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去年の果物の感想

リンゴ

大崎での同人誌の即売会が無事に終了し、おせちも作り終えて、ようやく今年を振り返る時間が確保できた。
年末から書いていたら1月2日になっていました😭

去年の東北地方を中心に猛威を振るった霜害の反動の影響でリンゴ・西洋なしなどの品目では収量がかなり増えたものがある。その代わり、一昨年に度に豊作であったミカンは裏年でやや少ない。
※訂正1月2日(月)
裏作であったのは一昨年。しかし、昨年は裏作傾向にあった一昨年よりも少なかった。

しかし、全国的に長期的に長雨続いた影響が響いている品目が多い。

これは個人的な意見になるが、今年は全体的に果実が大きい・果肉がやわらかい、酸味が少ない・果実中の水分量が多い(水っぽく感じる)と感じることが多かった。以下、各品目ごとに今年思ったことを書こうと思う

青森の一部で水害に被害があったが、川沿いの畑が浸水するなどの被害が出た。去年の霜害の影響もあるだろうが、リンゴの産地では長期的な長雨に見舞われた影響で、全体的に果実は大きく、見た目は立派なのだが、味の点では去年の方が優れていたように思う。また、芯カビや蔓割れも多い印象。

味の点では先ほども述べたが、去年と比較すると水分量が多い印象。硬度もやや下がっていると思うが、やや柔らかい程度である。以下、品種について 

早生

また、今年食べた品種では、早生では前から有望な品種と書いてきたシナノリップを超える品種が出てきた。その品種は紅はつみという親につがるとさんさを親に持つ新品種なのだが、親の良いところを見ごとに引き継いでいる。

さんさは味はやや淡白であるが、パリッとした食感と高い日持ち性を持っている。つがるは果肉が柔らかいが、既存の品種の中でも類を見ない深い甘さと風味を持っており、その良いところだけを引き継いでいる。食感はしっかりとした硬さがあるにもかかわらず、シナノスイートのような歯切れの良さである。栽培時に色も入りやすい品種だそうだ。保存性もよく、冷蔵庫1ヶ月放置しても軟化しない。

しかし、紅はつみは青森県でしか生産ができない。その上、青森では農協出荷がメインなので、ある程度量がまとまるまでは栽培が広まらないと考える。

紅はつみ

早生の他の比較的新しい品種の評価としては、シナノリップは酸味と甘みのバランスがよく、しっかりとした食感がある。尾瀬の紅はさんさよりも甘味は強いが少し淡白な印象。日持ちはさんさよりやや悪く、食感はさんさよりやや緻密。

他の有望品種としては江刺ロマンがある。江刺ロマンはクリスピーなしっかりとした食感とかなり濃い甘さで非常に美味しかった

尾瀬の紅
シナノリップ
江差ロマン

中生
この時期のリンゴとしてシナノスイート、トキがかなり増えてきた。
中生種ではもう少し奥州ロマンの評価が上がっても良いと考える。果実がやや小さめであるが、その日持ち性にはかなり魅力的なものがあり、果肉が硬めで濃い甘さは現代人好みであると考える。

奥州ロマン

最近の品種の評価だが、華宝という品種はシナノスイートの実生だけあって食味はいいが、形が歪で観光農園や直売所向けの品種ではあると思う。

もりのかがやきも最近見る機会が増えてきたが、全体的につがるのような親しみのある印象だ。色がとても綺麗な黄色であり、見た目も良い。味にあまりインパクトのある品種ではないが、選択肢の一つにはなる品種であると思う。

紅鶴という品種を食べたが、果肉は粗く、果汁は多い。適度な酸味はあるが、フジよりは甘味はあっさりしてるかも。極端な新鮮さは無い

華宝
もりのかがやき

晩生
やはりフジを超えるような品種はないが、黄色系ではかなり良い品種が登場してきた。黄色系だとぐんま名月の人気は非常に高い。シナノゴールドもかなり増えた

新しい品種で言えばきみとである。きみとは弘前大学の品種でああり、しっかりとした硬さと王林よりは穏やかではあるが濃い甘さが特徴の品種である。蜜も入り、保存性も良い。

星の金貨はきみとよりは果汁があり、甘いながらも抜けていく甘さだ。皮が薄いので食べやすいが、同時に栽培時に割れやすいという欠点を持つ。

こうこうは蜜入りのいいリンゴである。肉質はフジに近いが、やや果肉が粗い印象で、果汁も多い。しかし、果肉の軟化がかなり早い品種のように思うので個人的な評価は微妙なところである。味はフジに似るが、甘みは濃く、少し酸味があるように思う。風味はフジよりも芳醇だ。

あまみつきはフジよりも、やや柔らかい印象。味はスッキリとした甘さだが、かなり甘い深みのある風味が留まる。正直な評価はやや微妙だ

藤原ロマンはシナノゴールドベースだか、パリパリとしていて食感が良い。シナノゴールドにより甘みとコクを少し足した感じで美味い。

この時期のリンゴは写真を撮る余裕が無いので
私主催の食べ比べ会の写真で失礼する。
姫の月(あまみつき)
藤原ロマン

個人的に味が1番のリンゴははるかだと考える。甘いと言っても、単調ではない奥行きのある甘みで、風味も親のゴールデンのような少しシナモンを思わせるような香りもあり、複雑で面白い。しかし、その食味を楽しむためには年内いっぱいの流通にとどめたい。蜜が入ることで有名だが、蜜が入る前に収穫すると長期保存できるが、かなり印象が変わる。収穫時期によっては蜜が入った状態でも、かなり印象が変わるリンゴである。

はるか
はるかの断面

赤肉系のリンゴについて

赤肉系の品種で有望な品種はないと考える。全体的に酸味が強く、一般の消費者かの評判は悪い。食味の点で言えば酸味の少ない、なかのしんく、なかのきらめき、ムーンルージュであろうか?

なかのしんく
なかのしんくの断面


ムーンルージュ
なかのきらめき


なかのしんくなどのワックス物質が分泌されやすいなど欠点もある。長野のキルトピンクも食べた感想は他の赤系品種と似たような印象を受けた。

断面写真

赤肉系は栽培特性も聞くところによあまり良くないようだ。樹勢などに問題があり、紅の夢ではコルクスポットがでやすいとの欠点がある。その中でも炎舞は育てやすいとのことだ。

炎舞の断面
炎舞

生食用のタイプ2に分類される赤肉系は全体的に色が入りにくく、皮が黄色のほうが透かして色が入っているのが確認しやすいというメリットもあるそうだ。

HFF33(美紅)は日持ちが比較的長いとの事だが、そんなに日持ちがしない印象。少なくともHFF60、ローズパール、ルビースイート、紅の夢は今から植える品種では無いとは思う。

左:ローズパール、右:紅の夢
左からローズパール、ルビースイート、紅の夢、五所川原、HFF60

個人的に思うのは赤肉系の品種自体が、発展途中の段階で、とりあえず出してみたものの作りづらい、酸味が強いので消費者が1度は買うも2度は無いような赤肉の品種に悪い印象を持たれているのは否めない。加工用という立ち位置だが、色を生かすなら生食の方が良いと思う。

個人的には信州大学で開発されたスーパー赤果肉リンゴが気になる。酸味は強いであろうが、タイプAのジェネバのように幼果の段階で果肉の赤い品種とタイプBのいろどりのように生食にむく赤肉品種の交配で生まれた品種でタイプAよりは食味に優れ、タイプBよりは色が入りやすい。酸味はかなり強そうなので加工用にはなると思うが、生食用には向かないであろう。

Aタイプのジェネバ

酸っぱいりんご
最近、ブラムリーやグラニースミスなども比較的見かけるようになり加工用の品種の引き合いが強くなったように思う。おほずりはフジの酸っぱいイメージ、サワールージュももう少し酸味のあるジョナゴールドぽい印象で既存品種にもう少し酸を足したような印象。

