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好きなことをする。

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幻冬舎から“なんで僕に聞くんだろう。”が出版された。もともとcakesで連載しているコラムをまとめたものだ。昨日発売されて今日の昼には重版が決まった、過大評価されすぎだ。

初版だってぼくにとってはけっこうな部数を刷っている、ぼくからすると初版がはけるかどうかも心配していた。人の相談にはエラそうに答えつつ、自己肯定感の低さゆえに自分のことはあまり読めていない。

連載から一年ちょっとたち、たくさんの相談が送られてくる。「なんでぼくに聞くんだろう?」って毎回おもいながら書いている。まったくもって「人生相談ならぼくにおまかせあれ!」なんてことはおもわない。

自己肯定感の低さに不便さを感じていたけど、テングにならないですむという数少ないメリットをいまになって感じている。

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相談内容は深刻なものだったり、答えにつまりそうなものがおおい。

ぼくの答えてることって、共感ベースの優しい答えではなく、むしろ冷たく辛辣に突き放しているように見えるかもしれないし、読んだ人で苦しむ人もいるかもしれない。

相手を傷つけない共感ベースの相談もいいのだけど、相手を傷つけないことの目的がじつは、自分が誰かから嫌われことを避けることが本当の目的となって隠しきれていない、隠し味になってるのもまたよくない。というかバレてる。

ぼくだって人に好かれることを目的に書いていれば、もうちょっと文章も変わるとおもう。人から好かれようが嫌われようが気にならない。

それでもぼくの答える内容に「共感する」とか「腑に落ちる」という感想はとてもおおい。ぼくの答えている内容って、わりとみんなが頭の中でおもいつく普通のことなんじゃないだろうか。でもちょっと……いいにくい答えなんだとおもう。

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2月11日から16日まで渋谷パルコのほぼ日曜日にて、ことばと写真の展示をします。この会場で書籍を購入されると小さい言葉の冊子がつきます。表紙の写真は妻が撮影しました、妻に写真を教えたわけじゃないんだけど、うちの妻は写真がうまいんですよ。

病人ってわりとヒマ人なので展示会場にいるとおもうんですけど、人生相談をされちゃうときっと脳内で飲食店経営の妄想をして経営に失敗して自己破産するあたりで、魔法の言葉「あなたが好きなことでいいんですよ」って答えてしまうとおもいます。

バカにしているわけでもなんでなくて、悩み相談の答えは「好きなことでいいよ」でだいたいほとんど成立するんです。そして人生相談って直接聞くと疲れちゃうんだよね、壮絶なものであればあるほど。

書籍のカバーをはがすとカフェラテとフルーツパフェの写真が出てくるんだけど、高知県の石摺岬と釧路の喫茶店で一人旅をしているときに撮影した写真です。表紙の写真はドイツ土産の空き缶に息子が好きなチョコあんぱんを詰めて、一人旅にいく途中に撮った写真だ。

好きな場所にいって、好きなものを食べて好きな写真をとる。これはあくまで“ぼくの好き”なんだけど、写真は自分の好きが詰まっていて、この書籍のデザインには“好きなことしましょうよ”というメッセージを詰めている。

そりゃ写真家なんだから足摺岬や釧路の壮大でそうだいな写真は技術的に撮れるけど、美味しいカフェラテやパフェの写真のほうが伝わるとおもうんだよね。

幡野広志のことばと写真展立ちどまらせる写真と、背中を押すことばたち。「ほぼ日曜日(ほぼにちようび)」は、ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」が運営するスペースです。展覧会、ライブ、パフォーマンwww.1101.com

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息子がぼくのヒザのうえにすわって書籍とシンカリオンをもち比べていた。「どっちが好き?」と息子に聞くと「シンカリン!」と即答をした。そしてシンカリオンを撮ってとお願いされた。

それでいいのだ、お父さんの本だからということでなく、自分の好きなことを好きといえることが大切なのだ。そして好きなものを写真に撮りたいというのは幼児でも感じる人間の欲求なんだとおもう。








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