事業を通じて創出される「社会的インパクト(OUTCOME)が把握できること
- 投資期間中に社会的インパクトを計測(MEASUREMENT)できること

(4)ファンド概要

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(5)スキーム

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4.本ファンドが⽬指すインパクト(社会課題・セオリーオブチェンジ)

(1)本ファンドが取り組む社会課題
⽇本では、⼈⼝減少及び少⼦⾼齢化が今後更に進むことにより、特に 20 代〜60 代の働く世代が⼤幅に減少する局⾯にあり、働く世代において多くの課題がある。
具体的には、働く世代が働くもしくは働き続ける意志があるにもかかわらず、出産・⼦育てや介護等により仕事との両⽴が難しくなる状況があげられる。働く当⼈が、疾病や障害により働けない環境も多く存在する。また、年功序列・⻑時間労働といった従来の⽇本型雇⽤を構造的に改⾰する必要がある中で、将来の働く世代が⾃⽴し決断・⾏動できる⼈材となるよう次世代⼈材教育を⾏うことも重要である。
このような⽇本において、働く世代が良質な労働⼒を提供できるような環境を整えるため、新しいソリューションを提供する必要がある。
以上のように、本ファンドでは、①⾼齢化/労働⼈⼝の減少、②⼦育てと仕事の両⽴困難、③介護と仕事の両⽴困難、④従来の⽇本型雇⽤の課題/働き⽅改⾰の必要性、⑤次世代型教育の必要性、といった社会課題に対する新しい価値創造に貢献する投資活動を推進する。

(2)本ファンドのセオリーオブチェンジ(ToC)
上述のように、世界に先駆けて⽇本が直⾯する①⾼齢化とそれに伴う労働⼈⼝の減少問題を受けて、本ファンドが⻑期的に創出を⽬指す社会的な変化(インパクト)を「多様な働き⽅・⽣き⽅の創造」と定めた。更に、その実現に向け、投資先を通じ、②③⼦育てや介護などのケアの領域と④働き⽅や⑤次世代⼈材育成などのワークの領域において、個⼈の負担軽減や多様性促進だけでなく、社会における仕組みの充実化を⽬指す。右図、本ファンドが社会的変化を起こすための理論を⽰したものである。

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(3)本ファンドによる SDGs への貢献
本ファンドは、ファンドの活動(インプット)を通じ、直接的な結果(アウトプット)、中期的に受益者や関係者にもたらす効果(アウトカム)、⻑期的に社会に与える影響(インパクト)を実現することで、主に「SDGs3 健康と福祉」、「SDGs4 教育」、「SDGs5 ジェンダー」、「SDGs8 働きがい」の達成に貢献し得る。

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各投資先についても、各社のロジックモデル作成を通じて、各社が創出を⽬指すアウトカムやインパクトを設定し、それらが貢献し得る SDGs のターゲットを特定する。本年度の進捗は以下の通り。

【投資先の事業活動が貢献し得る SDGs ターゲット】

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【各 SDGs に貢献し得る投資先の数】

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はたらくFUND 2019 インパクトレポート(3)はこちら


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