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【後編】敦賀市の就労継続支援B型事業所「HATARAKU」の魅力に迫る!冷凍パンからAI活用まで、多彩な取り組みに迫るインタビュー

前編はコチラから

運営のきっかけは、グループホームでの仕事を経験して

ところで、ご自身がHATARAKUを運営することにしたきっかけを教えていただけますか?

三宅:以前、障がい者のグループホームに勤務している時に、入居者のお財布事情を知りました。収入より支出が大きいことも少なくなく、B型事業所に働きに行っても全国の平均月額工賃は16,000円前後・・・

たしかに、就労支援事業所を利用している友人が嘆いているのはよく耳にしますね…

三宅:就労支援事業所では、企業から委託された内職中心の仕事が多く、1つあたりの単価が1円もないことも珍しくない・・・この状態では、稼ぐことはそもそも難しいのでは・・・と思ったことがきっかけでした。
ですので、HATARAKUでは企業から頂く(低単価の)内職のような作業はやらない!って決めています。脱内職を掲げています。

となると、本格的な仕事になりますか…
利用者の方への、自己成長やスキルアップを促すための具体的な取り組みや支援プログラムはありますか?

三宅:自分の問題を理解していくために自動思考記録表(コラム表)を書く取り組みもしています。
自分はどういう状況に置かれたときに、何を考え、どんな気分になったのか?身体に変化はあったのか?それで自分はどのように振る舞ったのか、何をしたのか?など、自分の問題を理解するために、自分の心や身体と向き合って客観的に自分を観察をする目的で取り入れています(全員が対象ではないですが)
あとは、口頭の説明だけではなく図やイラストを用いて可視化することをも心掛けています。

能力向上やモチベーション維持につながるポイントは何だと考えていますか?

三宅:能力向上やモチベーション維持につながるポイントは2つ!

①やはり好きな事、得意な事、興味のある仕事を提案すること
②モノを売ること

私たちも同じだと思うのですが、好きな事って時間を忘れるぐらい夢中になったりしますよね。それと同じで、少しでもそう思えるような仕事を提案できるように心掛けています。
また、自分たちが担当したものが売れたときの感情って、やはり特別で、次はもっと良いものを作ろうって思う原動力になっていると思います。


課題は「認知度の向上」と「稼ぐことへの結びつけ」。そのためにチャレンジの打席に立つ

HATARAKUを運営していて、直面している課題や困難はありますか?

三宅:課題として、大きく2つあります。
まずは、HATARAKUの認知度が低いということです。OPENして約10か月ですが、外観が銀行のままなので、銀行だと思って通帳片手に来店するお客さんも少なくありませんし、「広告で見たけど、ここだったのね」と言われることもしばしば(笑)

三宅:次に、我々は通所される方の”好きな事、得意な事、興味のあること”を仕事として提案できるように努力していますが、”そのやってみたい仕事”が、我々が未経験だったときです。

え、それってどういう意味ですか?

三宅:例えば、”絵を書くことが好き”というケースでは、遊びで絵を書いたことはあるけど、それをどのように商品に結び付けていくのか?という部分。商品にして販売していかないと、それはただの美術の時間ですからね(笑)

なるほど…
それらに対処するためのアプローチや戦略は、どのようにしていますか?

三宅:繰り返し練習を重ねることは、もちろん大事ですが、とりあえず打席に立つことを心掛けています。できた作品は、イベントに出店やオンラインショップに出品し市場の反応を見ます。あとは、売れている商品のリサーチをして、それを上手く取り入れることを意識して行っています。


地域に愛される憩いの場になるために、いろんなことにチャレンジしていきたい

今後の発展や成長に向けて、どのようなビジョンや計画をお持ちですか?

三宅:今後はHATARAKU内で、e-sportsが楽しめる機会を提供できればと思っています。敦賀の地域のこどもたちが集まってゲームを楽しんだり、親子で対決・孫VSじーちゃんばーちゃん、などの企画を立ち上げたいと思っています。高齢の方も参加して頂き、健康増進のお役に立てればなと思っています。いわゆるみんなの憩いの場として提供できればな、と思っています。
また、農業にも少し興味があるので、就労支援と上手く連携できないかも模索中です。

ここ近年は世代間を超えたイベントもなかなか経験することがなかったので、どのような感じになるのか注目ですね。
最後に、HATARAKUのスタッフや関係者へのメッセージをお願いします。

三宅:HATARAKUは、まだ立ち上がって10ヵ月しか経っていない小規模な事業所です。”障がいがあっても稼ぐ”をコンセプトに、いろんなことにチャレンジしていきたいと思っています。チャレンジした分だけたくさん失敗すると思いますが、失敗していく中で一緒に成長していけたらと思っています。一緒にHATARAKUの文化を作っていきましょう。

本日はお忙しい中、ありがとうございました。

インタビューを終えて

まだ運営に乗り出して1年経っていないという小規模な事業所でありながら、「障がいがあっても稼ぐ」をコンセプトに様々な事業を運営・計画している、まさしく「ベンチャー」な事業所だなと感じました。これからどんどん認知度が上がっていって、地域の方に愛されるような事業所になってほしいと期待しています。

この記事を書いた人

黒澤康浩

 生まれつき身体に障がいがありながらも病院(障がい者雇用枠)に勤めていたが、脳梗塞を発症し退職。発症後、右半身に麻痺が強く現れ、再就職は難しいかと悩んでいたところ、役所の福祉課から障がい者就労支援施設の話があり、リモートで勤務を始める。一般的な就労と障がい者の金銭事情の差に困惑しつつ、また慣れないリモートワークに苦戦しつつも、自立した生活ができる方法を模索している。