サワールージュ
はつ恋ぐりん

クラブ制のピンクレディーも青森などかなり産地が増えてきた。酸味は強く、さっぱりな甘さとパキッとクリスプな食感が特徴。同じくクラブ制のはつ恋ぐりんはグラニースミスより柔らかく、酸味は穏やかだが、生食用としてはやや中途半端な印象。硬すぎるグラニースミスより柔らかいので、紅玉と同じ様な加工特性を持つ印象

蜜入りりんご
こみつ(こうとく)の人気と知名度がかなり上がってきた。しかし、蜜が抜けやすく軟化しやすい。蜜入りを売りにしたリンゴは蜜がないとクレームの原因になり易い。その中でこうみつはその上位互換になるのでは?と思っている。収穫後は淡白で食味に優れないが、12月まで貯蔵してから食べるとデリシャス様の香りや果汁感に溢れる素晴らしいリンゴになる。日持ちもよく、密も抜けにくい。

こうみつ
こうみつの断面

スマートフレッシュ

これは凄い技術である。1-MPCという物質がエチレン受容体に結合し、エチレンを結合させにくい状況を作ることで、果実の老化を遅らせる仕組みだ。特にゴールデンデリシャスや紅玉に由来する品種によく作用し、翌年の春ごろまで食感を維持することができる。フジなど蜜が入る品種にはあまり効果がないそう。

今年食べて見たい品種は
農研機構の紅みのり、錦秋。あとは明秋、虹明くらいだ

日本なし

日本なしは特に幸水以降の品質が優れなかったように思う。王秋、新興、にっこりなどの晩成種は果肉がしっかりしているのであまり気にならなかったが豊水、あきづき、南水あたりの肉質がシャリ感が少なく、ボケたような印象のものが多かった

有望な品種としては早生では、甘ひびきは有望な品種だと思う。幸水よりも収穫期は早いが、かなり濃い甘さで食味に優れる。

あまひびき

中生種は今年、特性を見極めることが出来なかったので記載は見送りたい。ただ、鳥取県のオリジナル品種にはなってくるが、新甘泉は非常にジューシーで甘く、滑らかな食感で美味しいと思った。

新甘泉

晩成種はかなり種類が増えてきた。甘太、にっこり、王秋くらいが比較的新しい品種だろうか?甘太はあきづきのような肉質で果汁が多い、甘い豊水のような風味がある。緑の状態だと少しガリッとするところがある。

甘太

にっこりは肉質はジューシーで滑らかだが、石細胞のガリッとする粒を感じやすいのと、甘みは新高よりもさっぱりとした味で晩成種なら…という印象

にっこり

王秋も甘みも十分であるが、少し果肉が粗く、やや硬い印象がある。果汁は噛むと出てくる。

また、個人的に農研機構から去年に正式に発表された蒼月がかなり気になっている

県のオリジナル品種
ここ最近、県オリジナルの品種が増えてきたように思う。有名な鳥取の新甘泉の他に、茨城の恵水、石川の加賀しずく、千葉の秋満月、新潟の新美月・新王、長野のサザンスイートなど

新美月
町田の西村フルーツ

時期的に果物が渋滞しており購入を見送ったものも多い。恵水、サザンスイートは食べたが、比較的食べ慣れた味で差別化を図れるような新鮮味はなかった。加賀しずく、秋満月、新美月・新王は今年食べてみたい。

恵水

西洋なし

去年の反動と大雨の影響があり、晩成種のラ・フランスやルレクチェは大玉傾向で、豊作で価格がかなり下がった。晩成種ほど味も水分が多い印象で、産地で追熟してあるものはかなり足が早かった印象

西洋なしの品種についてはラ・フランスが洋梨の代名詞と言えるほどの絶対的な存在であることは変わりない。他はルレクチェが少し知られているだけで、消費者にとっては洋梨=ラ・フランスに過ぎない。

しかし、早生〜中生の品種では有望な品種が増えてきた。早生はバートレットのような淡白なイメージで、桃やスイカなどの時期的な競合も強く、暑いため追熟は進むが急激に痛みやすいという欠点がある。

痛みやすいのは仕方ないが、早生でも食味の優れるオーロラが増えてたのは喜ばしいことだ。中生ではマルゲリット・マリーラも濃密な洋梨だが、その子供のジェイドスイートも濃密さはないが、風味もラ・フランスに近く、スッキリとした甘さと果汁、水浸し状で食感のある果肉は洋梨と思うと違和感を持つかもしれないが面白い。

ジェイドスイート

またラ・フランスの前としてはバラードは良い品種だと思う。バートレットのやうな淡白さは無く、ラ・フランスようなしっかりとした奥のある甘さで良い。果肉が少し硬い印象だが、ラ・フランスの前の洋梨としては優秀だと思う。

バラード

晩成だとメロリッチなどあるが、やや果肉がなめらかな印象だが、ラ・フランスと似た点がありラ・フランスの独壇場の現状では知名度的に太刀打ち出来ないのでは?と

ルレクチェ、ラ・フランスなど古典的なフランスの品種が主流なのも食味などに優れるかが、追熟後の管理など繊細なものがあり、繊細な管理が行われる日本だからこそ世界で唯一商業栽培があるのだと考える。

モモ

去年は桃はかなり美味しいという印象だった。ただ、岡山の桃が高温により一気に熟してしまったということもあり、熟度が高い状態で出荷する岡山の桃は破棄が多く出たこと、価格もかなりお手ごろになった。

消費者の桃のイメージはどうしても白鳳系で固定されているらしく、晩成種の川中島白桃のような硬めの品種になると毎年クレームが来る。やはり桃は柔らかい品種の方が好まれるようだ。  

桃は品種が同じ品種派生したこともあり、違いが分からないことも多く、農家でもないので栽培特性も不明なので特筆することも無い。

強いて書くなら
ももだと思わなければ、硬めのCXは少し弾力のある白桃系と違い、サクッと歯切れが良い面白い桃だ。硬い桃はあまり好まれないので、硬い桃は紹介しにくいという気持ちもある。

CX

個人的に今年は岡山の桃にハマった1年であった。これは一般消費者の想像する理想的な桃ではないだろうか?おかやま夢白桃は柔らかく、上品な甘さでジューシーで美味しい。白皇、白麗は少し果汁とろみのある豊富な果汁で濃密な肉質、強い桃の甘い風味と濃い甘さがあり、美味しい。 白露も、もう少し品種特性を見極めたい。

白皇
白麗

また、こちらでも12月に出回るモモの冬ももがたりをよく見かけるようになったが、果実の小さいことや高価格帯である事も災いして、消費者の反応は冷ややかだ。また追熟してもやや柔らかくはなるが、少し硬めではあるので、購入してもその硬さに違和感を持つかもしれない。冬に桃の風味を楽しむという位の感覚で一般ウケはしないと思った。冬美白もやや弾力あり、今の段階だと噛むとコリッと歯切れで、甘さも強く、香りは杏仁豆腐のような風味がある。冬桃系だと武兵衛という品種が気になっている。

オオゼキ下北沢店で売られる冬桃がたり
冬桃がたり
冬美白の最高ランクのみち
冬美白「みち」

ネクモモ類

ネクモモというのはモモ×ネクタリンの掛け合わせで誕生した品種のことを指す。代表的な品種群にワッサーなどがある。ワッサーはどちらかと言うと桃の形質が強く出ている

ワッサー類もかなり増えてきて、やや酸味のある印象だが、その中でもスイートリッチはカリッと硬く、強い甘さで美味しかった

スイートリッチ

またどちらかと言うとネクタリンに近い形質を持ったハネージュやスイートビーナスも晩成ではあるが、熟すと濃密な柔らかな果肉となり、柔らかい桃が好きな人にはこちらをオススメしたい。

スイートビーナス
ハネージュ

スモモ

今年、果物屋で働いて酸味があってもいい果物なんだなぁ…という印象を受けた。

スモモも大玉傾向が好まれるらしく、貴陽は好まれるようだ。あまり変動がないジャンルではあるが、今年は長野のオリジナル品種である「シナノパール」は晩成種であるが、大きな果実と適度な酸味とこい甘さで、濃密な肉質だ。今年から麗玉のブランドで流通するのをかなり見かけるようになった。プレスリリースなどに記載がないので倍数性は2倍体であると推測できるが、もし2倍体であるなら3倍体の貴陽よりも花ぶるいが少なく育てやすいのでは?と推測する。これはブランドすももとして増えてくるのでは無いのだろうか?

