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農業ビジネスの特徴(前編)#環境分析

農業ビジネスの特徴(前半) #環境分析

畑会の山田です!今回から投稿でも都市農業ビジネスについても体系的に話していくことになります。目次などで概要を確認しながら、必要と思うものは読んでみてください。
ただ、最初は、共通の基礎的な部分で、しばらくは、直接的な収益につながらない話ですが、話していることは戦略立案に重要な要素になりますので、一通り読むことをおススメしています。
最初のテーマですが「農業ビジネスの特徴」(前半)についてです。ここでの農業ビジネスの特徴は、都市農業に関わらず、すべての農業ビジネスについての話です。都市農業ビジネスの特徴については、別でお話をしていきます。

知ることのメリット(目的)

・多くの大企業さえ参入を失敗してしまっていたのは、農業の特性や難しさを理解しきれていないため。特性を理解することで、リスクを減らしていく。
・経営学的な観点から見ると、農業ビジネスがいかに難しい分野であるかが分かる。逆に言えば、その難しい部分を意識して改善、改革することができれば差別化、収益向上が見込まれる。
・一般の事業と比較することで、経営の視点を身に付ける。

農業ビジネスの特徴5つ(目次)

① 外部環境(気候、天変地異、市場)の変化による変数が多すぎる。
② 生産から収入までのタイムラグが長い
③ 保存期間が短く、在庫が持てない。廃棄リスクもある。
④ 生活必需品のため商品の単価が低い(希少性の高いものや果物以外)
⑤ 繁忙期と閑散期の差が大きく、安定した雇用が難しい。

各特長の説明(要約)

① 外部環境(気候、天変地異、市場)の変化による変数が多すぎる。
一般的な製造業などに比べ、農作物の生産は、気候、天気などに左右されます。
製造業では気候の変化を受けない工場や室内で作るので、電気や部品の供給がストップする大災害でもない限り生産に支障はあまりありません。サービス業も人の確保ができれば、農業に比べ、はるかに変動リスクが少ない。
ビジネスとして考えるのならばビニールハウスや野菜工場といった気候にあまり左右されない仕組みを作るべきですが、初期投資が高いため資本力が少ない家族経営レベルではなかなか手がだしづらいのが現状です。
以上のように変数が大きすぎると、企業が行っている事業計画が立てづらく計画的に事業展開をすることが難しくなります。仮に計画を作ったとしても常に変更を求められてしまいます。その為、計画が大きく変化するという前提にたち、迅速に計画を変更する仕組みが求められます。

②生産から収入までのタイムラグが長い
小売業やサービス業であれば、提供後にすぐに売上があがり、支払いまでほぼ同時期に行われます。農業においては、半年~1年間ぐらいかかってしまうこともざらです。
果樹栽培を一から始める場合などは何年もかかることもあります。
農業のように生産から消費までのタイムラグが長い業界は大規模な製造業以外、あまりありません。
では、タイムラグが長いことで何が問題になるか。

・ 市場の変化、顧客のニーズの変化に対応できない
ユニクロのようなファストファッションでは顧客のニーズを知って製品化までわずかな時間で行いリスク減らし、収益性を高めるのに成功しました。
農業だと、このやり方はかなり難しいものがあります。
一部、野菜の卸業者がユニクロみたいにやっていますが生産者側やるのは、ほぼ不可能です。
去年、売れ行きのよかった農作物を今年また作ろうと思っても既に変化している可能性もあり、直前に気づいても変更できません。ましてや他の農家さんも同じことを考えて同じものを作っていれば供給量が過多になってしまい値崩れを起こしてしまうリスクさえあります。当然、これも途中で気づいても変更できません。
タイムラグが長いことで需要と供給の調整が難しく大量に作ると廃棄するリスクも増えます。

・ 初期投資からの回収までが長く、資金繰りが難しい
中小企業で大変なのが資金繰り。農業においてはさらに難易度が増します。
新規就農をした場合は最初に収入があるのは、土づくりをし種をまき収穫、そして販売するわけですから、半年後ぐらいになってしまいます。それまでは収入がゼロです。始めるには相当な余裕資金がないとジリ貧の状態になってしまいます。
そしてさきほど話したように安定した収入が入ってくるわけではないので(契約栽培や前払い制は別)精神的な不安も大きくなります。
そのため、もし新規就農する場合は少なくても運用資金は生活費半年分の資金。もしくは兼業スタイルで進めていくことが必要です。初期投資分の資金も考えるとさらに多くの資本が必要となります。かなりの準備期間を要し初期投資の回収も3~5年かかると言われます。
ただこういった農業の難しさもあり、現状50歳以下の新規就農者には農業次世代人材投資(旧:青年就農給付金)が年間150万円で、5年間が給付されるので、それまでに安定収益を目指すことになります。
うまく資金繰りをまわすために資金繰り表を活用することがオススメです。
 
今回は以上です。
何か質問や意見がありましたら、コメント欄でもよろしくお願いします。今回の2点だけでも、話せることがたくさんありそうですね^^次回は、後半部分をお話します。

アグリビジネス 図

【自己紹介】
非農家でありながら、東京の八王子で農業系サービス事業を展開。
専門分野は都市農業の経営、都市部での小さな農、コミュニティ農業、
農のある生活、キャリア視点から見る農などで幅広く農業を語っています。

【研修事業のご案内】
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ZOOMによる講座を中心として
東京八王子を中心に現場での農業体験も行っています。

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