戦争の時のブログ⑩

いつも近所の床屋さんで1300円で髪の毛を切ってもらっている。そこはおじいさん複数とおばさん一人が経営していて、いつもはおばさんに切ってもらってるのに、さっき行ったらおばさんはお休み、一番高齢なおじいさんが「私が切ります」と出て来た。

えっ? おじいさん、ちょっと手がふるえてるような感じで、一抹の、いや、正直三抹ぐらい不安を抱きつつも、でも、まぁ、髪の毛ぐらいいいか、どうせまた伸びるから、という私の鷹揚な(いいかげんな)性格で、そのまま椅子に座った。

と、なぜかおじいさん、私の椅子をいきなり後ろに倒そうと(寝転がせ状態)ガタガタしだす。ちょ、ちょっと待ってください! この状態はイヤです。苦手です! そう言って、普通の椅子状態に戻してもらう。ふう。おじいさんは「この方が楽かな?って思ったんだけどね」なんて言ってる。いやいや。ラクじゃないから。

そして髪の毛にシュッシュッと霧吹きで水をかけられたのだが、顔にもかかったと思ったのか、おじいさん、横の椅子にあった、どう使われてきたのかも謎の黒いタオルでいきなり私の顔を拭く。。。。ぎゃあああああああああああああああああ!

いきなり、な、泣きそうだ。しかし、泣いてる間もなく、どんどんビニールのカバーみたいな、あれね、あれを何枚も体に巻かれ、動けんっ。その巻き方も「首くるしいです」ぐらいに巻く。しかし、何か言うのもなんだから黙って巻かれる。ぐげッ。。。

そして、無の気持ちになり、切ってもらうことに。「ちょっと短くするぐらいでいいです。ちょっとだけ」と念を押すも、おじいさん、ジャキジャキと切り出す。おいおいおい。。。。「マスクとりますか?」というが、「いつもしたまま、切ってもらってます」と答える。イヤだもん。

おじいさん、しかし、特に難儀する様子はなく、相変わらずジャキジャキとすごい勢いで切る。ぜんぜん、こう、見てる風もなく、とにかくはさみでジャキジャキジャキ。

だ、だいじょうぶなのか? だいじょうぶなのか? なんか、坊主にされそうな勢いなんだが! ものすごい怖い顔してにらみつけたくなるも、何せメガネはずしてて、なんも見えん! おじいさんは容赦なくジャキジャキジャキ! もはや不安しかない! 不安のかたまり! 身体は前のめり。顔はむつむき! したら、さすがにおじいさん、私の不安な気配を察したのか、「メガネかけてみてください」「見てみてください」「これぐらいでいいですか」「前の毛はどうしましょう」と立て続けに聞く。

そこからにわかに、今度はおじいさんが不安そうになる。あら、おじいさんに、悪いことしたかしら。。。

メガネかけてよく見ると、そうそう切り過ぎでもない。

「あなたは髪の毛が多いから、すいてるんですよ」って。そうね。そうね。「わかりました。これでいいです」と答えて、また切ってもらおうとすると。

おじいさん、なぜか必要以上に頭をなでる。なでる。なでる。いや、いやです、おじいさん、いやです~~~~~~~。なんか、キモいです~~~~~~~~~~~!

でも、おじいさん、別に何ってこともなかったようで、「髪の毛がね、多いからね」と言うと、再びチャチャっと切りそろえはじめ。なんか、もう、飽きたのか、やにわに終えると、「はい、鏡見て」と、後ろを見せてくれようとするのだが、どうやら手が震えるのか、うまいこと見せられず、鏡がぶるぶる震える。

もう、いいです、もう、いいです、大丈夫ですよ、と答えると、髪の毛も濡れたまま。。。一切梳かしてもらえるとかもなく、「はい、どうも」って終了。はぁ。。。疲れた。なんか、解放された、という感じ。

しかしおじいさん「気に入らなかったらまた来てくれたら直すからね」って言う。おじいさん、悪い人じゃない。ただ、ちょっと、もう、おじいさんすぎてるだけの話だった。

そして私はまたそこで、髪の毛を切ることは間違いない。次はおばさんが戻ってきていることを願う。

と。今日も戦争のことを書いていません。ごめんなさい。戦争だと、髪の毛なんて切れないのか? じゃ、美容師さんたちは仕事もあがったりになってるのだろうか。戦争は何もかも出来ない。戦争だ~武器買え~核兵器だ~とかわめくあなたたちは、髪の毛ぼさぼさで過ごすんですよ、わかってますか?



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