個人的には農研機構の品種のハニービートが気になっている。

紀伊国屋インターナショナルでの販売風景。麗玉の販売もある。下は山形などの晩成品種
シナノパール

プルーン

プルーンははやもぎ果が流通し続けていることから人気もさほど無く売り場を縮小している。ドライプルーンやミ〇プルーンのイメージもあり、プルーン=健康に良いというイメージがあるようだ。

こちらも同じく長野のオリジナルであるが、オータムキュートという品種の評判が良い。晩成の品種ではあるが、かなり糖度が高い品種のようだ。オータムキュートは昨年購入したにもかかわらず、食べるの忘れていてダメにしてしまったので今年はぜひ食べてみたい。

ここに写っているプルーンが
オータムキュートであった。



プルーンはサンプルーンやローブドサージェンのような海外から導入された品種が多いが、追熟するとかなり味が良くなるが、流通の関係で早く収穫されてしまうのがもったいない

ローブドサージェン(長野)
サンプルーン(北海道)


アンズ

日本では加工用の流通が多く、目にする機会すら少ない。去年くらいから長野県が生食用のアンズに力を入れており、ハーコットを糖度などで厳選した杏月のブランドで、長野のアンテナショップなどで販売されている。確かに程度な酸味で甘みは強く、風味も黄桃っぽい風味で美味しいのだが、果汁がやや少なく、肉質もやや粉質の印象だ。モモの肉質と比較された時に、どうも思われるか心配だ。

新宿高野での販売風景
杏月のパンフレット
杏月
杏月の断面

さくらんぼ(おうとう)

今年は山形のさくらんぼは豊作であったが、高温により品質がかなり劣化していた。店に到着していた段階で、うるんで(果肉が軟化すること)いたり、カビが生えていたものもあった。味もぼんやりとした印象のものも多かった

去年の大不作から北海道産の引き合いが増えたが、今年は雨が多く出来が良くないとのことであった。北海道も元々梅雨がなかったが、北海道の各産地で聞くところ、蝦夷梅雨の影響で雨よけは必須になっということだ。日本にさくらんぼの適地はあるのだろうか…?

品種としてしては佐藤錦=紅秀峰ラインの影響は強く、暫くは揺らがないであろう。個人的に

去年から流通するようになった青森のジュノハート、山形のやまがた紅王のような大玉品種についてだが、初めて食べた感想としてはどちらも紅秀峰や佐藤錦のような比較的食べなれた味で、新鮮味は無い。食感がアメリカンチェリーの血が入っているので、少しパリッとした程度。味はどちらが優れていると付け難い程度だ。個人的には北海道の大玉の系統の新品種HC10が気になっている

レーニア。大玉の品種
やまがた紅王にこの品種の血が流れる。
ジュノハートの親のサミット。500円玉より大きい
佐藤錦ら紅秀峰も大きくなる品種ではある
ジュノハートの大きさはこの品種から来ている

昨年、やまがた紅王はかなり見かける機会があったが、ブランド品種にも関わらず場所によっては他の品種と変わらない値段で投げ売りされていたり、売れずにおつとめ品になっていた。高級品種と言え、市場にそのまま流すだけではそうなるのも仕方ないと思う点もある。これはマーケティングの失敗であると考える

やまがた紅王
断面
横浜水信での販売風景
オオゼキでの販売風景画
おつとめ品で売られる、やまがた紅王

ジュノハートは一定の基準を超えたものをハートビートと分けて販売し、関東圏では販売店も新宿の伊勢丹や新宿高野での販売に限ったり。高級感を出すための高級なチョコレートのような専用の箱や紙袋が付属していて、高級感を出していた。

ハートビート
専用の箱と手提げ
サクランボとしては重い
五百円玉との比較

やまがた紅王も実が大きく色づきのよいものはやまがた紅王プレミアムとして売り出すそうだが、どう転ぶか気になるところである。

ブランドというのは流通量が多くなると、その印象は下がるわけであるが、ブランドを維持するなら生産者だけでなく、流通量や販売先も絞る必要があるのかと考えた1年であった。

しかし、絞ってブランドを維持するだけでは生産額はさほど伸びないと思うので、日本は伝統や特定の有名なブランド(品種)に執着する傾向があるので、最初は絞ってブランドが定着してから、ゆっくりと広げていけばいいのかなぁ…と個人的に考えたり。この手の成功例は石川のルビーロマンなどがある。

しかし、さくらんぼは佐藤錦が絶対的な存在であり、ようやく紅秀峰が馴染んで来た頃である。佐藤錦の時期が終わり、紅秀峰の時期に「佐藤錦はないの?」と言われ紅秀峰を勧めても「なら、いらない」と言われる始末である。本当に保守的であるなぁ…と

さくらんぼから若干ズレるが、紅まどんなやこみつりんご有名になった品種はテレビのようなマスメディアの影響が強い。凄く新しい品種では無いが、それまでは見向きもされなかったのに5~6年前から急に熱が出た品種だ。映像で見ても美味しそうと思える品種がのびているのかも?

ビワ

昨年は1月頃から出回る速成栽培のビワを見かけず、コロナの影響もあると考えられるが、需要が減少していることを痛感した。確かに即成の1月〜2月のものは味が薄い印象で季節を早どりして楽しむ程度であったが物寂しい。即成が出ない以上、もっともはやくて沖縄の路地は3月くらいから出回るが、沖縄産のものは路地なので味もしっかりしている。

個人的にはビワの素朴な甘さが好きなのだが、存在が薄いのが悲しい。

沖縄産の茂木びわ
パックに入った状態

茂木などがメインであるが、比較的新しい品種で言えば数年前から長崎のなつたよりなどの大玉品種も見かけるようになった。しかし、ビワは大房、田中など古い品種が多い。

津雲。大きくて強い深みのある甘さと適度な
酸味で美味しい。古い品種だ
なつたより

10年前程度に話題になった種無しの希房も今年初めて食べたが、味が薄く、皮も既存品種と変わらず暑く、種は消えても芯部分はそのままあるので、さほど種無しのメリットがないように思う。普及しなかった理由がよくわかった

希房
断面図

イチゴ

これは農家さんの腕によって味などが変わってくるので評価が難しいジャンルだ。

今年は静岡では紅ほっぺの代わりにきらぴか、栃木ではとちおとめからとちあいかに。2000年前後に誕生した品種が切替の時期に差し掛かって来ているのかもしれない。きらぴかは紅ほっぺと似たような感じではあるが甘みが強い、とちあいかは日持ちは良く、甘いが、果肉が硬めで果汁が少なくぼんやりとした微妙な印象を受ける。

きらぴか、やよいひめ。
とちあいか

ただ、あまおうのブランドは高く、 高級果物店で働いているが世代を問わず人気がある。とちおとめは大衆的な存在であると認知されているが、あまおうには高級なイメージがあるらしい。これはブランドイチゴの先駆け出会ったことも大きいと思う。しかし、実際は酸味が目立つ品種であるので、味と言うよりはネームバリューで売れているのでは?というのは否めない。

あまおう

一般的に見かけるようになった品種ではやよいひめは果汁が多く、香りも良く、甘いが適度に酸味もあるのでオススメである。ただ、見た目の色が薄いので、やや消費者ウケが悪い、そこが玉に瑕だ。

