ヨーロッパの建材をわざわざ輸入しているワケ
私が仕事をしていて一番よく言われること第11位くらいにランクインする質問は
「国内でできたらいいのにね。工場とかないの?」です(私調べ)。
誠にごもっともな意見です。
日本にも昔から漆喰はありますし、自然塗料メーカーもあります。
『日本で家を建てるということはその地域に根付くことであり、生活圏にお金を落とすことでもあるから、建てるのに必要な材料はなるべく国産にして、日本にお金が落ちるようにしたい』
そう考える崇高な実務者もおられます。
そして2021年ウッドショックが起こり、日本に木がたくさんある状況でそれが使えないという醜態。施主の中でも、できるだけ国産のものを使いたいという人が増えたのではないでしょうか。本当に素晴らしいです。
先日とある設計事務所の代表の方に、非常に心に響くことを言われました。
「外国の物を輸入してる会社がやらなければならないことは、それを続けることです。良い物だから30年も支持され続けているわけで、必要のない物ならとっくの昔に無くなってる。だから、無くなったら困る人はたくさんいる。」
別に私は創業当時からいる古参ではなくただの中途採用者ですが、こういうことを言われると自分たちが扱っている商品に自信が持てます。
弊社ホームページには取り扱っているエコロジー建材について詳しく書かれていますから、ここで同じことを書くのは差し控えます。
たった一つだけ強みを言うならば、弊社で扱っている建材は全て、『成分を100%完全に明示している』という点だと思います。
自然素材にひたすらこだわっていると言うわけではなく、中身がともなったものであり説明できることが重要と考えています。
細かい決まりとかはわからないんですが、建材って、食品や化粧品のように詳しく成分表示をしなくてもいいらしいです。
まあ口に入るものでもないのでいいのでしょう。
話が脱線しますが、
住宅建築界隈でチラホラ主張されている「数値や性能の先を行け」ってやつ。
つまり心地良いとか、気持ちいいとか、快適性なんですが、それらを突き詰めようと思うと素材に行き着くのではないかと思っています。
「おたくが性能をちゃんとやってくれるのは分かってるから、意匠とか素材の要望だけ聞いて下さい」なんて施主に言われる建築会社もあるとか。
そうなれば仕事には当面困らなさそうですね。
弊社で2020年に取り扱いを始めた木繊維断熱材。
「日本に木は沢山あるのになんでドイツから輸入したん?」
こんなことを言われたことがあります。
なんででしょうね(笑)←
逆に言えば、なんで日本に木は沢山あるのに木繊維断熱材のシェアがほとんどないんでしょう?
私だって本当のところ、あり余る日本の木を使った木繊維断熱材が広まってほしいと思っています。日本にも唯一木繊維断熱の製造販売をしている会社もあります。
でも日本の断熱材シェアのうち木繊維断熱材が占める割合は1%も満たない。
設備投資が〜、品質が〜、の問題で、未だ扱っているのは密度50kgの充填断熱タイプのものだけ。
かたやヨーロッパの木繊維断熱材市場 No.1 メーカー
構造材も含めて非常に多種類のエコロジー建材を展開しています。
日本へ輸入しているのはこのうち充填用Flex,付加断熱用duo dry,充填用吹き込みZellの3種類ですが、近いうちにFloorとinternalも入ってくる予定です。
ちなみに向こうヨーロッパでは木繊維断熱材シェアは20%を超えてるとかいないとか。
会社の創業年月も日本で2007年、ドイツで1986年で大きな差があります。
1986年なので、「温暖化1.5℃問題」を報告したIPCCが発足する前から創業していたことになります。
「日本の20〜30年先がヨーロッパ」と建築分野で言われることも少なくないですが、まさにその通りだなと。
この会社自体、環境改善のビジネスに取り組む姿勢が素晴らしすぎるので、また別の記事で取り上げたいと思います。
日本にあったほうがいいのに無いから、輸入している。
弊社のような輸入商社の使命は、まだ日本にはなくて良いものを世間に知ってもらい、広めることであると考えます。
だから、仮に弊社が廃業する日が来るとするなら、それは日本の建築技術や建築に対する姿勢がヨーロッパのレベルと並んだときだと思います。
わざわざ輸入してくる必要ないよね ということです。
日本の建築を良くするために外国の建材をうまく使ってほしいと思います。
特に弊社が扱うエコロジー建材でいえば、成分完全明示はオンリーワンです。
『外っつらだけじゃなく中身にもこだわり』を訴求する建築会社さんにはピッタリじゃないでしょうか(ちゃっかりアピール)。
『日本にはないからとりあえず場繋ぎで』
みたいな感じで、踏み台として使うのだって全然アリです。
国産で良いものが出てくれば、切り替えちゃってオッケー。
参入が増えれば値ごろな価格まで競争してくれそうですね。
ただし日本に入ってきた初期のような新鮮味はありませんから
そうなる頃には新たに優れた商品が日本に入ってきているでしょう。
私も、ある種逆張り思考で何事にもチャレンジ精神をもって努めていかなければならないと思います。
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