巡業弁当

バッシングしてつながる社会(2020年1月29日)

 このあいだ、東京新聞夕刊にこんなコラムが出てるよ!と友達が教えてくれてびっくり。

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 おおお! 東京新聞の、この、匿名で書く名物コラムは大好きなので、ここに自分が登場したことがびっくりだけど、ここに書いてあることには拍手~大共感だ。

 しかし、ここにこう書かれても白鵬バッシングは止まない。思うに、相撲ファンは悲喜こもごも大いに感動した初場所だけど、一般の人たちからしたら、これまであまり知らない人が活躍したり引退したりした(相撲ファンじゃない人に誰知ってる?と聞くと、白鵬と炎鵬と言われる昨今だ)。ウエブサイトからしたら、知らない人の優勝や引退を記事にしてもビュー数かせげない。でもTVやスポーツ新聞ではなんだか相撲はワアワアしてるから、じゃ、みんなが知ってる白鵬をバッシングしておこう、か、という感じじゃないかな? 白鵬、という名前は今やビュー数を稼ぐのにキラーワードだと聞いた。しかも、白鵬+悪口、が絶大なんだとか。白鵬というキーワードを入れて、その後にどんな言葉をちりばめたらいいか?というのをネットを分析してキーフレーズを出してくれるソフト?もすでに存在しているので(というか、そういう業者がいるので)。ウエブ媒体では白鵬、と入れて、次に出てくるキーフレーズ(悪口)を必ず幾つかちりばめるようにして入れて記事を作り、どこもだいたい同じようなものが出来上がるんだろうと思う。

 そして、そういう記事に飛びつく人たちが少なからず、いや、今や大勢いる。誰かをバッシングすることで悦に入る人たちだ。誰かを間違っている!とバッシングすることで優位な立場に立ったように勘違いし、自尊心を得て、生きることができる人たち。

 白鵬は今その最高のターゲットだ。横綱という最高位にあって、=権力者のように勘違いできる。相撲を知ってる人ならそんなこと思わないけど、相撲なんて知らん見ない知ろうともしない、という人たちからしたら、そう見えるから、自分は悪い権力者を叩く、反権力な人だと酔いしれるのだろう。仲間も大勢いる。ネットには。連帯感も味わえる。

 そうやってバッシングの対象になる人は白鵬に限らない。#KuTooの石川優実さんへのバッシングもそう。以前は#KuToo運動がどういうものかを理解できない勘違いで(というか、それについて説明した文とかは読まないんだろうと容易に推測で来た)、さんざバッシングしていたけど、今度は石川さんの本での引用が著作権違反だと大騒ぎして犯罪者扱いし、バッシングが異常だ。しかし、今、私は新潮新書のある本を読んでるのだが、この本なんてほとんどが引用からできており。引用ダメだったら世の中の本のほとんどは不可能で、特に新書ものなんてほとんど廃刊だろうに。引用するときに本からの引用なら「~~~」という本から、と書くが、ツイッターを引用するなら特に何か+して表記することは不可能なんだから、そのまま引用するしかない。引用するとき、いちいち作者だの出版社だのに許可をもらうことはない。↑この新聞のも、和田さんの記事のこと書きますよ~なんて一言も聞いてないですし。

 さらに著作権に関しては、著作権を侵害されたと思う本人が訴えない限り、そこには何ら被害も加害もない。それを、大きな過ちを見つけた!とばかりに騒いで、狂喜乱舞したようにバッシングし続ける人たちを見ていると、この国はどんだけ病んでいるのだろうか?と思わずにいられない。

 白鵬をバッシングする人たちも石川さんをバッシングする人たちも、つながっているように思う。もしかしたら同じ人たちかもしれない。何か自分なりの正当性をそこに見つけて、その真偽を丁寧に確かめる作業などは一切せずに、乱暴に、罵る。罵ることで自分を証明する。同じように罵る人たちが大勢いるので、そこに連帯を得る。他で自分を証明することがあればいいのに。他で自尊心を満たすことがあればいいのに。つながることは現実で起こるべきであるのに。でも、今はそれが難しい社会なのかもしれない。

 白鵬バッシングや石川さんバッシングを他山の石、と捉えて見ているのは危険だと思う。これは今の社会の暗部の、恐ろしい現れ。石川さんや白鵬が傷ついている(白鵬だって傷つくって、想像してる?)、ということだけじゃない。社会の大きな問題だ。だからこそ、東京新聞だって取り上げている。

ちなみに私の書いた、白鵬の記事はこちら(と、何気に宣伝してるわけじゃないですよ、ええ、ええ。まぁ、宣伝ですが)。

 

 

 

 

 

 

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