やよいひめ

種子繁殖性のよつぼしも直売所などを中心に増えてきた。個人的に甘味と酸味のバランスが良い。またスターナイトもこれを書いている間に初めて食べたが、バランスが良く美味しかった。

農研機構の恋みのりも軽い食感で甘みが強く美味しかった。これから見る機会が増えるかもしれない。

かおり野という品種もたまに見かける。果肉は濃密で、あっさりとした甘みと適度な甘みがある。

たまに見かけるシナノベリーはやや食感が劣るが、かなり日持ちの良いイチゴだと思う。

苺屋あとりゑさんの食べ比べセットは色々食べれて良かった
こいみのり
かおり野

夏秋いちごもサマーリリカルなどの品種が登場し、だいぶ向上してきているが、時期的に他の果物に忙しく、今年はもう少し検証したいと思う。

サマーリリカル

白苺
個人的に白苺の評価は微妙だ。ピンクの淡雪、パールホワイト、真珠姫など色々あるが、 全体的に酸味がなく、甘みも強いわけでなく、果汁も多く、香りは良いが、味が薄く水っぽい、かなり微妙な印象を受ける。しかも、安くても1パック2000円とかなり高額なので進め難い。ミルキーベリーは濃厚な甘さだが、肉質が粉質で個人的には微妙な印象だ。四季なりイチゴにはなるが、天使のほっぺ(ももいろほっぺ8号)はしっかりとした甘さと適度な酸味があって美味しいと思った。桃色系では桃薫も軽い食感で、桃の香りはあまりしないが甘い香りで美味しい。下に記載するが、白苺としてはコットンベリーが1番美味しいと思った。

ミルキーベリー
淡雪。光の関係で色が悪いが淡いピンク色をしている
真珠姫
桃薫


高級いちご
言えば古都華は安定して美味しい。有名なところで言えば奈良いちごラボさんなどがある。

品種ではないがミガキイチゴの躍進は凄い。登場してそんなに年数は経っていないが、早くも高級イチゴとしての地位を確立している。味のばらつきも少ない。品種はとちおとめ、ハナミガキなどがある。

また、同じ奈良になるが白苺の「コットンベリー」には驚かされた。普通の品種としてもかなり美味しいが、ジューシーで軽い食感だが、ガツンと濃い訳では無いが生クリームに負けない主張のある上品かつソフトな甘さであった。

また、知名度は低いが埼玉のあまりんもかなりガツンとくる甘さだ。しかも、イチゴのシーズンの終わりという味がぼやける時期にあのガツンとパンチのある甘さを出してきた時のインパクトはかなり好印象だ。

個人的に新しい品種ではないが、香川の高設栽培の女峰もかなりバランスの良い味でかなり美味しいと思う。

今年食べてみたい品種はまりひめ、真紅の美鈴、かおりんがある。おいCべりーも地味に食べたことがない。


コットンベリー。京王プラザホテルのケーキに乗っているものを初めて食べる
あまりん
千疋屋でクイーンストロベリーの名前で売られる女峰

ブドウ

ブドウはかなり今年微妙なものが多かった。早生の品種は良かったが、中生種以降があまり品質が良くなかった印象がある。長野が集中的な豪雨でかなりの被害を受け、ナガノパープルなど割れやすい品種で全滅に近い地域であった。個人的に、岡山のアレキが高温で一気に熟したこともありかなり安くなっていたが、往年の高級品種がこう安くなってしまうと悲しいものがある。

品種としてはシャインの子供系の評価がだいぶ固まってきた。特に衝撃を受けたのは甲斐ベリー7号だ。これはあとで紹介するが、果物で1番の衝撃だった。

個人的にマスカサーティン、クイーンセブンあたり良いのではないか?という評価だ。マスカサーティンは何度も書いているが、甘みに加えて香りの良さとジューシーさは魅力的だ。柔らかいので棚持ち・流通性はシャインに劣る

クイーンセブンもポリっとした食感で、かなり濃い甘さがある。シャインマスカットよりも収穫時期より早く、色も入りやすいらしいので志村さんの品種系ではオススメではある。大粒に作ると甘みが薄れるが、元々が甘みが強い品種なのてそれなりに食べれる。

マスカサティーン
クイーンセブン

植原さんの品種
特徴として、作りやすさや香りのある品種などが特徴的だ。他にヌーベルローズ、ノワール、スカーレット、ベルニーナビアンコがある。ヌーベルローズは小粒でシャイン系のマスカット香に綿あめのような甘い香りがあり、甘さも強くポリポリと美味しいのだが、小粒なのが惜しい。色も赤系だが、若干オレンジに近く、色が入りにくい状況だとほかの赤系よりも薄くなってしまう。房型も小さいのがもったいない。味や香りは最高なのに…

ヌーベルローズ

ノワールはシャイン系だと珍しい黒系で、着色はかなり良い。着色先行なので、収穫時期に注意が必要とのこと。ノワールは小粒の印象が強いが、シャイン大に肥大する。味は悪くないのだが、若干ぼんやりとした印象を受ける。ブルームは無い

ノワール

スカーレットも大粒で赤系のシャインにしては着色が良い。しかし、味がかなりぼんやりとした印象があり、その点が気になる。

スカーレット

志村さん系

粒が大きかったり、形が面白いものがあるが、着色や樹勢が良くないなど栽培時に癖がある品種が多い。品種の名前はご家族の名前に由来している。

志村さんの直売所にて

富士の輝は昨年の5月頃にテレビでもブラックシャインマスカットと取り上げられて話題になった。シャインマスカットの黒系で、ブルームのある大きな粒で、形も果頂が凹んだ面白い形をしている。味もかなりガツンとくるシャインマスカットよりも濃い甘さであるが、風味も黒糖っぽくとにかく濃い。ただ皮が厚く、噛んだ時の風味も少なく、肉質もやや弾力のある肉質だが粗い様なシャインマスカットよりも劣る印象だ。また、高温下だと着色が優れない。苗木も注文待ちであるが、追加料金を払うと優先的に購入できるようだ。

富士の輝
富士の輝の販売風景

バイオレットキングは着色は優れないものの、個人的には果汁がとても多く、スッキリした甘さで、プリっとした肉質で食味は良いと思う。雨で裂果しやすい

バイオレットキング

マイハートは甘みが強いがシャインほどはない。これといった風味もそこまで感じない。シャインと比較すると果汁がやや多く、果肉はゼリー質で少し柔らかめ。ここまで着色するのは稀で、着色が困難な品種。どちらかと言うと形を楽しむ品種だ。雨で裂果しやすい

マイハート

コトピー
粒が小さい。硬めでポリポリ食べれる、甲斐路に近い。甘みは強いが、シャインマスカットよりは少し大人しい。僅かにマスカット香がある。シャインマスカットにしては、全体的なインパクトは弱い。割れやすく、着色不良

コトピー

我が道
これもポリっとした食感、果汁はややシャインマスカットより多く、肉質は少しシャインマスカットより粗いが良好。味はシャインマスカットと同じくらいだが、複雑なものがあり面白い。栽培性は不明だが、食味ではかなりの好印象だ。

我が道

雄宝
粒が大きいのが特徴。果肉が粗く、軽い歯触り。果汁は多い。いくつか系統があるようで、購入した苗木によって系統が異なる場合があるらしい。系統によってはかなり食味が変わってくるようで、ある系統ではかなり素朴な甘さを感じる。ある系統では甘みがかなり薄いものもある。熟すと熟した幸水のような風味が出る。

雄宝

ほほえみ
苗木は流通してないが、シャインマスカットよりも肉質がしっかりしており、なおかつ強いマスカット香がある。シャインのような見た目だが、ほのかに紅がさす。これは良い品種だと思うのだが、苗がでていない。

ほほえみ

クイーンマスカット
小粒で房型も小さい。マスカット香があり、甘みはやや穏やか。皮がやや厚いのが気になった。ヌーベルローズと似たところを感じるが、食味や食感はヌーベルローズの方が良さそうだ。着色はヌーベルローズよりも良さそう

