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6月のホタル


近所の公園でホタルを見てきた。田舎に住んでてよかったなと思うのはこういうときだったりする。

6月って祝日がないし梅雨でジメジメして、いいイメージがあまりない。夏至のお祭りはヨーロッパだし『ミッドサマー』を観てから夏至のお祭りがちょっと怖くなった。ジューンブライドにいたってはブライダル業界の経営戦略だし。

6月のたのしいものをなにか見つけたい。そこでホタルだ。あとアジが旨い。ホタルの味が旨いってわけじゃなくて、魚のアジのことだ。

それから紫陽花もある。紫陽花には毒があるので、紫陽花を触ったら必ず手を洗うように息子には教えている。

ホタルは綺麗だ。他の虫や田舎のヤンキーのように夜のコンビニには集まらない。暗いところで静かに飛ぶ。

飛びながら強く光るのはオスのホタルだ。メスはとまって弱く光る。オスがアピールをしてメスに見つけてもらう。セミも鳴くのはオスだけだ。鳥だってカモやキジもオスが派手で鮮やかな柄をしている。

田舎のヤンキーが派手な格好をして、車を電飾で鮮やかに光らせて、爆音を鳴らすのは求愛行動なのだと思う。他の男はライバルだから威圧する。生物の本能なんだろうな。不良ってやけにモテるし。

ホタルの成虫は一週間から二週間しか生きられないそうだ。この間で産卵をする。卵から成虫になるまでは一年かかる。孵化した瞬間から親がいないわけだけど、幼虫のときはタニシや巻貝を食べる。成虫になると水しか飲まないそうだ。天敵はザリガニ、鳥、クモ。がんばって生きてほしい。

夜の公園はけっこう人で混んでいた。飛んでいるホタルを写真に撮ろうとフラッシュを焚く人がいたけど、暗いところに目が慣れているのでフラッシュが光ると一瞬だけなにも見えなくなる。特殊部隊がつかうスタングレネードってこういう感じなのかな。

フラッシュたく人のことを特殊部隊って心の中で呼んでいたけど、ホタルも人間もびっくりするんじゃないかな。それにイメージしたような写真も撮れないと思う。

広い夜の公園なので迷子が怖いからエアタグを息子に持たせた。迷子になったときの集合場所も決めて、行動手順を確認した。

「もしも迷子になっても絶対にお父さんとお母さんが見つけるから大丈夫」と伝えた。耳でタコが産卵するほど息子は何度も聞いている。迷子は怖いよなぁ。

ホタルの写真を撮っていたら特殊部隊のフラッシュをくらって、ぼくが息子と妻を見失ってしまった。「おとーさん、こっちだよ!!」と息子が教えてくれた。迷子は怖いよな。


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