これからの国民のための新しいガン保険の提案

遺伝子医療の進歩により、今年から本邦において、保険適用外の抗ガン剤の臨床利用が始まる、と以前書きました。

実際、厚労省も全国で患者遺伝子パターンに応じた抗がん剤治療を選択できる、いわば"オーダーメイド医療"の拠点を増やそうとしています。

遺伝子検査で最適な治療法と示されそうなのは保険適用外の抗がん剤が大半とみられ、保険外の治療を希望する患者が大幅に増える可能性がある。胃がんに効果がある保険適用の抗がん剤を、保険外となる肺がんの治療で使うことが有効という結果が示されることなどがありうる。

遺伝子パネル検査を保険適用しても、そこで導かれた治療法が混合診療ルールに抵触すれば患者の医療費負担は重くなり、普及の制約になりかねない。そのため厚労省は例外として混合診療が認められる「患者申し出療養」の仕組みを使いやすくする。該当すると薬代は全額自己負担のままだが、保険診療分は原則3割で済む。

国民の1/3近くが悪性腫瘍、すなわちガンで死亡し、男女問わず生涯で2人に1人はガンを患う時代です。結果、ガン治療のパラダイムシフトは、自己負担による医療と保険医療を並行させる混合診療が一般化することを意味します。

一方で、このままでは、高額な自由診療分を負担できる人、できない人に選択肢の差が出る医療格差を生みます。

我々は、テクノロジーがもたらす医療の恩恵を、国家財政を破綻させない前提で、できるだけ貧富の差が生死の境目にならないようにしなくてはならないのではないでしょうか。

ガンにはなる。治療法も出てくる、投薬治療の精度も上がる。

であるならば、「抗がん剤が外れることの方が稀になる」ということが、ガン治療の未来像であろうと考えます。

したがって、不幸にも抗がん剤が外れて効かなかった(結果 命を落とした)患者が損をしない、そういうカタチが望ましいのではないでしょうか。

これまでの死亡を前提とした保険から、人が生きるために必要な保険、というパラダイムシフトが必要ではないでしょうか。

簡単に言うと、保険適用外の抗がん剤が効いたらば抗がん剤費用は患者負担(割賦なり)になり、効かなかったら部分/全部 負担しないで済む、というイメージです。だから、この保険は

「ガン診断されて初めて申し込める民間保険」

になります。当然、その際、製薬会社も協力するべきだと思います。

国民の1/3近くが悪性腫瘍、すなわちガンで死亡し、男女問わず生涯で2人に1人はガンを患う時代、その時代の皆保険医療制度を揺るがす世紀のパラダイムシフト。

いま抗がん剤のゲームが変わろうとしている中、当の製薬会社の多くはこの事をあまり大きく取り上げません。かえって「保険/自由診療問わず、市場流通総量に対して単価算出する」などのやぶ蛇にならぬよう、声を潜めている認識です。

本当に患者に寄り添うのであれば、「飲んでもらってからが薬屋の勝負」だとして、本当に効いたのか知ろうとすべきです。そして、効かなかったら薬剤費を減免するべきでしょう。

来年度の薬機法改正で、薬剤師の職能が処方後のフォローアップに回るのであれば、製薬サイドもそのバリューチェーンに踏み込まれるべきです。それは単成分の薬を作って、流通に流して終わり、という大量生産大量消費、工業時代のビジネスモデルの終焉を意味します。

国は、製薬会社に対して、この新たな成果報酬型のビジネスモデルへの転換を急がせるべく、今後は抗がん剤の公的保険適用要件に加えるくらいのことが必要だと考えます。

一方で、行政や臨床側にも改革が必要です。

国立がん研究センター中央病院(東京)が抗がん剤治療の計画書を事前に作り、各地の病院が共有する。過去の事例から病院内の準備期間を2カ月程度に短縮できる見込み。患者の申し出から3カ月半程度で治療を始められそうだ。

遺伝子検査、投薬候補確定を経て、患者申し出から一連の審査・承認に3.5ヶ月かかると言いますが、そんな時間は闘病者には無いのです。

効くかも知らないなら、容体が変わってしまうかもしれない三ヶ月後ではなく、今日からでもトライさせてほしいのです。

慢性期と急性期という分け方をするならば、「治療計画から申請、承認までの時間」が患者の予後に大きく影響するため、準急性期とも言えるプロセスなのです。

保険適用外の抗がん剤投与の承認までのプロセスを、どこまで短縮できるのか。自動化や即時化を目指すくらいのつもりが必要です。何のための審査なのか、そこに立ち返ってほしい。

このように、

遺伝子パターンと投薬、その治療成果の積み上げ、これを民間資本による実現

しっかりやっていく。民間事業も巻き込んだ共助のカタチ、ある種 治験のオープン化とも捉えられ、まさに心の通ったイノベーションが爆発する領域だと考えます。

人生100年時代の新たな医療のカタチ、保険のあり方が見えてきています。

#オーダーメイド医療がん保険
#あなたの医療

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