クイーンマスカット

またマドンナの宝石、愛妻、小指の思い、天晴、赤太郎、ジェリービーンズなどがあるが、紹介はここまでにする。

県オリジナル

クイーンルージュ
長野県のオリジナル品種。少しシャインよりプリっとした食感で、果汁が多くもう少し柔らかな果肉。持続性のある甘さ、シャインのマス香もあるが、ショ糖の強い甘い風味もある。個人的に何度か食べてるが、食べる度に違う印象なので、いちばん良かった時のを記載している。着色はよく、赤よりも黒を帯びた赤色のものある。個人的にハウスのもののほうが玉伸びが良く、立派なものが多い印象だ。路地だと小粒傾向のものが多く、ハウス向けの品種なのかもしれない。

クイーンルージュ

神紅
島根県のオリジナル。東京に流れてくることは少ない。ポリっと皮が弾ける食感で、肉質はやや柔らかいシャイン。噛むとシャインのマス香を増幅した強い香りを感じる。香りの次にシャイン系の甘さを感じる。稀に紅バラードっぽい渋みを感じこともある。

神紅

甲斐ベリー7
個人的にいちばん美味しいと思った品種。果肉の硬度によって印象が変わるぶどう。

硬い時は親のサニードルチェのようなサクッとした食感に、アレキのような強いマスカット香、噛む度に出てくる果汁、くどくない程度のシャインマスカット由来の甘さ。柔らかい時には甘みが強いアレキのようなジューシーで、プリっとした印象に変わる。

収穫直後でも柔らかかったりと、なぜ果肉の硬度が変わるのかよく分からないのだが、どちらも美味しい。ただ色が入りにくいのを除けば、本当に良い品種だと思う。

今年購入した時はキロ/4500円だった
甲斐ベリー7

黒系品種

黒系は巨峰・ピオーネが圧倒的だが、黒系は着色不良や皮ごと食べられるシャインマスカットの比較にも悩まされている。シャインマスカットの台頭で、黒系が必然的に減少しており、ぶどうと言えば黒なので引き合いは強いジャンルではあると思う。

そんな中で着色が優れるとされる品種はグロースクローネ、BKシードレスがある。しかし、グロースクローネは初なりと言うこともあるが、凄い色が入る訳では無いという印象であった。味はかなり藤稔に近い。

グロースクローネ

BKシードレスは省力で、なり疲れしにくく、色も入りやすい。甘さはかなり強く、口に留まる。風味はなかったりとあったりとバラツキがあるような印象。小粒になりやすい。

BKシードレス

ナガノパープルはベースは巨峰だが巨峰にないリザマート由来の深みの甘さと適度な酸味。特徴的なのは皮ごと食べられる点だ。しかし、それ故に雨で割れやすく長野では先述した通り全滅した産地があり、新植は減るのではないだろうか?

ナガノパープル

オーロラブラック。黒系ではかなり良い品種だと思う。巨峰よりもやや着色もよく、甘みも濃い印象だ。しまった硬めの果肉でとくに粒離れしにくく、日持ち良い。知名度がかなり低いが、黒系ならこの品種が1番かなぁ…という印象。

オーロラブラック

仰天したブドウ

個人的に仰天したブドウは、飯塚さんのブドウだ。特に美夕果は本当に衝撃であった。あのマスカット香と、あの深いがくどくない甘さには度肝を抜かれた。

ブドウは個人育成品種も多く、マスカットジパング、華鈴、ちちぶ山ルビーなども食べ比べ会でも人気が高かった。

日本でも凄腕の飯塚さんのブドウ
銀座千疋屋で売られる美夕果
個人育成品種、どれも見事だ
ちちぶ山ルビー

カキ

カキは比較的温暖化の影響を受けにくい果物だ。しかし、下火になっているのは事実だと考える。カキの何が苦手な要素なのだろうか?と考えたが、熟したカキのあのトロミと濃い甘みのいづれか或は両方が苦手なのだろう。

そんな中で登場したのが、太秋だ。太秋は硬いうちに食べれば甘みは穏やかであるが、果汁にとろみが無く、サクッとした食感だ。やわらかくなってしまうとトロっとしてしまうが、軟化するのは比較的早い。ただこの品種はカキが苦手な人には革命的な品種だと思う。しかし、柿好きには甘さがあっさりしていると言う声もある

そんな欠点を補う品種がかなり出てきた。何れも太秋を親に持つ

輝太郎
鳥取のオリジナル品種。全体的に太秋に近く、あっさりとした甘さ。食感は太秋柿ほどパリッとしてないが、滑らかな印象。果汁はややとろみがある。あたりしい品種の中では少し微妙な印象

輝太郎

紀州てまり
硬いが富有より空気が入った少し軽い歯触り。太秋よりは緻密、パキッというよりはサクッとしたした感じ。太秋と早秋の中間かな?噛むと柿とは思えないほど果汁が出てくる。果汁は太秋よりややとろみがある。しかも富有のような強く・コクのある甘さがある。

紀州てまり

太天
果実重が私が知っている品種の中では1番大きいと思う。渋柿だが、脱渋しても太秋のようなサクッとした触感が生きている。かなり棚持ちが良さそう。果汁は少しとろみがあるがそこまで気にならない。渋を抜く前提なら、東北でも作れるのではないだろうか?

太天

ねおスイート
やや熟した太秋のような果汁の多い滑らかな食感。太秋よりは果汁に、ややとろみがある。味は太秋よりやや甘い程度。ガツンと甘くは無い。ただ後味がさっぱりな太秋にはない持続性のあるコクと甘みがある。天下富舞のブランドで高値で取引されるが、値段以上の味ではない。

天下富舞の大将クラス
天下富舞の武士クラス

秋王
福岡の新品種、去年から見かけるようになった。太秋×富有の交配。太秋と比較して、熟しても軽くサクサクした食感が残りやすい。多汁かつサラサラとした果汁。甘さは口に含んだ瞬間にはあまり強くは感じないが、ワンテンポ置いて富有のような強い甘さが来る。柿の柔らかい食感が苦手な人、太秋の食感は好きだが、味に物足りなさを感じる人にもおすすめだ。富有と同じように日持ちも良く、冷蔵して長期にわたって出荷できる。冷蔵カキを多く出荷する福岡にとっては有利な性質だ。9倍数体で平核無と同じく種無しだ。カキの中では有望な品種だが、9倍数体なので実止まりが悪いのでは?という指摘があった

秋王
冷蔵で出回る秋王
私は食べれていないがベビーパーシモンという品種もある

イチジク

ヤフオクで色々な品種が登場するようになったが、市場に流通する品種は桝井ドーフィン、とよみつ姫、ビオレソリウス程度だ。関西圏だと蓬莱柿が流通する。希少な品種は一部の農家が新宿の伊勢丹のような百貨店に卸す程度だ。大都市圏では小規模な産地が形成されており地場産の流通も多い。かといって引き合いの強い果物ではない、私もまだ知らない世界なので、今年は実際に栽培して特性を見極めたい。

蓬莱柿
バナーネ
桝井ドーフィン
左から桝井ドーフィン、バナーネ、ネグローネ
仙台のいたがきにて
京都の伊勢丹にて

柑橘類

柑橘類という大きなジャンルでまとめてしまったが、私は柑橘に造詣が深いわけでないので参考程度に見てほしい。

高級柑橘で言えば紅まどんなの引き合いがかなり強い。あのジューシーさとネーブルオレンジ様の良い香り、スッキリながら強い甘さがある。柑橘に求められるもとして、酸がないのが最低条件であるのは間違いなさそうだ。年内の流通だが、他の高級柑橘類が少ないお歳暮の時期に被るのも大きい。

紅まどんな

高級柑橘といえば紅まどんな、せとか、甘平の順に出てくる印象だ。この中で比較的、新顔の甘平は見た目がゴツゴツしており、艶がなく消費者からはあまり良い印象は持たれない。しかし食感の粒がプチっと弾ける食感と甘みは魅力的だ。去年は安値で推移したので、お手頃で一般の消費者が手に取る機会も多かった筈だ。また、高級柑橘の元祖のデコポンの引き合いも強く、人気も高い。また、デコポンの枝変わりの大将季が色が濃いのが特徴だが、最近はよく見かけるようになった。味の違いは特にない様に思う。

甘平

また、今年から出回る様になった、にじゅうまるもネーブル様の風味があり、多汁だが、甘味と食感の点で墓の高級柑橘にインパクトがないような印象だ。また、豊王という民間の育成品種も初めて見かけたので購入したが、まだ味は見ていない。民間育成品種といえばマコポンも生産が増える可能性もある。マコポンはマドンナと同じでゼリー質だが、少し弾力がある硬さのあるゼリー質。風味はデコポンや清見のような馴染みのある甘い風味。果汁感もあるが、食感が面白い。
果実は小さいが西の香もオレンジ様の風味があり美味しかった

にじゅうまる
マコポン
豊王。オオゼキ下北沢店にて
豊王

個人的に食べてない新品種で気になる品種をあげていきたい。1番気になるのは、紅プリンセスだが、親が紅まどんなと甘平と優秀な親を持つが、それが故に大御所俳優・女優の子供のように過度な期待を寄せている感じも否めない。あとは熊本EC11と12(ゆうばれ)が気になっている。あすき、瑞季も気になる。みはや、璃の香もまだ食べていない。こう考えるとまだまだ柑橘の解像度が低い。

またみかんでは、紅みかんの流通が増えた。山下紅、小原紅など色々あるが、味にはさほどの変化はないが、見た目の点でかなり差別化が図れる。また、消費者は早生みかんのような皮、じょうのうが薄い品種の高い気がする。このことを示している様に早生の品種だが、収穫時期が遅くなったあおさんなどが品種登録されるなど関心が高い様だ。また、同じく収穫時期が遅い春しずかも気になる。気になる品種だ。

下に写る山下紅

また話が逸れるが、キンカンの人気が高まってきた。たまたまという宮崎のブランドの高糖度キンカンが魁であるが、静岡のコンターレや鹿児島の春姫なども登場してきた。後者2つはたまたまよりも低価格だが、濃厚な甘さでどれも美味しい。庭先になっている甘露煮にする様なキンカンのイメージが払拭される。これからも伸びる予感がする。

コンターレ

また、グレープフルーツも需要が落ちてきているが、国産のグレープフルーツの品質も向上してきた。特にジャパンルビー(さがんルビー?)は個人的に好みだ。

ジャパンルビー

神奈川県のオリジナル品種とされる湘南ゴールドも全国的に流通する様になったが、黄金柑とさして変わらないように思う。しかし、黄金柑の風味を全国的に知ってもらえるのは嬉しい。個人的には黄金柑の風味はかなり良いと考えていて、かなりマイナーな品種にはなるが、黄金柑を親に持つ早和の香、姫小春も個人的には好きだ。

早和の香
姫小春
姫小春

個人的に文旦は好きで、去年いただいた四万十文旦は今年も購入しようと思う。また、春峰も見た目が八朔ぽいが、見た目とは裏腹にプチプチとした食感にオレンジ様の風味で美味しかった。

四万十文旦
春峰

キウイフルーツ

ゼスプリが市場を席巻しているが、キウイフルーツは食べやすさや値段などから人気もあり、主産地が南半球のNZなので、NZ産のない時期は国産の需要が高く、伸び代のある果物ではあると思う。

黄色系ではゼスプリゴールドからサンゴールドに変わって久しく、ゼスプリレッドも去年から流通し始めた。ゼスプリレッドは確かに熟したイチゴの様な食感で美味しかった。また、前から流通していた品種らしいが、ゼスプリのスイートグリーンもヘイワードより酸味が穏やかだが、程よく酸味があり。黄色種ほど甘さは無いが果肉はなめらか。全体的に爽やかな風味だ。

ゼスプリレッド
ゼスプリ・スイートグリーン

国産品種も多いが、大体がヘイワードで、あとは契約栽培のゼスプリゴールド、先っちょが潰れたサンゴールドくらいだ。サンゴールドは甘みがゼスプリゴールドよりも強く、NZ産の黄色はほぼ全てがサンゴールドに置き換わって、ゼスプリゴールドは消えるのは時間の問題だろう。

ゼスプリゴールド

あとは流通するのは香緑、讃岐ゴールド程度か?レインボーキウイや紅妃なども味は良いが、昔ほど見かけない。甘うぃという福岡のオリジナル品種があるが味を見れていない。ほかにも東京ゴールド、アップルキウイなど品種は色々あるのだが…

モンティー、イエロークイン、アボット、ブルーノ、アップル、紅妃

最近ではサルナシと交配させたような小粒のキウイも見る機会が増えた。主にさぬきキウイっこのブランドシリーズや香粋などがある。

さぬきキウイっこ
香粋

輸入果実類

バナナ、アボカドなど全体的に入荷量が落ち、価格が上がっている。特にコロナの影響による船の減便、円安、世界的な需要な増加、産地の不作などいろいろな要因があるが、柑橘類で顕著だが高い割には品質が悪くなってきているものもある。

輸入柑橘はグレープフルーツも需要が落ちてきて、輸入オレンジも国産の方が価格を下回る時期がある。昨年はオレンジもエジプトやトルコなど初めて見る産地も沢山あった。輸送日数の増加などもあり、質がかなり落ちている印象だ。輸入柑橘は安価で周年流通する安定性があり飲食関連やカットフルーツでの引き合いが強いが、仕入れに苦労している話もよく耳にする。私の浅はかな考えではこれといった案はないが、安くありがたい輸入柑橘についても今一度考える時期が来たのかもしれない。

高価な果物となったグレープフルーツ

またスイーティーを見かけなくなったと思ったら、メロゴールドに変わっていた。甘みが強いので人気はやや高い。ペルー産のみかんも去年からかなり見かけるようになった。食味と見た目は国産よりやや劣る印象だが、国産が高い時期なので安価な柑橘としては良いかもしれない。

輸入果実で頭角を現してきたのは輸入リンゴだ、特に去年は国内産の貯蔵リンゴが霜害の影響による不作の影響で高く、その代わりとしてNZ産の引き合いが強かった。代表的な品種はブリーズ、ロイヤルガラ、ジャズあたりだ。ほかにもスター、プリンセス、チーキー、フジ、グラニースミス、ピンクレディなどがあるが、スーパーなどが取引している商社によって取り扱う品種は変わってくる。去年も不作だったで数は少なかった、今年も不作だそうで状況が掴めない。

ペルー産のみかん、NZ産のジャズリンゴ

ブドウも安く種のないトンプソンか、レッドグローブのような風味が良くなかったり、味もあっさりとしたブドウが多いが、キャンディーハーツやコットンキャンディーのような綿飴の様な甘い風味と強い甘さを持つブドウも増えてきた。私はコットンキャンディーの美味しいものには出会えていないが、キャンディーハーツは先述した特性を持っており、素晴らしい。また、NZからも巨峰など日本の品種を日本の技術で栽培したものも入ってきており、味も見た目も日本のものと遜色ない。

キャンディーハーツ
キャンディーハーツ
コットンキャンディー
NZ産の巨峰とバイオレットキング

また、輸入が解禁されたネクタリンやスモモだが、ネクタリンは日本のものよりも早く出回り、スモモは8〜9月と遅い時期に出回っていたのを見かけた。値段は国産と変わらない程度だが、ネクタリンは甘みがかなり薄く、肉質は粉質で硬く良くなかった。スモモは熟すとしっかりと強い甘さがあり、びっくりした。ただ、米国から入ってきているので国産と競合するが、同じお値段なら国産の方が圧倒的に強い。

アメリカ産ネクタリン
アメリカ産ネクタリン
アメリカ産スモモ

去年は輸入のサクランボは不作で高かった。需要はさして変わらない印象だ。タスマニアからもちょくちょく入るが、あまり売れている様子もなく冬は需要があまりないようだ。タスマニアからは紅秀峰、佐藤錦も流通する。

イオンで12月に売られていた紅秀峰

アメリカのいちごも硬くて酸っぱいイメージだが、少し柔らかな酸味の少ないものに変わっていて、日本酸味には劣るがかなり質が良くなってきてる

渋谷の西村フルーツで頼んだ盛り合わせに入っていたアメリカ産のイチゴだが、美味しかった。

変わったもので言えばランブータンはよく見かける様になった。ライチも中国本土から種無しなど様々な面白い品種がでてきたが、味の面で言えば台湾の王荷包などより癖がなく食べやすい印象だ。NZ産の柿もひさしぶりに見た

無核、仙进奉、井崗紅糯
無核ライチ
NZ産の富有

マンゴーもペルーからの輸入が増えた様に思う、確かに繊維質が少なくて美味しい。タイはさほど変わらず。台湾のアーウィンは不作で高かった、食べ比べ会の時に入手にかなり手間取った。パキスタン、インドのマンゴーも見かけるようになったが、甘さは強いもののかなり癖が強い。ブラジルとオーストラリアのマンゴーはかなり見なくなった印象。

ドリアンも色々な品種が入ってくるようになったが、体質的に食べれないのが悔やまれる。

食べ比べ会で出した台湾マンゴー、パキスタンマンゴーなど

パイナップル

国産の品種では、かなり印象的に残った品種がある。それはホワイトココというのだが、初めて見た時は果肉が真っ白で未熟な印象を受け、美味しそうとは思えなかった。しかし香りが良く、親のピーチパインっぽい香りだが桃とココナッツを混ぜた強い甘い香りがする。風味も同様。酸味も殆ど無く、上品で優しい深みのある甘さ。繊維がかなり少なく、硬い時だと軽いサクッとした食感、熟すと滑らかな肉質になる。いずれの食感にしても繊維が絡まず、パイナップルでこんなに感動したのは初めてであった。

ほかは酸味が穏やかで、ガツンとパイナップルらしい風味とこい甘さのあるゴールドバレル。ジュリオスターも本土でよく見るようになった。ジュリオスターも食べたことはあるが、一度にたくさんの品種を食べた時であったので記憶が定かでない。

ホワイトココ
断面

また、海外産のパイナップルも値段は高いが高糖度を売りにしたものも増えてきた。デルモンテのハニーゴールドやドールのスィーティオパイナップルなど品種は同じでも、かなり熟した酸の少ないものが増えてきた。

ハニーグロー

台湾からの輸入も増えてきて台湾14号のような定番品種からマンゴーパインやミルクパインなど個性豊かな品種も多い。こちらもかなり熟した状態で収穫するので甘みが強く人気が高い、台湾に友好的な感情を持っている人が多いのも要因の一つであろう。ただ暑い時期は芯が黒くなったりと悩みも多い。

台農14号
マンゴーパイン(台農23号)

スイカ

スイカも品種で見ることが多くなった。スイカも違いがよく分からない果物ではあるが、個性的な品種も増えてきたのも大きい。

しかし、農家さんの腕があってこその品種なので、同じ品種でも農家さんが違うとバラツキが激しい。使う台木によっても確かに味の深みや食感などが違う。

代表的なのが、金色羅皇だがスイカとは思えないほど高糖度で、かなり濃い甘さがある、果肉の色もオレンジを帯びていてカットにしてもインパクトがある。スイカ離れが進む中でも、人気が出る品種だと思う。
ただ、金色羅皇は去年から流通がかなり増えたが、去年のスイカの後半の産地のものは甘みがイマイチだったり、果肉がかなり潤んでいたりするものが多かった。非常に惜しい。

金色羅皇
断面
種周りがうるんだ金色羅皇
糖度が低い金色羅皇

同じく黄色系でサンダーボルトがあるが、そちらは金色程ではないがしっかりとした甘さで、コクがある。果肉は濃い黄色で、肉質もしっかりしている。
黄色系のスイカは美味しくないというイメージを払拭できる品種だ。

サンダーボルト
断面

また、種が小さく種ごと食べられる品種もスーパーの売り場でよく見かけるほどかなり増えてきたが、消費者は種が食べられることを買っているのだろうか?あまり認知はされてはいないように思う。ナノシードのスイカは新世界という品種が先駆けであったが普及せず、ピノガールの登場と甘いスイカの佐藤さんがマツコの知らない世界で紹介したのも大きい。これは金色羅皇にも当てはまり、テレビの影響力の強さを知る

後発でプチっと、ひとりじめナノが登場。ピノガールは小玉だが、プチっとやひとりじめナノは中玉。ピノガールも小玉スイカらしい詰まった肉質と深い甘さで美味しい。種もキウイやイチゴのようであまり気にならない。

中玉系のは食べたことがないので今年試したい。大玉でピノダディがあるが、肉質は小玉スイカのようなきめ細かい、柔らかでなめらかな印象。

ピノガール
ピノダディー

まつりばやし777、羅皇ザスイート、べにまくらなど通常の赤系の品種も色々食べたが、違いもあるようで分からず、違いも品種によるものなのか、農家さんの腕によるものなのか、それともその両方なのか?も分からず美味しいがイメージのスイカらしい味と言う以外のことばが見つからない。

祭りばやし777
羅皇ザスイート
左手前がマイティー21

個人的には比較的に古い品種だが西村さんのマイティー21がかなりバランスの良いスイカで美味しかった。

この記事を書いてる間にもスイカを食べているのだが、冬のスイカもかなり品質が上がってきたように思える。熊本も変形もなく、夏のものには及ばないが、実際に食べた時も美味しいと思えるものであった。冬にスイカを食べたいなら高知の立体栽培のルナピエナなどを食べると良い。特に江本さんのは素晴らしい。

江本さんの茜SORA
去年の12月30日に撮影した写真。見た目もかなり綺麗であった

個人的には季節外れに良くスイカを食べるのが12~2月は高知のルナピエナ、3月の半ばくらいから藪塚とかの小玉スイカ、大玉はゴールデンウィークくらいから味がのってくるイメージ。スイカは冬に食べて、暑くなる梅雨明けと同時にぱったりと食べなくなる。

メロン

この項目が書くのに1番苦労した。メロンはアローマとかクラウンが好きでよく食べていたので、ほかはあまり食べないというのも大きい。純粋なアールスフェイボリットでは無いと思うが、ネットのキメや肉質などでもほかの産地で栽培されるアールス系とはかなり異なる。味も外れたことがないくらい、安定している。

果物を食べる時には客観的に食べているつもりなのだが、アンデスメロンのような硬めの果肉のメロンがあまり得意では無いので、買う時に食べきれないという理由で買い控えてしまう。 なのであんまり食べた経験がない

今年食べた中では滑らかなメロンが好みなので、きみかという品種はかなり好みであった。ただの感想になってしまったが、今年はメロンは色々な品種を食べてみたい。

きみか、てぃあら30

特筆するべきことと言えば、酸味のあるメロンシリーズがある事だ。マクワウリの見た目をしたヨーグルキッス、皮が黄色みを帯びたレモンメロン、ホームランメロンのようなサワースイート。比較的評価が良いのがサワースイートだが、食べれていない。ほかの2品種も食べたが、果肉が硬く、確かにヨーグルトや発酵乳のような酸味がある。これは意見が真っ二つに割れ、賛否両論ではあるがメロンとして見なければアリなのかも?という印象だ。

ヨーグルキッス
レモンメロン

熱帯果樹類

かなりザックリとまとめてしまったが、国内の熱帯果樹について書きたい。

マンゴーはアーウィンが1番だと個人的には思った。甘みも強く、果肉も濃密で、見た目も良く、香りも風味も適度にトロピカルな要素を残しつつ温帯のバラ科の果物を思わせるような要素があり癖が少ない。繊維が少ないが、熟しても直ぐには自重で潰れるほどでない。その上、知名度もある。ただ、栽培量が増えてきて値段が落ち着いてきた印象もある。

香り以上に繊維がある品種は好まれない。滑らかであることはかなり重要だ。

ラポザのようなジューシーで繊維がなく柔らかな品種は完熟だと潰れやすく、輸送性が無い。てぃららとして栽培されるバレンシアプライドも滑らかであるが、アーウィンよりは甘みがさっぱりで酸味がある。キンミツも沖縄で増えてきているが、濃い甘さだったのは覚えているが、食感が思い出せない。

いろいろ品種も食べてきたが、癖があったり、美味しくても流通に向かないものばかりであった。個人的にアーウィンでギリギリ食べれるというのも好みも大きいが、プロパンガスを思わせるクセのある香りよりはアーウィンのようなフルーティーな香りの方が人気はあると思う。あの独特な香りがあってこそマンゴーという方もいらっしゃるのはもちろん承知している。

また、北海道の白銀の太陽に代表される温泉熱を利用して栽培されるマンゴーも増えてきてよくみかけるようになった。日照量が少ない関係で果皮色は薄いが、味は良いそうだ。

山川さんのマンゴー
北海道産マンゴー
金蜜マンゴー

ライチは大玉のチャカパットなどが多いが、特段変化している様子もない。去年、傷んでいるわけでもなく、安く売られていたのを見た。

ライチでは無いが、竜眼ももう少し人気が出てもいいのでは?と思っている。竜眼はライチよりも甘みは強いが癖も強く、人は選ぶ。

アボカドも国産が増えてきたが、ベーコン、、ピンカートンなど油分が少なく滑らかでサッパリしており、油分が多いハスと比較されるとどう思われるのだろうか気になる。そのまま生で食べるよりは料理に使われることが多いので、ほかの果物よりは糖度は求められないが、風味や口当たりがかなり需要になってきている。フェルテは油分が多いらしいが、食べれていない。熱帯果樹の中では今いちばん熱いジャンルではある。

またメルカリだとグアバやレンブも多く取引されるが、誰が購入しているのだろう?と不思議に思う。中華系などの外国人向けの商店では良く売られているので、そっち方面に需要があるのかもしれない。レンブは品種モノであろう個体も出回るが、甘みはあっても薄く感じられ、青臭さも残る。グアバも在来種と呼ばれるような品種ばかりで、可食部が少く経済性が低い。

国産のレンブ

パッションフルーツはトロピカルフルーツの中でも市民権を得た果物だと思っている。あのエキゾチックな風味が受け入れられたのだろうか?トロピカルフルーツとしては売れる品目

パパイヤには申し訳ないが、これも需要があるのだろうと不思議に思っている。好きな人はもちろんいるのだろうが、3年バイト先で売っていたが、好きという理由で買っていく人はかなり少なく、撮影用とかの方が多かった。値引きしても売れないイメージがある。日本だと木を横にしてサンライズ・ソロ種栽培しているが、香りは良いものの、マンゴーなどと比較すると味に物足りなさがある。千疋屋さんなどはパパイヤを重用しているが、伝統なのだうか?沖縄では種無しの石垣珊瑚などがあるが、やや硬い果肉でサンライズソロの方が優れた印象。

サンライズ・ソロ
石垣珊瑚

また食べ比べ会で人気があった品目と言えばカニステルだ。よく熟したものはかぼちゃとサツマイモの中間のような粉質で素朴な甘さがある。追熟をした状態で出せればもっと人気が出るかと思ったが、人気があったからとはいえ、これを知らない人がお金を出して買うとは思えない。面白い果物ではあると思うが、需要は僅かであろう。

その次に良かったのが、ホワイトサポテであるが、これも品種によるだろうが、漉したミルクプリンのようなキメの細かい果肉で、じんわりくる素朴な甘さ。僅かだが、苦味を感じるような風味が遠くにいるのは個体差なのだろうか?少し気になる。硬い割には、急に熟したりするので取扱には注意。

黄色いのがカニステル、奥の緑のがホワイトサポテ、手前の茶色いのはサポジラ

奥飛騨のFRUSICさんのドラゴンフルーツのように栽培法によっては甘みが強くなるが、沖縄の通常の白肉は味がほぼ無い。果肉に色があるのは幾分マシな程度だ。その中でも皮が黄色いのはそれなりに味がして、比較的マシだ。ただ、品種名は分からない。トゲがあるイエローピタヤも美味しいがこれとは違う。

イエロードラゴンフルーツ

スターフルーツもカレーの選抜系のちゅら星や、アセロラでも酸味の少ないフロリダスイートなどあり、比較的食味に優れるが、それでも青臭いと言われてしまう。インドナツメもそうだが、青臭さがある熱帯果樹は意外と多く、それが普及の妨げになっている。

美ら星

アテモヤも見かけるが、売っていても興味を持って見はするものの、その見た目から購入されることはほぼ無い。熟すと黒くなるのも腐ってるの?と勘違いされる。味は良くても、食べるキッカケが無いとほぼ買われない果物だ。


国産バナナはもんげーバナナが出た頃くらいがピークだったように思う。各地で栽培が広がってはいるものの、あまり売れているのを見ない。何度か食べたが、普通に美味しいものからフィリピンのバナナの方が美味しいと思ったこともあり、各生産者でバラツキがある。追熟の関係もあるかもしれない。皮ごと食べれることをアピールしているところもあるが、無農薬をアピールしているだけなので皮はとった方が美味しい。ただ、もんげーバナナの凍結覚醒法にはかなり、胡散臭いものがあるので気をつけて欲しい。

ベリー類

国産ブルーベリーもよく目にするも、売っていて思うが、あまり売れない。定期的に利用する層は冷凍を使用したりと、生で定期的に購入する人はかなり少ないはずだ。粒が大きいものは手に取ったり、大きい!とかリアクションはするので、粒は大きい方が良いと思う。個人的に熟した採れたての味を知ってしまうとどうしてもスーパーのものには手が伸びない。都市近郊にブルーベリー園が多く、特に東京や神奈川近辺のお住まいの方は是非、海老名の市川農園に足を運んで見てほしい。

岩手にて。小さいのが通常サイズ、大きいのがスパータンという品種
海老名の市川さんの畑

ラズベリーも今年はかなり国産のものを食べる機会が多かったが、いずれの品種も日本での栽培性や日持ちや輸送には優れない印象だ。輸入ものには無い、あの香りと甘さは魅力的である。流通の問題や収穫の手間やコストなどを考えると、経済栽培には現状難しいところがある。

品種不明。夏果実
品種不明。夏果実
品種不明。秋果


その他果実類

今年は若い人がザクロやアケビを購入していくことが多く、不思議に思った1年だった。ザクロを探してる人はかなり多かった。 絵を描くために買っていく人もいたが、ネットで見て気になって買っていくのだろうか?あけびは有名な動画配信者のヒカキン氏が食べ方を間違えて炎上したこともあったが、若い世代にはその様な動画配信者の影響もあるのだろうか?

アケビ

趣味でのポポーやフィンガーライムバブルは弾けたので、苗も昔より遥かに安く手に入るようになった。ポポーは特に日持ちが悪いので、市場流通させるのは難しい。家庭菜園や直売所で楽しむくらいがちょうど良い。フィンガーライムも国産の果実を見かけることも増えた。用途が限られる果物ではあるが、安価になれば揚げ物に添えるレモンのように、もっと使いやすくはなる筈だ。柑橘の欄で書き忘れたのでこちらに記載する。

レモンの代わりには良いと思う


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